Highschool of the Dead  ~比企谷八幡の選択~   作:隣の三下君

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本当は動き出す筈がどうしてこうなった...。次からようやく動き出します。


1章-23「休息3」

現在俺は、女性用のボトムスを履かされ肩が大胆に開いたどこぞの某艦隊アニメのキャラのような服を着ている。

 

全てが変わってしまってから俺の性別も変わったのかと、疑問が残るほど女みたいな格好だ。

 

「うわー先輩。肩出しとかちょっと引きます」

 

そう言いながら俺の肩つつくの止めようね?顔赤いけど熱じゃないよな?

 

「静ちゃん、こういう服も持ってたんだね~」

 

「私が持っていても不思議ではないだろう?陽乃だってよく着ていたじゃないか」

 

「私は良いんだよ、でも静ちゃんのイメージじゃ無かったし」

 

ああそれは俺も思いました。恐いから絶対言わないけどな。

 

「それにしてもヒッキーよく似合ってるよ!」

 

「素直に喜べないんだが...」

 

男が肩出してたってキモいだけだと思うが...というか一色?あなたは、そろそろ肩をツンツンするの止めようね?

 

「一色さん?貴女はいつまで比企谷君の肩に触っているつもりかしら?」

 

「えー駄目ですか?わたし達付き合ってるんですけど」

 

ヤバイ、恐い。雪ノ下と一色の目から火花散ってるのが分かる。外を見れば奴等が闊歩する地獄のような世界。暗いから奴等は見えないが、見えないからこそ恐怖は、高まっていく。

 

「そうね...ええそうだったわ」

 

「雪ノ下先輩?」

 

雪ノ下は近付いてくる。そしてそのまま俺の左腕に雪ノ下の腕を絡ませて抱きついてきた。雪ノ下らしくない行動に固まっていると雪ノ下は恥ずかしいのか頬を染めながらうつむきながら言ってきた。

 

「私は、貴方のことが好き、いえ大好きよ。だから比企谷君。私を一番に選んでくれなくても良い...だから私と....付き合ってくれないかしら?」

 

俺の中で答えは決まっていた。唇を離すと蝋燭の火で扇情的に見える雪ノ下は、魅力的で俺は抱き締めた。

 

「雪ノ下、俺はお前だけを選ぶことは出来ないぞ?」

 

「構わないわ。私達を選んでくれるのでしょう?それで充分よ」

 

「はわわわ、比企谷君大胆だね...」

 

「あっ...」

 

俺は空気に呑まれて忘れていた。全員が揃っているここで雪ノ下とキスをしたのだと。

 

 

あの後一悶着あった。

だが語らなくては良いだろう。

 

嫉妬した由比ヶ浜と一色にキスをされて少し騒ぎになり三浦が宥めて、陽乃さんにキスをせがまれたくらいだ。

 

 

そして現在ご飯を食べながら今後について話し合っている。

 

「では、まずは三浦の家に向かう、と言いたいところだが。ショッピングセンターに向かう。そろそろ食材を補給したい。かまくらのご飯も無くなってきたからな」

 

「にゃー」

 

「かー君良かったね!」

 

「にゃー」

 

「三浦すまないが」

 

「別に構わないし、食料は大切。そんなことは、あーしにも分かる。謝る理由なんて無いんじゃない?」

 

本当に三浦は変わった気がする。こんなに優しいというか、暖かい。流石おかんと異名を持つだけはある。

 

「そっか、サンキューな」

 

「べ、別にお礼を言われる程じゃないし!」

 

「お、おう、すまん」

 

お礼を言った次には、何で謝ってんの俺?

 

「お兄ちゃんが少しずつ鬼いちゃんになってきてくるよ....朴念仁になってきてるよ」

 

小町ちゃん変なこと言うのは止めようね?

 

「さて...それじゃ明日の予定を知らせるな。明日は、朝9時にここを出ようと思う」

 

「およ?比企谷君少し遅いんじゃないかな?」

 

「勿論、それまで何もしない訳じゃないですよ、俺と材木座で警察署内のどこかにある筈の武器庫を探してきます」

 

「八幡、それ我聞いてない...」

 

「嫌なのか?」

 

「愚問であろう?」

 

「そうか、なら変わりの奴を」

 

「そ、そうではない!我は常に八幡と共にあるのだ!八幡が行くなら我も行くのが当然であろう!」

 

「で、でも!二人だけじゃ危なくない?」

 

全員が俺を心配そうに見てくるがそれは違う。ここは警察署の中だ。勿論通路は狭い。

 

そんな中で皆一緒に行動したら返って危なくなる。

 

「いや皆で動いた方が危ない。警察署内は狭い。二人くらいが一番動きやすい」

 

「そ、それは....そうだけど」

 

「比企谷君。それならあと一人いた方が良いんじゃない?」

 

確かにそうだ。二人では、武器庫が見付かったとしてもあまり持ってこれないし探している間に一人で警戒するのは、少し無茶がある。

 

「確かにその通りですけど誰を連れていくのかが問題になります。陽乃さんと平塚先生は駄目ですよ?ここを守ってもらわなくちゃいけませんし。雪ノ下も体力が心配なので無理です」

 

「比企谷君。私のことは、雪ノ下ではなく雪乃と呼びなさい。もう付き合っているのでしょう?」

 

うっ、なんか凄い恥ずかしいな。改めて名前で呼ぶのは。

 

「ゆ、雪乃」

 

「....」

 

どうしてそこで黙るんだよ!名前で呼ばせといてスルーなの?八幡泣いちゃうよ?

