悪夢の一日が終わり、現在カルネ村では戦士長達がいた。
(なんでお父さん達を死に追いやった人が村にいるの?)
戦士長が来たときのアインズの話は全ての村人に聞こえていた。それほど大きな声で憤怒に交じっていた。ネムには難しい事は理解できなかったが、父や母を奪った原因が戦士長とは理解できていた。
「行こう」
アインズ様からお借りした
「ねぇ。アインズ様が仰ってた事は本当なんですか?」
暗い表情で問いかける。それに対して戦士長も辛そうに
「……そうだ」
「…………なら、なんでこの村にいるんですか!お父さんとお母さんを返してよぉ!」
ネムが泣きながら叫ぶ。村人たちは目上の人物に無礼な事を喋っているのを咎めない。全員心の中で同じ事を思っているからだろう……戦士達は辛そうに目を背けていた。戦士長は辛そうの表情をしている。
「……すまない」
謝っているのだろう。でも納得がいかない。家族が奪われたのだから当然だ。
「……でてって。カルネ村から出てって! この村にいないでください……」
村人達も同じような視線を戦士達に向けている。この村から消えてくれと……
「……分かった。お前達、行くぞ」
そして戦士達は村を去った。去る直前に馬の上から頭を下げていた。
(……許さない)
これは全ての村人が感じた事だろう。もし村の救世主であるアインズ様がいなければ自分達も死んでいたのかもしれないのだから……
戦士達が去った後、村人たちは広場に集まっていた。議題はこれからどうするかだ。
「……アインズ様の助けで思ったより死人は少なくなった。しかし村としての機能を維持するのは難しい。移住者を募るべきか?」
村長の発言に
「……いやだ!他の人間なんて信じられない!」
その声が大きく、村人達の総意と言えるだろう。村長とて同じ気持ちだろう。ただ村長という立場から押さえているだけで。
「……村の復興のためにも仕方ないだろう。……それに村を同じように襲われないためにも、人を増やして防衛設備を整えなくては……」
ネムはどうするべきなのだろう。小さいから何もできない。そんな言い訳はしたくない。そして閃いた。そしてすぐにシフと走り出そうとして
「ネム!? どうしたの!」 「すぐに戻ってくるよ! お姉ちゃん!」
急いで家に帰りアインズ様から頂いた笛を持って広場に戻る。
「アインズ様から、身を守るようにってこの笛をもらったんだ!吹いたら小さいモンスターさんが現れて守ってくれるんだって!」
エンリも思い出したのか、「そうだった!」と言っている。村に人達も期待に満ちた目をしている。しかし何人かは「しかしこれ以上恩を受けるのは」と言う。
この言葉に全員が目を伏せる。それほどまでに恩を受けたのだから。しかしそれ以外に方法も無いのも事実である以上吹くしかない。一応頂いたものなのだから。代表して村長がネムに言ってくる。
「……ネム、吹くのをお願いしてもいいかな?何かあれば私が責任を取るから……」
ネムにはよく分からなかったが「うん!」と頷いて笛を吹いた。そして――――
ゴブリン達が召喚されてから3日程経過した。召喚されたゴブリン達はネムに忠誠を誓っていた。現在は村の復興や村人達を鍛えるのに尽力してくれている。村人達も彼らを受け入れ、必死に名前を覚えようとしている。亜人である彼らの顔はなかなか見分けが付かないからだ。
ネムも自分でも役に立てたと思えてとても喜んでいた。ただ悶着が無かった訳ではない。彼らゴブリンはネムの事を「ネムの姐さん!」と呼んだのだ。それに対してネムは「ほえ?私お姉ちゃんじゃなくて妹だよ?」と返事したが彼らが言いたかったのはシフの事らしい。ネムが抱きしめても何の問題もないのを確認したのか。
「驚いた。そいつは、俺たち全員で挑んでも勝てるか分からないですぜ?」
これに村人たち全員が驚いた。ネムも同じだ。とても強そうに見えるゴブリン達よりも強いなんて。ネムが
「アインズ様、ゴブリンさんだけでなくて、シフも残してくれるなんて!」
村人達も喜んでいる。
