美穂子姉さんはぽんこつ?   作:小早川 桂

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依存系おっぱいちゃんが好き


美穂姉は愛しすぎている

俺には義理の姉さんがいる。

 

同じ金髪で、左右で違う色のきれいな瞳を持つおっとりとした少女。

 

特長をまとめると、そんな感じの姉さんは母性の塊だ。

 

優しい性格も、魅力的な微笑みも、甘い声も。

 

そんな姉さんは小さい頃から俺の世話を焼いてくれた。

 

「京太郎くん。はい、あーん」

「京太郎くん。大丈夫? けがはない?」

「京太郎くん。お姉ちゃんが勉強教えてあげるわね?」

 

だけど、ある時からそれは変わっていった

 

「京太郎くん。お姉ちゃんと一緒にお風呂入りましょう?」

「京太郎くん。……今日から京太郎って呼んでもいいかしら? その、私も名前でいいから……ね?」

「京太郎……一緒に寝よう?」

 

『一人の弟』への愛情は。

 

『一人の男』への愛情に。

 

まるで病んだように俺のことを想う姉。

 

「ふふっ……こうして体を結んでしまったらいつまでも一緒に居られるわね?」

「もう私のもの……」

「いっぱい愛し合いましょう……?」

 

だけど、俺の姉さんは――。

 

「美穂姉……」

「なに? 京太郎?」

「自分も一緒に縛ったら何もできないと思うんだけど」

「はぅっ」

 

――ちょっとだけポンコツだ。

 

 

◆◇◆『甘々』◆◇◆

 

 

「美穂姉。俺たちって姉弟だよな?」

 

「ええ。昔からの仲良し姉弟よ」

 

「だったら、この体勢はおかしくないか?」

 

美味しい夕食を頂いて風呂上がり。ソファに腰かけて麻雀雑誌を読んでいた俺の膝の上にまたがるようにして座る美穂姉。

 

今、俺たちは対面する形で抱きあっている。

 

顔の距離はゼロ。少し息を吸えば、ほんのりと柑橘系の匂いが鼻腔をくすぐる。風呂上りということで触れ合う肌からはいつもより温かい体温。

 

もたれかかるようにして肩に頭を預けている姉さんはキリっと緩んでいた顔を引き締めると、自信満々に反論を展開し始めた。

 

「そんなことはないわ。これも立派なスキンシップよ」

 

「スキンシップにしては過激な気が……」

 

「いいえ、違います。私が参考にした本の中の姉弟はみんなこうしていたもの」

 

「本って……この前まで読んでた少女漫画?」

 

「ええ。お姉ちゃんはまた一つ賢くなりました」

 

エッヘンと胸を張る姉さん。元々大きい双丘が余計に強調されてパジャマのボタンがはじけ飛んでしまいそうだ。

 

主張の激しいプロポーションとは裏腹に謙虚の固まりである彼女がこうやって自信に満ち溢れた姿を見せるのは珍しい。

 

ていうか、可愛い。

 

でも、それとこれとは話が別。

 

「美穂姉」

 

「なーに、京太郎?」

 

「漫画ではどこまでやってたの?」

 

「え、えっと……その……キスをしてから……ベッドに入って交わりまで……」

 

「じゃあ、美穂姉は姉弟でそんなことできる?」

 

「……恥ずかしくて今は(・・)出来ないです」

 

「だろ? だから、漫画と同じことをする必要はないんだよ」

 

「で、でもぉ」

 

「そんなことしなくても俺は美穂姉のこと嫌いにならないから」

 

「京太郎!」

 

「うわっと!」

 

感極まった美穂姉はまた覆い被さるようにホールドすると、胸にスリスリと顔を押しつけていた。とろけるような笑顔を見せている。ぴょこぴょこと跳ねる尻尾が幻覚で視えそうだ。

 

……犬みたいで可愛いな。

 

特に害もないので俺は頭を撫でながら、ほんわかとした時間を過ごすことに決めたのであった。

 

……だんだん俺も毒されてきてるよなぁ。

 

 

◆◇◆『こぴー』◆◇◆

 

 

俺の姉さんはなんでもござれの完璧超人だ。

 

