さて、先日行った光作戦の件だが、見事蓮也は作戦を完遂し、その後松風、伊13、伊14、藤波の四名が着任したのだが、ここに来て急な人事異動により朝風、山風、コマンダン・テスト、サラトガまでこちらに着任し、八人もの艦娘が来た。蓮也はと言うと
「はぁ⁉︎元々四名来るつもりで訓練とかの予定組んでたのにまたやり直しじゃねぇか!人事部もそう言うのはもっと早く言えっての‼︎」
とか言う割には問題なく運用してるあたりあいつらしい。
サラトガさんだが、アメリカの艦娘、しかも史実を考えれば不安だったが、普通に龍驤さんと打ち解けたりしてるので心配は要らなかったようだ。
問題は山風ちゃんだった。あの見た目と性格に絢香にどストライクだったらしく、何度も突撃しては部下の憲兵や蓮也に取り押えられてた。山風ちゃんも俺の方に絢香さんがしつこいって相談受けたよ。ちなみに、それを本人に言ったところ、真っ白になった。まぁ自業自得だな。
松風は(本人の希望で呼び捨て)は宝塚並みのイケメン振りで驚いたね。ちなみに蓮也は初めて会った時冗談でサッカーやろうぜ!とか言ってたな。それは違う松風だし。他の五人も問題なく鎮守府に馴染んでいた。
さて、ここショートランドでも桜は植えてあり、花も咲き始めたので蓮也は三日後に彼女達の歓迎を兼ねた花見をしようと提案したのだ。どうやら何人かの艦娘が歌うらしいので俺も歌うつもりだ。蓮也も歌うらしいが、俺と張り合うつもりはないだろうな。何故なら、俺は絵以外に歌でもあいつに勝てるからだ。みんな驚くだろうな〜俺の歌聞いて。
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三日後
「えーと、これから花見を開催する。酒は飲んでもいいが、羽目を外しすぎないように。じゃ、歌う奴は三十分後にな」
相変わらず締まりのない言葉で花見が開催された訳だが、それに構わずみんな料理とお酒を楽しみはじめた。
「さぁ〜どんどん飲むぞ〜!」
「隼鷹、提督も言ってたけど、あまり羽目を外さないでよね?」
「お姉もだよ!」
「わ、わかってるって…」
話には聞いてたが、やっぱあの二人は飲む方なんだな。そう考えながら俺はオレンジジュースを飲む。酒は飲めなくはないが、歌う事を考えて飲まないようにしてる。にしても、本当に間宮さん達の料理はうまいな。酒にも合うように出来てる。
周りを見ると駆逐艦の子のうち何人かがお酒を飲んでるのだが、絵面的にアウトだよな…?
「諸星さん、隣いいかい?」
「あぁ時雨ちゃん、別にいいよ」
「ありがとう」
そういい時雨ちゃんが隣に座る。コップに入ってるのは、お茶かな?
「そう言えば諸星さんも歌うんだったね、何を歌うの?」
「前の人次第ってとこだね」
「どういう事?」
「聞けばわかるよ」
そんなこんなで、歌う時間が始まろうとしていた。
「さぁ〜はじまりました!鎮守府歌唱大会、司会は私、青葉がお送りします!さぁ、トップバッターは葛城さんです!歌うのはこの曲、『残酷な天使のテーゼ』です!」
なるほど、『葛城』だからね。
「残ー酷な天使のように〜♪」
おお、うまいな。
「羽根がある事〜♪」
「いいわよ葛城〜!」
「それでこそウチらの歌姫や!」
例の四人が声援を送る中、歌は終わりに近づいてきた。
「少年よ神話になーれッ‼︎」
パチパチパチパチ!
