毒舌提督の所為で相談室は暇無しです   作:NTK

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お待たせしました、ウォースパイトさんの着任回です。
なお、『』内は英語と考えてください。
いかんせん、英語力がないですので。


第十話 ちょっとした大事件

「もう少しでこの海域は攻略か。ま、僕が指揮してるから当然だけどね〜♪」

 

「で?わざわざ俺を呼び出したのは自慢する為じゃねぇだろうなぁ?」

 

俺がイライラしながら問いかけると、蓮也は持ってた報告書を机に置いた。

バレンタインの少し前から蓮也は大本営から発せられた光作戦、だったかな?を遂行中にあった。

ただ、前段作戦の場所が日本近海の舞鶴湾あたりと聞いて

 

「あんな近場まで攻め込まれるなんて、舞鶴と呉と佐世保は何やってんの?バカじゃねぇの⁉︎」

 

とかボヤいてたが。

その前にも本土空襲されそうになったって聞くし、本当大丈夫か?

現在はトラック泊地に作戦を進めてるらしく、移動が楽だと言ってたよ。

ちなみにだが、俺達がいる場所はショートランド泊地って場所だ。初め船でここまでくるのは怖かったな〜。いつ深海棲艦が来るんじゃないか内心穏やかじゃなかったよ。飛行機だと敵の戦闘機が来た時対応できないから船でって事だったけど、寿命が縮むかと思った。

 

話は戻るが別の報告書を出した。

 

「これ、この前受け取ったんだけど、ようやくウォースパイトがこっちに着任するみたいなんだ」

 

「へぇ、そりゃ良かったじゃんか」

 

「良かねえよ!ったく、半年近くも人を待たせやがって‼︎」

 

「はいはい、それで、それが俺に何の関係がある?」

 

「そいつが来るのが今日来る。ちなみにあと一時間後だ。ジャック、出迎えてこい」

 

なるほど、要するにの紅茶の国(イギリス)の艦娘だから顔会わせたくないから俺に出迎えをさせるって訳か。

 

「わかった。けど、国籍で差別するのはよくねぇぞ?」

 

「別に国籍で差別してない、半年近くも人待たせたから機嫌悪いだけだ。たまたまそれがイギリス艦だっただけ」

 

「へいへい」

 

向こうが来るまでの間流石にずっと港にいるのは辛いので少し歴史でのウォースパイトについて調べる事にした。

 

〜五十分後〜

 

なるほどね〜だいたいわかった。とりあえずザラさんとはあまり合わせない方がいいかな。あと、心配なのはドイツ組だけど、アイオワさんの事もあるから、平気だろう。これって、俺じゃなくて蓮也が心配するところじゃね?

…ってもうこんな時間じゃん‼︎早く行かないと!

 

港に着くと、輸送船がそこまで見えていた。やがて一人の女性が降りて来た。たぶん、彼女がウォースパイトさんだろう。

……うわ、すっごい美人。クイーンエリザベス級だからなのだろうか、どこかの王妃様のような気品のある人だ。

 

すると、ウォースパイトさんは俺の姿を確認すると近寄って来た。

 

『初めまして、提督。クイーンエリザベス級二番艦ウォースパイト、遅れながら着任いたしました』

 

「……はい?」

 

急に英会話のCDでも流したんじゃないかってくらい流暢な英語が聞こえてきたんだけど⁉︎ある程度は予想してたけど、これ程とは…流石イギリスの艦娘だ。

とりあえず言ってる事はわかったので一つ訂正させてもらおうかな。もちろん、英語でだ。

 

『あー、俺は提督じゃないんですね。ここのカウンセラーをしている諸星士と言います。よろしくお願いします』

 

『えっ、そうなんですか⁉︎これは失礼しました。出迎えてくれたのでてっきり…でも、よく考えれば軍服を着ていない時点で気づくべきでした』

 

本当、こういうのはあいつの仕事だってのに、押し付けやがって…。

 

『では、提督のもとに案内しますので、ついて来てください』

 

「ええ、お願いするわ」

 

…あれ?今日本語で話さなかった?