 

「こ、こほん。それで先程の話だけれど私も一緒に行くわ」

 

「それは駄目だな」

 

いや普通に無理だろ。

 

「...理由を聞いても良いかしら?」

 

「まず一つ目に、体力がない」

 

「ぐっ...一つではないのね。貴方は何時からSになったのかしら?鬼畜谷君」

 

「変なあだ名を付けるな。二つ目に、朝弱いだろ?」

 

雪乃は、低体温だからなのか朝が弱い。専業主婦志望の俺より起きるのが遅いくらい朝に弱い。

 

「...ふふ、やるわね比企谷君。私をここまで追い詰めるなんて」

 

「いや別に追い詰めてる訳じゃ無いんだけどな。それにもう一つ」

 

「ま、まだあるの!?」

 

「うわーヒッキーほんとに鬼畜...」

 

「せんぱい、雪ノ下先輩に止め刺す気ですか」

 

いや、だから俺はそんなつもりはない。

 

「最後は俺の我儘だ。雪乃をそんな場所に連れていきたくない」

 

「ぐ.....ふ、ふん。わ、分かったわよ!そこまで言うならここに残ってあげるわ!」

 

「わお、お兄ちゃん鬼畜~。でも今のは小町的にポイント高いっ!」

 

「そのポイント制度、今どこまで貯まってるんだ?」

 

「そんなのカンストしてるよお兄ちゃん!小町は、いつでもウェルカムだよ!」

 

「いやどこのアメリカ人だよ...」

 

「それじゃあ私が行くべきだな」

 

平塚先生が来てくれるのは、正直助かる。戦闘になったとしても頼りになるし、状況判断も優れている。だが...平塚先生の同伴を許したらあと一人付いてくるよなぁ。

 

「静ちゃんが行くなら私も行きまーす」

 

ここで仮にだが、俺と材木座、それに平塚先生に陽乃さんまで奴等になってしまったら、残ってる奴が生き残れる確率は、大幅に下がるだろう。というか、心配で残していけなくなる。

 

「二人とも駄目です。平塚先生も陽乃さんも」

 

「比企谷君。私のことは、陽乃って呼ばないと駄目だぞ?」

 

「うむ、まあ今は、生徒と教師なんて場でも無いだろうしな。どうだ比企谷、私のことも平塚先生ではなくしず「せんぱい!私も行きたいです!」....もういいもん」

 

「だからお前らじゃ駄目なんだって...」

 

正直な話。俺一人で行きたいくらいだ。材木座だって連れていきたくないのだ。だがこいつは、頼ってくれと言ってくれた。

 

「ならあーしが行くし」

 

「優美子!?」

 

「三浦、気持ちはありがたいけど」

 

「ヒキオ。覚悟を決める時は、覚悟を決めた方がいいっしょ?このままじゃ誰も決まらないし、それに...あーしが一番適任っしょ?」

 

確かに三浦が一緒に来てくれれば、フォローもしてくれるし、メンタルも強い。覚悟を決める時は、覚悟を決めるか。

 

「分かった。材木座と三浦に着いてきてもらう 」

 

材木座と三浦に拳銃を念のために持たせて日本刀も一本ずつ持ってもらう。基本的には、日本刀で応対するが戦わなくてすむのが一番だろう。警察署内は広い外とは違う。死角も数多くあるし日本刀を使えない場所だってあるだろう。その時の最終手段は、拳銃である。ただ跳弾が怖いから、ほんとに最悪の事態までは、使わない。

 

現在いる部屋には、入口をバリケードで固定してあり使えない。外に出るには、先程奴を殺した天井付近にある、窓を使うしかない。現在、平塚先生以外の女子は、全員スカートを履いている。由比ヶ浜の家で着替えたから制服ではないものの、一緒に行くならスカートは辞めて欲しい。

 

「なあ三浦、流石にスカートじゃ危ないと思うし平塚先生からズボン借りれないか?」

 

「ひ、ヒッキー!いきなり何言ってんの!?」

 

「え?いやだから危ないからズボンでいけば動きやすいだろ?」

 

「ヒキオの言う通りだし、結衣、深い意味は無いから安心しな。というかヒキオ、そろそろ優美子って呼ぶし」

 

「う、中々慣れないんだよ....ゆ、優美子」

 

「呼んで良いって言ってるんだら気にせずに呼べばいいっしょ?」

 

「努力します...」

 

俺と材木座と戸塚が後ろを向いている間に、優美子には、平塚先生にズボンを借りて履き替えてもらった。

 

「出発は明日の朝。今日はそろそろ寝るか」

 

「今履き替えたけど明日でも良かったよねこれ?」

 

