Highschool of the Dead  ~比企谷八幡の選択~   作:隣の三下君

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では本編にどうぞ。


1章-4「4時間」

由比ヶ浜side

 

陽乃さんの「そろそろ何か起こす頃じゃないかしら?」と言った後に別館の警報が鳴り響いた。

あたしはヒッキーとゆきのんにまた会えると思うと先程まで体に力が入らなかったのが嘘のように足が先に先に進みたがっていく。そんなあたしにいろはちゃんが「あまり急ぐと危ないので慎重に行きましょう」と言ってくる。分かってるけど心臓が鼓動を早めて自然と足が出てしまう。どうにもならないこの気持ちに笑みが溢れてしまう。

 

「だって!ヒッキーとゆきのんに会えるかもしれないんだよ!」

 

「結衣...あーし嫌な予感がする」

2階の階段を上がって3階の廊下まで来たところで優美子が立ち止まって言ってくる。

 

「嫌な予感?」

 

「うん...そ、その隼人は無事かなって」

 

「一緒にいるなら無事に決まってるじゃないですか!」

いろはちゃんが答えた。

 

「・・・そうかな、分からないけどさ。なんか隼人とはもう会えないような気がして...」

 

「優美子...」

 

「・・・皆取り合えずその話は後にして静かにねー」

あたし達が話していると陽乃さんが言ってくる。

あたし達が今いる場所は別館に来るための渡り廊下と屋上に上がるための階段の丁度中央にいる。

 

陽乃さんが言うにはここで待っていれば会えるはずといっていた。本館は奴等で溢れかえっているからいる可能性は低い。そして別館の2階には私達がそれならあとは別館の屋上か本館の屋上どちらかにいるということだった。

どちらから来るにしてもここからなら見えるから会えるはずというのが陽乃さんの意見だった。

 

「ね、ねえ...渡り廊下に倒れてるのって....」

優美子が声を震わせながら言ってくる。

あたしは優美子の指した方を見ると体が固まった。そこにはーーーー。

 

 

 

 

ーーー頭が無くなった葉山君が倒れていたからだ。

 

 

「いや...いやいやいや...いやぁああああ」

優美子は大声で叫んで体を両手で抱き締めて震えている。

 

「あちゃー...見ちゃったか」

陽乃さんは気付いていたみたいで優美子の様子を見ても驚かない。

 

「優美子!優美子!!」

姫菜が優美子の体を揺するが優美子からの返答は返ってこない。

 

「そ、そんな...葉山先輩が...それに奴等も渡り廊下からうじゃうじゃやって来ますよ!?どうしますか!」

 

そんなピンチの中あたしは一番聞きたかった声を聞いた。

 

「由比ヶ浜!小町!無事だったんだな。・・・な、何故雪ノ下さんも?」

 

「うっ....おに、お兄ちゃん!」

小町ちゃんはヒッキーに抱きついて泣いている。

 

「由比ヶ浜さん!」

ゆきのんはあたしを見つけると抱きついてきた。

 

「ゆき、のん...ゆきのんゆきのん....」

あたしは何度もゆきのんの名前を呼んでゆきのんはその度に「ええ」と返事を返してくれた。

 

 

ーーー時刻は11時10

 

 

 

比企谷side

 

俺と雪ノ下が屋上から降りようと扉に手をかけると三浦の叫び声が聞こえた。

嫌な予感がした俺と雪ノ下はすぐに扉を開け階段を降りるとそこには会いたい生きててくれとずっと思ってた、由比ヶ浜と小町の姿を見つけた。それに三浦や海老名さん、一色も城廻先輩も無事なようで安心した。

雪ノ下さんがいたのは驚いたがあのシスコンがここにいても不思議ではないなと思い今は小町の頭を優しく撫でる。

 

「先輩~♪」

 

「おう。一色無事で良かった」

 

「なんで結衣先輩の名前は皆目一番に出たのに“わたし”の名前は出てないんですか?」

 

「は?」

 

「ですから、何で...わたし、だって....ずっと」

一色は今にも泣き出してしまいそうな声で言ってくる。今まで俺に抱きついていた小町はいつの間に離れて「やれやれ...この鈍感ごみぃちゃんが」とか言ってるしどゆこと?八幡分かんない!

