ハリー・ポッターと留学生   作:原作なくして更新停止中

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新年を祝い投稿
今年もよろしくお願いしますm(_ _)m

英語以外は『』で表記しています。英語でも、呪文が「」の中にある場合は『』で表記します。

しつこいように低身長ネタがあるのは、とあるフラグの為にも必要だから。まともな展開を思い付かない無能さをどうか赦して下さい(´・ω・`)


初めての授業

翌日から、深雪は道に迷いながらもなんとか遅刻はせずに授業を受けていた。……椅子の高さが合わない為、マグゴナガル先生に貰ったクッションを敷いて椅子の上に背の低さを誤魔化しながら。

 

深雪はハリー達がフィルチに絡まれては厄介なことになっている一方、移動の途中で出会ったミセス・ノリスをモフっているのをフィルチに見つかってからは、生徒の中では非常に珍しい、フィルチと比較的仲の良い存在になっていた。(モフると気持ちいいから)猫好きであり、規則を破る事も無いので、さもありなんといったところか。

 

天文学、妖精の呪文は順当に予習の効果を発揮した。もっとも、1年生の授業だけあって、天文学についてはもともと持っていた知識だけでも十分な難易度ではあった。

 

魔法史では、半ば眠りながら無理矢理授業を受ける有様であった。しかし、他の生徒達の大半は序盤こそ無駄な抵抗をしたが、諦めて寝ているので、授業態度的にはトップクラスなのだ。唯一の例外がハーマイオニーで、彼女はきっちりと起きていた。どちらもかなり珍しく、ハーマイオニーに至っては、数十年に1人とまで言われるほど良い授業態度であった。ゴーストなビンズ先生もこれには喜び、授業の度に2人に点数を与えるという、なんだか孫を可愛がって小遣いをくれるお爺ちゃんみたいになっていた。

深雪は、授業中にハリーの名前が出ていたので驚いていた。ハリーが居るからと、最初の授業で触りだけやったから知る事が出来たが、近代史は教科書の後半の方に載っていた為、そこまで重点を置いていなかった魔法史は、流石に一年分は予習が済んでいなかったのだ。もっとも、赤子がヴォルさん(長いので深雪が略した。周囲は「例のあの人」のちょっと大胆な派生系と思ってる)を倒せるとは思えないので、ハリーが特別という訳では無く、その前に何かしらの強力な防御か何かがあったという推測に簡単に至ったので、特に態度は変わらなかった。

 

変身術の授業では、深雪の好みに合ったのか、難解なはずの魔法理論を、まるで設定厨の小説を(何となくこんな感じっぽいかな?)とばかりに理解するように、大して勉強せずともハーマイオニーと同レベル、つまり学年でもトップクラスの成果を納めた。というか大半の生徒が碌な成績を出して居ないので、上位以外は皆最下位か、それより少しマシといった程度でしか無かった。しかし、難解だからと放棄するような者が大半であるのがイギリス魔法界クオリティ、この調子では学年末に補習を繰り返しながら、死に物狂いで練習して留年の回避を目指すことになるだろう。

 

闇の魔術の防衛術では、クィレルの発する強烈なニンニクの臭いにやられてダウンしていた。必死に鼻を塞いでいても尚抜けてくる臭いのせいで終始涙目になっており、見た目はかなり可愛い感じになっていたが。この授業のおかげで(せいで)、深雪は新たに嗅覚の遮断の出来る魔法を習得しようと決意した。しかし、後日どうにか習得して授業を受けた所、碌な授業ではなく、時折まともな魔法生物の知識を得ることが出来る程度で、あとはひたすらどもりながら教科書を読んでいるだけだった。これではハグリッドに質問した方がマシである。

 

魔法薬では、スネイプによる厳しくも丁寧な授業と共にハリー弄りが始まった。

 

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。このクラスでは杖を振り回すようなバカげた事はやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である……ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだマシであればの話だが」

 

