もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

71 / 71
どうも皆さん

喪中につき新年の挨拶は控えさせて頂きますが、本年もどうぞよろしくお願い致します、雪希絵です

FGOの闇鍋星五確定ガチャの結果はどうでしたか?

ちなみに私は殺生院キアラでした

キャラクター的には結構嫌いじゃないです

さてさて、どうにかこうにか更新日は守れました

ちょっと短めですが、今回もどうぞ


傷跡

「……マスター」

「……ごめん。都合がいいのは分かってる。でも、今は話しかけないで」

「……はい」

 

四人が使用していた拠点、そのリビング。

 

時間はお昼時。

 

普段なら台所にいる人物は、もう影も形もない。

 

いつも笑い声や呆れ声や、話し声の絶えなかった部屋は、静けさに満ちていた。

 

ソファに腰を下ろすアルトリアの膝に、立香は頭を乗せて寝そべっていた。

 

ニコニコしながら、膝枕する人物の顔を見つめている立香だが、今は顔を合わせようともしない。

 

長い沈黙。

 

時折、アルトリアの右手が躊躇いがちに動く。

 

ピクリ、と動かして、戻して。

 

また動かしかけて、戻して。

 

何度それを繰り返した頃か。

 

恐る恐る、といった様子で。

 

アルトリアの手が立香の頭に置かれた。

 

一瞬、微かに立香の体が身じろぐ。

 

けれど、抵抗はしなかった。

 

二度、三度、遠慮がちに撫でる。

 

「……マスター。申し訳ありませんでした。私の、我々の不手際で……」

「やめて」

 

アルトリアの言を途中で遮り、立香は鋭くそう言う。

 

「予想なんか出来ない事態だった。私でも、経験豊富な攻略組でも、きっとキリトやアスナでもそう。誰も悪くなんかない」

「はい」

「だから、自分が悪かったなんて言わないで。私もそう思ってるから」

「……そうは、見えませんよ」

 

(自分を責めていない人は、そんな顔はしないんですよ。マスター……)

 

喉元まで出かけた言葉は、直前で飲み込まれた。

 

───────────────────────

 

「……というわけでして。エミヤさんは、私たちを庇って……」

 

一方、マシュは二十二層のログハウスを訪ねていた。

 

あの日、扉が完全に閉まった後、立香達はあらゆる手段を試みた。

 

しかし『風王鉄槌(ストライクエア)』も、全力のソードスキルも、外部からどんな力を加えても、扉は開かなかった。

 

破壊不能オブジェクトであるため、破壊するなど以ての外。

 

それでも、宝具以外の物理的手段。

 

何らかの条件クリアによる扉の解放。

 

あらゆる手段を講じた。

 

だが、その努力も虚しく。

 

再び開いたボス部屋の中には、誰一人いなかった。

 

「なるほどな。それで、俺達のところに?」

「はい。新婚のお二人のところに来るのは、失礼だとも思ったのですが……」

「ううん、大丈夫だよ。そもそも、ここにいるのがバレちゃったせいで、もう召集令かかってるから」

「短い新婚生活だったなぁ……ははっ……」

 

おどけたようにそう言うキリトに、マシュは少しだけ微笑むが、すぐに表情を曇らせる。

 

「私も、しばらく傍にいたのですけど……先輩は、ずっとずっと自分のせいだって……思ってるみたいで……」

 

ポタポタ、とテーブルに涙が落ちる。

 

SAOの感情表現は大袈裟だが、嘘はつかない。

 

エミヤを救えなかったこと、それに心を痛める立香に対して何も出来ないこと、様々な後悔や悲しみ、悔しさかが綯い交ぜになり、涙になって頬を伝う。

 

「マシュちゃん……」

 

そんなマシュの背中に、アスナはそっと手を添える。

 

そして、決意したような目でキリトを見つめた。

 

「……うん。俺も同じこと考えてるはずだ」

「……じゃあ、行こう。それで、早くここに戻ってこよう。きっと、立香ちゃんはそれを喜んでくれるから」

「ああ、だと思う。あいつ、結婚報告した時嬉しそうだったもんな」

「ふふっ、そうだね」

 

そして、二人は勢いよく立ち上がる。

 

弾かれたように、マシュは顔を上げた。

 

「行こう、マシュちゃん」

「立香に発破かけにな」

 

微笑む二人を見て、マシュの瞳が徐々に光を取り戻す。

 

「私達は、何度も立香ちゃんに勇気付けて貰ったから。今度は、私達の番だよ」

「……はい!」

 

決意を新たに、三人は手早く身支度を整えて、ログハウスを後にしていった。




うーん、私にしては珍しく結構シリアスに書いてる気がします

なんちゃってシリアスな感じもしますけど

さてさて、新年一発目の更新ですが、いかがでしたでしょうか?

今年は去年のような惨劇にならないよう、しっかり更新していきたいです

それでは、また来週お会いしましょう

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。