「葛城さん、ありがとうございました!さて、次はこの人、一航戦の歌う方、加賀さんです!もちろん歌うのは『加賀岬』です!」
お、確かこの次が俺の番だったな。なら、
(ジャックの奴、やっぱアレをやるつもりだな…)
「この手に寄せる〜♪」
演歌か、でも
「女心よね〜♪」
「加賀さん、いいですよ!」
「よっ!一航戦!」
「ーー誇りよ〜加賀〜岬〜♪」
パチパチパチパチ‼︎
歓声と拍手が湧き立つ中、俺は歌う準備を進めた。今ので
「さぁーて、次は何と、諸星さんです!歌うのは…え?『前の人と同じで』?」
途端に会場がざわめき始めた。まぁそうだろうね。
「えっと、諸星さん?これはどういう事で?」
「文字通り、先ほどの曲を歌います」
「つまり、歌唱力対決と?」
「まぁそんな感じですね」
「おぉ!これはおもしろくなりました!では諸星さんで『加賀岬』です、どうぞ!」
対決ってか、本当に
※蓮也サイド
あーあ、やっぱみんな唖然としてるよ。だってそうだもん。
今のジャックは
声帯模写っていうんだっけか?あいつそれがかなり上手いからな、あーやだやだ。他人の声なんか真似て何が面白いんだか。
「今ー夜の勝負は〜♪」
「あ、あの、諸星さん。疑ってる訳ではないのですが、アカペラで歌ってもらえませんか?」
だよね、そう思うもん。僕も始めそう思ったし。
「わかりました、んっん…引くに引けない〜♪」
「おォォォォ‼︎」
みーんなビックリしてらぁ。本当、モノマネの何が面白いんだかねぇ。別にウォースパイトまで感心してるから嫉妬してるんじゃない、単にモノマネってのが好きじゃないんだ。僕は真似するより真似される側の人間だからね。
「加賀〜岬〜♪」
パチパチパチパチパチパチ‼︎
「いやぁー最高でした!諸星さん、そっくりというか、そのものでしたね」
「はい、一回聞けば誰の声でもできますよ」(青葉ボイス)
「おぉ!青葉そっくりです!ありがとうございました!」
※通常視点
「諸星さんすご〜い!」
「どうやってそんな声出せたの?」
「中学くらいにモノマネが上手いって言われてね、その後滅茶苦茶練習したらこうなったんだ」
「へぇ〜」
いや〜久しぶりに使ったなこの特技。結構ウケがいいんだよね。それはそうと、次は誰…響ちゃんか。何歌うんだろ……待て、このイントロは…!
「ま〜るで〜透明に〜なった〜♪」
仮面ライダー響鬼の『少年よ』じゃん‼︎いや、確かに同じ名前だけどさ…にしても上手いな。
蓮也の入れ知恵かと思ったが、蓮也も驚いてるあたり、違うみたい。
「相変わらず響の歌は上手いわね〜」
「え?暁ちゃん、響ちゃんっていつもこれ歌ってるの?」
「そうよ。ずっと前に夕張さんから借りたDVDで流れたの聞いてから気に入ったみたいで以来ずっと歌ってるの」
へぇ〜そうなんだ。
「あ、ジャック。そろそろ僕歌うんだけど、この箱を執務室に置いてきてくれないか?」
「ん?別にいいけど」
箱を受け取ったが、何が入ったんだ?
「君〜の響鬼ぃ〜♪」
パチパチパチパチ!
「響ちゃん、ありがとうございました!では次は司令官が歌います!」
青葉ちゃんの声を聴きながら俺は鎮守府まで走っていった。そうしてる間にイントロが流れてきた。
ギューン‼︎ デレレレレレレ…
これは…あぁ、カブトのあの曲か。そう思った矢先だった。
カチッ、とスイッチの入る音が箱から聞こえ、時計を刻みような音が聞こえだした。
…ん?待て⁉︎この曲とこの箱の音ってまさか⁉︎
ヤバイと感じた俺は箱を投げようとするが、マズイ、間に合わないと思った時、爆発音がなった。
「うわぁぁぁぁ‼︎」
「ウンメイノーGATE問いかけている〜♪」
…あれ、爆死してない?よく見ると箱から『掛かったな阿保が‼︎』と書いた紙が飛び出していた。あの野郎羽目やがったな…!
「…走れLord The Speed‼︎」
パチパチパチパチ!
「司令官、中々カッコいい歌、ありがとうございました!」
「蓮也てめぇ!よくも騙したな⁉︎」
ステージから降りた蓮也に向かい俺はもう抗議した。
「考えろよ、僕がお前を爆殺するわけないだろ?死体の処理メンドいし」
「めんどくさくなかったら殺してたって事か⁉︎」
「さぁーね?」
その後も盛り上がり、八人はもちろん、その場にいた全員が花見を楽しむ事ができた。何人かが蓮也に酒を勧めたが、あいつはことごとく回避していった。いっそ呑まれてしまえと考えたが、ウォースパイトさんや青葉ちゃんの手前、
でもいつかは見ると思うんだよなぁ、酒に酔った蓮也。そうなった時の周りの反応が気になるな。
士に新たな特技を披露させました。
ちなみに、やけに蓮也が提督として優遇されてるなとお思いですが、のちに説明するつもりです。
ではまた次回まで。