相模南の奉仕活動日誌   作:ぶーちゃん☆

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ハッピーバースデーいろはすー☆(関係無かった)


そんないろはすの生誕祭にお贈りしますのは、ついに最終回を迎える『相模南の奉仕活動日誌』であります!

なぜに今日?なぜにこの時間?と言いますと、なんと二年前の今日のこの時間は、前作『あいつの罪とうちの罰』を初めて投稿した記念すべき日時なのです。知ってる人しか知らないと思いますが。

なので初投稿からちょうど丸二年の今日この時間に、こちらの作品を締めさせていただきたいと思っております!


ではでは最終回です!どぞ!





vol.16 そして相模南は想い出を書き足していく

 

 

 

 ──もしかしてだが、気にしてたりすんのか……? ……一年前の今日、ここで俺と会ったこと。

 

 

 

 喧騒の中でもはっきりと聞こえたその声。

 そんな比企谷からの思いがけない言葉に、うちはまじまじとこいつの顔を見つめてしまう。だから──

 

「……え、なに言ってんの?」

 

 平静を装って吐き出したその言葉にも、何一つ説得力なんてありはしない。

 目は口ほどに物を言う……だっけ? 昔の人はよく言ったもんよね。

 

「いや、だってここって一年前とぴったり同じ場所じゃねぇか──」

 

「……」

 

「……いや、別になんでもねーわ」

 

 でも比企谷はそれ以上は追及してこなかった。うちが言いたくない事を無理に聞こうなんてしないんだろう。

 

 ……うん。確かにあんま自分から好き好んで言いたいような話じゃないよね、こんな話。

 

「…………じゃん」

 

「あ? なんか言ったか?」

 

「……気にしてないわけ、ないじゃん……」

 

 でもうちは口を開いてしまう。言ってしまう……

 今日はホントの目的を話すつもりなんか無かったけど、結局はうちの失態でこいつに言い当てられてしまったから。

 言い当てられてこんなにも動揺しちゃってるのに……失態に失態を重ねちゃってるのに、それなのにまだ意地を張って本心を言えなかったら、それこそこのまま終わっちゃいそうなんだもん。こいつとうちの関係。

 

「だってちょうど一年前にあんたとここで会った時、うちはあんたを蔑んだ目でバカにしたんだよ……? 正直比企谷の事なんてあの日まで存在さえ認識してなかったのに、なんにも知らなかったのに。……それなのに、知りもしないくせに、うちは比企谷を見下して嗤った。比企谷と一緒に居たゆいちゃんをざまぁって嗤った。……そんなの、気にしてないわけ、ないじゃない……」

 

 そんなの、今のうちには気にするなっていう方が無理あるよ。よく知りもしない相手のことを下に見てバカにする事の愚かさを知っちゃった今は。

 実はそれは単なる身勝手な思い込みでした! 実際はバカにしてた相手の方が上でした! ……なんて残酷なリアルを知ってしまった時の惨めさと恥ずかしさって半端ないもん。

 

「……だからうちは、あの苦い思い出を……比企谷のいうところの黒歴史をいい想い出で……楽しい想い出で塗り潰したくて、今日あんたをここに連れてきたの」

 

 

 ──ああ、言っちゃったなぁ、かっこ悪過ぎる本音。なんてめんどくさい女なんだろ。比企谷にはなんにも言わず、ただ楽しく今日という日を過ごして、思い出を書き換えたかったのになぁ……

 かっこ悪いって思われちゃったかな。呆れられちゃったかな。もうめんどくさくて花火どころじゃなくなっちゃうかな。

 

「……はぁ〜」

 

 隣から聞こえた深い深いため息。ああ、やっぱめんどくさくなっちゃったよね、こんなめんどくさい女。

 

「やっぱホントめんどくせぇ奴だな、お前って」

 

「……う」

 

 めんどくさいって……そう思われただろう事は覚悟はしてたけれど、いざ面と向かって言われるとやっぱクる……

 

「悪かったわね……どうせめんどくさい女ですようちは」

 

「うっわ、そういうところがマジめんどくさい」

 

「っさい……!」

 

 あぁもう! やっぱマジムカつく! 自覚してんだからそこまで追い込んでこなくたってよくない!?

