Highschool of the Dead  ~比企谷八幡の選択~   作:隣の三下君

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沢山のお気に入りありがとうございます。つい嬉しくなったのでほぼ徹夜で書ききりました。


1章-2「決意」

俺は携帯が震えたのを確認して開くとメールが来ていた。

メールの差出人が小町と分かるとすぐにメールを開く。

 

「・・・良かった」

小町からのメールには、こう書かれていた。

 

 

 

From: 小町

 

件名 

 

小町は大丈夫。

 

今から総武校に向かうね

 

 

 

「かまくら、小町無事だったぞ」

俺が背負っている鞄に話しかけると「にゃー」と鞄の中から元気な鳴き声がした。

 

「さて、どうするか...」

 

小町の安全が確認できたまでは良かったのだが予想以上に奴等の数が多い。

それにもっと厄介なのは...。

 

 

「こいつら何で心臓貫いても動けるんだ?」

俺は木刀を使って人間の急所である、心臓を貫いた。

 

肉が引きちぎられてボロボロの相手なら木刀でも貫けると思ったから狙ったのだが、心臓を貫いてもそのまま動き出して俺に噛みつこうとしてきた。

俺はこのまま刺しているのは危険だと思い木刀から手を離す。あ、唯一の武器がとか思ったけど今更どうにもならない。

辺りを見回すと工事中のためか鉄パイプが落ちていた。

俺は急いで鉄パイプを拾いそして、鉄パイプで奴の頭を狙って力強く叩いた。

 

グシャっ。

と普段ならトラウマになりそうな状況だが奴が前のめりに倒れてほっと胸を撫で下ろす俺がいた。

いつもの俺ならこの感情は人が人で無くなってしまうほど危ういものと分かるだろうが、今は恐怖と死の狭間ということでエンドルフィンが分泌されて考えることが出来なくなっていた。

 

奴の心臓に刺さったままの木刀を引き抜くと鉄パイプを歩いてきた道に投げた。

鉄パイプは宙に舞ってそして。

 

カランカラン!と大きな音を立てて止まった。

 

先程までこちらに向かって歩いてきていた奴等は鉄パイプの方に移動し始める。

 

「やっぱりか」

エンドルフィンが分泌されているときは考えにくくなっているだけではない。疲労感も感じにくくなっているし周りがよく見えるようになる。だから気付けた事もある。

 

奴等は音に反応して動いている。

 

俺はなるべく音をたてないように進むと先程までとは変わり殆ど襲われることがなかった。

あったとすれば、かまくらが鳴いたときとか、かまくらが鳴いたときとか、かまくらが鳴いたときくらいだ。

 

俺は総武校に無事辿り着くことが出来た。

 

「予想はしていたが....これは」

総武校は見る影もなく、地獄絵図だった。見覚えのあるやつが襲い襲われ食われ食ったりしている。

 

俺は一切音をたてないようにグラウンドを抜けて玄関まで来た。

 

・・・誰にも気付かれなかったな。

 

いやいいんだよ?いいんだけどね?奴等にすら存在を認識されないとか少しトラウマになりそうだ。

 

俺がそんなことを思っていると予想外の事態が起こる。

 

「にゃー」 

 

・・・奴等が一斉に俺めがけて襲いかかってくる。

 

「か、かまくらぁあああ!!!」

 

「にゃー」と、かまくらは何?とでもいいたそうに返事をするなか俺は本館の中に逃げ込んだ。

 

階段を登って上に行こうとしたが階段を見た瞬間に辞めた。奴等で階段が埋まっていた。

 

俺は慌てて進路を変えようと後ろを向いた瞬間叫び声が聞こえてきた。

勿論叫び声ならここに来るまでもたくさん聞いた。

 

でもこの声だけは聞き逃せないし間違うはずもない。

 

この声は1週間前から聞くことがなくなった。

 

何でも人1番頑張って負けず嫌いでパンさんが大好きで方向音痴で....あれ?どうして俺こんなにもスラスラとこいつのことが出てくるんだ?

 

 

雪ノ下のことがなんで....。

 

 

雪ノ下の悲鳴は別館に向かうところの渡り廊下で聞こえたので俺は何とかして上に向かおうとするが階段が使えないのでは上に向かうことが出来ない。

 

「くそっどうすればいい...」

 

考えろ!

