復讐者慟哭。幕上がるは復讐歌劇   作:鎌鼬

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禍の団〜報告会〜

 

 

数日後、イザイヤが完全復活した頃を見計らって禍の団(カオス・ブリゲード)の前回の宣戦布告の報告会を行う事になった。亜空間に作られた古城の一室で集まるのは英雄派、魔王派、復讐派の三つの派閥。

 

 

英雄派からは曹操、ヘラクレスの魂を受け継いだというヘラクレス、ジャンヌダルクの正の魂を受け継いだジャンヌ、シグルドの末裔というジークフリート。魔王派からはカテレアとクルゼレイにその部下の悪魔たち。復讐派からは俺を含めた全員が参加する事になった。

 

 

「……凄いな、復讐派が全員参加するだなんて。いつもなら何かと断られてたけど」

 

「この間怒られてもっと頼れと言われたからな、全員引っ張ってきた。あ、この白いのは白音って言って黒歌の妹だから手を出すなよ?手を出そうとした下半身(ゼウス)は俺たちにリンチされた挙句、ヘラに折檻されてたから」

 

「ギリシャの主神は相も変わらず下半身で物事を考えるのですね……」

 

「……いや、神話見てみると大抵の神は下半身に忠実だがな」

 

「全部下半身(ゼウス)が悪い、異論はあるか?」

 

「「「異論無し」」」

 

「……こんなので良いんですか?」

 

「いつもの事だから心配しなさんな。この間なんぞ唐突に『ウホッ♂漢だらけの脱衣麻雀大会〜ボロンもあるよ〜』が開かれたからのぅ」

 

「あぁあれね……あれは嫌な出来事だったよ……」

 

「まさかイザイヤの卓で他の3人が通しアリアリで囲んで来ていたのもね」

 

「確か最終的には全裸靴下にされたんだっけ?」

 

「儂も狙われたからな……全力でイカサマして逃げた。よもやレージと同じ年頃の奴から性的な目で見られることになるとはな……」

 

「なんでそんなに積極的に心に傷を付けていくんですか?」

 

 

あー脱衣麻雀大会か。クルゼレイが麻雀に嵌って、英雄派のホモ集団から麻雀しようぜ、点棒お前の服な!!ってのが発端で始まったんだっけか。俺とクリスとアスラはイカサマしまくって逃げたけどイザイヤは出来ないで脱がされたからな……何故か靴下だけ穿かされて。

 

 

ちなみにその写真は英雄派の婦女子ホモ集団、カテレア、ギリシャ神話の皆様に良いお値段で売れました。

 

 

「さて、そろそろ始めるか」

 

 

いつまでも駄弁っても仕方ないので曹操が司会となって報告会は始められた。

 

 

「英雄派からは須弥山の帝釈天と契約を結んできた。期限は三大勢力が人間界から居なくなるまで。内容としては禍の団(カオス・ブリゲード)への敵対行動はせずにある程度の物資などの提供ってところだな。現在は北欧神話の方も交渉中だが主神であるオーディンからの返事は良くない。どうやら三大勢力の知識を狙っているらしい」

 

「帝釈天と組めたのは大きいな。あぁ、我ら魔王派は目的が果たされたなら人間界への干渉は最低限にするつもりだ。絶対に悪魔に転生なんぞしないからな」

 

「オーディンですか……流石は知識欲を満たす為に片目を泉に投げ込んだキチガイですね。自分の領地を荒らしている奴らの知識を欲しがるとは」

 

「おうオーディン滅ぼそうぜ?この間ギリシャと北欧の定例会でアテナと一緒に行ったらアテナがセクハラされたから。メル友のロッキはセクハラ被害の戦乙女(ヴァルキリー)たちと結託して黄昏る準備してるってさ」

 

「内部情報教えてくれるのは有難いが抑えてくれないか?不要に敵を増やす事をしなくてま良いだろ?」

 

「ちぇっ」

 

 

滅ぼさないのかよ……ロッキに誘ってくれて悪いけど参加出来ないって伝えておくか。

 