「……分かりやした。そのシフですかい?俺達と同じでネムの姐さんに命令に従う?って事で納得します。それで俺達は何をすればいいんで?」
ゴブリン達は精力的に働いた。今では完全に村の一員として受け入れられている。共に柵を作る等の共同作業の成果でもあるだろう。ネムは子どもなのでゴブリン達への指示は主に村長が行う事になっている。
現在のネムの仕事は家の手伝いが終わった後は、カルネ村に近づく存在がいないかの警戒だ。ネム一人なら不可能だがシフが一緒なのでできる作業だ。
最近の移動時にはシフに跨っている。シフが速いためネムが付いていけないからだ。何かあれば、村の方へ走りだして、ネムが叫ぶ事になっている。……ゴブリン達は何か言いたそうにしていたが、「村の人たちを助けてあげて!」とお願いすると渋々納得していた。理由を聞くと私を危険に晒すような真似は避けたいらしい。
(でも危険は……向こうから来るんだもん)
今は見回り中だ。3日という短い時間だがとても仲良くなったと思う。
「シフは速いね!」
風が気持ちいい。何だが辛い事も忘れられるほどだ……ネムは最近人前では泣かずにシフと二人きりの時だけ泣いている。姉にも心配させたくないのだ。今は村の危機なのだから。そんな時いつも慰めてくれるのだ。話せはしないが、意思の疎通は完璧だ。
シフの背中に顔を埋める。毛皮が気持ちいい。
そんな風に時間が過ぎていくとシフが何かを感じ取ったように走るのが止まる。ネムが
「どうしたの?」
ネムもシフが見ている方向を見る。ただネムは危険な事は無いと感じていた。もし危険で有れば、シフはすぐに駆けだしただろうから。
そして見えてきた。骸骨だ、ローブを纏った。その姿に
「アインズ様!」
「元気にしていたか?ネム?」
「はい!」
そしてアインズの後ろを見て驚いた。
後ろを見れば綺麗な女性と、石の動像とシフの仲間達がいた。
「綺麗!アインズ様のお嫁さんですか!?」
モモンガは固まってしまった。後ろではユリが少し顔を赤らめている。
(何とか、誤解を解かなくては!)
「……違うぞ。ユリはな……そうだな姪みたいなものだ。それにだネム、私をよく見てごらん?」
その言葉にネムがこちらを凝視している
「私は骸骨だぞ?結婚してる訳ないだろう?」
「そうなんですか?」
ネムが驚いている。そこまで驚くような事だろうか。
「そうなんだよ。それで村長はどこかな?」
その言葉に
「はい!こっちです!」
シフと一緒に村長の方へ案内してくれる。
(本当に仲良くなったな)
モモンガにとっても悪い事ではない。この少女の事は気に入っているのだから……
途中ネムが「アインズ様。ごめんなさい! アインズ様から頂いた笛を使っちゃいました……」と言うと
「別に気にしないぞ?元々ネムにあげたものだからな。……それでゴブリン達はしっかり働いているか?」
「うん!みんな一生懸命に村の人たちと働いてくれています!みんなで一緒に村の周りに柵も作ってるんだよ!」
「ほう。確かに防衛には必要だな。ところでネムは何をしていたのかな?もしかして遊んでたのかな?」
これにネムが少し剝れて
「むぅ~アインズ様違います!シフと一緒に見回りしてるんです!」
「これは失礼したな」
などと話していると村人や村長、ゴブリン達が見えてくる。
こちらに気づいた者がしている作業を中断して頭を下げてくる。それに対して「大事な作業ですから、皆さん続けてくれて構いませんよ」と話すと渋々作業を再開している。
そして村長がこちらに近づいてきて
「ようこそ、お出で下さいました!アインズ様!」
「いえいえ、この間途中で帰ってしまったのが気になりましてね?あの後問題は何も起こらなかったですか?」
それに対して少しネムや村長から気まずい空気が流れる……
(……あの後何があったんだ? 一応危険は去ったと思ったんだが……)
「……アインズ様。実はネムが戦士達を追い出しちゃった……」
村長ではなくネムが話してくる。
「え」
何が起きたのか詳しく聞くと状況は把握できて、「まぁ。仕方ないか」としか浮かばない。
