Highschool of the Dead  ~比企谷八幡の選択~   作:隣の三下君

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1章-13「班分け」

「それに比企谷君に触られても嫌じゃなかったし.....」

 

「.........」

 

 

「「「「....................」」」」

 

静寂。

 

あ、あれ?私何か変なこと言った?

 

えーと.........あっ。

 

 

 

八幡side

 

 

 

 

「へえ~めぐり、宣戦布告?お姉さん負けないぞ?」

 

「ま、まさか.....城廻先輩まで.......」

 

「あはは、八幡。人気者だね」

 

「ヒッキー......わ、私も!」

 

「由比ヶ浜さん、何をしようとしているのかしら?」

 

「ゆ、ゆきのん....顔が怖いよ?」

 

「はぁ.....あんさー。こいつ縛って銃取り上げたしそろそろ行きたいんだけど良い?そういうのは後にしてくんない?」

 

いつの間にか紐で腕を縛っていた三浦が助け船を出してくれる。

 

「はぁ....三浦先輩の言う通りですね.....」

 

「そうだね....」

 

「まっ今は安全確保が優先だね」

 

「そ、それでは銃を各々選び持ってください。と、言っても銃に関しては危険な状態にならない限りは発砲を禁止します」

 

「撃っちゃ駄目って、それじゃあ持つ意味無くない?」

 

「由比ヶ浜さん持っているのと持っていないのでは違うわ。選択の幅が拡がるもの。それに建物の中は狭いから跳弾の危険性もあると比企谷君も言っているのよ」

 

おお、流石ユキペディア俺の意図が分かっており尚且つ俺よりも分かりやすい説明.....あれ?これ俺じゃなくて雪ノ下がやればいいんじゃない?

 

「そ、そっかぁ」

 

 

「そ、それじゃあ、持ち物を各自持って入り口に集まろう。ただし半分の人数で班を作り常にその班で行動しよう。全員が一斉に動くのは危険だ。残りの班で警戒をして最初の班が荷物を持ってこよう」

 

「はいはーい。お姉さん、異論がありまーす」

 

「な、何ですか?」

 

「その班分けだけど比企谷君の考えなら、私と比企谷君が同じ班になる事はないよね?」

 

うっ....流石陽乃さんだ、俺の班分けの内容までわかっているようだ。

 

「俺と陽乃さんが同じ班になってしまったら均衡が保てませんからね....」

 

「多分だけど、私の班は。私、めぐり、三浦ちゃん、戸塚ちゃん、小町ちゃん、猫ちゃんかな?」

 

「.......その通りです。俺の班は、雪ノ下、由比ヶ浜、一色、材木座、留美にしようとしてました」

 

三浦と雪ノ下を同じ班にするわけにはいかない。まだ御互いに気付いて無いところで避けているし、そんな状態でお互いを任せるとか出来る筈がない。

 

それに由比ヶ浜と城廻先輩を同じ班にしたら、陽乃さんでもパンクすると思ったから分けたのだ。

 

それに戦闘が出来るのは、俺と陽乃さん、雪ノ下、一色、三浦だ。ここはしっかりと分けておく必要がある。

 

だからこの面子になったわけだ。

 

「比企谷君の班分け、理屈では納得できるよ。正しい分け方だと私は思うし、最善だと思う」

 

「.....それなら」

 

「でもね、心は理屈じゃないんだよ。私この面子の班分け、凄く嫌。別に班の中に嫌な人がいるってわけじゃないよ?ただ一緒にいたい人がいないっていうのが嫌なの。比企谷君は言ってくれたよね?俺の前くらい本音を出しても良いって。私らしさで私でいていいって」

 

陽乃さんの瞳は揺れていた。今まで取り繕っていた“完璧な自分”を捨てることに体が拒絶反応を起こしているのだろう。

 

でも歯を噛み締めて揺れている瞳で真っ直ぐ俺の目を見てくる。

 

「.........」

 

「だから言わせてもらうよ。私は誰がなんと言おうとこの班分けには、賛成できないし認めたくもない」

 

「姉さん.....」

 

「.......ごめんね雪乃ちゃん。でもね、私だって比企谷君の側にいたい。隣にいたい、温もりを感じていたい。それが例え少しの間別になるだけの班分けだったとしても」

 

俺は陽乃さんに何て言えば良いのだろう。

 

何て言うのが正解なのだろう。

 

俺はここにいる皆のリーダーだ。俺よりもリーダーに向いている人なんてこの人数でも沢山いる。でも皆は俺に言った。

 

俺がいいと。俺じゃなきゃ駄目だって。

 

陽乃さんの気持ちを知って我慢してくださいなんて俺に言う資格なんてあるのだろうか....それとも班分けを考え直すか....だがこれ以上良い班分けは思い付かない。

 