 

 だからうちはどこまでも無神経なこいつを恨みがましくギロッと睨めつけてやったんだけど、うちが見た比企谷の顔は、思ってたような顔──バカにするような顔でもうんざりしているような顔でもなくって、ただただ呆れはてているような顔だった。やれやれと、手間の掛かる妹でもあやすかのような、優しいお兄ちゃんみたいな顔。

 ……もっとも現実は、いつも出来のいい小町ちゃんに呆れられてる手間の掛かるお兄ちゃんなんだけどね。

 

「……ったく。おかしいとは思ったんだよ。いきなり日にち指定してくるわいきなり花火大会に連れて来られるわ。……まさかあんな下らないこと未だに気にしてるとはな」

 

「く、下らないってなによ。うちにとっては一大事なんだけど!?」

 

「下らねぇよ。気にしすぎだっつの。……俺の事なにも知らないクセに見下して嗤った? そんなの当たり前じゃね? 人間なんて見たことない相手だったら、誰だって第一印象から入るに決まってんだろ」

 

 そりゃ確かにそうかもしんないけど、でも……

 

「言っとくがあれだぞ。俺だってあの日お前のムカつく嗤い顔みた瞬間に、うわ、こいつ一発殴りたいわーとか思ったぞ」

 

 な、殴っ……!?

 

「それに文化祭の時なんか、嬉しそうに葉山に話し掛けてるお前のセリフでこっそり字幕ゲームとか楽しんでたしな。『三浦さん、いつもと違って超元気だよねー、頼りになるっていうか』を『三浦のヤツ普段よりうっせーし、しゃしゃり出てきてうざいわー』とか『でも、うちのいいとこってそんなないしー』を『ほら、今自虐的! 褒めて、葉山くんが褒めて!』とか変換して」

 

「酷くない!?」

 

 さすがのうちでもそこまでは思ってなかったから!

 い、いやいや、でもそれだって……

 

「だってそれはあれじゃん……! うちが比企谷見て見下したのを感じとったからじゃん。……それってやっぱ、うちが悪いんじゃん……!」

 

「それにあれだ。俺由比ヶ浜と初めて対面した時、見た目と普段の教室での態度だけでこいつビッチだってレッテル付けしたからな。なんなら初対面で直接「このビッチが」って言っちゃったまである」

 

「初対面の女子にビッチはさすがになくない!?」

 

 うっわぁ……いくらなんでもそれは酷いよ比企谷……。セクハラで訴えられてもおかしくないって……

 

「おう、酷いだろ」

 

 そう言って比企谷はなぜかえへんと胸を張る。なにそのキモくて悪そうなドヤ顔、腹立つなぁ。

 

「で、キモいとか死ねとか言われてな。酷くね? 人様の命に関わる言葉を軽々しく口にしやがって。だから俺は言ってやったんだ。ぶっ殺すぞ、と」

 

 おい。

 

「ちなみに初対面の時の俺に対する雪ノ下はもっと凄まじかったぞ。まず平塚先生に紹介された時の第一声が「で、このぬぼーっとした人はなんですか?」みたいなセリフだったからな。生ゴミでも見るかのようなすげー蔑んだ目で」

 

 うわぁ……

 

「それからはあれだ。「殴るなり蹴るなりして躾ければいい」とか、ブレザーの襟を掻き合わせるようにして「そこの男の下心に満ちた下卑た目を見ていると身の危険を感じる」とか散々言われた」

 

「もういいよ!? なんか聞いてて辛くなってきた!」

 

「ちなみにそのとき俺は内心で「お前の慎ましすぎる胸なんて見てねぇから」と嘲笑ったりしてたな。さすがにそれを口にしたら殺されると思ったから恐くて言えなかったが」

 

 あんたも大概だよね……

 

「それに一色だってそうだ。初めて会った時は特大の地雷扱いしたもんだ。男に媚び売りまくって同性にすげぇ嫌われてそうだなこいつ、絶対に近寄りたくないタイプだわってな。いや、それはまぁそんなに間違ってはいなかったんだが」

 

 うん、それは確かに……

 

「だが蓋を開けてみたら、あいつ意外と根は真面目だし結構いい奴だし、今ではすっかり奉仕部にも馴染んじゃったしな。……正直あいつが初めて部室を訪ねてきた時は、そんなの想像すらしてなかったわ」

 

「……」

 

 ……そっかぁ。今でこそあんな優しい空気に満ち溢れているあの部室でも、最初はそんな感じだったんだ。

 でも、なんか意外だなぁ。今では思わず嫉妬しちゃうくらいにあんなにも仲良しなのに、それでも出会い方はみんな最悪レベルの印象だっただなんて。

 ……って、あ、あれ……?