「……彼の責任でもありますし、その事でこの村に不利益が起こる事は無いでしょう……一応高潔な人物なようですし。……その話は止めにしましょう!」
空気を変えるつもりで大きな声を出す。
「今回来たのは、あなた達にこのゴーレムを贈るためです。このゴーレムは命令に従って黙々と作業に勤しみます。この村のために役立ててください」
これに村長達が驚愕する。
「ありがとうございます。しかしこれ以上、ご迷惑をおかけするのは……」
「迷惑なんかではありませんよ。あなた達のおかげで私は人間の意思の輝きを知る事ができた……それに」
(……家族ができたとは、さすがに言えないよなぁ)
「如何なさいました?アインズ様?」
途中で黙ったからだろう。村長が聞いてくる。
「いえ何でもありません。とにかくこれでもあなた達への感謝は足りないぐらいです。ユリ、挨拶を」
「畏まりました。ボク……失礼しました。私アインズ様のメイドであり、ユリ・アルファと申します。御見知り置きを」
美しい所作で挨拶をした。近くにいた村人全てが男女に関係なくユリを見ている。――最初はユリではなくルプスレギナを連絡役にしようとしたのだが、アルベドから「ルプスレギナは真面目に仕事に取り組みますが、少し
アインズは話を進める。
「今回ユリを連れてきたのは、カルネ村との連絡役にするためです。さすがに常駐させるわけにはいきませんが、私が来られない時は、彼女に伝えてくれればできる限り村の事を援助します」
村長が驚愕しているようだが、立ち直り
「しかし……よろしいのでしょうか?そこまでして頂いて?」
「構いません……そうですね、ではこうしましょう。私もまた遊びに来ますのでこの村の発展具合を私に見せてください。もし収穫祭等の祭りがある時は私を招待してくれると嬉しいです」
「……分かりました!アインズ様をしっかりお招きできるように頑張らさせて頂きます!」
「楽しみにしています。それでは今日はこの辺で失礼します。
ユリが返事をする。
村の人たちも口々に「お気を付けて」と話してくる。頷く事で返答にして振り返り歩き出す……
(そういえば、ゴブリン達は近づいて来なかったな。次回は話したいものだ……)
後ろからネムが追いかけてきた。
「途中までお見送りします!」
「……嬉しいぞネム」
やさしく頭をなでてやる。気持ち良さそうにしている。するとネムが
「そういえば、アインズ様はどちらに住まれているんですか?」
「そうだな……よし!もう少し状況が落ち着いたらネムを私の家に招待しよう。その時までどこに住んでるかは内緒だ。楽しみにしているように?」
「はい!楽しみにしてます!」
「ああ。私もネムを招待できる日が楽しみだ。それとシフの食料は足りているか?」
「はい!ジュゲムさん達のおかげで、問題ありません!」
「そうかそうか。なら次回来た時にはジュゲム達に聞かないと行けないな。増えても食料に問題は発生しないか」
「……?えっと、どういうことですか?」
「何この2匹のムーンウルフ、ダイとフクもネムに仕えさせようと思ってな……さっネムにも仕事があるだろうから、この辺で帰りなさい」
「楽しみにしてます!…はい!では失礼します!アインズ様もお気を付けて!……約束忘れないでくださいね!」
そう言ってシフに跨り駆けていった。アインズは見えなくなるまでネムを眺めていた。
「どうなさいましたか?アインズ様?」
「……いや何でもない。それではナザリックに帰るぞ。ユリ」
「はっ」
アインズは考えていた。
(狼と戯れる少女か……あの光景を、ぺロロンチーノさんが見たら泣いて喜んだだろうな、きっと。……ぶくぶく茶釜さんに怒られただろうな……)
その目は少しさびしそうに見えた……
★ ★ ★
時間はモモンガがカルネ村にもう一度行く前に正確には宝物殿まで遡る。
モモンガは自分の内にあった黒い感情を吐き出した。いや、吐き出してしまった。
(……失態だ。ユグドラシルとリアルの事まで言うなんて、俺は何を考えていたんだ!裏切ってくれと言うようなものだろう!)