 

「えーと...その心配してくれてたみたいだし、あ、ありがとな」

俺が精一杯勇気を振り絞って言うと一色が俺に抱きついてきた。

 

「お、おい...一色」

何で女の子ってこんな状態でも良い匂いするの!?それに由比ヶ浜よりは無いが見た目よりはあると分かってしまう2つの柔らかな膨らみがあたって俺の理性を削っていく。

 

「先輩...わたし、わたし本当に怖かったんです怖くて怖くて....友達だと思っていた人も先に逃げてしまいましたし、こんな状況で1人で...ずっと怖くて」

一色の声には嗚咽が混じっていった。

 

「もう大丈夫だ。一色お前はもう1人じゃない

」俺は一色の頭に右手を優しく置いて撫でながら言う。

 

小町が此方を見て笑っているが別にこれはそういう意味じゃない。ただお兄ちゃんスキルが自動で発動しただけだ。

 

「取り込み中のところ~申し訳ないんだけどー奴等が来るから移動したいんだけどいい?」

雪ノ下さんが言ってくる、見ると渡り廊下からは20人はいるだろうかという奴等がこちらに向かってきている。

 

俺がそうですねと言おうとしたときに三浦の声で体が固まる。

 

「ねえ?ヒキオ...隼人は?」

 

「葉山...」

葉山はもういないとは言えなかった。三浦はどう見てもいつもの三浦ではない。絶望をぶつけられてあと少しで壊れてしまいそうになっている。恐らく渡り廊下に倒れている“あれ”を見たのだろう。

でも信じられなくて自我を保つために分かっていても脳が防衛本能を発揮して葉山はまだ生きていると思い込んでいるんだろう。

 

「ねえ?どうして...黙ってるし」

この間にも奴等は此方に向かってくる。

 

「・・・葉山は「葉山君なら死んだわ」」

雪ノ下が残酷にも言い放つ。

 

「隼人が...嘘...そんなの嘘だし!!」

 

「嘘ではないわ。私はこの目で見たもの」

 

「ゆきのん...」

 

「それじゃあ、あんたは隼人が死ぬのを黙って見てたってこと?」

三浦の語尾が少し強くなる。

 

「そうね...そう黙って見ていることしか出来なかったわ」

俺が雪ノ下のしたことを理解したときには既に手遅れだった。

雪ノ下は三浦が生き残れるためにわざと目標を持たせた。愛する人が死んだことに釣り合うだけの目標、それはーーーーー。

 

 

ーーー愛する人が死んだ原因になった人への

 

 

深い怨みの感情。

 

 

「あーしは...絶対にあんたのこと許さないから!」

 

「それでいいわ」

 

「雪ノ下...」

 

「私最低ね...」

 

「やり方は...な。でもお前のおかげで三浦は助かる」

 

「っ!気付いたの?」

 

「まあな」

 

「なんかゆきのんのやり方、ヒッキーみたいだったよ?」

 

「由比ヶ浜さんまで...」

 

「もう!雪ノ下先輩、先輩みたいなのは先輩だけで充分ですよ♪」

 

「一色さん...」

 

「雪乃ちゃんがこんなことするなんてね~誰の影響かな?」

陽乃さんは俺の顔を覗きこんで聞いてくる。というかその角度やばい...何がとは言わないがやばい。

 

「誰の影響ですかね...」

 

「どこかのヒネデレさんじゃないかなー?」

 

「おい小町、ヒネデレなんて変な言葉を作るんじゃありません」

 

「えーでもお兄ちゃんってこんな感じだよ?」

俺はひねくれてはいるがデレてない。ひねくれ認めちゃうのかよ!俺!

 

「さて、それじゃあ「あ、雪ノ下さん少し良いですか?」なあに?そういうことは時と場合を考えて、ね?」

 

「ね?じゃねーよ!・・・それより本館1階の図工室に材木座が残ってるんです。あいつを助けに行かないと」

 

「材木座....誰?」

 

「確か...あの駄作を書いてきた....」

雪ノ下どんだけ根に持ってるんだよ...。泣くぞあいつ。

 

「あー!中2だよ!」

由比ヶ浜...その覚え方はどうなんだ。

 

「あーわたしは記憶にないですね」

一色...お前俺と図書室行ったとき何回か会ってるからな?