深雪は、スネイプの美声もあり、少々厨二感漂うこの演説でちょっとカッコいいと思ってしまった。実際に、今自分がスネイプの言葉を理解出来るのは、この教師が作った薬のおかげなのだから、言っている事もあながち間違いでは無いという感想もあった。

 

周囲はシーンとしており、何やら肩を竦めている者や授業に期待している者、いかにも難易度が高そうな話を聞き青ざめている者などがいた。

 

そんな中でスネイプが突然ハリーに問題を出し始めた。

 

「ポッター!アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

「わかりません」

 

ハーマイオニーが手を上げているがスネイプは無視した。そしてせせら笑い、

 

「チッ、チッ、チ……有名なだけではどうにもならんらしい。ポッター、もう一つ聞こう、ベアゾール石を見つけてこいと言われたら、どこを探すかね?」

 

「わかりません」

 

ハーマイオニーは限界まで手を上げていた。偶然ハーマイオニーの隣に座っていた深雪は、ハリーへの質問であり、ハーマイオニーがいくら頑張ろうと無視されると気づき、一生懸命止めようとしていた。

 

「クラスに来る前に教科書を見ようとは思わなかったわけだな、ポッター、え?モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」

 

ハーマイオニーは遂に立ち上がってしまい、深雪もここまで答えたがるとなるもどうしようも無いと諦めた。

 

「わかりません。ハーマイオニーはわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

 

この答えにスネイプは不快そうにして、

 

「座りなさい。ならば、日本からの留学生殿に聞いてみよう。ミユキ、先程の質問の答えはわかるかね?」

 

深雪はまさか自分に流れ弾が来るとは思わず、とても驚いたが、自分の使う魔法薬の性能を知っていた為、他のものもきっととても使えるものだと思い、色々と勉強していたので特に問題は無かった。

 

「はい。アスフォデルとニガヨモギで、生ける屍の水薬という非常に強力な睡眠薬が出来ます。ベアゾール石は山羊の胃から採れる石であり、大抵の薬に対する解毒効果を持ちます。モンクスフードとウルフスベーンは同じ植物であり、トリカブトの事を指します」

 

「よろしい。良く出来ている。グリフィンドールに一点やろう。付け加えるとすれば、トリカブトの別名はアコナイトということだ。……諸君、なぜ今のをノートに書きとらんのだ?それとポッター、貴様は海外から来た、この国の知識が殆ど無い少女にも劣るのかね?そんな調子では落第になるぞ?ついでに貴様の無礼な態度でグリフィンドールから二点減点だ」

 

いっせいに羽ペンと羊皮紙を取り出し書き込む音の中でスネイプはハリーを弄り、ハリーは怒りと屈辱に震えていた。一方この時、深雪は自分だけが非魔法族製の、普通のノートとシャーペンを使っている事に衝撃を受けていて、そんなやり取りをしている事に気付いていなかった。

 

 

その後、スネイプは生徒を2人1組にしておできを治す簡単な薬を調合させた。殆どの生徒が何かしらの注意を受けている中、ハーマイオニーと組んだ深雪は角ナメクジを前にして涙目でプルプルと震えていた。

 

「うぅ、キモイキモイキモイキモイキモイキモイ触りたくない見たくないどうしようハーマイオニーなんとかして」

 

先程の質問タイムで、自分の邪魔をするのみならず、答えまで持っていってしまった深雪に思うところがあったハーマイオニーも、自分よりもずっと年下に見える、可愛らしい深雪の上目遣いでの懇願にグラついた。というか愛でたくなった。生来の面倒見の良さが仇となったのだ。しかし、真面目な彼女は、これが出来ないと今後の試験などで実技が出来なくなることを心配し、心を鬼にして

 

「ミユキ、貴女がやりなさい。試験では私は居ないのよ?ほら、頑張って」

 