モモンガは一度ここから逃げようと考えた。今なら逃げられると……しかし実行には移せなかった。
そしてカルネ村で見た村人達の死を覚悟して進む意思……
(……目を背けては駄目だ。ここで逃げたら何かが終わる)
先程から黒歴史は静かだ。まるで何かを考え込むかのように。どれだけその静粛が続いただろう?長時間かもしれないし、ごく短い時間だったかもしれない。
そしてモモンガに語り出した。
「…………ユグドラシルがゲーム、ですか」
何を考えているのだろう。もしかしたら自分達の存在をゲームと呼ばれて怒ってるのかもしれない。人間と言う事に怒りを感じているのかもしれない。そしてモモンガは信じられない事を聞いた。
「なるほど。そういう事でしたか。言われてみれば確かに思い当たるフシがあります。モモンガ様が話しかけてきても、我々は返事をできませんでした。いえ、ただ不敬だからしていないだけと考えていましたが、そちらの方が不敬ですしね……」
モモンガは止まっていた。なぜ怒りの感情を自分にぶつけないのか分からず……
「……今回モモンガ様が来られたように、自分から話しかける事も出来ませんでした。確かに私は置物でありました。命令されなければ何もできない……」
「しかし、それではこの記憶は何なのでしょう? この新たな世界に移動するまで、私は置物であった事は理解できましたが、なぜユグドラシルの頃の記憶が存在しているのでしょう? ……何か心当たりはございますか?」
予想も出来ない事で話を振られた。
「……分からない。この世界に転移した日ユグドラシルは終了して、お前達も私のこの姿も、泡沫の夢として消えるはずだった……それがいきなり現実の世界になったからな。法則にも変化が見えている。分からない事だらけだ……」
「……さようでございますか。ではこの事を現状で、これ以上考えるのは無意味でございますね……」
一呼吸置かれる。モモンガも今度こそ怒りをぶつけられると予想する。
「……モモンガ様はリアルの世界に帰られたいと思わないのですか? 超位魔法や
またもや予想を裏切られる。
「……リアルに未練はない。家族や友人もいない、それにあの世界は地獄だからな」
そしてリアルの世界の事を語る。
「……リアルとはそのような世界でしたか……」
静かに考え込む。モモンガは我慢できず自分から踏み込む。
「パンドラズ・アクター。お前は私に騙されたと感じないのか?本当の私は脆弱な人間なのだぞ?」
「そのようなこと、決してありません。先程語った事が全て真実であります」
「……なぜだ?ユグドラシルの記憶があるらしいがそれは偽りかもしれない。それに私はお前に何もしていないだろう?」
「何もしていない? いいえ! モモンガ様は私に掛け替えのない物をくださいました! ……私を生み出してくださいました! たとえそれがゲームの一環だとしても、それだけは真実であり、それだけで私がモモンガ様に忠誠を尽すには十分でございます!」
「……」
モモンガは考える。何度思い起こしても彼からモモンガを詰る言葉が出てこない。
「……私は確かにお前を生み出したかもしれない。しかしずっとここに閉じ込めてきた。怨まないのか?もし別の階層に配置すれば、偽りの記憶だとしても他のNPC達との会話もあったかもしれない。常に一人でいる事もなかったはずだ」
「……なぜ怨まないといけないのでしょうか?モモンガ様。私は命令を下され、宝物殿の守護者として、モモンガ様にとって、一番大事な場所を守護するように命令されたのです。何よりもモモンガ様の命令です」
一呼吸置かれる。
「
パンドラズ・アクターは言いたい事を全て述べたのだろう。敬礼をしながらモモンガの言葉を待つ。
パンドラズ・アクターは、自身にとって辛いはずの出来事を乗り越えている。これ以上彼の忠誠を疑うのは間違いだ。なにより彼には鈴木悟にはない意思を感じた。そう、まるでカルネ村の人々が見せた輝きを。
「お前の考えは分かった。そしてお前の忠誠を疑ってすまなかった。」
モモンガは頭を下げる。パンドラズ・アクターが何かを言おうとしたが止める。
「そしてだ……お前のユグドラシルの頃の記憶は確かに偽りなのかもしれない。だからこそ、この現実で共に生きよう。……本物の
静寂が舞い戻る。……そしてパンドラズ・アクターの嗚咽が聞こえ始める。慰めるために頭を撫でる。
「……我が神よ。ありがとうございます。」
「感謝するのは私の方だ、パンドラズ・アクター。お前のおかげで私は黒い感情を払拭する事ができた。それとだ、パンドラズ・アクター。私はこれからお前の事をパンドラと略して呼ぶ。いちいち全部呼ぶのは長いからな……」
「もちろん構いません!モモンガ様」
モモンガは考える。
(黒歴史か……いや、違うな、パンドラズ・アクターは俺の