 

「・・・」

三浦は無言か...。まあ当然だな。

 

「私は知ってるよー」

海老名さんは、体育祭の時協力してもらったからな。

 

「うんー聞いたことがあるようなー気がするんだけどー...誰だっけ?比企谷君?」

何でこの人こんなに近いの?いや別に嫌じゃないよ?でもね周りからの視線が痛い。

 

「城廻先輩は会ったことないですよ」

 

「そっかー♪それは知らないはずだね!」

うん。嘘である。

 

バン!

強烈な破裂音が別館に響く。

 

べちゃっと音を立てて此方に向かってくる奴等が倒れる。

 

「姉さん...撃つときは言ってから撃ってちょうだい」

 

「そしたら間に合わないよー?」

 

バン!と2発目。

この人楽しんでやがる...。

 

 

ーーー時刻は11時30

 

 

 

材木座side

 

八幡が上に行ってから他に二人ここに逃げてこんできたものがいた。

 

「八幡大丈夫かなぁ....」

 

「もう二人とも暗いわー、元気出していくしかないっしょー!」

 

「ふはははは我が暗くなるとかありえぬわー!」

 

「ざ、材木座君。静かにしたほうが」

 

「ぬ...すまない」

 

「でもーこれからどうするべ?このままって訳にはいかないべ?」

 

「うーん...でも下手に動かない方が」

 

 

ジリリリリリリ。

と警報が鳴り響いた。

 

「な、ななななんなのだこれは!?」

 

「材木座君落ち着いて!きっと比企谷君だよ!」

 

「なんかこういうの緊張してくるべ!」

 

「ふはははは!流石八幡よ!この剣豪将軍材木座義輝に居場所を教えようとするとはな!」

 

「材木座君、しー!」

 

「す、すいません...」

 

 

 

ーーー時刻は11時25分

 

 

 

比企谷side

 

「別館の1階から1度外に出てから本館に行くっていうのはどうでしょうか?」

俺は木刀で奴等の頭を叩きながら雪ノ下さんに聞く。

 

「それは無理だよー比企谷君。別館の扉の周りにはここよりも奴等がいる」

 

「ひっ、先輩次々きます...」

 

「はぁはぁ....やはり駄目ですか。それならやはり」

 

「うん。ここの奴等を倒しながら向かった方が安全だね」

そう言うと雪ノ下さんは銃をホルスターに納めて腰に下げていた日本刀を抜いた。

 

「雪ノ下さん....刀も使えるんですか?それより銃って...」

 

「銃は2年くらい前に父にハワイに連れていったもらったときにね」

どこの某名探偵だよ。

 

「刀はねー私剣道3段だから♪」

どこでそんな実力を?とは聞かない。だって雪ノ下さんだからで全て解決してしまうから。

 

「・・・すげぇ...」

陽乃さんは次々に奴等の首を撥ね飛ばしていく。その姿はまるで踊っているかのように美しく奴等の鮮血を浴びた雪ノ下さんは余計に輝いて見える。

だけど....。

 

のめり込みすぎてあまり周りを見ていない。あれでは駄目だ。人と奴等の区別がついていないし何より人ではなくなる。

 

 

鬼になってしまう。

 

 

あんな戦いかたをしていたら人を殺すことも躊躇しなくなってしまう時が来るかもしれない。いや既に少しそうなのかもしれない、俺が雪ノ下に会うまでそうだったように。

 

「姉さん!」

雪ノ下が気付いたようで雪ノ下さんに呼び掛けるが返事はない。

 

その間にも雪ノ下さんは次々に奴等の頭を切り飛ばされていく。

 

「比企谷君...姉さんが」

雪ノ下は俺の制服の端を掴んで言ってくる。

 

「分かってる...だけど今動けば両方殺られる....だから奴等の数があと3人減ったら俺が動く」

 

「・・・何をする気なの?」

 

「信じてくれ。大丈夫だ」

 

「分かったわ。だけど無理はしないでね?」

 

「ああ」

 

1人....2人.....そして3人。ここで俺は走り出して陽乃さんの前に立ち陽乃さんの横から凪ぎ払ってくる刀に合わせて木刀で防ぐ。

一時的に木刀の半分までで止まったがすぐに木刀は切られる。俺は目を閉じて今から起こることに歯をこれでもかっていうくらい噛んで待つーーーー。

 