 

「……理解したか? つまりはそういう事だ。人間、どんなにいい人を装おうがどんなに達観したつもりになっていようが、所詮第一印象は身勝手な価値観の押し付けから始まっちまうもんだ。相手の事なんてなにも知らないくせに「この人いい人そう」だの「こいつランク低そう」だのと一方的に決め付けてな。他人から価値観を押し付けられて理解したつもりになられるのが何よりも嫌いな俺でさえ、自分が嫌がる事を他人にはしてんだよ」

 

「そっ……か」

 

「おう。だから別にあの時のお前が特別だったってわけじゃない。大なり小なり、人は誰だって他人にレッテル付けするもんだろ。……で、いざ付き合ってく内に最初に張りつけたレッテルと実物の違いに戸惑ったり悶えたりするもんなんじゃねーの? 人付き合い経験があんま無いから知らんけど」

 

「……うん」

 

 そっか。そんなに特別な事じゃないのか。初めは誰だって第一印象を押し付けちゃうのか。

 

「まぁ初見で相手を見下したのがバレバレになる相模の小物っぷりと底意地の悪さはさすがだがな。普通もっと上手く隠すだろ」

 

「……う"」

 

 も、申し開きもございません……普段なら悪態吐いて脛あたりに軽く蹴りでも入れたいとこだけど、こればっかりはなんも言い返せない……。まぁそれはあんただけには言われたくないけど。

 

 くっそ、比企谷め。そこまで上げといて、また落とさなくたっていいじゃんか。あ〜! やっぱこいつムカつくぅ!

 

「……でもま、それがあってこその今と考えりゃ、そう悪い事でもないんじゃねぇの?」

 

「……え?」

 

「だってお前、アレがなきゃお前たぶん文実にはならなかっただろ。アレがあったからこその文実決めの時の由比ヶ浜への嫌がらせだろ? それが無かったら、葉山が文実としてお前を推したと思うか? いや、実際に名前を出したのは戸部だが」

 

「あ」

 

 そういえばそうだ! 確か文実決めのとき比企谷が文実に決まったのを見て、これは花火大会に引き続いて嘲笑えると思ったから、うちはゆいちゃんを推薦したんだ。

 それに見兼ねた葉山くんがうちを推したからこそ文実やろうって決めたんだっけ。

 

 あの時のうち、憧れの葉山くんに持ち上げられた事で有頂天になっちゃったからなぁ……今考えれば、あれってどう考えても場を落ち着ける為に葉山くんに乗せられただけの見事なピエロっぷりなんだけど。

 なにそれ今更ながらの新たな黒歴史発見。死にたい。

 

「……で、文実になったからこその委員長。委員長になったからこそのあの大惨事。あの大惨事があったからこその今だろ? 逆説的に去年の花火大会が無かったら、お前今ごろゆっこと遥と一緒になって、誰かに蔑んだ冷笑を向けてたかもしんないんだぞ? それでも良かったか?」

 

「それは絶対にやだ!」

 

 それだけは絶対に無理だ。もううちはあんな目で人を……比企谷を見たくない……

 

「だろ? だったら、別に無理に過去の自分を否定とかしなくたっていいんじゃねーの? 無理に思い出とやらを違う思い出で塗り潰さなくたっていいんじゃねーの?」

 

 

「否定……?」

 

 なんで……? ダメダメだった頃の自分なんて否定して当然じゃん。なにがダメなの……?

 

 すると、比企谷は少し照れ臭そうにこんな持論を語りだす。

 

「あー、なんつーか……俺は昔っからこう考えてんだわ。昔最低だった自分を、今どん底の自分を認められないで、一体いつ誰を認める事が出来るんだ。今までの自分を否定して、これからの自分を肯定する事なんて出来るのか。否定して上書きするくらいで変われるなんて思うなよ……ってな」

 

 『あの日の苦い思い出を楽しい想い出で塗り潰したかった』

 うちの今日の本当の目的を根本から揺るがすような比企谷の言葉。

 

「……あ」

 

 そんな比企谷の言葉に、ふといつかの光景が頭を過った。

 

「……前に話した通り、俺の人生はとんでもない程の痛い黒歴史だらけだ。……でもな、俺は別にその黒歴史を否定もしなければ後悔もしていない。だってその痛い経験がなかったら、少なくとも今の俺は存在できてないわけだろ」

 

「今の、比企谷……?」

 

「……おう。そもそも俺は中学時代に大量の黒歴史を背負ってきたからこそ、とんでもなくアホな作文書いて平塚先生に目を付けられた。それがあるからこその奉仕部強制入部であり、今の俺だ」

 

「……うん」

 

「で……まぁ、なんだ。相模と同じように、何だかんだ言って俺も今の毎日が結構悪くないとか思ってるわけだ。……いや…………気に入ってる」

 

 そう言って真っ赤になった比企谷は、ぷいっと斜め上に視線を向ける。

 こいつも自分から素直に“気に入ってる”とかって認められるんだね。

 あはは、なんか超レアな現場に立ち合っちゃった。うちの為に恥ずかしい思いをしてまで言ってくれてるんだろうけど。

 

「……気に入ってるもんを手に入れられたのは、それもこれも過去の最低だった自分が色々とやらかしてくれたおかげだろ。だったら過去の自分を今の俺が否定しちゃったら過去の自分に悪くね? だってそいつが居なかったら、今俺はその気に入ってるもんを手に入れられてないわけだしな」

 

 ああ、そうか。うちはまた同じ勘違いを繰り返すところだったのか。

 