見捨てられた深雪は、彼女なりに解決策を考えた。触れず、見ず、それでいて完全な調合を可能にする方法を。確認の為に見ざるを得ないが、それ以外ならば、自分は既に可能にする魔法を使える事に気付いた。そして即座に実行した。気色悪いナニカに今後とも触れる事なく済ますことが可能になるそのアイデアが、イギリスではどれほど目立つことなのか考えもせずに。そして、懐から紙切れを1枚取り出すと、

 

『式神召喚、壱式』

 

と日本語で唱え、紙切れを虚空に軽く投げ上げた。すると、紙切れが軽く発光し、先程までそれがあった場所に、デフォルメされた小さな、50センチほどの深雪自身を模した人形が出現した。そして、それに対して

 

「その気色悪いナメクジをこの薬に使うのに丁度良い感じに茹でて」

 

と教科書を渡しつつ指示を出すと、人形は一礼した後、ひとりでに動き出し、完璧に茹で上げた。

 

周囲は突然の理解出来ない言葉と、よく分からない現象に凍りつき、マルフォイはナメクジを茹で過ぎてグデングデンになった。他にも、似たような現象が至るところで起きた。干しイラクサをこぼしたり、ヘビの牙を砕き損ねてすっぽ抜けて何処かに飛んでいってしまったりなどだ。上級生のクラスで同じ事が起きたら、阿鼻叫喚間違い無しだろう。

 

そんな事になっているとは(キモイ物をなんとか処理するのに必死なせいで)露知らず、深雪は満足気に人形を褒めていた。スネイプが最初に再起動し、深雪に詰め寄り質問する。

 

「ミユキ、なんだ今のは?説明しなさい」

 

深雪はキョトンとし、

 

「何って符術の式神召喚の初歩じゃないですか。ナメクジがあまりに気持ち悪いので、器用さと判断能力に極振りした式に茹でてもらったんです。この程度なら1枚で十分なので、壱式です。もしかして、この茹で具合じゃ駄目なんですか?」

 

スネイプは何かを察したのか、諦めたような溜息をつくと、

 

「いや、茹で具合はそれで良い。手本に出来る程だ。だが、日本と交流が途絶えてから数十年は経過している。その為、日本独自の魔法を知っているのは、かなり老齢の者しか居らぬ。故に、我輩でも知らぬのだ。生徒達なら尚更、な。今後は授業前に何を作るのか黒板に書いておくので、教科書を見て適切な、シキ?とやらをあらかじめ呼び出しておくように。出来ぬのなら今後は、例の薬の調合は自分でやってもらう。良いな?」

 

深雪は例の薬を自分で調合と聞き、最初は理解出来なかったため少し戸惑ったが、すぐに今自分が英語を操れるようになっている理由そのものである薬の事であり、以前見たレシピでは、それの調合の難易度が、某鬼畜ゲーム達のルナティックとインフェルノを足して10倍にしたかと思うほどにおかしな事になっているため、今の自分では作れるはずが無いというか、どんなに練習しても作れる気がしないということを思い出し、

 

「いえ!それで良いです!ですから薬の調合を続けてくださいお願いします!」

 

と必死に頭を下げた。周囲は何のことなのかさっぱりわからないが、深雪がスネイプに何かしらの薬を貰って、それを使っているという事だけは理解した。これが後に、色々とあらぬ噂を招く事に2人はまだ気付いていなかった。

 

こんなことがあり、一時的に授業が停止したが、無事再会した。しかし、暫く経つと地下牢いっぱいに緑色の煙が上がり、シューシューという音が広がった。ネビルがシェーマスの鍋を溶かし、ねじれた小さな塊にしてしまい、溢れた薬が生徒の靴に穴を開け、ネビルは全身に真っ赤なおできが出来て、痛みに苦痛の声を漏らしていた。

 

「バカ者!大方、大鍋を火から降ろさないうちに、山嵐の針を入れたんだな?」

 

スネイプが杖を振り、薬を消しながら言った。

 