 

中々訪れない、痛みに目を開くと俺の首の皮までで止まって血が刀に滴り落ちていた。陽乃さんの手は震えており顔は下げているので見えないが涙を流していた。

 

「比企谷君!」

 

「ヒッキー!」

 

「先輩!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「「「「馬鹿!」」」」

俺が今の状況に安心していると雪ノ下と由比ヶ浜と一色と小町が此方に走りながら言ってくる。

 

奴等の数は残り2人だったが雪ノ下が、持っていた棒で顔面を刺して、もう一人は由比ヶ浜がわざと叫んで俺から注意を向けて小町が近くにあった(葉山が使っていた)金属バットを一色に投げて一色が最後の1人の頭を叩き潰した。

 

俺が呆然とその光景を見ていると陽乃さんが急に立ち上がり俺に抱きついて「ありがとう。私を人のままでいさせてくれて」と言ってきた。

 

「いえ...感謝するならあいつらに言ってやってください。俺達が今奴等になってないのはあいつらのおかげですから」

 

「ねえ?比企谷君」

 

「な、何でしょうか?それよりそろそろ離れてくれると....色々と怖いので」

 

「キス...しよっか」

は?と思った時には既に唇を奪われていた。

 

「「「「!!!!」」」」

なにか言ってる気がするが全然耳に入ってこない。それどころか甘くてこの感情にどんどん引かれていってしまう自分もいた。

でも....。俺はなんとか陽乃さんを離した。

 

「な、なにを...」

 

「ふふ。ごちそうさま♪」

俺の顔が熱くなって赤くなっていってるのが分かる。

 

「ヒッキー?」

 

「比企谷君?」

 

「先輩?」

 

「お兄ちゃん!すごいよ!モテモテだね!」

 

 

 

俺はこのあと御叱りを...受けなかった。怒っている皆の前にかまくらが現れたことにより小町が騒ぎまた奴等が集まって来たので急いで図工室に向かうことにしたのだ。

ナイス!かまくら!

 

 

ーーー時刻は11時50分

 

 

 

戸塚side

なんとか図工室に逃げ込むことが出来たけど皆無事かな...無事だといいけど。

 

「あーっ!忘れていた!まずいまずいではないか!」

また材木座君が騒ぎ始めた。奴等は音に反応して動いているのは明白だったから少し控えてほしい。

 

「材木座君...もう少し静かにね?あと何を忘れてたの?」

 

「そ、そうなのだ。戸塚氏よ。八幡から武器を探しておくようにと言われていたのだ!」

 

「武器ってー?ここにあんの?そんなもんがあれば何とかなりまくりまくりんぐでしょー!」

戸部君もかなり先程から声が大きい....このパーティーで大丈夫かな、八幡....。

 

「けぷこんけぷこん。我にかかれば武器さえあれば何とかなるのだがな。その武器をさがすため!今からこの教室に何かないか探すのだ!」

 

「なんかおもしろそうでしょー!やるべー!」

 

「・・・大丈夫かな...」

 

 

20分後。

 

「それで見つかったのがこれだけ...」

 

20分かけて見つかったのは、ハンマーが2つに、ドリル(ガスタイプ)木の板、ノコギリ10個、釘(たくさん)ネジ(たくさん)、ヤスリ、長さ60㎝鉄パイプ、メジャー(野球漫画じゃないよ!)そして何故か大量の防犯ブザー。

 

「なんで防犯ブザーがこんなに?」 

 

「防犯ブザーとか懐かしいでしょー!ねえねえ引っ張りたくね!?」

 

「ここではやめ...そうだ!使えるよ!防犯ブザー!」

 

「そういえば去年安全強化のために防犯ブザーを生徒に持たせるって学校が方針を決めたと聞いたことがあったぞ?」

材木座君が言ってくる。

 

「でもそれならなんでここに?」

 

「ふむ。それは我にも分からぬが確か任された担当の教務は平塚女史だったはずだが」

 

「あー....」

僕はその言葉で納得してしまった。

 

「そ、それより...他の道具も使えないかな?」

 

「ん~やっぱノコギリは男のロマンでしょー!」

え?そうなの?僕ちょっと怖くて嫌だな....。

 