 さっきうちの頭にふと過った光景。それは学校復帰初日、沙織ちゃん達に連れられてトイレに行った時に起きた出来事。

 

 トイレから戻ったうちの目に映ったのは、真新しい机に新たに書き込まれた落書きと、それを見て強ばった表情を浮かべるうちを嘲笑う遥とゆっこの笑顔。

 その時うちは思ったではないか。

 

 

 ──ああ……。うちは道を踏み誤って良かったな。ハブられて痛い目にあって本当に良かった……

 

 

 って。

 つまりは比企谷の言う通り。どんなに恥ずべき黒歴史があったとしても、“それ”があるからこそ“今”がある。

 ハブられて痛い目にあってる最中はホントに辛くて死にたくもなったけど、いま思えばそれがあったからこそのNEW相模南なわけで、最低だった過去の自分が居なければ……痛い目をみて泣いてる自分が居なければ、今のうちはどこにも存在してないんだ。

 だったら過去の自分は否定しちゃいけない。あん時のあんたは最低最悪だったけど、でもあんたのおかげで今のうちが出来てる。だから良くやったねって認めてあげなきゃ、有り難うって言ってあげなきゃなんだよね。

 

 あの時そう思えたはずなのに……奉仕部に入部申請に行った時もそれに気付けてたはずなのに、なんかここんとこ色々ありすぎたから……うっかり幸せな気持ちになっちゃってたから……、またうちは同じ勘違いを繰り返すとこだった。

 ホント最近のうちって、不幸だったり幸せだったりが次々と襲ってきたからか、ちょっと情緒不安定すぎない? ま、文化祭ほっぽりだして逃げ出した時点で、前々から十分不安定な情緒ですけども。

 

「だよ、ね」

 

 やっばい。ちょー胸軽くなっちゃった。軽くなったって言っても雪ノ下さんよりはずっと重いですけど!

 何はともあれ……なんかこう、すーっと、悪い憑き物がようやく落ちたみたい。

 

 

 だから告げなくちゃ。うちにもう一度この事を思い出させてくれた比企谷にこの思いを。

 ……上手く、伝えられたらいいな。

 

「どんなカッコ悪い思い出だとしても、過去の思い出は塗り潰しちゃダメなんだよね。……塗り潰すんじゃなくって、……んー、なんつーの?」

 

 ふむ。やっぱりそう上手くは伝えられないか。いい言葉が思い浮かばない。すぐそこまで出かかってるんだけどなー。

 

「んー」

 

 …………あ、そうだ。あれだ!

 

「書き足して苦い思い出を笑い話にしちゃう?」「書き足して黒歴史を笑い話にするとかか?」

 

「……あ」

 

「……あ」

 

 つい重なってしまったセリフと思考。しばし見つめ合う二人。

 なんとも照れ臭くて仕方がないけれど、でも次第に沸き上がってくる違う感情。

 

「ぷっ」

 

「くくっ」

 

 照れ臭いというシンプルな感情に勝った、笑える! というこれまた単純でストレートな感情に、なにがそこまで可笑しいのやら、うちと比企谷は顔を見合せてたまらず笑い合う。

 苦しげにヒィーヒィー言いながらも、でも心は苦しいどころかとても晴れ晴れしているわけで。

 

 男女二人が手を繋いで向かい合って爆笑している姿は、混み合うオーディエンスからしたらさぞや滑稽だろうけど、でもうちはそんな視線なんか一切気にせず笑いまくるのだ。

 

 

 ──思い出という日誌を塗り潰すんじゃなくて、思い出という日誌に新しい活動を書き足して、苦い思い出を笑い話にしちゃう、かぁ。

 うんうん。なかなか素敵な響きだ。

 

 だったらついでにアレにも新しい活動を書き足してやろうじゃんか。うちの最大級の黒歴史を最高にハッピーにしてくれる、最っ高で特大(とっくだい)の想い出を!

 

 

× × ×

 

 

「おー、キレー!」

 

「おぉ……!」

 

 どーん! ぱーん! と、うちの浅い語彙力では上手く表現しきれない程の凄い光と音が、真っ暗な夜空に大輪の花を次々咲かす。それはもう見事な満開っぷり。

 

「すっごいね」

 

「おう。だな」

 

 去年も見たはずなのに、今年は去年とはまったく違って見える満開の花々。気持ちの違いだけでここまで違うものなのかと、我ながら驚きを隠せない。

 ごめんね沙織ちゃん由紀ちゃん。いや、去年二人と見た花火も十分綺麗だったのよ? ただ今年は特別中の特別だからさ。だって右手には未だに誰かさんの温もりが握られてるんだもん。

 

 

 

