Highschool of the Dead  ~比企谷八幡の選択~   作:隣の三下君

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サブタイ思い付かない....orz

御指摘を頂きました所の修正をおこないます。

7月20日。

※由比ヶ浜の一人称を『私』▶『あたし』に修正します。

全部の話を修正しますので時間がかかりますが出来る限り速く修正します。



1章-15「それぞれの道」

警察署内に入った俺達は隊列を組ながら各自警戒しつつ奴等が現れても対処できるようにしている。だが警察署の中は予想より暗く松明の灯りが無ければ一歩も進めなかったと思うほどである。2階に向かう為階段の前まで来ると階段の上の方からパキ、パキ、パキとガラスの破片を踏んでいるような音が聞こえる。俺はすぐ後ろの陽乃さんに上にいるのが奴等かそうじゃないか見てくるので少し待っていてくださいと小声で言って松明を小町から受取り足音を殺しながらゆっくりと上がっていく。

 

心臓の音が少しずつ大きくなっていき口の中には唾液が増え呑み込む。呑み込む音でも気付かれていないか?と心配になり、また心臓の音は早くなる。足を止めて目を凝らし耳を澄ませるが階段の下に向かってくる気配はない。俺は一先ず安心して階段を上りきり右通路を顔を少し覗かせるようにして見ると思わず叫びそうになり松明を持っていない方の手で口を塞ぐ。

 

俺が右側の通路を覗いたとき奴はいた。それも顔が触れるか触れないかの距離で俺は震える体を舌を噛むことでなんとか落ち着かせ少しずつ後ろに下がっていく。奴は気付いていないようで俺の目の前を通過してゆっくりゆっくりと左側の通路に歩いていった。

 

奴が左側の通路にいき何処かの部屋に入った所まで見てようやく奴から目を話せるようになった俺はその場に腰を下ろした。片手で口を塞いでいたため酸素が足りず一度大きく息を吸って音が出ないようにゆっくりと吐き出した。

 

手の震えは止まっておらず情けないが俺は泣いていた。嗚咽を吐き出すことをなんとか抑えるために歯を噛み締めるがひっ....ひっ....という音だけは消せなかった。

 

「比企谷君?」

 

俺はその声に振り返ると皆が階段を上って俺のすぐ後ろまで来ていた。中々帰ってこなかった俺を心配して来てくれたのだろう。由比ヶ浜が叫びそうだったので震える足で立ち上がり由比ヶ浜の口を片手で塞ぐ。俺は深呼吸をして小さな声でまだ近くに奴がいます。着いてきてください。とだけ言い。松明を小町に返して歩きだした。

 

俺はもう一度通路を確認してから右側の通路に向かって進んだ。右側の通路を歩いて直ぐのところに会議室があったが中から鍵が掛かっていたので諦めて奥まで進んでいく。一番奥まで来るともう1つ会議室があったが扉には中から血がベットリと付いており赤黒く変色している。

 

咄嗟に小町の目を塞ぎいろはは留美の目を塞いでいた。扉は少し開いており鍵は掛かっていないことは分かったがあまりの惨状に中に入る気にならなかった。

 

俺は通ってきた通路を戻ろうと目を扉から通路に向けると先程左側の通路に向かった奴がゆっくりと近付いて来ていた。俺の表情を見て全員が気付き何人か声をあげそうになるが必死に我慢している。

 

どうする....陽乃さんを見ると日本刀の柄に手を添えて何時でも動ける準備をしていた。他のメンバーは俺を見て俺が行動するのを待っている。陽乃さんが奴に斬りかかろうとした時俺は陽乃さんを手で制してポケットに入っていた小さな石ころを出して階段に向かって投げた。

 

俺の手から離れた石ころは、階段の手すりに当たりカンっという甲高い音を出して飛んでいった。その音に反応して奴は通り過ぎたばかりの階段の方に戻っていき階段を降りていった。

 

陽乃さんは柄から手を離し安堵の表情をしている。安心したせいか小町と留美は眠そうに目を擦っている。速めに休める部屋を探そうと今度は左側の通路に向けて歩を進めた。

 

 

 

 

 

平塚side ー59時間前ー

 

 

奴等が多く予想より時間がかかってしまったが保育園にはなんとか着くことが出来た。川崎の妹が居るという保育園は幸いの事に避難場所として指定されており保育園は原型を留めていた。保育園の周囲は柵で覆われており奴等は簡単には入ってこれず警察の動きも迅速だったようで無事に済んだようだ。保育園の柵の外は奴等なのか人間なのか区別が付かないくらいの山となって倒れている。保育園の入り口には警察が四人立っており人間か奴等かを判別しているようだ。噛まれている箇所がないかくまなく探している。男二人に女二人なのはくまなく検査するからだろう。

 

一人でも噛まれている人がいれば奴等になり連鎖的に拡がっていってしまう。私はこの光景を見て改めて現状に恐怖し、奉仕部の三人は無事だろうかと心配してしまう。

 