「パンドラよ。そこまで畏まるな。私がお前を創ったのだから、我々は家族のようなものだ……これからは私がお前の父なのだから……お前が認めてくれればだが……」
「畏まりました。父上。私が認めぬ訳ありません。感謝いたします」
「ふふ。それにしても人生は面白いな。リアルで一度も恋人がいなかったのにまさか子持ちになるとはな?」
「確かに。面白い物がありますな父上。私が現実の者になるのですから」
二人して大きく笑う。
「それとだ、パンドラよお前は私の子どもなのだからユグドラシルの頃の設定全てに従ってはならないぞ?それでは私の子どもではなく、変化のない
「……承知いたしました、父上。必ず変わってみせましょう!」
「楽しみにしている。それでだ、ここに来たのは、アルベドにどう話せばよいか、お前に質問しに来たのだ?何か意見はあるか?」
パンドラが熟考する。やはり難しいのかと考えていると
「恐らくですが……全てのNPCに今の事柄を語ったとしても、モモンガ様への忠誠は変化しないかと……」
モモンガは考える。自分が全てを話した後のナザリックを。パンドラの言う通りなら、きっと重圧を感じずに、もしかしたら、仲間達がいた頃のように過ごせるかもしれない、と。
「……いや、駄目だな。真実を話していいのは、NPCの創造主だけだ。私が彼らに語るのは、裏切りだろう。パンドラ、お前とて私以外から、真実は語られたくないだろう?確かに私はアインズ・ウール・ゴウンとしてナザリックの代表ではあるが、彼らの本物の創造主にはなれない」
「他の御方々もこの地におられるので?」
「分からない。しかし奇跡のような事があるのだ、信じて待ちたいのだ」
その言葉にパンドラが考え込む。
「……それでしたら、何れ死に行くはずの人間が発した瞬間的な輝きをカルネ村の者が発して、美しく見えたから救った、もう少し見てみたい、と語ればよろしいのでは?」
「……そうだな、それでいいのであればそうしたい。しかし人間に肩入れしすぎた感がある。もしかしたらナザリックの支配者に相応しくないと考えるかもしれないぞ?……やはり私が人間であった事だけでもアルベドに語った方が良いか?」
「……それは無いでしょう。他のNPCからすればモモンガ様は最後の至高の方。たとえどのような命令でも従うでしょう。……先ほど述べましたが、他の方々には捨てられたと考えているはずです。最後に残られた慈悲深き方と捉えているはずです。……他の方々の帰還を願ってはいるでしょうが。……仮に人間であった事を、アルベド殿に話した場合、なりゆきで全てを、語らなければならないかもしれませんので、モモンガ様が秘密にされると言うのであれば、真実を知るのは我々だけにすべきです……今のところは」
「……そうなるのか? そうなるのであれば、現状でも何とか、支配者を演じ切れるか。私にとってここは友達との思い出が詰まってるからな、何とか残したいからな。……最悪の場合NPC達だけでもいいが……」
モモンガはここですべき事は終わったと考えた。パンドラがそういうのであれば信じられるからだ。
「では、パンドラ。私はアルベドに説明に行く。お前はアルベドに見つからないで私の傍で助言できるか?」
「……命令を必ず果たしてみせましょう」
難しそうに返答するがその返事は可能と断じる。
「では必要なアイテムを持って宝物殿の外に出るぞ? 彼らの武器も一時的にお前に貸し与える。お前の実力がどれほどか父に見せてくれ?」
「畏まりました! 父上!……それと私達の呼び方は二人だけの方が良いでしょう。他の者に恨みを買う可能性があるので。」
確かにパンドラは、ただ一人創造主がいて創造主から子どもと認定される。現状では不和の元になりかねない。
「分かった。では普段はアインズと呼べ。では行くぞ」
そしてアルベドと話し合ったが、別にカルネ村の件は何も問題にならなかった。
むしろ二人だけの秘密ができて嬉しいと言われた。
(少し悪い事をしたかな。他にも知ってる存在がいる事を隠したのは)
そしてナザリックは動き出した。
★ ★ ★ 今日の守護者統括
「ふふふ」
アルベドはとても機嫌が良かった。デミウルゴスに
(シャルティアも出立した……私とアインズ様だけの秘密もある……私がアインズ様の妃になる障害は存在しないわ!……この間に二人で愛を育みましょう! アインズ様!)
ちなみにアルベドの目論見は、アインズの影として従う、パンドラズ・アクターにより阻止されるのだった……
とりあえずネムを強化しました!
そしてパンドラの方の描写に違和感はなかったでしょうか?
ちなみにシフと名付けたのは、狼と言えばどうしてもこの名前しか思い浮かばなかったからです……ちなみに出典はフロムの悪意で有名なフロムソフトフェアのダークソウルです!
名前を作る能力が欲しい……
ちなみに別タイトルはもののけ姫ネムでした!