 

人間だけでなく神話勢力も三大勢力の被害にあっているのだが人間界への表立った介入はしていない。多分、全神話勢力の主神たちが協力したら人間界にいる悪魔天使堕天使を一掃した上で天界と冥界に攻め入って根絶やしに出来るほどの力を持っているのにだ。

 

 

理由としては、神話勢力は人間界への干渉を辞めたからだ。神代の時代には神は人間を支配していたが人間の成長を見て『あぁ、人の子に我らの支配は必要無いのだな』と思って人間の支配を辞めて、見守る事だけにしたらしい。実際に、今の時代になるまで人間は神の手を借りずともここまで技術を発展させて繁栄しているのだから神話勢力の判断は間違ってなかったのだろう。

 

 

三大勢力が人間界への表立った干渉を始めたのはその頃からだ。神話勢力が人間への干渉を辞めた頃から神話勢力にバレ無いように人間界に侵食。気がつけば悪魔は人間界の土地を自分の領土だと言い張り、天使は死んだ神を唯一神だと崇めて他の神を邪神だと辱め、堕天使は聖書の神がばら撒いた神器(セイグリッド・ギア)を求めて人間を誘拐したり殺したりしている。

 

 

もう人の世に深く根付いてしまった為に神話勢力は手を出す事が出来ない。だから復讐派(おれたち)英雄派(そうそうたち)に手を貸す事で三大勢力の排除を目論んでいるらしい。

 

 

この間の神話勢力の定例会で、酔っ払った天照様と月読様とハーデスからそう聞いた。

 

 

「次は我ら魔王派ですね。目的であった宣戦布告は果たしましたがニルレムの魔術師たちはほとんどが打ち取られてしまいました。まだ闘志がある者は生きている内の2割に届くかどうかという所です。その者たちは魔王派(われら)に組み込む事にし、戦えない者は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の解析、並びに転生悪魔を元の種族に戻す研究に回ってもらう事にしました」

 

「レヴィアタン、アスモデウスの方針はそれだがシャルバ・ベルゼブブの方については不明だ。何やら企んでいるらしく、ここの所拠点にも顔を出していない。もしかしたらそちらに手を出すかもしれないから注意してくれ」

 

 

悪魔の問題は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が主になっている。他種族を悪魔に転生させるそれは、現魔王のアジュカ・ベルゼブブが開発した物で、正体不明(ブラックボックス)な部分が多い。一体どんな術式を使って悪魔に転生させるのかなど全く分かっていないのだ。

 

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を否定したい魔王派の2人は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の解析と転生悪魔を元の種族に戻す研究をしているのだが全く進展はしていないそうだ。復讐派と英雄派(おれたち)からしても悪魔の駒(イーヴィル・ピース)関連の問題は解決したいので人間に害を成すはぐれ悪魔や人間界にいる悪魔の持っていた悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を研究材料として渡している。

 

 

「シャルバか……確か、あいつってオーフィスから【蛇】を強請ってたよな?」

 

「うん、しつこいから1匹だけ渡した」

 

 

【蛇】は言ってしまえばオーフィスの一部。たった一部と思うかもしれないが無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)と言われるオーフィスの一部なだけあって体内に入れればドーピングのように強化する事ができる。

 

 

強くなれると言われれば聞こえは良いのだがその強化はあまりにも急激すぎるために誰も扱い切れないのだ。試しに一度だけ【蛇】を使った事があったがたった一歩動くだけで地面が砕け、物に触れば粉砕してしまうのでそれ以降使うのを辞めた。英雄派や魔王派の2人もそうらしく、一度使ってからは使うことを拒んでいる。オーフィスからしてみても自分の一部を引き千切るようなものだったらしくて【蛇】を渡さなくていいと知ると何処か機嫌良さそうにお菓子をモキュモキュしていた。

 

 

その【蛇】を魔王派でも過激なシャルバが持っている。それだけで警戒するに値する情報だった。予め教えられてなかったら不意打ちされていたかもしれない。

 

 