比企谷や雪ノ下はしっかりしている。特に雪ノ下は正しい行動を瞬時に見付けることが出来るから簡単には殺られたりはしないだろう。それに比企谷は周りを良く見ている。咄嗟の閃きも高校生離れしており大丈夫だろう。雪ノ下は咄嗟のイレギュラーに弱いがそこは比企谷がカバーしてくれるだろうし、比企谷は普段少し抜けているところがあるがそれは雪ノ下がカバーするだろう。そしてあの二人には由比ヶ浜もいる。二人の意見が合わなくなったときは常に正解に一番早く辿り着く事が出来る。

 

それに途中で陽乃にもあった。あいつがいるのなら大丈夫だと思うが.....。

 

普段のあいつらなら大丈夫だろうと自信をもって言えるがここ暫くのあいつらは何処かおかしかった。雪ノ下は部活に来なくなるし、比企谷は生徒会に、奉仕部に残っていたのは由比ヶ浜だけだ。

 

だが由比ヶ浜だけでも残っていてくれれば時間が解決してくれると私は勝手に思い込んでいた。

 

間違いも必要だ。あいつらはまだ若い。正解なんてないのかもしれないが経験してそれでも間違いだと思えたなら帰れる場所を残しておくことでまた三人は共に進むと思っていた。

 

だが状況は変わった。あんなバラバラな状態の三人では協力なんて出来ていないだろう。そもそも比企谷は遅刻をしていたんだ。一緒にいるかどうかも分からない。あいつら三人は一人でも欠ければ成り立たなくなる。きっと壊れてしまう。

 

そんな後悔を振り切るように首を横に振り保育園の入り口に車をつけた。

 

「ここは避難場所です。現在は350人ほどこの建物内に避難しています。一度入ったら緊急の場合と避難用のヘリが来るまでは出られません。それにここの避難場所は400人が限度人数なので越えると入れなくなってしまいますがどうしますか?」

 

車の窓越しに警察官が聞いてくる。どうやら中に入れる人数にも限りがあるようだ。それにしても一度中に入ったら出られないなんてまるで籠のとりのようだと思ってしまった。でもこんな条件でもこれだけの人数が集まっているということは外よりかはマシだと判断したのだろう。

 

「あ、あの!ここの保育園にいた、けーちゃ....川崎京華は無事ですか!?」

 

川崎が窓に手をおき身を乗り出すようにして警察官に聞く。警察官は後ろにいたもう一人の警察官に何やら話をして少し待ってくれと言われた。

 

数分車の中で待っていると警察官より先に小さな女の子が走ってきた。

 

「さーちゃん!!」

 

「けーちゃん!!」

 

川崎は急いで車から降りようとしたが私は車の鍵を掛けた。

 

「先生何で止めんの?」

 

かなり怒気を強めて聞いてくる川崎に私は警察官を見ろとだけ言って制する。警察官は現在私と川崎に体して拳銃を向けていた。

 

「どうして....」

 

「まだ検査を受けていないのでこの中には入れません。妹さんは無事です、安心して下さい。それにこの中には350人という人がいます。我々は350人を守っているのです。従って検査に御協力下さい」

 

私は川崎の肩に手を置き検査を受けてお前は降りて避難場所に行けと促すと川崎は目を見開き私は来ないのかと聞いてきた。

 

「川崎。すまないが私はいけない。まだやり残している事があるんだ」

 

「やり残している事って.....雪ノ下さんや由比ヶ浜や比企谷の事?」

 

「ああ、そうだ。どうにもあいつらは心配でな。傍にいてやりたいんだ」

 

川崎は苦虫を噛み締めたような顔をしている。その顔を見て言いたいことがなんなのか私でも分かってしまった。

 

「.......」

 

「あんな場所にいて生きているとは思えない。か?」

 

私の問いに川崎は俯いてしまう。

 

「確かにな。あんな地獄のような場所にいて生還するなんて余程の運が良いか奇跡かもしれないな」

 

「なら....」

 

「だがな川崎。私は例え1%の確率でも残っているならあいつらを探しに行くよ」

 

「どうしてそこまでするんすか....」

 

「私はあいつらの先生だからな.....いや少し違うな。あいつらは特別だな。本来教師が一定の生徒に特別な感情を持つことは禁止だがあいつらは無理だ。あいつらは私の可愛い子供みたいなもんになってしまったからな...」

 

「.....」

 

「そう暗い顔をするなよ、川崎。ほら妹が心配そうに此方を見てるぞ。検査を受けて行ってやれ」

 

「......分かりました。先生....あの....ありがとうございました」

 

川崎は頭を深く下げて誠心誠意御礼を言って私が鍵を開けると車から降りて警察官二人に挟まれるようにしてテントがある方に歩いていく。

 

川崎はテントに入る前に此方を振り返り瞳には涙を浮かべて笑顔で言ってきた。

 

 

 

 

「先生また会いましょう」




平塚先生は生きられるのかそれとも死んでしまうのか。それはまだ分からない。

サキサキとけーちゃんは、これから出てくる機会があるので暫く御待ちください。

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