「シェーマス、その愚か者を医務室へ連れて行きなさい。ポッター、針を入れてはいけないとなぜ言わなかった?彼が間違えれば、自分の薬の方が良く見えると考えたな?グリフィンドールはもう一点減点」

 

理不尽な理由で減点されたハリーは言い返そうとしたが、更なる減点を恐れたロンに阻止された。

 

深雪は授業後に1人だけ地下牢に残り、スネイプと新しい魔法薬を貰う頻度や使用の際の注意を改めて話をしてから次の授業へと向かった。これもやはり2人に色々とあらぬ噂が立つのを助長していた。

 

 

薬草学では高さ調整の為の足置きの上で、作業と同時に周囲の壁などにある危険な植物達からの攻撃を避けることになっていた。他の生徒達は叩いて撃退するが、深雪の細腕では、足場が悪く力を込めにくいのも相まって、叩こうとした腕を絡め取られる有様だったのだ。しかし、魔法薬の授業の時から使い始めた、非力さを補う作業用の式神で、狭い温室内の深雪が使うスペースの大半が埋まっている為、護衛の式神は出せず、もはや手段は回避しか残らなかった。その為、仕方なく回避をメインで蔓などを捌いていた。それでも時折、避け損なって絡まれては近くの人に救助される場面もあったが。




式神は1枚で壱式、2枚で弐式といった具合に増えます。複数の同時召喚の場合、○式の後に更に追加詠唱。何回も唱えてられるか、めんどくさい。とばかりに符術の初期段階の時点で開発された詠唱方法。
大半の日本人と同様に、深雪も無言でも行使可能だけど、やっぱり声に出す方が楽。でも大体(めんどいので)短縮詠唱を使う。作中のも短縮詠唱。(いくらなんでも短過ぎる気もするけど、カッコいいのが思いつかなかったので、そんな後付け設定。色んな魔法の厨二感溢れる詠唱を随時募集中)
零式もありますが、超が付くほど特殊で、日本版ダンブルドアくらいじゃないと無理。某ハンター協会会長の必殺技枠になるくらいだし、そんなもんなのです。なお、作中での登場予定は無い。

変更点
(あまりの酷さに)混乱していたり、ショックを受けていたりで周りの話を聞けてない事が多い深雪さん。無表情ながらも目が点になってたり、普通に( ゚д゚)ってなってたりするので、周りも反応が無かったり、話を聞いてなくても気にしない。むしろ後でドヤ顔して色々教えてくれる。便利な人達ばかりで良かったね!
日本人らしく規則は守る&モフモフが好き→猫も好き→フィルチも規則を破らない猫好きを悪くは思わない
スネイプの上げてから落とす戦略。深雪が稼いだ分ハリーの減点も大きくなる
ハーマイオニーはチョロイン。可愛らしい(見た目は)幼女相手に、面倒見の良い彼女は耐えられなかったのだ。これによりハリーとロンの宿題の手伝いが減る。宿題くらい自力でやりなさい
ちょっぴり天然な深雪さん。キモイのは分かるけど、もうちょっと落ち着きましょう
身長差を埋めるアイテムはクッション。ちなみに初日の宴会ではどこに座るのか分からないから無かった
嫌われ者なスネイプと見下す対象の日本人なら、噂好きのホグワーツ生が変な噂を流すのも当然。原作でも結構突飛な噂あったし、構わんだろう?
魔法薬学ではなく薬草学を最後に。式神の初回使用はスプラウト先生よりスネイプの前での方が面白そうだったから。
原作でも壁とかに変な植物生えてたし、あんまり危険じゃないのなら、1年生の使う温室でも普通に置いてあって、襲って来そうな感じがする。上級生のとこだと毒持ちが普通にうろうろしてるらしいし。足場が悪いと力が入らないのは作者の実体験に基づいてます。絡まれ方は、一般的な絡まれ方からウス=異本を4歳分くらい健全にしたものまで、ご自由に想像してください

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