「ふむふむ。我はドリルの方が」

 

「でもなんの役にもたたないでしょー?」

 

「前に映画でガス付きのドリルで釘を飛ばす銃のよなものを見たのだが」

 

「本当!?」

 

「それはすごいでしょー!」

 

「まあ待つのだ。ひとつ問題がある」

 

「問題?」

 

「うむ。このガスなのだが....全部空で中身がないのだ」

 

「それ意味ないね...」

 

「残念でしょー」

 

「と、取り敢えずさ!手持ち無沙汰にならないようにしないとだから必要な物とそうじゃないものを分けておこうよ!」

 

 

 

ーーー時刻は11時55分 

 

比企谷side

 

俺達はなるべく音をたてずに必要な戦闘だけして今図工室の前まで来ていた。

 

「材木座無事か!?」

 

「八幡!」

あれ?この声は....。

 

 

天使だ!

 

「てん....じゃない戸塚良かった無事だったんだな」

 

「うん!なんとかね!あっ!今開けるから少し待っててね!」

 

ガチャっと音がして図工室の扉が開く。

 

「八幡!」

と戸塚に抱きつかれた。あーやばい。良い匂い...。嬉しい!じゃない!後ろの般若がやばい!

 

「彩ちゃん!」

 

「由比ヶ浜さんも良かったよ無事で!」

戸塚は俺から離れると由比ヶ浜と手を握って話している。べ、別にもう少し抱きついていても良かったのにとか思ってないからね!(血涙)

 

「ふはははは!八幡よ!待ちわびたぞ!」

 

「あー煩いぞ。材木座、奴等が集まってくるだろ」 

 

「優美子に海老名さんも無事で超良かったでしょー!」

 

「戸部っち無事だったんだね!」

 

「良かった...無事で!」

三浦がやっと顔をあげて話している。その姿に俺は少し安心していると。

 

「アグァアア」

と何人かの奴等が此方にやってくる。

 

「取り敢えず、逃げるぞ!」

俺がそう言うと戸塚は大きな箱を持ってきた。

 

「なんだそれ?」

 

「後で教えるよ!今は急ごうよ!」

 

「ああ」

俺達は本館1階にある職員室に移動した。

 

「ねえ、ヒッキー。どうして職員室に?」

 

「ああ、いくつか理由はあるが1階だから窓からも逃げられるってこととニュースを見るためだ」

 

「ニュース?」

 

「ああ、俺達は今の状況をあまりに知らなさすぎる。ただ人が噛まれて噛まれた奴が奴等みたいになってしまうとしか知らない。でもそれはここだけなのか?もしそうなら被害が少ない方に逃げることも出来る。用は情報が欲しいんだよ」

 

「な、なるほど....なんかすごいね」

あ、こいつ絶対理解出来てない。

 

「確かにそうなのだけれど。1つ訂正があるわね。比企谷君」

 

「なにがだよ?」

 

「1階なら外に逃げられると言ったけれどそれは違うわ。外に奴等がいたらどうするの?それに2階なら窓から入られる心配もないのだし逆に安全よ」

 

「た、確かに...」

 

「まあでも、情報が必要ってことは私も同じ意見よ」

 

「それではテレビを付けますね!」

小町がテレビを付けながら言う。

 

テレビを付けると事態は俺達が思ってたよりも深刻なものだった。

 

ニュースキャスターが。

「皆様、このような殺害の被害が全国的に数多くなり外は大変危険です。テレビで皆さんとこうして会えるのも今回で最後となります。また皆さんにこうして会えることを心より願っております。どうか皆様御無事でありますように。さようなら。」

 

そこでテレビは砂嵐の状態になる。どのチャンネルに回してもどこも砂嵐。

 

「どうして...」

由比ヶ浜が叫ぶ。

 

「4時間前までは普通だった...なのに!」

 

「由比ヶ浜さん、落ち着いて...」

 

「ゆきのん....」

 

「先輩...」

一色が俺に何か聞こうとしている...不思議と聞こうとしている内容は分かる。だがその答えは俺にも分からない。

 

「この状態はいつまで続くんですか?」

 

「さあな...」

俺はこう答えるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は12時10分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




※由比ヶ浜の一人称の変更8月6日。

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