 ひとしきり笑って笑って笑いまくって、いい加減に満足したうち達は、周りからの奇異の眼差しから逃げるようにそそくさと場所取りへと向かった。

 さすがに会場の公園内は人でごった返していて、座れるような観覧スペースはもう残ってないんじゃないかと思われるほどだったけれど、若干狭いながらも運良く二人分の隙間を見つけ、そこに事前に用意しておいたシートを拡げた。

 

 シートを拡げる際には繋いだ手を離そうとする比企谷と、繋ぎっぱなしのままでいようとするうちとの間にひとバトルが勃発したものの、勿論うちが負けるわけはなく「拡げづれーよ……」とぶつぶつ文句を言う比企谷にぺしぺし攻撃を与えつつ、うちもあいてる左手でシートを拡げるのを協力してあげたのだ。つまりは初めての協同作業をしちゃったってわけ。ひひっ。

 うちってヘタレのくせして、こういう時だけはなんか知んないけど妙に強気なのよね。もしかしたらこの調子に乗りやすい厄介な性格が、こういう時だけ上手い具合に作用してんのかも。

 

 あ、そういえば観覧スペースを探してる最中、うちが間違って有料席の方に行きそうになった時、比企谷のヤツ必死の形相でうちを止めてたけど、あれってなんだったんだろ。大魔王がどうとかエンカウントがどうとか意味分かんないこと言ってたけど。ま、こいつが意味分かんないのは今に始まった事じゃないからいいんだけどね。

 

 

 とまぁそんなわけで、現在は待望の花火をまったりと観覧中なのである。

 空を見上げれば大輪の花々。ちらりと横を見やれば好きな男。そして自分に目を向ければ最高に可愛い浴衣姿のうち。うん、やばいくらい幸せ。

 

「ねぇ比企谷ー」

 

 でもうちはさらに先に待っているであろうもっと大きな幸せの為に……新たな活動を思い出という名の日誌に書き加える為に、今この瞬間の小さな幸せをほっぽりだして、こいつと大切なお話をしたいと思う。

 

「んだよ」

 

 夜空に大きく広がったスターマインにご満悦だった比企谷は、うちからの不意の問いかけに不機嫌そうな声を漏らす。

 なんか花火に集中しちゃってるとこゴメンね? でもちょっとだけ話を聞いて欲しいんだ。

 

「……チッ、なにその態度ムカつくー」

 

 全然ゴメンとか思ってなかった。

 

「あのさー」

 

 そしてうちはこいつにとある事を発表するのだ。前々から少しだけ考えてたんだけど、ついさっき完全に決定したばかりのこの先のうちの活動報告を。

 

「もうちょいで夏休み終わるじゃない? そしたらすぐ文化祭の準備とか始まるじゃん?」

 

「……あ? そりゃ確かに始まるんだろうが、今それ話さなくちゃなんねーの?」

 

「だからさー」

 

「おい、人の話を聞けよ」

 

 半ば呆れ気味な比企谷はまるっと無視してうちは発表します! 相模南の今後の活動について!

 

「うちさ、文実やろっかなって思ってる」

 

「は? ……マジ、か……?」

 

「うん。マジマジ」

 

 うちの発表になんとも驚愕の表情を浮かべる比企谷。

 そりゃそうよね。普通に考えたらこんなの公開処刑だもん。

 

「……お前ってドMかなんかか? どっちかっつーとSっ気たっぷりかと思ってたんだが」

 

「うっさい、可愛い女子にMとかSとか言うな。セクハラで通報するかんね」

 

 左手でぼさぼさの頭にぺしっとチョップしてやったら、比企谷は目を腐らせて「やっぱSじゃねーか……」とかぼそぼそ言ってる。ま、もちろん無視の方向で。

 

「そりゃ、ね。去年のあの伝説の実行委員長がまた文実やりに来た姿なんか見たら、うちの委員っぷりを知ってる現二年と三年からしたらそれはもう完全に笑い者だとは思うよ? なんなら失笑?」

 

「……分かってんじゃねーか」

 

「うん。分かってる。それ以前にクラスで爆笑の渦に巻き込まれるかもねー。だってさ、あの相模南がだよ? 文実に立候補すんだよ? ヤバいマジで笑えるんだけど!」

 

 いくらうちの背中に優美子ちゃんのご加護があるとは言ったって、我がクラスのHRには優美子ちゃんは居ないのだ。

 そんな中うちが立候補しようものなら、クラス中で爆笑ないし失笑が起きるだろう。

 

 

「……それが分かってんのにやんのかよ。やっぱお前真性のドMだな」

 

「だからうっさい。……んー、でもま、あはは、そーかもね。こんなのよっぽどのMじゃなきゃ出来ないよねー」

 

 まぁこんな超打たれ弱いMが居るわけないんだけど。Mなのに豆腐メンタルとか、なんか一瞬で昇天しちゃいそう。

 

 それでもうちは決めたのよ。どんなに笑われようがどんなに蔑まれようが、もう一度文化祭実行委員を。

 

