ーーさて、明日はホワイトデーだが、もちろんお返しの方はきちんと用意している。無難にクッキーにしてあるが、普通のクッキーでは物足りないので、ちょっと珍しいものにしてある。
ズバリ、キャラクッキーである。クリアファイルとかで型紙を作り、それを生地に当ててココアパウダーなどをかけて焼き上げるものだが、何のキャラにするかと言うと、彼女達にしている。
実を言うと、俺は絵が上手い。それも幾つか賞を取るくらいである。蓮也に勝てる数少ない要素の一つだ。
何日か前から彼女達の絵をクリアファイルに描き、それを切り取ったりして、時間を見つけては厨房を借りて、妖精さん達に協力してもらいながら焼いていっていた。無論色にもこだわりを入れており、ココアパウダーも黒っぽいものから茶色いものを用意してある。他にも、野菜パウダーや食紅などを用いて再現している。なるべく着色料とかは使いたくなかったが、流石に青色は使わざるを得なかったな。生地の関係上、味は普通だが、その代わりインパクトはあるだろう。
ウォースパイトさんのも用意してあるので、それを含めてあと十人分、焼くとするか。
みんな喜んでくれるといいな。それに、お返しのクオリティでもあいつには負けたくねぇし。
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※蓮也side
さ〜て、とっとと残りのクッキー焼き上げるとするかねぇ〜。市販のもの渡されたからって言って、僕は市販のものを渡したりはしない。むしろ市販のもの渡した事を後悔させてやる。
基本何でもパーペキにこなす僕だが、菓子作り、ひいては料理の点でも僕はかなり上手い。嫌味ったらしく聞こえる?でも事実だから仕方ない。
実際、軍学校時代にルームメイトからかなり重宝されたね。
話は戻るが、既に幾つかは作ってある。シンプルなバタークッキーはもちろん、ビター、ミルク、ホワイトチョコを使ったチョコチャンククッキー、レーズンなどのドライフルーツを入れたクッキー、他にもキャラメルを入れたソフトタイプのクッキーや食感を面白くするためにクルトンや胡麻、チアシードを入れたのもある。
どれもお中元とかで貰えるレベルの出来だからあいつら驚くぞ〜♪ただし、でち公には激苦ゴーヤクッキー、鬼怒には激辛クッキーを渡すつもりだ。流石にあれはまともなお返ししたくねぇ。
さて、今から作るのは多分今後一生作ることのないものだろう。ーー紅茶クッキーだ。
わざわざ茶葉を仕入れてきたからにはちゃんと作らないと。だが味見は妖精さん達に任せよう僕が食うのは論外だ。
さーて、ガスマスクと手袋して、始めるか。
「あの、提督?重装備過ぎませんか?」
「妖精さん、誰だって絶対素手で触れたり嗅いだりたくないものがあるだろう?僕にとって茶葉がそれだ。わかるかい?」
「わ、わかりました…」
じゃ、気を取り直して始めますか。
主人公の絵の才能、いつか出そうと考えてたらここに落ち着きました。
さて、ホワイトデーでの彼女達の反応はいかに?
ではまた次回まで。