「んじゃ、トリは復讐派(おれら)だな。この間の会談で宣戦布告を済ませた。んでついでにサーゼクス・ルシファーの女王(クイーン)のグレイフィア・ルキフグスを殺してサーゼクス・ルシファーの片腕を切り落とした。その時に悪魔側に俺たちが使っている星辰光(アステリズム)を使っている集団がいた。出力自体は俺たちよりも低いが気を付けてくれ」

 

 

この間の襲撃の時にいたサーゼクスとアジュカが真似したであろう星辰光(アステリズム)は出力こそは低い。だが備え無しに当たれば間違いなく混乱するので先に注意しておく事にした。

 

 

「それと、リアス・グレモリーとその眷属たちについては俺たちに任せろ。やむ終えない状況以外で手を出すなよ?」

 

 

そして俺からしてみれば本題、リアス・グレモリーとその眷属たちに手を出さないように釘を刺しておく。

 

 

リアス・グレモリーとサーゼクスは兄妹だが、ただ血が繋がっているだけでそこまで利用価値は無い。だが眷属にいる真輝と赤龍帝だけは別だ。

 

 

悪魔に教育されて、捻じ曲がった真実が事実として認識されて俺のことを恨んでいるだろう真輝を、俺は殺したく無い。叶うのなら人間に戻して幸せになって欲しいと願っている。

 

 

赤龍帝は何故星辰光(アステリズム)の、それも星殺しの能力が使えたか分からないが絶対に許さない。父さんと母さんが残した星の力を関係の無い部外者が、俺たち兄妹以外が使う事が不愉快極まりない。

 

 

絶対にーーー殺す。

 

 

俺の心情を察したのか何か思うところがあるだろうが曹操とカテレアとクルゼレイは何も言わずに頷いてくれた。

 

 

「ありがとうな……そういや、白龍皇は?来ていないみたいだが」

 

「彼らは白龍皇ヴァーリを筆頭にした【ヴァーリチーム】を名乗ってるよ。どうもこの間の襲撃でヴァーリは重傷を負ったらしくて今回の参加は断念したらしい」

 

「だとしても代理の1人や2人を送るのは当たり前だろうが……」

 

「所詮は強くなりたいだけの集まりですからそこまで頭が回らないのでしょう」

 

「下手するとこちらに噛み付いてくるかもしれんぞ?実際に襲撃の時にアスラが噛み付かれて、撃退したってさ。重傷はその時のだろ」

 

「まったく歯応えが無かったぜ。ありゃあ本当に神滅具(ロンギヌス)なのか?」

 

「アスラの能力と相性が悪かっただけじゃ無いのか?白龍皇の能力は触らないと使えないって聞くし」

 

 

接触することで発動する能力なら触った時点で必殺となるアスラとの相性は最悪だ。魔力光力や星辰光(アステリズム)を介した攻撃なら兎も角、物理的にアスラを倒すことは不可能に近い。油断していたとか経験値に差があり過ぎたとかあるかましれなあが、一番の理由はそれだろうな。

 

 

「ふぅ……まぁ、こんなところか。それじゃあ引き続いてーーー」

 

 

ヘラクレスとジークフリートが曹操の後ろにホワイトボードを持ってくる。そこにはデカデカと、『夏休み企画〜一夏の思い出〜』と書かれていた。

 

 

「夏に行う企画の話し合いに移る!!全員楽しみたければ頭からアイディアを捻り出せ!!」

 

「「「「「「オウッ!!!」」」」」」

 

「……えぇ?」

 

 

数週間後に迫った夏を楽しく乗り切る為の話し合いが始まった……

 

 

 





英雄派、須弥山の帝釈天との連携をとる。そして北欧神話ではロッキ主催の黄昏る計画が着々と進められています。

カテレアとクルゼレイの派閥は魔王派としました。旧とは呼ばない、ただし禍の団(カオス・ブリゲード)の中でだけ。

夏休み……それは夏を乗り切るために必要不可欠な物。いい歳した奴らが全力で夏休みを満喫しようとしているらしい。



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