毒舌提督の所為で相談室は暇無しです   作:NTK

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第十四話 最大の難所

「さて、無事大規模作戦が終わった訳だが、一つだけ言っていいか?」

 

「何だ?」

 

やや不機嫌な顔をしてる蓮也を前に俺は返事をした。尤も、拒否っても話すだろうけど。しかも何を言うか何となくわかるし。

 

「……何だって北海道辺りに敵が出てくんだよッ‼︎前の事といい、本土の警備はザル通り越して枠なんじゃねぇのか⁉︎次は何だ?横須賀か?横須賀に敵が出てくんのか?勢力拡大したけど肝心の本土が落ちちゃったら本末転倒じゃねぇか‼︎」

 

「蓮也、気持ちはわかるが落ち着け。今度の事を受けて警備を強化するって連絡があったろ?」

 

「枠を網戸に強化しても意味ねぇと思うが?せめて木の扉位にして欲しいね」

 

辛辣だなぁ…でも気持ちはわかるんだよな。こうも何度も本土攻撃されそうになると不安になる。

話は変わるが、今回の作戦後に新たに6人の艦娘が着任してきた。その中で何人か不安要素な人がいるけど。

まずガングードさんはロシア、もといソ連の艦娘らしい凛々しい感じの人なんだけど…何となくビスマルクさんと似た感じがするんだよなぁ。蓮也もそれに気づいてるらしく、時折からかったりしてる。

問題は海防艦の三人だ。いや、彼女達自体は問題ないのだが、見た目がモロ幼女なので絢香がまた何かしそうで心配なんだよな。

 

「で?わざわざ相談室にきたのは俺に愚痴る為か?」

 

「まさか。……ジャック、この部屋って防音性は充分だよな?」

 

「ああ。壁はもちろん、床も天井もバッチリで、カーテンさえ閉めれば内側から盗聴器とか仕掛けられない限りは平気って明石さんが言ってたけど?」

 

「盗聴器の心配は?」

 

「昨日妖精さん達が定期検査に来たけど、問題ないって。どうしたんだ、そんなこと聞いて?」

 

「いやな、ウォースパイトの事を話すから誰かに聞かれると面倒だからな」

 

何だ、てっきりとんでもない事話すかと思ったらそれかよ。いや、青葉ちゃんにでも聞かれたらマズイどころじゃなくなるから大事っちゃ大事か。

 

「で、何か進展はあったのか?」

 

「ん〜あれから何回かティータイムしてるんだけど、なんか話しづらくてさ」

 

「…お前からティータイムなんて言葉が出るとは思ってなかったな」

 

「僕も意外だとも思ってる。おかけで紅茶の香りにはだいぶ慣れた」

 

「それで、ティータイムは二人きりでか?」

 

「いや、たま〜に二人きりの時もあるけど、大体は誰かしらと一緒だ。特にビス子とザラが多いね。彼女の方が連れて来てるみたいだけど、そっちの方が話しやすいからこっちとしても助かるけど、複雑なんだよな〜」

 

へぇ、結構ザラさん達と仲良くやってるみたいだな。それは良かった。

それはそうと、人を連れてるのはウォースパイトさんもこいつと同じ理由だ。一緒に話したいけど二人きりだと恥ずかしいと前に相談されたし。

 

「お前さ、いつも自信たっぷりのクセになんだって恋愛に関してはこんな奥手になるんだ?」

 

「僕は人事にしても作戦にしてもじっくり見て考えるだけど、彼女についてはじっくり見てられないんだ」

 

「いつも人の目見て話せっていってるお前が?」

 

「うるさい!彼女を見るとき魅力的過ぎるのと変に意識してまともに直視できねぇんだよ!」

 

「惚けながら逆ギレするんなよ…」

 

つーかさ、ウォースパイトさんからもこの前ほとんど同じ事言われたんだけど…何このシンクロ率。相性良過ぎて付き合ってないのが不思議なくらいだよ。

 

「このままの状態ではいけないと僕も思っている、だから思い切って彼女に告白しようかと思うんだが、どう?」

 

………はぁ?

 

「いやいやいやいや‼︎何でまともに顔見れない奴が告白しようとする⁉︎」

 

「このままウジウジしてるのは僕らしくないから」

 

「だとしても!もうちょい段階践めよ!デートとかするとかさ〜」

 

「バカか?こんな女所帯の鎮守府でそんな事してみろ、たちまち噂が広まるだろうが。特に青葉に知られたらたまったもんじゃない」

 

そ、そうだな。色々な意味でたまったもんじゃないな。

 

「まぁお前がそうしたいんなら俺は止めないよ」

 

「そうか。でもフラれたら後が気まずくなるな…そん時になったらケア頼む」

 

「ん、わかった」

 

絶対『そん時』はないな。

さて、こっちの問題は、どうやって青葉ちゃんを告白の場に居合わせないかだ。どう考えても蓮也とウォースパイトさんが付き合うのは目に見えている。ならばせめて告白の場に居合わせない方が彼女の為にもなる。

 

「なあ蓮也、いつ、どこで告白するつもりだ?」

 

「明後日あたりを目処にしてるけど、場所は考えてる途中。それが何か?」

 

「いやさ、二人きりの状況を作らせようと思ってさ」

 

「おお、それは助かる」

 

「あと、この事を何人か俺が信用できる娘に話していいか?俺一人だと限界があるし」

 

「んーまぁいいよ。お前が信用できるってなら平気だろうし」

 

「ありがとう」

 

よし、まずはビスマルクさんとザラさんあたりに話しとくか。もしかしたらもう察してるかもしれないし。

 

「んじゃ僕は失礼するよ」

 

蓮也が出て行き、色々考えた後に早速二人のとこに行こうかと思った時であった。青葉ちゃんが入ってきた。

……何だろう、すっごい嫌な予感がするんだが。

 

「どうしたんだい、青葉ちゃん?」

 

「え、ええと…司令官の事で相談があるんですが…」

 

「う、うん…」

 

「っ…明後日あたりに告白しようと思うのですが、どうすればいいか教えてもらいませんか⁉︎」

 

顔を赤くしていう青葉ちゃんだったが、反対に俺の顔が青くなるのを感じたよ。ついでに、胃がキリキリいう音も。

…さーて、これをどう切り抜ければいいのでしょう(泣)




さて、告白時期が被った二人を前に、士はどう切り抜けるのか?
そして三人の恋の行方はいかに?
では次回を楽しみに。

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