すみません、反省してます…。
それでは、本編をどうぞ。
「え、ええっと…告白?」
「はい、前々からずっと考えてたんです。このまま何もしないより、はっきりこの気持ちを伝えたいんです!」
うん、えっと、落ち着け俺。どうする?このままだとあれだぞ?同じ日に二人が告白することになる。
そうなるとかなりマズイ。これをなんとかしなくては…
「あの、諸星さん?」
「はい⁉︎ああっと、あいつに告白するんだよね?えーと…」
なんか良い方法は…あ、そうだ!
「確か、明後日はあいつプライベートな用事があるとか言ってたよ」
「あ、そうなんですか?」
「うん、だからもう少し待ってからの方がいいんじゃないかな?」
「…わかりました。ありがとうございました」
そういって青葉ちゃんが出ていったのだが、これって何の解決にもなってないことに今更気づいた。
あいつが明後日ウォースパイトさんに告白するのはほぼ確実だし、その返事がOKなのも目に見えてる。
つまり、明後日以降に青葉ちゃんが告白しようとしても、すでにあいつはウォースパイトさんと付き合っているはずなのでそれは不可能になる。それどころか青葉ちゃんがショックを受ける可能性もある。
…とんでもなく最悪な手を打っちまったぞ俺⁉︎
ええい!これについては後で考えよう。とりあえずザラさん達に協力を頼もう。
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「…って訳なんですが…」
「うーん…あの二人がお互いを好きなのは普段の様子で何となくわかってたけど…」
「それに青葉さんも絡んでたとなるとかなり厄介な問題ですね…」
ですよねー。というか、やっぱわかってたか。
となると、目下の問題は…
「いかに告白の場所に青葉ちゃんを居合わせないようにするかですね。そのところはザラさん、お願いします」
「わかりました。ですが、場所がどこかわからないとどうにも出来ないのですが?」
「それならあいつの事だから多分…」
すると、ちょうどあいつから電話がかかってきた。
「もしもし?」
『ああジャック?告白する場所なんだけど、屋上にする事にしたから』
「だろうな。お前よくそこいって夕焼け見てるからな。てことは夕方告るのか?」
『もち。てなわけでその時よろしくね〜♪』
電話が切れると同時に俺はスピーカー機能をオフにした。
「…だそうです」
「あんなあっさり決めていいのかしら?」
「いいんですよ、絶対成功する告白なんですから肥溜めとかで告白しない限りは平気です」
肥溜めがこの辺にあるのかは知らねぇが。とはいえ、屋上なら場所的に問題ないな。出入り口は一つしかないからそこで見張ってればいいし。
「というわけで、明後日はよろしくお願いします」
「待って。ザラの役割はわかったけど、私は?」
「ビスマルクさんは何か不測の事態が起きた時の対応をお願いします」
さて、とりあえず当日は平気だとして、問題はその後どうするか考えなくてはなぁ…
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翌日
「ごめん、やっぱ今日告るわ」
…計画決めて早々こう言われると、流石の俺も頭に来た。
「…理由を聞かせろ、そして殴らせろ」
「いや待て⁉︎ちょっと調べたら明日朝からずっと雨らしいんだから、今日にしようと…いや悪いとは思ってるから殴るのは…ヴッ⁉︎」
俺は蓮也に腹パンを叩き込んだ。思ったよりも苦しそうにしてたが、さすがに鉄板とかは仕込んでなかったのか。
「お、おま…マジで殴るなよ…!」
「うるせぇ、何回人を振り回せばいいんだ。日頃の鬱憤ばらしも兼ねたからかなり効いたろ?」
「一応僕軍人だけど…」
「経緯話したら理解してもらえると思うからやった。実際お前も悪いと思ってるだろう」
「正論過ぎて言い返せねえ…」
「ちなみに今日出撃するのは?」
「何で?ああ、協力者か。これ見た方が早い」
ふむふむ…ザラさんが出る事になってるが、青葉ちゃんもちょうどいるな。これは都合がいいな。
「これで大丈夫か?」
「ああ。むしろこの方が都合がいい。ちなみに帰還するのはいつくらいだ?」
「昼過ぎに出撃させるから、夕方くらいかな」
なるほど、ならほぼ問題ないな。
「わかった。ちょっと話してくる。とりあえず、頑張れよ」
「はいよ」
てか、頑張んなくても良いんだけどな。
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「…という事なので、帰還後はなるべく青葉ちゃんを引き止めるようお願いします」
「わかりました。では私は出撃の準備をしてきますね」
そういいザラさんが部屋を出た後、ビスマルクさんが心配そうな顔でこちらを見ていた。
「それで、あなたはどうするつもりなの?」
「…事が済んだら全て話すつもりです。事情はどうあれ、彼女の恋を邪魔した訳ですし」
「大丈夫なの?」
「青葉ちゃんの性格考えると俺の仕事の都合上、今回の事は人に話せないのは理解はしてもらえると思うんですが…正直、どうなるかわからないです。こういうパターンは初めての事なので…」
一番最悪なのは、青葉ちゃんがこの一件でヤンデレ化して二人に危害を加える事態になる事だけど、そうならないよう全力でケアするしかないな。
ーーこの時、俺がザラさんが必ず青葉ちゃんを足止め出来ると思い込んでいたのが間違いだと気づくのはこのあとだった。
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数時間後
※三人称視点
ウォースパイトは一人緊張していた。
少し前に想い人である蓮也から艦隊の報告が終わったら話があるので屋上で待っててくれと言われたからである。
とはいえ、今後の作戦に関する事の可能性も無くはないが、それを先ほど士に相談したところ、
『大事な話であれば執務室で話すでしょうし、あいつの性格からして悪い話ではないと思いますよ』
と、微妙にはぐらかされたが悪い話ではないと言われ内心ホッとしていた。
(それにしても、Admiralは何を話そうとしてるのかしら…)
一方で、蓮也は執務室で報告を待っていた。
(ウォースパイトへの告白も大事だけど、こっちの方が大事だからね)
すると、ちょうどザラから通信が入ってきた。
《提督、作戦が終了しました》
「ん、御苦労さん。それで、被害はある?」
《私が中破してる以外は大丈夫です》
「了解。じゃ、気をつけて帰って来いよ〜」
通信を終えると蓮也はいつものように毛布を取り出すと港へ向かっていった。
しばらくして艦隊が帰還すると蓮也はザラに毛布を投げつけつつ指示を出す。
「ザラは入渠、他は精密検査後補給を忘れるなよ。ザラ、報告は入渠後でいいから」
「了解‼︎」
その後全員が検査に行く中、青葉は去っていく蓮也の背中をじっと見ていたのであった。
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※通常視点
ザラさんからの連絡を受けて俺は自分のミスに気がついた。
ザラさんが入渠して青葉ちゃんが無傷とかだったら止められないって事だ。
しかもあいつから後は頼んだって連絡きたし、こうなったら俺が止めるしかない。
とりあえずビスマルクさんに連絡しなくては、そう思い俺はビスマルクさんに連絡した。
が、さっきからずっと電話にでないんだが、どういう事だ?