何かあるはずだ。

考えればきっといい方法が。

 

「そうか...あれなら」

俺は急いで1階にある図工室に向かう。

だが図工室の扉は鍵がかかっていた。

 

「なんで開かないんだ!?」

 

「むむ!その声は!八幡か!?」

 

「その声は材木座か!?生きてたんだな」

 

「けぷこんけぷこん!当たり前だ!我が簡単に死ぬわけがなかろう!で、でも少し心細くて...八幡きてくれ「ああその気持ち悪い咳は材木座だな!時間がないんだ!悪いが早くここを開けてくれ!」き、きもっ!?「はやく!」はい...」

 

「は、はち「悪い退いてくれ!」うべはぁ!」

俺は材木座を突飛ばし急いで扉を閉めて鍵をかける。

 

「確か俺の記憶だとここに...あった!」

 

「な、何を探しておるのだ?八幡よ」 

 

「これだ」

そう言って俺が見せたのは天井まで届きそうな脚立だ。高いところの作業に使うらしいのだが普段はあまり使われていない図工室においてあるのだ。

 

「むむ?八幡よその脚立を使って何をしようと言うのだ?」

 

「何って2階に行くんだよ」

俺はそれだけ言うと外側の扉に奴等がいないことを確認して扉を開けて脚立を置く。

 

「わ、我も一緒に!」

 

「いや材木座はここにいてくれ安全そうだしな。あと何か武器になるものを探しておいてくれ、また戻ってくるから。あとここ閉めてくれ。それじゃ」

俺はそれだけ言うと脚立を登って2階に上がる。そこには3人ほど奴等がいた。

 

俺は確認して中に入り一番近くにいたやつを木刀を使って吹っ飛ばす。残り二人は遠かったので相手をせずにそのまま渡り廊下に向けて走り出す。

 

頼む無事でいてくれ!

 

 

ーーー時刻は10時8分。

 

 

 

 

雪ノ下side

 

何故このような事態に...。

私は考えていた。今の状況を言えばこれはパンデミックに近い。いえスペイン風なんて可愛いレベルかもしれないわね...。

 

こんなときーーーー。

 

彼なら。

 

比企谷君ならどうするのかしら....。

 

 

はっ...!私は何を何故彼のことを。私はもうあそこには戻れない。

 

私には眩しすぎた。

 

だから逃げるように立ち去った。

 

いずれ来る由比ヶ浜さんとの...いえ一色さんもね、喧嘩なんてしたくなかったもの。

 

だから逃げ出した。

 

でも結局喧嘩別れみたいになってしまったわね。

 

隣を見ると葉山君がいる。放送が流れたとき私は教室に残った。下手に動くのは危ないと思ったから。

私は皆が逃げるのを待っていると葉山君が私の元にやってきた。

それで今二人で逃げている。

 

「雪乃ちゃんどうかしたかい?」

雪乃ちゃん、この名前は昔まだ姉さんとも普通に遊べていた頃に葉山君から呼ばれていた名前。

本当は嫌だった。そんな名前で私を呼ばないでって言いたかった。でも私にはそんなことを言える資格なんてない。

 

だって私は逃げてしまったのだから。

 

もう会えないと思うほど親しくなった、親友とも言えるほど仲良くなれた初めての人から。

 

私が初めて姉さん以外の人に負けている部分があると思った人。何度も自分を犠牲にしてまで私を救ってくれた人からも。 

 

二人とも私が何を言っても離れなかった。突き放そうと私がしても離れずに隣にいてくれた。

 

大切な大切な私の宝物。

 

 

ーーーーでも、そんな宝物を私は自分の手で壊してしまった。

 

だから葉山君が私に対して雪乃ちゃんと呼んでくることを否定することは出来ない。

 

でも時々考えてしまう。

 

あの二人なら今回の事も許してくれるのではないか...と。

 

いえそれは虫が良すぎるわね....。

 

前姉さんに言われたことを思い出す。

 

《雪乃ちゃんは良いよね~なにもしなくても誰かにやってもらえるんだから》

 

《雪乃ちゃんは、なーんにも変わってないんだね~》

 

この言葉の意味が分かった気がする。

 

私は、ただ人に頼って変わるだの変われだの言っておいて自分ではなにもしない。なにもしようとしない。そうただのーーー。

 

 

卑怯者。

 

 

