復讐者慟哭。幕上がるは復讐歌劇   作:鎌鼬

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復讐者たちのその後

 

 

「ただいーーー」

 

「どうしたにゃーーー」

 

「おうお帰り大将、黒歌の嬢ちゃん!!」

 

「やめて、見るな。見るな見るな、そんな目で僕をーーー!!」

 

「ふむ……意外といけてるんじゃないかな?これ」

 

 

伊達のオッサンを慰めて帰ってきた俺たちが目にした物はーーーミニスカメイド服を着て足を組んで楽しそうに笑っているアスラ、ミニスカメイド服を着て部屋の隅で蹲りながら顔を隠しているイザイヤ、ミニスカメイド服を着て姿見の前でポーズを決めている下半身(ゼウス)の姿だった……何だこの地獄絵図。

 

 

「む……あぁ、帰って来たのか」

 

 

そんな中でソファーに横になっていたクリスが起き上がった。眠たそうにしているから寝起きで睡眠時間が短かったらしい。ちなみにクリスの格好はカッターシャツとズボンだった。良かった……もしこれでクリスまでミニスカメイド服を着てたら発狂しかねなかった……

 

 

「クリス、この地獄絵図の説明プリーズ」

 

「あぁ……確か帰って来てからアスラがトランプしようぜとか言い出して……下半身(ゼウス)が乱入して負けたら服を一枚ずつ脱いでメイド服に着替えようぜとか言い出して……儂は着たく無かったからイカサマして……」

 

「ちょ!?クリス君!!君イカサマしてたの!?」

 

「バレなかったらイカサマでは無い……」

 

 

あぁ……地獄絵図になった理由が分かった……にしても酷いなこれ。イザイヤは中性的な顔だから女物の格好でも似合うと言えば似合う。でもアスラと下半身(ゼウス)は完全に男の顔だからな……これでクリスまでミニスカメイド服を着てたら……

 

 

「……何よこの地獄絵図は」

 

「む……ジャンヌオルタか……起きたのか?」

 

「なんか騒がしくて目が覚めたのよ。ところでレージ、貴方はどこに遊びに行ってたのかしら?私の番を忘れたというの?」

 

 

そういうジャンヌオルタは不機嫌そうだ。彼女がいう私の番というのは……要するに夜のお相手と言うことだ。ちなみに初めてというわけではなく、俺が14の時にジャンヌオルタに薬盛られて襲われた。

 

 

「総理大臣に事後報告に行って、そこで総理が意外とストレス溜め込んでたから愚痴に付き合ってたんだよ」

 

「ふーん……じゃあどうしてそこの黒猫を連れて行ったのかしら?そこは私を連れて行くところでしょう」

 

「だってジャンヌオルタ、昨日は眠いって先に帰ったじゃんかよ……」

 

「にゃにゃ〜ん?もしかしてジャンヌちゃんは黒歌さんに嫉妬してるのかにゃ〜?」

 

「ハッ、語尾ににゃあにゃあ付けて話す猫被りの猫が何かほざいてるわねぇ。悪いけど人の言葉を話してくれないかしら?私、猫の言葉は分からないの」

 

「……」

 

「……」

 

「「ちょっと顔貸せ!!」」

 

 

あぁ……ジャンヌオルタと黒歌がお互いの胸ぐらを掴み合いながら部屋から出て行った。これ、しばらく時間掛かるな。

 

 

「今の内にメシ作ってしまうか」

 

 

冷蔵庫を開いて中を見れば卵とハムと野菜が数種類。確か昨日焼いたパンが残ってたはずだからそれとハムエッグにサラダで良いか。焼くだけ洗って千切るだけの料理だが無いよりマシだろう。

 

 

「おはよう……何だこの地獄絵図は」

 

「あぁ、おはよう」

 

 

出て行ったジャンヌオルタと黒歌と入れ違いにやって来たのはアテナだった。15年前から狙われていたアテナと俺の関係だが……うん、アテナの少し膨らんだお腹を見て察して欲しい。

 

 

「レージ、朝餉はまだか?」

 

「今作ってるから少し待ってくれ」

 