「ま、三年だから委員長にはなれないんだけど、……それでも、やってみようって思ってるんだよね。まだうちの中で塗り潰したい……じゃなくって──」

 

 そしてうちは比企谷の目を真っ直ぐに見つめて、イタズラっぽくひひっと笑ってみせる。

 

 

「──書き足して、楽しい想い出にしちゃいたい黒歴史の代表格の中のひとつだからねっ、あの文実ってヤツは」

 

 そう言って不敵な笑みをプレゼントしてやると、こいつもニヤリと超キモい顔をうちにお裾分け。

 

「そうか。まぁ適当に頑張ればいいんじゃねーの? せいぜいまた逃げ出さないようにしとけ」

 

「は?」

 

 うちを小馬鹿にするようなムカつく言い回しで一応は応援してくれた比企谷だけど、残念ながらこいつは大きな思い違いをしている。

 ばっかじゃないの? 頑張んのはうちだけじゃないからね?

 

「なに言ってんの? 比企谷も一緒に文実やんだからね?」

 

「え、なに言ってんの?」

 

「え、なに言ってんの? 比企谷も文実やるに決まってんじゃん」

 

「いや待て落ち着け待て。どこにも決まっている要素がなくてむしろ俺が落ち着かないまである」

 

 あんたが落ち着かないのかよ。

 

「言っとくけどうちは超落ち着いてるから。落ち着きすぎてて今ヨガ中なのかと錯覚しちゃってるまである」

 

「リラックスしすぎだろ……。いや、お前がインドの神秘に身を委ねようがそんなことはどうでもいいからとりあえず一旦置いておけ。なんで俺が文実やらなくちゃなんねーんだよ。今年受験生の俺にはそんな事してる暇ねぇから」

 

「うちだって受験生でしょうが」

 

「それはお前が自主的にやりたい以上なんの問題もないだろ。俺は自主的にやりたくない。つまり受験生だからという言い訳は成り立つ」

 

 やっぱ言い訳なんじゃん。

 

 でもどうせ比企谷が文実やる事になるなんて決まってんのよね。だってアレが居るんだから。

 

「いいじゃん文実。どうせあんた文実から逃げらんないって。だって今年は一色さんが文化祭の音頭を取るんだもん。比企谷なんて簡単に巻き込まれるに決まってんでしょ?」

 

 そう今年はアレが居るのだ。

 例年なら三年生であるはずの生徒会長は、あくまで文実の……実行委員長のサポートをする役割に徹する。

 でも今年の生徒会長は二年生。しかもアレ。絶対に自分の手で派手で目立つ文化祭にしたいはずだ。

 ならばヤツは間違いなく比企谷を頼る。むしろそれを口実にして比企谷に頼る可愛い後輩を演じるだろう。

 

「ぐっ……! 考えないようにしてたのに……。なんで夏休みがまだ数日も残ってんのに、今から辛い二学期のこと考えなきゃなんねーんだ……」

 

 悔しそうにぐぬぬ顔をしている比企谷には悪いけれど、うちに取ってはまぁ好都合なんだよね。そりゃあのあざとウザい後輩の存在は邪魔ではあるけども。

 

「へへー、観念したぁ? だから比企谷〜、一緒に文化祭盛り上げようぜー」

 

 とはいえ一色さんは一色さんで生徒会長兼実行委員長で忙しいだろうし、うちが比企谷を離さないでおけば問題はない、はず……?

 ……うん、無理かもしんない。あの子絶対比企谷から離れなさそう。ずっと隣に配置しといて仕事振りまくりそう。

 

 

 

 でも……それでもうちはもう一度こいつと文実がやりたい。

 

「……去年は散々だったから──って言っても自業自得だけど……でも、今年はちゃんとやって達成感を得たいんだよね。それが比企谷と一緒なら尚よし! だって面白そうじゃない? 去年の文実をメチャクチャにした二人が、翌年の文化祭を超盛り上げちゃうなんて」

 

 もっともメチャクチャにしたのはうち一人で、比企谷はメチャクチャにならないように悪者になっただけだけど。でも、表向きにはうちと比企谷がメチャクチャにしたと思われてるだろうからね。

 

 そしてそれはもしかしたら、文化祭には苦い思い出しかなさそうな比企谷の日誌にも、楽しい活動記録が書き足せるかもしれない。

 だからうちは比企谷と一緒に文化祭を盛り上げたいって、わりと真剣に思ってる。

 

「……だから、比企谷と文実やりたいとかマジで思ってんの。そんな笑える活動を想い出に書き足せたら、去年のしょーもない自分を笑い話に出来そうで。……ダメ、かな……?」

 

 すると比企谷は頭をがしがし掻いて深い深い溜め息をひとつ。

 

 