「雪乃ちゃん?」

葉山君が返事の無かった私を心配したのかもう一度呼んでくる。

 

「なんでもないわ。少し疲れただけ」

これも嘘。葉山君に手を引っ張ってもらって奴等が来たら倒してもらって...私はなにもしてない。なにもできない。

 

「とまって」

本館から別館に移動渡り廊下で急に制止をかける。

前から奴等が二人歩いてくる。

そして後ろからも二人。

 

「囲まれたね...」

葉山君は卑屈そうな顔をしている。

 

私は膝が震えてしまってその場に座り込んでしまう。

 

「駄目だ!雪乃ちゃん!こんなところで座っては助からない!」

こんな状況でも葉山君は諦めない。でも私は...。

 

「ごめんなさい。私が囮になるから逃げてちょうだい」

 

「そんなこと出来るわけないだろ!」

葉山君は持っていた金属バット両手持ちにして構える。

 

「絶対に守るよ。じゃないと比企谷達に顔向け出来ないからな」

 

私を縛っていた物が切れていくような感覚に陥る。

 

比企谷... 君。

 

今の私をあなたが見たらどう思うのかしらね。

 

お前誰?とか言うのかしら。ふふ。そんなこと言わせるわけにはいかないわね。

 

「雪乃ちゃん?」

私が立ち上がると葉山君は心配そうに私の名前を呼んでくる。

 

「大丈夫よ、葉山君」

私の後ろから1人奴が襲ってくる。それを私は振り向いて1歩足を踏みこみ空気投げで1人窓から突き落とした。

 

「・・・流石だね」

 

「私をあまり舐めないでもらえるかしら?」

比企谷君、いつもの私ってこんな感じであってるかしらね....。

 

さっきまでは会いたくなかったのに今では会いたい。

 

 

由比ヶ浜さん。

 

比企谷君。

 

絶対に生きていなさい!

 

私が二人目を窓から突き落とすと葉山君が1人の頭をバットで首から上を飛ばしているところだった。

首から上を飛ばされた奴はその場に倒れる。

 

もう一人も来たが葉山君ならそのままバットを降り下ろせばかたがつくと思っていたーーー。

 

 

 

ーーーーでも現実はそんなに甘くはなかった。

 

 

 

先程首から上を飛ばした奴から大量の血が出てその血が葉山君の足をとり滑らせた。葉山君は前のめりに倒れてバットも私の後ろの方に転がってしまう。

 

そしてーーー。

 

ブシュッ。

 

葉山君の腕から鮮血が舞った。

 

奴は倒れた葉山君の腕に噛みつき。

 

ボキボキ...バキッ。

 

ただ噛みついただけなのに骨が折れる音がした。

 

「いやぁあああああ!!」

 

私はその場にまた力なく座り込んでしまう。

 

なんでこうなったの?

 

私が気を抜いたから?

 

足元を私が注意してなかったから?

 

私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が私が...私のせいで。

 

もうなにも考えられなくなっていた。

 

 

 

ーーー時刻は10時3分。

 

 

 

 

 

比企谷side

 

二階に脚立を使って移動した俺は階段を使って3階に移動していた。

そのときに3人ほど奴等がいたが木刀で足を狙って階段から落とさせる。

 

階段を登りきり、渡り廊下を目指すと雪ノ下が座り込んでる姿が見えた。

俺は疲れている体に鞭をいれ走るスピードを速める。

 

そしてーーー立ち止まる。

 

「は、やま?どうして...」

俺が見たときは葉山が右腕の関節の部分を噛まれたようであり得ない方向に葉山の腕が曲がっているところだった。

 

立ち止まった俺だがすぐに走りだし木刀を握り葉山に噛みついている奴を木刀で薙ぎ払った。

 

俺はその場に倒れそうになる葉山に肩を貸し体を揺する。

 

「あ、ヒキタニ君久し振りだね....」

 

「俺はヒキタニじゃねえ...お前その怪我」

 

「ははは、油断しちゃってね。うっ...」

葉山は吐血して眠そうな目をなんとか開けて此方を見る。

 

「もう駄目、みたいだ」

 

「・・・」

 

「なあ比企谷頼みがあるんだ」

 

「名前分かってるじゃねえか...」

 

「当然だろう...君のこ、と...は「もういい!本題を話せ!」すま、ない...」

 

「頼む、俺を殺してくれ」

 

