Highschool of the Dead ~比企谷八幡の選択~ 作:隣の三下君
※修正しました。3月21日。
連写→連射
銃声のお陰で奴等が減り警察署に辿り着くことが出来た俺と由比ヶ浜は警察署の周りを探して見たが皆を見つけることは出来なかった。
「皆まだいないね」
「ああ。車だと音も出るし通れる場所も限られるからな。それよりも....」
先程の銃声は鳴り終え辺りは再び静かになっていた。
「ここにいるのも危険だな」
「え?どうして」
「さっきの銃声が聞こえなくなった。奴等に殺されて奴等になったか逃げたか....後者ならここにいるのはまずい。だから最低限見渡しが良いところに移動したい。陽乃さんたちも見付けられるかもしれないしな」
「あっそうか。それじゃあ、警察署に入る?」
「....一番はそれが良いんだろうが二人では入りたくない」
「どうして?」
「危険すぎるからな。警察署だって中は荒れてるだろうし建物の中は死角が多い、もしも奴等が突然物陰から現れたら二人とも殺られる可能性もある」
「んー.....それじゃあどうするの?」
「一番はここで陽乃さん達と合流することだったんだけどな」
それにもう一つ不安要素はあった。
人は心の拠り所を探し安心し自我を保つ。
今で言えば警察がそれに当たる。こんな状況にあっても心の何処かでは警察なら、と思ってしまうのはそのためだ。
真実から目を背け自我を保つため自分を偽っている。
だから何度も警察署を見てしまう。
荒れた駐車場、割れた窓ガラス、誰一人として人影が見えない状況全てが今の状況を物語っているのにも関わらず希望は捨てきれないでいる。
「ヒッキー....どうしよう」
由比ヶ浜が心配して話しかけてくる。
仮にだが俺一人ならこのまま警察署に入っているだろう、だけど由比ヶ浜が一緒だと......。
先程から最悪な未来のビジョンばかりが頭に浮かび歯を噛み締める。
「.......」
「ヒッキー?」
どうすればいい?どうすれば守れる?
「.......」
「ねえヒッキーてば」
俺ならどうでもいい。今は由比ヶ浜さえ守れれば。
「......」
「ヒッキー!」
「うおっ!?」
由比ヶ浜は荒くなった息のまま俺の肩を掴み涙目で俺を見ていた。
真っ直ぐな目で見られ思わず目をそらす俺の顔を両手で押さえられまた目を合わせられる。
「逃げんなし。ヒッキー今、自分はどうなっても良いって考えてた?」
「......」
真っ直ぐで強い瞳。だけど手は震えていた。
「ヒッキー、昨日も言ったよね?自分を犠牲にしないでって。ヒッキーが死んじゃうなんて嫌だって」
「......俺が何を考えてるかなんてお前に分かるわけ」
「分かるよ!」
「......」
「分かるに決まってんじゃん。ねえヒッキー、前にさヒッキーが本物がほしいって私とゆきのんに言ったことあったの覚えてる?」
忘れるはずがない。あの時家に帰ってソファーの上で悶えたんだからな。
「ああ....」
「ヒッキーにとっての本物って何?」
「俺にとっての....本物........」
「あたし達を守って死ぬこと?」
「.......俺は.........」
「そんなのが本物ならあたしは偽物で良いよ!」
「っ!」
「あたしは、あたしにとっての本物はこれから先皆で笑いあって手を繋いで生きていく事。誰が欠けても叶わない!こんな状況で馬鹿だろって言われたって構わない!あたしは馬鹿だもん。でも.....あたしはもう何一つ失いたくないの!それはヒッキーもなんだよ!」
「由比ヶ浜.......」
「欲張りなのかもしれない。でも、でもねあたしは欲張りがいけないなんて思わない!」
「......」
「だからさ、ヒッキー。あたし達が全員生き残れるように考えてよ.....ヒッキーだけがいなくなる未来なんて考えないで......」