料理を頼めばテーブルに色とりどりのメニューが並び、掃除を任せると塵一つなくフローリングが輝きを取り戻す。

 

勉学では常に学年上位をキープ。一位の冠を被って帰ってくることも多々あった。

 

家事も学業面でも、おおよそのことはトップレベルに位置していると思う。

 

さらには麻雀では全国大会へも出場したことがある自慢の姉。

 

おまけに美少女というオプションまでついている。天は二物を与えずというが、美穂姉に限っては枠に収まらない。

 

しかし、そんな美穂姉にも苦手なことがあった。

 

「ねぇ、京太郎」

 

「どうかした?」

 

「これはどうやって印刷するの?」

 

リビングで姉さんの記事をファイルにまとめていると、彼女はデジタルカメラを手にやってきた。指差す先には家庭用プリンター。

 

これら二種類のアイテムに共通すること……そう、美穂姉さんは機械が大の苦手である。

 

中学の頃にパソコンなんて使おうとしたら何故かコードに絡まってしまう程度には。

 

……あの時はエロかった。こう胸を押し上げたり、股を締め上げるようにボディラインがくっきりと……。

 

「……京太郎?」

 

「……あっ、ごめん。ちょっとボーっとしてて」

 

「大丈夫? お姉ちゃんと寝る?」

 

「どうしてそこに至るのかわからないけど、ようはカメラで撮った写真をコピーしたいんだよな?」

 

「そうなの。カメラで写真は撮れるようになったけど他のことはさっぱりで……」

 

ちなみにカメラの時はシャッターを押して写真を撮ることになぜか半日かかった。四苦八苦したが、その時の解決法が見本となって真似させること。

 

「OK。じゃあ、実践してみるから見ていて」

 

「はーい」

 

元気よく返事した姉さんからカメラを受けとると、中のSDカードを抜く。

 

そこからは簡単。

 

説明しながら動作を繰り返して10回目。

 

美穂姉は理解できたらしく嬉しそうに笑っていた。

 

「ありがとう、京太郎。やってみせるわね」

 

「おう。頑張って」

 

「えーと、まずは……」

 

頼りない動きながらも着実にこなしていく美穂姉。地頭はいいのでポイントさえ押さえれば何とか使用することができる。

ついにプリンターから動作音が鳴り、写真がプリントアウトされた紙が出てきた。

 

「やった! やったわ、京太郎!」

 

ピョンピョンと小さく跳ねる美穂姉。

 

……バルンバルン揺れよる……!

 

「……あ、ごめんなさい。はしたなかったわね」

 

でも、すぐに恥ずかしくなったのかうつむいて、そっと紙を取った。あれ以上テンションが上がると抱き着いてくるので、そう考えると助かったことになる。

 

天使かよ、と思いながらも俺は姉さんと喜びを分かち合うことにした。

 

「やったな、美穂姉!」

 

「京太郎のおかげよ!」

 

「美穂姉が苦手を克服しようと取り組んだからだよ」

 

「そ、そうかしら?」

 

「うんうん」

 

「なら、これからも頑張ります」

 

「俺も協力するよ。ところで、美穂姉」

 

「なにかしら?」

 

「何の写真を印刷したの?」

 

「気になるの?」

 

「まぁ、機械音痴の美穂姉が自分から言い出したから何か特別な物なのかなって」

 

「……わかりやすいかしら? その通り。特別な写真よ」

 

「やっぱりな。見せてもらってもいい?」

 

「はい、どうぞ」

 

美穂姉は快く写真が映った紙を渡してくれる。そこには高画質で拡大された俺の寝顔があった。

 

…………んん?

 

「美穂姉。これって……」

 

「そうなの! この前こっそり撮った京太郎コレクション! お部屋にいっぱい貼ろうと思って!」

 

「没収!」

 

「あぁっ!? クシャクシャにしたらダメぇ!?」

 

「あとで部屋にも行くからな?」

 

「うぅ……京太郎のいけずぅ」

 

この後、めちゃくちゃ部屋中に貼りつくされた紙をはがした。

 

 




不定期更新ですがやっていきます
SS速報で同タイトルありますが、作者は私です

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