「お前...」

 

「俺は最後まで人でいたい...誰も傷付けたくない...うっぐ」

葉山は、口から流れ出る血を拭いながら俺に言ってくる。

 

「はぁはぁ...頼む」

 

「分かった」

俺は雪ノ下の後ろにあった、金属バットを拾ってきて葉山の前に立つ。

 

「ひ、比企谷...くん?」

 

「雪ノ下...」

 

「何をしようとしてるの?葉山君は無事なのでしょう?」

無事なはずがない。腕を噛まれたんだ、気力でここまで持っているがもう限界だ。もう少しで葉山も奴等と同じになってしまう。

 

「雪ノ下....お前はなにも悪くない」

 

「え?比企谷君何を?」

 

「俺が全部悪かったんだ...だから恨むなら俺をーーー」  

 

「いやぁあああああ!!」

 

俺は金属バットを葉山に向かって降り下ろした。

 

葉山は降り下ろされるときに俺にいった。

 

「雪ノ下さんのこと君に任せるよ」

 

 

「ああ」

 

 

 

雪ノ下は、まるで精気がなくなったかのようになり下を向いている。

俺は雪ノ下をおんぶしようとしたが鞄があることを思いだしお姫様だっこをして渡り廊下を移動し、別館の屋上まで来た。

 

俺が何故別館の屋上に来たか、理由はいくつかあるが大きく分けて2つ。

 

まず高いところから見て今のこの町の現状を知りたかったから。

2つ目にここは天体観測部という部活動部員が使用しており貯水タンクに小さいが物置小屋みたいなのもある。しかもお菓子など食べ物もある。

 

何故そんなことを知っているかって?1年の時に1人になれる場所を探していたらたまたま見つけただけだ...。

 

俺は物置小屋まで雪ノ下をお姫様だっこで連れてくると降ろして背中に背負っていた鞄も降ろす。久し振りの解放感を少し味わってから物置小屋からロープを発見して机と椅子をあるだけだしてロープを使い簡単ではあるがバリケードを作った。

 

雪ノ下は未だに下を向いている。

 

「はあ...小町無事だよな?」

 

 

ーーー時刻は10時20分

 

 

 

 

 

一色side

 

小町ちゃんを助けることに成功したわたし達は取り合えず生徒会室に向かっている。

何故生徒会室なのかと言うと別館にあり私が鍵を持っていて一番安全だろうという理由で決まりました。

 

「それにしても別館の方はあんまり奴等がいませんね」

不意に私がそんなことを言うと小町ちゃんが答えてきた。

 

「たぶんですけど、奴等は音に反応して動いているみたいなので別館にあまり人がいないため、別館の方にはこなかった、と小町は思います」

おお、何て言うか小町ちゃんもやっぱり先輩と似てるところがあるなーって思いました。説得力が違うと言いますか妙に理にかなった話し方をするんですよね。

 

「へえ。ヒキオの妹なのに可愛いし頭もキレるじゃん、ヒキオいい妹もったし」

 

「えへへ」

 

「てことは今のうちに移動した方がいいってことだよね!」

 

「結衣先輩その理由を小町ちゃんが説明してくれたんですよ?どや顔されましても...」

 

「えーそんなぁ....」

 

「まあまあ結衣」

 

「姫菜~」

 

「ファイトだよ!」

 

「うわーん!」

 

「あ、あの...結衣さん、もう少し静かにしたほうが...」

 

「ごめん...」

 

わたし達は生徒会室までやってきました。

中から鍵も閉めましたし大丈夫でしょう!

 

「取り合えず皆さんこれ食べますか?」

そう言って私が配ったのはお菓子です。

何で生徒会室にあるかですって?それは秘密です♪

 

ビチャ、ビチャ...とこの部屋に誰かが近付いているのにまだ気付いていない。

 

ーーー時刻は10時 

 

 

 

 

 

比企谷side

 

バリケードを作り終えた俺が小屋に戻ると雪ノ下がかまくらを抱きしめて猫用の缶詰を開けて餌をあげていた。

 

「何をしてらっしゃるのでしょうか?」

 

「あら...ごめんなさい」

かまくらに餌あげて元気になったんだな。ほんとお前は猫大好きフリスキー。てか謝ってるけど餌をあげる手は止めないんですね。

 

「別に俺は謝られるようなことはしてないぞ?」

 

「そう...やはりあなたは、そう言うのね」 

 

「いや俺ならって「だからちゃんと言うわ」」

  

 

「ありがとう比企谷君。助けてくれて」 

 

「・・・お礼を言われるようなこともやってねえよ..」

 

「くす、あなたは変わらないのね」

成長してないっていいたいのか?何喧嘩売ってるの?