由比ヶ浜は泣き崩れるように俺に寄りかかってくる。俺は由比ヶ浜を優しく抱き止める。
「由比ヶ浜...分かった。警察署の中に入って4階か5階に行こう。奴等はいるだろうけど会議室に入ってしまえば大分安全にはなるだろうからな」
「ヒッキー」
俺は由比ヶ浜を離し落ちていた手頃な石を20ほど拾い上着とズボンのポケットにしまい立入禁止と書かれた紙の端に鉄パイプでくくりつけてあったので紙だけ剥がし鉄パイプを持ち拳銃は何時でも出せるようにベルトに挟んで一旦閉まった。
「ヒッキー、石なんて拾って何に使うの?」
「ああ、色々とな」
「ふーん。それに銃はしまって鉄パイプにするの?」
「ああ。拳銃だと響くから奴等が集まってくるし何より跳弾も怖いからな」
「へえ。なんかヒッキーすごいね」
「凄くなんかねえよ......」
本当に凄いのはお前だ.......由比ヶ浜。
「それじゃ中に入ってくぞ。出来るだけ離れないでくれ、そして確認だが奴等に出くわしても殆どの対処は俺がする。由比ヶ浜は自分の身だけ守ってくれ」
「え、でもそんなの....」
「別に俺の命を無駄にしてるって訳じゃない。単純にその方がやり易いだけだ、由比ヶ浜は木刀だから頭を潰すというよりは木刀で奴等を階段から落とすか距離が少しでも離れるように攻撃してほしい。間違っても倒そうなんて思うなよ?」
「倒した方が安全にはなるんじゃないの?」
「一体一体倒してたら足止めされてるのと同じだ。取り囲まれちまう。それに相手の数も分からないし力が強いのは知ってるだろ?捕まれたら終わりなんだ」
「う、うん。分かった」
俺と由比ヶ浜は警察署の扉を開けて中に入り辺りを見渡して気付いた事があった。
「意外と暗いな....」
「う、うん.....階段は少し行きたくないかも.....」
時間的には昼間だがシャッターも閉まっているし電気も付いていないせいで階段は殆ど真っ暗になっていた。
「先に灯りになるものを見つけないとな」
「で、でも....そんなのあるのかな?」
大体のある場所の予想は付いていた。だけど俺と由比ヶ浜だけでは入ることも困難であろう場所だった。
「ある場所に検討はついてる....」
「え!?どこにあるの!?」
「恐らく武器庫にある、と思う」
「武器庫?」
「ああ」
武器庫は暗いだろうし非常用に懐中電灯があってもおかしくはないだろう。
「それじゃあ早く武器庫に行こうよ!」
「だけど、多分開けられないt「バァン」!?」
俺が開けられないと言いかけると外で銃声が聞こえた。
俺と由比ヶ浜が慌てて外を見ると先程の男が笑いながらある車に向かって銃を乱射していた。
「嘘......」
「くそっ!」
銃で打たれていたのは陽乃さん達が乗っている車で今のところなんとか交わしてはいるがいつ当たってもおかしくない状況だった。
「(やっぱり逃げてたのか...どうする。ここに由比ヶ浜を残しておけば奴等に襲われるかもしれない、かといって連れてけば......いや、そうじゃない、な。)」
「由比ヶ浜」
「ヒッキー....」
由比ヶ浜は心配そうに俺の服の袖を掴みながら聞いてくる。
「二人で皆を助けるぞ」
「うんっ!」
キュルルルルという音がした。どうやら車のタイヤに銃の球が当たってしまったようだ。
もう時間がない。
俺には、陽乃さんや雪ノ下のような銃の遠距離狙撃なんて出来ない。
でもやれる事だってある。
「由比ヶ浜お前はこれを持って俺が合図したらそれをあそこにいる奴に投げてくれ。投げたあとは直ぐに建物に身を隠してくれ」
「え、でもこれって....」
俺は由比ヶ浜に、先程渡した石のつぶてを10個渡して背負っていた鞄を下ろしてベルトに入れておいた銃を左手で持って右手で鉄パイプを握りしめた。
怖い....怖くて、先程から手の震えが止まらない。
でも失いたくない。
鉄パイプを強く握りしめ恐怖を振り払うように顔を振り深呼吸をして落ち着かせる。