この班分けが一番生き残る可能性が高いと思ったからこの班分けにしたのだ。

 

でも我慢してくださいの一言が言えない。

 

『心は理屈じゃないんだよ』

 

この言葉が頭から離れてくれない。

 

日が傾き始めた、日はまだ高いが日が暮れてしまえば、灯りもない暗い世界で奴等に気を付けながら明日の朝を待たねばならなくなる。

 

だがそれは全滅を意味していた。

 

俺達は鍛え抜かれたプロじゃない、怖ければ体は震えるし眠くなれば反応も遅れる。

 

だが班分けは絶対に必要不可欠なのだ。

これから絶対に必要になっていく。直ぐに行動に移すには今ここで決めておく必要がある。

 

だから皆は待っているんだ。

 

俺が答えを出すのを必要だと思うから。

 

危険なのは誰しも理解している。こんな場所にいても時間が経過するにつれて危なくなるだけだ。

 

仮に1日おきで俺が班を代わるとする。だがその時、俺と代わることが出来るのは陽乃さんだけなのだ。

 

陽乃さんとは絶対に同じ班になれない。

 

どうすればいい....どうすれば..........。

 

「......っ。平塚先生」

 

「え?」

 

「平塚先生を探しに行きましょう。そうすれば俺と陽乃さんも同じ班になれますし、あの人がいてくれれば安心も出来ます。安否も確かめたいですし」

 

「........静ちゃん.....」

 

「そ、そうだよ!平塚先生の事私も気になるなー。ねっ!ゆきのん!」

 

「え、ええそうね。あの人が簡単にやられるとは思えないのだし」

 

「そ、そうね。静ちゃんの事だから生きてる男の子助けて言い寄ってるかも知れないわね」

 

由比ヶ浜の機転を利かせた言葉で陽乃さんも、何時もの陽乃さんに戻っていた。

由比ヶ浜には感謝だな。

 

「比企谷君。静ちゃんが見付かるまでは、比企谷君とは別の班になることにするよ」

 

「すいません、その.....」

 

「良いって、私の我が儘なんだし」

 

「でも....俺は嬉しかったです」

 

「え?」

 

「陽乃さんが陽乃さんの本当の気持ちを言ってくれたような気がして、取り繕ってない言葉を聞けた気がしたので」

 

「そっかぁ...うん、そうだね。取り繕って後悔するのは嫌だから.....」

 

そう答えた陽乃さんからは哀愁が漂い悲しげにも見えた。

 

「陽乃さん..」

 

「それでヒキオ。まずどっちの班から動くわけ?」

 

「先ずは俺達から食料や武器を取りに行きます。陽乃さん達は援護をお願いします。ゾンビが来た場合は静かに陽乃さんが教えてください。残りの人でゾンビを監視、または迎撃を。人間の場合は、俺の名前を呼んでください。只し、武器を持っていたら迷わずに発砲をお願いします。俺達は発砲音を聞いたら直ぐに車を壁にしながら後退、しつつ迎撃に参加でお願いします」

 

「成る程ね。うん、分かった。それじゃあとっとと済ませちゃおっか」

 

「はい。それじゃあ、雪ノ下は武器を由比ヶ浜は武器と食料を少し、かさばらない程度に持ってくれ。材木座はさっき言ったように持てるだけ頼む。一色も武器だけ頼む留美は防犯ブザーは持ってるし食料を少し持ってくれ」

 

武器だけを持たせたのは、移動中にゾンビと戦闘をするメンバーだからだ。食料を持っていては戦えないし邪魔になるからな。

 

 

 

班分けをしたが今回は特に問題は起こらなかった。

 

どちらの班も無事に無事に武器と食料を取ることが出来た。

 

全部持つことは出来なかったが今日一日過ごせればまた戻ってくるので問題はないだろう。

 

それでも多目には持っているが。

 

「それにしても流石陽乃さんですね。物凄く助かるものばかり車に乗っていました」

 

そうなのだ、一番驚いているのは車に銃だけではなく、日本刀が4本に木刀が8本、サバイバルナイフが6本入っていた事だ。

 

「銃が使えないのは予想していたからね、うちにあったものばかりだけど殆ど持ってきちゃったから」

 

「それにしてもですよ...木刀なんて持ってたんですか?」

 

「ううん、比企谷君と別れたデパートにあったから全部逃げるついでに持ってきたの」

 

この人に不可能はないんじゃないかと思ってきた。

 

俺の装備は日本刀にグロック17を腰のホルスターにいれてある。

 

雪ノ下は木刀を選び、一色と三浦は日本刀を選んでいた。

由比ヶ浜にも木刀を持ってもらっている。

 

「雪乃ちゃんは木刀でいいの?」

 

「ええ。私の体力では木刀の方が合っているわ。それにもし仮に木刀が折れてもサバイバルナイフを持っているから大丈夫よ」

 