 ──こいつはいつもこうだ。こっちがおちゃらけた態度で話してると、こいつも冗談めかした適当な態度を取る。

 でもこっちが真剣な空気をまとって真っ直ぐに向き合うと、こいつもすぐに真っ直ぐな真剣さを返してくれる。

 

「……ったく、しゃあねぇなぁ。……じゃあまぁ、かなり後ろ向きではあるが、それなりに善処する事を検討することを考えとくわ」

 

「それ善処する可能性を全然期待出来ないから」

 

 ふふっ、でもその超後ろ向きなセリフとは裏腹に、あんたのその照れくさそうな表情が全部語ってんのよね。

 ……しゃーねぇから一緒にやってやるかぁ、って。

 

「だいたい善処もなにも、比企谷には二年連続で文実やるっていう選択肢しかないから」

 

 今のうちにはそんな事くらいもうお見通しだけど、それでもうちはやっぱりこうしてお馴染みの悪態を吐く。

 やっぱうちとあんたの関係って、こういう方が“らしい”もんね。

 

「……ひでぇ。てかそれ選択肢がないんだけど……」

 

 そして比企谷も、うちが知ってて言ってるであろうなんて分かってるクセに、こうして“らしく”返してくれる。

 

 ったくー、なんかもう長年連れ添った熟年夫婦みたいじゃない? くっそ、あまりのツーカーっぷりに、うちの口元はゆるゆるに弛みまくるしかないじゃんか。このタラシめ。

 

 

 

 

 ──あーあ〜、やっぱ好きだなぁ、こいつ。

 

 こういうバカみたいに捻くれてるとこもバカみたいに意地っ張りなとこもバカみたいに照れ屋でキモいとこもバカみたいに不器用で優しいとこも、バカみたいに好き。

 こんなバカの塊みたいなヤツには、こんなバカの塊みたいなしょーもない女の方が絶対似合うと思うのよね〜。完璧超人とかトップカーストとか計算高くて可愛い妹分とかよりも。

 

 

 今日は一緒に花火を見に来たはずなのに、何時の間にやら花火とか超そっちのけでやんの。

 ごめんね? せっかくそんなに綺麗に咲き誇ってくれてるのに。

 でも、さ、せっかく好きな男と花火見に来たんだもん。この花火を利用しない手はないよね。

 

 

 うちは今日、ここまでにしとくつもりだった。

 比企谷と一緒に花火見て嫌な思い出を塗り潰……書き足して、比企谷に文化祭のお誘いをする。

 それで今日のところは大満足! そう。満足するはずだったのに、でもなんか今はそれだけじゃ物足りなくなっちゃった。

 この先は文化祭が終わった後の屋上で言うつもりだったのに、なんかもう今すぐ声に出したくてしょうがない。

 

 だからもう言ってしまおう。今すぐ声に出してしまおう。……この花火を、上手い具合に利用して。

 

 

 ぴゅるるるる〜、と、本日最大級クラスっぽい尺玉が夜空へと駆け上がっていく。このぴゅるるって音、花火玉に笛を仕込んで打ち上げた際にわざわざ音が鳴るようにしてるんだってね。さっき比企谷がドヤ顔で自慢気に語ってた。すっごいウザかったけど。

 そしてうちはその笛の音を合図に、そっと口を開く。

 

「ねぇ、比企谷……」

 

 さっきまでの会話からしたらあまりにも突然すぎるけれど……なんの脈絡も無いけれど……うちはここんとこず〜っと、表面張力もかくやってほど唇から零れ掛けていたこんな言葉を、ゆっくりと溢れさせるのだった。

 

 

 

「うちさ、あんたのこと、好きだから」

 

 

 

 

 ……その瞬間、辺りにはどーんっ! って衝撃が響き渡った。

 おっきな花火が夜空いっぱいに咲き誇り、大気さえ震える程のおっきな音が耳も脳も心も一瞬真っ白にさせる。

 

 

 ──ああもう、ホンっトに最悪だぁ! うち一世一代の告白だったのに、花火の音に飲み込まれちゃったじゃない……!

 

 

 

 ……なーんてね。

 

 そんなの初めから分かってたに決まってんじゃん。てかおっきい花火が打ち上がるタイミングに合わせて口を開いた時点で超確信犯だから。

 あ、でも確信犯とかって言葉を使うと国語に五月蝿い比企谷が「おい、その使い方誤用だから」「本来確信犯ってのはな──」なんて、ドヤ顔で自慢気にあーだこーだとうんちくたれそう。想像しただけでウザいなあいつ。

 

 でもうちは本来使われる意味とは違う誤用での確信犯って言葉を使って、胸を張ってこう述べちゃう。

 告白が花火の音に掻き消されちゃったのは、当然わざとだよって。確信犯だよって。

 だってまだまだ早すぎるもんね。ほんのひと月ちょい前には比企谷に告る資格なんてないとか思ってたのに、うちの決心軟らか過ぎでしょ。メンタルだけじゃなくて決心まで豆腐かうちは。