「それよりも、全員で寝て大丈夫かしら?」

 

由比ヶ浜は、スルーして一番心配なのは、雪ノ下の言っているように寝てしまっても大丈夫か?という問題だった。奴等はいるし、安心して眠れるやつなんて少ないだろう。寝れなければ明日の行動にも響くし一番いいのは、交代で見張ることだが。俺が見張るって言ったら反対されそうだし。

 

「最初に見張るのは、俺と三浦と材木座。二時間ほどで雪ノ下と小町と戸塚そして、二時間ほどで、一色と留美と陽乃さん」

 

「ちょっと待ってください先輩」

 

「なんだよ、一色」

 

「名前で呼んでください。わたしまだ呼ばれてませんし」

 

そんなむくれるなよ...てか今は良いだろう、呼びやすい方でも。

 

「普段は、呼んでやるから我慢してくれ....そのまだ慣れないんだよ」

 

「.....分かりました」

 

「皆もそれでいいよな?」

 

「ええ、それで構わないわ」

 

「う、うん!ちょっと残念だけどね」

 

「まっ、あーしもそれで良いし。それより続き言うし」

 

「そうだな。えーとその二時間ほど後に平塚先生と城廻先輩と折本てとこだな。質問あるやついるか?」

 

「一番最初にヒッキーと優美子と中2が一緒なのはなんで?」

 

「それは一番最初に動くからだな。出来る限り最初に寝ておきたい。他にはあるか?......無いな。それじゃこの順番で睡眠を取ることにする。恐らく二回起こされる事になるけど出来る限り休むこと。それじゃ皆俺達が見張るから寝てくれ」

 

俺の合図でそれぞれ直ぐに眠りだした。疲れていたのだろう。ほんとに数分で眠りについていた。

 

 

俺は現在、窓から外を確認して材木座は、廊下を優美子は、何故か俺の隣で外を見ている。

 

「ねえ、ヒキオ」

 

「...なんだ?」

 

かなり小声で話しかけてきた優美子に驚きながらも返事を返す。材木座には、話しているのは、聞こえるが話している内容は、聞こえないくらいの声の大きさだろう。

 

「ヒキオは、どうしてそんなに強くいられんの?」

 

「...俺が強い?」

 

「思い出せば最初からそうだった。誰の危機にも最初に動いてさ....」

 

「俺は強くなんてない。俺が動いたのは、俺のためだ。誰かが俺の前で奴等になったら...俺は、俺じゃ無くなる気がした。だから動いた...それに戸部や海老名さんを奴等にしてしまったとき思ったこともある。俺があの時動けて代わりになれていれば、どんなに良かったか」

 

「あーしは、そう思わない」

 

驚き優美子の顔を見ると、どこか哀しそうな表情で月の光に照らされていた。体育座りしているのは、震えを抑えるためか、それとも....。

 

「別に海老名や戸部が奴等になって欲しいなんて思ってないからね?ただ、ヒキオが代わりに奴等になるのは違う。そう思うだけ。ヒキオはさ、すごいと思う。自分の命よりも人の命を大切にしてる。それって友達でも中々出来ないことだし、あーしには...出来ないから」

 

「...人間は、自分が一番。そんなの当たり前だ。別にその事に関してゆ、優美子が気にする必要はねーだろ。それに俺だって自分の命が一番だよ」

 

人間なんだから、死ぬのは嫌だ。痛いのも嫌だし出来ることなら辛いことだってしたくない。

 

「でもヒキオは、あーしでも助けるんでしょ?」

 

「助ける。それが一番良いと俺は思ってるからな」

 

「でも、あんたが死んだら悲しむ奴、あーしよりも多いと思うけど?」

 

「俺が死んでも悲しむ奴なんていない。なんてもう言うつもりはない。前の俺なら言ってただろうけどな」

 

「まっ三股してれば当然っしょ」

 

「本来なら、こんな世界にさえならなければ、あいつらは、俺なんかじゃなくてもっと良い男と付き合ってた筈なんだ」

 

「そうかもね、でもそうじゃないかもよ?ヒキオに想いを寄せてた娘もいると思うし。それにヒキオは、こんな世界になったから変わったんじゃない。元々そうだったんだと思う。良く分かんないけどさ、あーしは、今のヒキオを知れて良かったって思うし、感謝してる」

 

「.....そうかよ」

 

普段なら絶対に向けられることのない、優美子の屈託のない笑顔に心臓がドキリと脈打つ。赤面を誤魔化す為に顔を背けるが返って逆効果になってしまった。

 

「ヒキオ何顔そらしてるし?てか、あんた顔真っ赤じゃん。風でも引いたん?」

 

優美子の優しさが心臓の鼓動をより一層に高める。だからだろう、こんなすぐにバレてしまうような言い訳をしたのは。

 

「....風じゃねーよ。夕陽のせいだ」

 

「夕陽ってもう月出てるのに.....くすっ。結衣達には、黙ってるし」

 

そっと、俺の肩に重みが感じるのは、きっと気のせいだろう。この気持ちも、月に魅せられた勘違いなのかもしれない。

 




八幡らしくない?今更です、諦めてください。

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