「由比ヶ浜俺を信じてくれ」
「....分かった。ヒッキー気を付けてね」
「ああ。由比ヶ浜も後ろに気を付けろよ。いつ奴等が襲ってきてもおかしくないからな」
「分かった!」
一色side
「はははははは!!ほらほら!出てこいよぉ!全部全部俺が壊して殺してやるからよぉ!!」
「もう!何なんですか!先輩に会えると思ったら最悪ですよ!」
「一色さん、今はそんなことを言ってる場合ではないわ.....姉さんどうしましょう」
「うーん....流石に困ったね。ああも連射してこられると手の出しようがないし....ショットガンにマシンガンを両手撃ちで撃ってきてるから下手に出たら蜂の巣だろうね」
「でもこのままでも危ないと思うよ!もしガソリンに引火したら....」
「ぬほー!そ、それは困るぞ!な、何かないのか.......」
「ひははははははは!!!どうしたぁ!?そのまま死にてえのか!?」
「うえーん。このまま死んじゃうのかな....」
「何馬鹿なこと言ってるんですか!先輩に会うまで死ねませんよ!」
「にゃー」
「カー君危ないから鞄から出てきちゃ駄目。お兄ちゃん....早く助けて.....」
「ヒキオ.....今どこにいるし」
「比企谷君....」
「由比ヶ浜さんも無事でしょうね、比企谷君......二人で生きてないと許さないわ」
「いやいや雪ノ下先輩.....今はこちらもピンチなのでなんとか打開策を考えてください!」
「大丈夫よ....」
「え?」
「だって---------------------彼がいるもの」
私達は全員がある一点に目を向けました。するとそこには先輩が奴に鉄パイプを投げ捨て銃を乱射してるところでした。
奴は先輩に気付き銃を慌てて先輩に向き変えた瞬間雪ノ下先輩とハルさん先輩は車体から乗りだし銃を構えて、そして。
バァン、バァン。
2発の乾いた銃声の音がした後辺りは静かになりました。
八幡side
注意があっちに向いている今だけがチャンスだ。俺はステルスヒッキーを全開にして近付き鉄パイプを投げ捨て銃を当てずっぽうだが撃った。
すると奴は気付き此方に振り返りそのまま銃を乱射しようとしたが二つの銃声の音がして奴の手から銃が落ち投げ捨てた鉄パイプが顔面に当たり前のめりに倒れた。
俺が撃った拳銃の弾は全て外れたようだが結果オーライ、だよな?
奴が倒れたことを確認してか由比ヶ浜も警察署から出てきて俺を素通りして前から歩いてきた雪ノ下に抱きついた。
べ、別に寂しいとか思ってないし?少しくらい労いの言葉とかほしいなーとか思ってないし?
「ゆきのーん!!」
「由比ヶ浜さん.......」
「ゆきのん、ゆきのん!ゆきのん!!」
「由比ヶ浜さん、良かったわ。無事で本当に.....」
由比ヶ浜は雪ノ下に抱き付きながら泣き崩れ雪ノ下も泣いていた。
俺はその涙を見て、二人の笑顔を見てその場に崩れ落ちた。
体的に限界だったのだろう。食事もほぼ食べず快眠とは言えない眠り。そして極め付きは精神的な疲労感。
目が朦朧として膝が手がおぼつかない。
固い地面にそのまま顔から.........落ちることはなかった。
落ちた先は意外にも柔らかく優しく俺を包んでくれていた。
「先輩.....お疲れ様でした」
「ああ。て悪い、一色....こんな」
自分の状況を確認すると一色の胸に頭を倒している状況だった。
見た目以上にはあるのかその胸の柔らかさは今の俺には麻薬にも似た満足感を与える。
「良いんです。先輩....暫くこのままで」
「でも、お前...」
「お願いします。このままで......このままいてください」
「.....」
一色の涙が雫となって俺の頬を伝い落ちていく。俺はそのままこの状況に身を委ねる事にした。
由比ヶ浜さんの一人称の修正が予想以上にかかっております...すいません。