そうなのだ。そこが心配だ。

木刀は刀と書いてあっても所詮は木で出来ているのだ。いつ折れても不思議ではない。

 

「それに....もし危なくなったら助けてくれるのでしょう?」

 

俺の顔を見ながら言ってくる雪ノ下、俺の考えは変わらない。

 

「ああ、勿論だ」

 

「それなら先輩は~わたしが守ってあげますね♪」

 

一色が俺の腕に抱き付きながら言ってくる、ふ、2つの柔らかい感触がーというより目の前で輝いている日本刀が怖くてチビりそうだ。

 

「一色、頼むから日本刀抜きながら抱き付くのは止めてくれ....死ぬからまじで.....」

 

「あ、そうでしたね。忘れてました、てへ」

 

舌を出しながらウインクしてくる一色。

 

なんだそれ可愛いなおい。

 

「もおーお兄ちゃん、鼻の下伸びてるよ?」

 

え?まじで?

 

 

「んなことねえよ。.....さて今回は俺が先頭、その後ろに城廻先輩、城廻先輩の左隣に陽乃さん、右となりに戸塚城廻先輩の後ろに小町と材木座それに留美、二人を囲むように左に一色、雪ノ下右に三浦、由比ヶ浜だ」

 

幅が狭いため由比ヶ浜が中央ではなく戦闘する位置になってしまった為に、由比ヶ浜の荷物も材木座に持ってもらっている。

 

「由比ヶ浜....この並びで大丈夫か?」

 

「うん。怖いけど....大丈夫!あたしだって皆を守って見せるんだから!」

 

「結衣だけじゃないし、あーしもいるから、あんたは前だけ見てなって。あんたが後ろ気にして死んだら意味ないっしょ?」

 

この頃三浦がやけに優しく感じる....いや三浦は最初からこんな感じなのかもしれない。

 

「ああ、ありがとな。それじゃあ中に入る、灯りが無いから何時もより危ない.......灯りか....」

 

「比企谷君どうかした?」

 

「いえ、灯りなら松明でも良いのではと思ったので」

 

この場所には手頃な木もあるし車にタオルもありガソリンは車から取ればいいし、マッチがある。

 

「成る程ね。紐もあるし、松の木もあるし....確かに作れそうだね」

 

「陽乃さんは、松明の作り方知ってますか?」

 

一応知ってはいるが俺の記憶では危険なので一応聞いておく。

 

「勿論知ってるわよ。大学のサークルでサバイバルの体験をしたこともあるし」

 

この人本当に隙がないな....完璧な自分を作らなくても充分完璧だと思う。

 

「それではお願いしても良いですか?出来れば2つ欲しいですね」

 

「それじゃあ、作ろっか援護お願いね?」

 

「勿論ですよ」

 

陽乃さん以外は、ゾンビや人が近寄って来ないことを確認しながら松明が出来るのを待った。

 

「ここをこう縛って...と。よし2本目完成」

 

「おお...」

 

「それで比企谷君、これどうやって燃やすの?」

 

「ガソリンで火を付ければ良いと思いましたが」

 

「あー.....ガソリンだと爆発しちゃうわよ?」

 

「え?」

 

「揮発性が高いしガソリンに火を付ければ爆発しちゃうからもって歩ける物にはならないわよ?一気に燃やすならガソリンでも良いと思うけど警察署を燃やすわけではないんでしょ?」

 

そりゃそんな気はないですよ!てかガソリンだと爆発するとか普通に知らなかった....てか考えてみれば普通の事か....爆発のエネルギーを使って車を動かしてるって聞いたことあるし.....。

 

まだ火は点火されていない、見た目は正しく松明を俺は眺める。

 

「因みに灯油があればベストなんだけどね」

 

灯油か......それなら。

 

「あのツナ缶の油ならどうでしょうか?」

 

「ツナ缶の油かぁ....」

 

「ねえ、ヒッキー。ツナ缶の油って燃えるの?」

 

「ああ、この間テレビで見たが燃えるらしいんだ」

 

「あのー先輩」

 

「ん?どうした、一色」

 

「難しい話をしているところ悪いんですけど今はまだ春先なので....普通にストーブ置いてあると思うので灯油をストーブから貰えば良いのではないですかね?」

 

「........」

 

「あ、あれ?先輩?」

 

「それだ。その手があったのか....」

 

「先ずは入ってすぐの部屋でストーブ探しですね」

 

「だな。皆、取り合えず一度中に入ってストーブを」

 

「お兄ちゃん」

 

「ん?どうした小町」

 

「ストーブならここからでも見えるよ?入ってすぐのところに」

 

あーありました。普通にストーブありましたわ。

 

「......行くか」

 

 

 




ようやく、そろそろ平塚先生が登場するかもしれません。

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