 

 でもどうしても言いたくなっちゃったから、どうしても声に出したくなっちゃったから、だからうちは大音量の花火にこっそり紛れさせて、その言葉を口から溢れさせてみた。

 うん。どうせ聞こえないって分かってて言ったわりには、思いの外スッキリ。

 

 だから今はまだこれでいい。たとえ聞こえていなくとも、比企谷の横で……比企谷と繋がりながら好きって言えた。

 どうしようもないヘタレのうちには、今はそれだけで十分。

 

 

 ──でも今に見てなさいよね。次はきっちり言ってやるから。

 文化祭を一緒に盛り上げて、文化祭の思い出に素敵な想い出を一緒に書き足せたその日には、あの屋上で思いっきり言ってやるんだからね。比企谷が好きだよって!

 

 

 ……なーんて、どうせヘタレのうちは、その時にもこうして下手な理由を付けて告白を先延ばしにしちゃうんだろうなぁ……

 でもだからなに? 別にそれでもいいじゃん。だってまだ告んの恐いんだから仕方なくない? 先延ばし万歳!

 

 それでもヘタレなうちにしては結構頑張ってる方だと思うよ。こうしてゆっくりでも一歩ずつ進んでは、その進んだ分よりも一歩二歩後退しちゃうのがうちだけど、でもそれもまた、情けなくともカッコ悪くとも相模南の人生なのだ。

 少なくとも告る資格なんてないとか思ってた時よりは、少しだけ前進してるでしょ?

 

 そうやって少しずつ少しずつ書き足して行けば、いつかはばっちり告白出来る日だってきっと来る! ……よね?

 

 

 

 だからあえてもう一度言おう!

 

 

 俺達の戦いはこれからだっ!

 

 あーんど、うちの戦いはまだまだ続くよこれからも!

 

 なんちゃって☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、相模」

 

「ん、なに?」

 

「さ、さっきの件だが……」

 

「? うん」

 

 さっきの件? 文実の件かな?

 

「……ま、まぁ……あれだ……その内、ちゃんと考えて、答え、出すわ」

 

「は? だから言ってんじゃん。考えるもなにも、それすでに決定事項だから」

 

「……お、おう。それとは違うんだが……ま、まぁいいか……」

 

「なによ、ったく。マジでハッキリしないわね、ホントあんたって──」

 

 

 

 そう言って本日最後の光の花が夜空に咲いた瞬間に呆れ眼を向けた比企谷の横顔は、赤い花火の影響なのか、耳までめっちゃ真っ赤に染まっていた。

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 ……ん? え?

 

 

 

 ま、まさか、さっきの告白、き、聞こえてた……とか……!?

 

 い、いやいやいや! え!? うそ!? 有り得なくない!? だって口に出した自分でもギリギリ聞こえたくらいのちっちゃい声だったんですけども!?

 こいつどんだけ地獄耳なの……? あ、こいつの趣味って確か人間観察とかいうキモい趣味で、常に聞き耳立ててるようなヤバいやつだったっけ。

 ……ぐぬぬ、さ、最悪だ……

 

 で、でもホントに聞こえちゃったのかはまだ分からないですし……? 考えて答え出すとか言ってる以上は、こちらとしてもなにかしら答えてやらんわけにもいきませんし……?

 

 だからうちはこう答えてやりましたとも。

 

 

「……よ、よろしくお願いしましゅ」

 

 

 

 

 

 ──こうして、うちの日誌には新たな黒歴史が書き足されたのでした。

 どうしよう。戦いはこれからだとか戦いはまだまだ続くよこれからもとか言っちゃったけど、うちの戦い、意外と早く終わっちゃうかもしんない……です。

 

 

 

おしまい






ぼーなすとらっくとか言いつつ、気が付けばなぜか本編よりも文字数が多いという謎。
そんな『相模南の奉仕活動日誌』ではありましたが、最後まで本当にありがとうございました☆

続編モノはなかなか厳しい世の中の風潮ではありますが(やんなきゃ良かったのに…とか、前作が汚れた…とかね!)、そんな中でもこちらの作品は前作から引き続き、およそ6割強の読者様に読んでいただけたみたいで(お気に入り数的に見て)、まっこと有難い事でございます(*> U <*)
こうしてまたきちんと完結を迎えられたのは、ひとえに読者様方に支えていただいたからに他なりません!

それでは最後になりますが、毎回読んで下さった方、一度でも読んで下さった方、感想を下さった方、お気に入りに入れて下さった方、評価して下さった方、誤字脱字報告をして下さった方、皆々様にスペシャルサンクスです!


ではまたどこかでお会いいたしましょうっノシノシノシ




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