 

「・・・あなたは強いわ、私なんかとは違って」

 

「は?雪ノ下何を?」  

 

「だから私も変わろうと思うわ。今度こそ」

 

「俺は強くなんかねえよ...今だって葉山をバットで殴ったときの感覚を思い出して吐きそうで手が震えて止まらないんだ」

 

「それは弱さではないわ」

雪ノ下は俺の震える手を優しく自分の手で包み込むように握ってくる。

 

「あなたがまだ、人である証だもの」

 

「っ!」

俺の目からは涙が溢れていた。いままでの光景が思い出される。

奴等になったとはいえ、殺すことになんの躊躇いもなくなっていた俺。今思えば半分人間をやめていたのかもしれない。

いや、今こうして雪ノ下に気付かされなければ人を殺すことにも躊躇いが無くなりーーー。

 

 

人では無くなっていたのかもしれない。

 

 

雪ノ下は俺が泣き終わるまで手を握っていてくれた。

 

 

ーーー時刻は10時30分

 

 

 

 

 

陽乃side

 

まさか雪ノ下財閥がここまでダメージを受ける事態になるだなんて思わなかったわね。

 

首総から今回の事案の連絡は私の父に朝はいってきた。

父は事態の重さを示唆し緊急招集をかけた。

 

そもそもこれが間違いだった。

緊急招集された者の中には既に感染した者がいて会議中にあっという間に次々に感染していく。

 

感染した者を殺そうと動いた時には既に遅く指揮系統の半分以上が感染していた。

このままでは全滅すると言うところで自衛隊が着き奴等を一掃してくれたから何とか事なきを得ているが。

 

「最悪の状態ね」

 

会議室は血で染まっていた。床には肉片が未だに転がっており異臭がする。

 

「陽乃」

 

「お母さん」

私は会議室を見ていると母に呼ばれた。

 

「陽乃これ持っておきなさい」

 

「これは...」

母から手渡された物は日本刀と拳銃(S&W M29)とマガジンだった。

 

「護身用に持っておきなさい。使い方は分かるわね?」

 

「はい。一応お父さんから教えてもらいましたから」

 

「・・・それで陽乃」

 

「なあに?お母さん」

 

「雪乃を助けに行くきなのね?」

やはりバレていたんだね、母は欺けないなー。

 

「はい」

 

「出来れば行ってほしくはないのだけれど...でもごめんなさい。母親として最低の判断だとは思うわ。でも雪乃をお願いね」

 

「ありがとうございます。お母さん」

反対されると思っていたけど、やっぱり母も雪乃ちゃんの事は心配なんだね。

 

「それじゃあ言ってくるね」

 

「ええ。行ってらっしゃい」

 

私は母に頼んで用意してもらったハンビーに幾つか武器と食料を積んで出発した。

 

「待っててね。雪乃ちゃん」

 

 

ーーー時刻は8時50分

 

 

 

 

由比ヶ浜side

 

「ヒッキーとゆきのん大丈夫かな....」

生徒会室に入って安心したのか二人の事が心配になった。

何度か電話をしてみるが回線が込み合っていてや電波が届かないーなとで繋がる気配はない。

 

あたしが探しに行こうか悩んでいるとグランドの方から車のエンジン音みたいなのが聞こえた。

皆も聞こえたみたいで窓を開けて外を見ると1台のえーとなんか戦車?みたいな車が校舎に向けて走ってきていた。

 

最初は助けが来たのかなって思ったけど運転している人を見て驚愕する。

 

陽乃さんが運転していた。

 

え?何で!?あたしの頭の中はパニックになっていく。

 

「ハルさん先輩ー!」

 

 

この時陽乃さんを呼ぶ声と助けを求める少女の声が重なりあたし達には少女の助けを求める声が聞こえることはなかった。

 

「いろはさん!しー!ですよ!」

 

「ごめんなさい...」

 

 

ーーー時刻は10時10分

 




※由比ヶ浜の一人称の変更7月20日。
2話済。

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