「……ふふっ、こうしているとテレビで見た夫婦生活の様だな」

 

「男女の配置が逆だけどな〜」

 

 

精通が来たら襲うと公言していた通りに俺は精通したその日のうちにアテナに襲われ、なんか釈然としなかったので襲い返して、アテナと結婚していた……うん、よく分からん。アテナに襲われた次の日にはギリシャ神話総出で祝福されたし、ハーデスには良くアテナを娶ってくれたと泣きつかれたし……

 

 

でも、まぁアテナの事は好きだ。多分きっと、俺がアテナと出会った日からずっと惚れてると思う。所謂一目惚れって奴だろうな。

 

 

で、精通来てからずっとアテナとヤることヤッてたんだが最近になってようやく当たったらしく、めでたくご懐妊となった。一児の父親になったと感慨深い物もあるが……俺なんかが親で本当に良いのかと思う時がある。それをアテナに相談したら、アテナも自分が本当に親で良いのかと悩んでいると告げられて、可笑しくなって一緒に笑ってしまった。不安に思っている者同士一緒に頑張っていこうという事で話が纏まったのだが。

 

 

「っと、出来たな。おい下半身(ゼウス)、飯食いたかったらジャンヌオルタと黒歌呼んでこいよ」

 

「えぇ……でも、今行ったら間違いなく巻き込まれるじゃん?行きたく無いな〜」

 

「おう、分かってる……呼んでこい」

 

「……チクショォォォォォォォ!!レージなんて嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

外からドカンドカン聞こえていたが下半身(ゼウス)が飛び出してからしばらくして音が止み、ボロボロになったジャンヌオルタと黒歌が戻ってきた……代わりに下半身(ゼウス)が戻って来てないが……

 

 

「おい、先に風呂入ってこいよ」

 

「分かってます……あぁ、昨日すっぽかされた分今日は1日付き合ってもらいますから覚悟しなさいね?」

 

「ちょっと待った、今日は私の番なんだけど?」

 

「チッ……では半々でどうかしら?」

 

「纏めてってのも……」

 

「おっと?俺がいないところで俺の扱いについて話さないで欲しいな」

 

「ハハッ、仲が良さそうで何よりだ」

 

「だまらっしゃいすべての元凶……ッ!!」

 

 

ぶっちゃけてしまおう、俺にはアテナという妻がいる。でもジャンヌオルタや黒歌とも男女の関係を持っている。不倫?あぁ、俺もそう思う。でもね、これはアテナが言い出した事なんだ。

 

 

『正妻は妾だが愛人は認めるぞ?あぁ、ただし妾が認めた者だけだがな』

 

 

そんな事を言い出して触発されたのはジャンヌオルタと黒歌。何があったかは知らないがアテナから認められて正妻公認の愛人とかいう訳の分からないポジションになっている。ちなみに黒歌にも薬盛られて襲われた。

 

 

「おら、ジャンヌオルタと黒歌が風呂入ってる間に服を着替えてこい。いつまでも視覚的暴力振るってんじゃねぇよ」

 

「着替えたいのは山々なんだがゼウスの持ってきた契約書のせいで今日一日はこの格好で過ごさにゃならんのよ」

 

「お願い、ホント、僕を見ないでーーーッ!!」

 

「イザイヤが不憫だな……」

 

 

アスラは軽い調子で笑いながら言ってるが仮にも主神であるゼウスと交わした契約なのだ。破ったらどんな神罰が降るのか分からない。そもそもトランプの罰ゲームに契約書を持ってくる下半身(ゼウス)の神経が分からない。

 

 

発狂しかけているイザイヤを静かにする為に下半身(ゼウス)のワインセラーから良いのを一本持ってきて、酔い潰す事を決めた。

 

 

 





聖剣騒動の翌日、復讐者たちは大体こんなノリでやらかしている。主犯は主神下半身(ゼウス)

なんとレージアテナと結婚済み+アテナご懐妊。そりゃあ肉食系女神が精通したらって公言してるんだから襲われる、レージの初体験は逆レ。

そしてアテナのせいで正妻公認の愛人とかいう羨まけしからん存在まで出来ている始末。薬盛られて逆レされた。


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