 

----------------

 

「なるほど、俺が英語で対応したからそのまま話してたんですね」

 

「ええ。それにしても、諸星さんは随分英語が上手でしたね」

 

「まあ、色々勉強しましたから」

 

会話をしながら歩いていくうちに執務室の前までたどり着いた。

蓮也に余計な面倒事起こさないよう祈りながら俺は扉をノックする。

 

「蓮也、連れて来たぞ」

 

「わかった。入っていいよ」

 

許可を得られたので俺とウォースパイトさんは中に入る。中には蓮也の他に、今日の秘書艦なのか、金剛さんがいた。どうりでやけに機嫌悪い訳だ。

 

「初めまして、アドミラル。クイーンエリザベス級二番艦ウォースパイト、ただいま着任いたしましました」

 

「……あっああ。初めましてウォースパイト。僕は妃蓮也だ。よろしく」

 

蓮也は手袋を取って手を差し出す。それに習ってウォースパイトさんも手を出し握手した。

何故か返事に一拍遅れてたが、聞いてなかったのか?

 

「すみません、着任が遅れてしまいまして」

 

「いえ、気にしないでください。そちらにも、何らかの事情があったのでしょう」

 

……え?今、あいつ何つった?

 

気 に し な い で く だ さ い?

 

さっきまであんなにぶつくさ文句垂れてたのに、何だこの変わりようは⁉︎しかも、敬語まで使ったぞ⁉︎例え年上だろうと立場がこちらより下なら絶対敬語を使わないあいつが⁉︎

 

「では、僕が鎮守府内を案内しましょう」

 

「え?でもアドミラル、お仕事の方は?」

 

「あ、これは随分先のやつなんで問題ないです。では行きましょう。金剛、留守を頼む」

 

「了解デース!」

 

まただ。前の時は俺に案内させたのに、今回はあいつ自らが案内した。一体、あいつに何が起きたんだ⁉︎

 

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※三人称視点

 

「ここが食堂です」

 

「結構広いのですね」

 

「まぁ、大所帯ですから。次の所へ行きましょう」

 

そう言い蓮也とウォースパイトが食堂から出て行こうとすると、偶然ザラに出くわした。

 

「あ、提督…ひっ⁉︎」

 

ザラはウォースパイトの顔を見ると少し顔を青くした。それがどんな意味かはウォースパイト本人もわかっていたので、彼女は少し表情を曇らせた。

 

「あっ…その、失礼します…」

 

「ちょっと待て。何故今入ったばっかで出て行こうとする?」

 

「え?いや、その…」

 

たじろくザラであったが、勘のいい蓮也には何故出て行こうとしたのかがわかっていた。

 

「もしかして、昔の事を思い出したから彼女から逃げようとしているんじゃないだろうな?」

 

「いえ、そういう訳では…」

 

「そういう訳じゃねぇなら、何で目を合わせない?」

 

「アドミラル、別に私は…」

 

「貴女が良くてもこちらが良くないんです」

 

蓮也は深く息を吐くとザラを真っ直ぐ見つめた。

 

「いいかザラ、確かにお前は昔彼女に沈められた。だがな、それは戦争だからであって、別にお前個人に彼女が恨みを持っていた訳じゃないだろ?それに、昔がそうだったからと言って、今も彼女かお前を沈めようとしてるとは限らないだろ?むしろ逆にお前と仲良くなりたいのかもしれないだろ?なのにお前は初めから彼女に恐怖心を持って彼女を拒絶しようとした。これから仲間になるってのにそんな態度取っちゃ失礼だ。それはわかるよな?」

 

「は、はい…」

 

「それに、作戦の都合上お前と彼女が組むかもしれない時にそんな気持ちだと、ちゃんとした行動が取れずに艦隊を危険に晒す事になりかねない。過去は過去、今は今で割り切ってくれ」

 

「はい…その、ごめんなさい…」

 

「謝るのは僕じゃないだろ?」

 

蓮也がそう注意すると、ザラはウォースパイトの方を向き、深くお辞儀した。

 

「ごめんなさいウォースパイトさん。あなたの気持ちを考えずに…」

 

「別にいいわよ。あんな事があったのだから…。これから一緒に頑張りましょう」

 

ウォースパイトが彼女の行動を許すと、ザラは顔を綻ばせた。

 

「あの、もし良ければ後で一緒にお茶でもしませんか?」

 

「ええ、いいわよ。アドミラルもどう?」

 

「僕はコーヒー党だけど良いのかい?」

 

「別にいいですよ、こちらでコーヒーを用意しますので」

 

「……!そう、ならご一緒しよう」

 

この時、一瞬だけ蓮也の表情が変わったのだが、それを知る者は本人以外には誰も気づかなかった。

 

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※通常視点

 

あの後全員でウォースパイトさんの歓迎を行い、俺はいつとのように相談室で一息ついている。見た感じ、ザラさんやドイツ艦達とはうまくいってるみたいだし、問題ないだろう。

でも、あの時のあいつの行動は一体何だったんだ?