三回目に発信してようやく出た。
「あ、もしもしビスマルクさん?実はですね…」
だが、出たのはビスマルクさんではなく、プリンツちゃんだった。
《あ、諸星さん?ごめんなさい、ビスマルク姉さまは御入浴中でして、後で私から連絡しましょうか?》
…万が一の為に待機してって言ったのにこの人は(泣)
「いや、いいです。(今からでも間に合わないし)失礼しました」
さーて、早いとこ青葉ちゃんみっけて引き止めなくては。どういった口実にしようか…
そう考えながら曲がり角を曲がろうとした時だった。
ドンッ‼︎
「おぅッ⁉︎」
「うおっ⁉︎」
廊下を疾走してた島風ちゃんに跳ね飛ばされた俺は壁に頭をぶつけ、意識が遠のいていった。
蓮也…すまねぇ…!
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※三人称視点
一足先に屋上に来ていたウォースパイトは蓮也を待つ間、夕日を眺めていた。
水平線に日が沈み、辺りが黄金色になっていき、とても神秘的であった。
するとそこへ、蓮也がやって来た。
「すまない、待たせたかい?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか…ここの景色、綺麗だろ?僕のお気に入りなんだ」
「ええ、とても綺麗です」
それからしばらく沈黙した後、蓮也は口を開いた。
「ウォースパイト、今日君を呼んだのは大事な話をする為だ。まぁ、僕の個人的な話だけどね」
「は、はい…」
胸の高鳴りを抑えつつ、蓮也はまっすぐ彼女の目を見つめて話した。
「僕は…初めて会った時からーーー君の事が好きだ。僕と付き合ってくれないか?」
「えっ…?」
ウォースパイトは初めは何を言ったかわからなかったが、すぐに意味がわかると思わずうつむき、自分でもわかるくらいに顔を赤くした。
しかし、蓮也が返事を待ってることに気付くとすぐに顔を上げた。
「あ、あの…実は、ですね…、私も初めて会った時から、その…Admiralの事が…」
「えっ⁉︎本当に…⁉︎」
驚く蓮也にウォースパイトは頷きながら言葉を続ける。
「ですから…是非喜んでお付き合いさせていただきます…!」
若干の嬉し涙を流しながら答えるウォースパイトを見て、蓮也は安堵の笑みを浮かべた。
「そっか…なら、これからよろしくな、ウォースパイト」
「ええ…!」
その時だった。キィ、と扉の動く音が聞こえ、二人はそこに目をやると、誰かが慌てて引き返すのが見えた。
一瞬だったが、蓮也にはそれが誰かすぐにわかった。
(今のは、青葉?)
いつもなら何故ここに?と疑問を浮かべるのだが、蓮也はもう一つの疑問を浮かべていた。
(一瞬でよくわからなかったが、何で…あんな悲しそうな顔を?)
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※通常視点
俺を呼ぶ声がして目を覚ますと、島風ちゃんが心配そうな顔をして覗き込んでいた。
「ごめんなさい諸星さん…怪我はない?」
「あ、ああ。平気だよ。それより、俺はどのくらい気を失ってた?」
「えっと、ほんの少しだけだけど?」
「わかった。こんどは気をつけるんだよ」
島風ちゃんにそう言うと俺は再び青葉ちゃんを探す。
せめてギリギリで食い止めれば、そう思っていたが、それが無駄だとすぐにわかった。
今にも泣きそうな顔をした青葉ちゃんにばったり会ったからだ。
しかもきた先が屋上への通路ともなれば、何があったか容易に想像できた。
「………」
「あ、青葉ちゃん…その…」
「…すみません諸星さん、今は誰とも話したくないんです…」
そう言い青葉ちゃんは俺の横を通り過ぎた。
それを見ながら俺は、どうしようもないやるせなさを感じていた。
誰が悪いでもなく、色々な偶然が重なって生まれたこの現状。
これに士は、蓮也は、そして青葉はどう受け入れられるのか。
それでは次回をお楽しみに。