考え事をしてると、扉をノックする音が聞こえてきた。

 

「はい、どうぞ」

 

「失礼するわ」

 

そう言い入ってきたのはウォースパイトさんだった。やはり着任したばかりだから、不安とかあるのかな?

 

「どうかしましたか?ここに来たばかりでやはり不安があるとかですか?」

 

「いえ、それは大丈夫なんです。結構ちゃんとした鎮守府ですし、みんないい人そうですし、ドイツの人達とも打ち解けましたし。ただ、アドミラルの事なんですが…」

 

「はぁ…またあいつか。何か言われたんですか?」

 

「また、とは?」

 

「え?あいつに毒吐かれたとかじゃないんですか?」

 

「いえ、実は少し前に食堂で…」

 

俺はウォースパイトさんから食堂での出来事を聞いた。

…へえ、あいつにしては良い事言うじゃないか。

 

「それで、アドミラルの言葉を聞いて…その、とても嬉しかったんです…。まだ若いのにああいう事言えるなんて、素敵だなって…」

 

ウォースパイトさん、若干頰を赤くしてるけど…あれ?これってデジャブが…

 

「ここって()()()()悩みも聞いてくれるのでしょう?だからここに…」

 

「ええっと、もしかして蓮也の事を…?」

 

「はい。あと、アドミラルと諸星さんは従兄弟と聞きましたので、さし当りがなければアドミラルについて教えてもらえませんか?」

 

マジかー…こんな事ってあるのか…。とりあえず俺は蓮也についてある程度の事は教えた。前に青葉ちゃんにも似たような事言われたから、その辺は問題ない。

ウォースパイトさんはあいつが毒舌なのに疑問を少し抱いてたが、そのままお礼を言って出て行った。

 

それにしても、こんな事起きるなんてな…これが提督の運命(さだめ)なのか?

 

「ジャック、ちょっといいか?」

 

とか思ってたら当の本人が来やがった。

 

「何の用だ?」

 

「ウォースパイトの事なんだが…彼女の事、どう思う?」

 

え、マジ?なんてタイムリーな…!

 

「どうって…普通に良い人だよ。さっきここに来た時にドイツの人達と打ち解けたとか言ってたし」

 

「ここに?ふーん…」

 

急に黙り込んだ蓮也だが、正直何をしに来たかわからない。

 

「あの、蓮也?お前今日おかしいぞ?どうしたんだ?」

 

「…ジャック、いや、士。ここからは僕の友人として、従兄弟として聞いてくれるか?」

 

「…何だ?」

 

俺の事を名前呼びするなんて、よっぽどの事だろう。ここは真面目に聞くとするか。

 

「実を言うと僕は…

 

 

 

 

 

 

彼女に一目惚れしたんだ」

 

 

「……は?

 

「いやね、初め見た時にこう…全身に電流が走ったような感覚がしたんだ。スタイルや態度も申し分ないし、何より、僕がコーヒー党だと言っても理解してくれた。いや〜会うまで彼女を軽蔑してた自分を殴りたくなったね。あ、もちろんこの事は彼女には内密にしてくれ。恋心を持ったのは初めての事だから、アテにしてないけどお前にも協力して欲しい…って、聞いてんのか?」

 

そうか…そういうことだったのか…。いやはや、こいつが恋するとは衝撃的だ。しかも、両想いとは。(クイーン)同士気が合ったのか?

いや、ちょっと待て⁉︎確か、青葉ちゃんが蓮也を好きで、蓮也はウォースパイトさんが好き。でもって、ウォースパイトさんも蓮也の事が好きと。

 

……これって所謂、シュラバヤ沖海戦ってやつですか⁉︎

一体、どうなるんだこれ⁉︎




動画であのマップ見た時は吹きましたねw
ホント、あの世界大丈夫ですかね。
さて、三人の恋の行方はどうなるのか、楽しみにしてください。
士にも好きな人くらい出しましょうかね。一応主人公ですし。
ではまた次回まで。

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