もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

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どうも皆様

連休明け特有の気だるさに苛まれている雪希絵です

そのせいでしょうか、盛大に時間がかかってしまいました

それでは、ごゆっくりどうぞ


強化しよう

「……大丈夫かなぁ、あの二人」

 

アインクラッド七十五層、主街区『コリニア』。

 

ローマ風の街並みの中央に位置する広場にて、立香は座って足をプラプラさせながら呟いた。

 

結局、デュエルは引き分けに終わったので、立香達は血盟騎士団には加入しないこととなった。

 

ただし、キリトは敗北したので血盟騎士団に入団し、明日から団員として攻略に向かうらしい。

 

立香は先程から、それが気になって仕方ないのだ。

 

「やはり二人が気になりますか、マスター」

「うーん。まあね」

 

そう言うアルトリアに、伸びをしながら答える。

 

ちなみに、今はエミヤに屋台へのお使いを頼んでいるところである。

 

朝ごはんを外で食べることになったのだ。

 

「あの、先輩」

「んお?」

「私には、先輩の心配の理由がよく分からないのですが……」

「あー、そのことか。よっ、と」

 

勢いを付けて立ち上がり、くるりと反転してマシュの方を向く。

 

「まあ、大したことじゃないんだけどさ。前にクラディールとキリト、なんかあったみたいだしさ」

「そういえば、言ってましたね。なんでもデュエルになったとか」

「そそ。で、それのせいで、クラディールだけじゃなくて他の団員に目を付けられたりしてないか……ってさ。ただでさえ、アスナっていう最高クラスの戦力であり、アイドルである人を引き抜こうとしてたわけだし……」

「なるほど……」

「まるで新しい学校に馴染めるか心配している母親のようだな」

 

不意にかかった聞きななれた声に振り向くと、いくつかの食べ物を抱えたエミヤが戻ってきていた。

 

「お、ありがとエミヤ」

「感謝します、アーチャー」

「ありがとうございます」

 

各々お礼を言いながら、早速手をつける。

 

つい最近のデュエルで味をしめたのか、闘技場の周りには屋台が何軒か残っている。

 

どの店もそれなりに繁盛しているようだ。

 

「ふぅ、美味しいですね」

「もぐもぐ。もぐもぐもぐもぐ」

「セイバー、ハムスターのようになっているぞ」

 

焼いたソーセージを頬張ったアルトリアの頬が、まるでハムスターのように膨らむ。

 

なんだか微笑ましい光景だが、口元にケチャップが付着している。

 

「……ふむ」

 

立香は思案顔をした後に口の中の食べ物を飲み込む。

 

そして、アルトリアの頬に手を添えて、

 

「アルトリアー。顔にケチャップ付いてるよ?」

 

そう言って顔を近づける。

 

「ああ、すみません、マス……」

 

直後、アルトリアが硬直する。

 

それも当然。

 

必要以上に立香の顔が近づいたかと思うと、なんでもないことかのように、ペロリとケチャップを舐めとったのだ。

 

「ひっ……!?な、ななな、マスター何を!」

「ん?いや、汚れてたから」

「そそそそそ、そういうことを言っているのではなく!」

 

飛び上がるような勢いで立ち上がり、アルトリアが慌ててそう言う。

 

その顔は耳まで真っ赤である。

 

「ごめんごめん。舐めたくなっちゃって」

 

対する立香は、ペロッと舌を出して軽い調子で答える。

 

「先輩!その発言は流石に危ないです!」

「何をやっているんだ君らは……」

 

わぁわぁと騒ぐ他三人に、エミヤが一人ため息をついた。

 

───────────────────────

 

「さって、今日はどうしようかなぁ」

 

食事も終わり、立香はアインクラッドの天井を見上げる。

 

「いつも通り迷宮区に行きますか?」

 

食後の片付けを終えたマシュが提案する。

 

ちなみにアルトリアはほんの少しだけ離れた位置で未だに顔を赤くしている。

 

「うーん、それでもいいんだけど……」

 

しばらく腕を組んで考えた後、

 

「あ」

 

何か思いついたのか、アイテム欄を弄り始めた。

 

「……おお、すごい。あるんだ」

 

選択し、オブジェクト化する。

 

その手には、二枚のカードが握られていた。

 

「先輩、それは?」

「んー?『概念礼装』」

 

概念礼装は本来、カルデアのサーヴァント達が身につける装備品だ。

 

しかし、どうやらアルトリアとマシュが装備していた礼装が、アイテムとして立香の手元に渡っていたようだ。

 

(『リミテッド・ゼロ・オーバー』と『目醒め前』か……)

 

「……うん、いいこと考えた」

 

ニッコリと微笑む立香に、サーヴァント組は首を傾げるばかりだった。

 

───────────────────────

 

「リズー!やっほー!」

「わぁ!……って、リツカか」

 

しばらくして、立香達はリズベット武具店へとやって来た。

 

「ねぇねぇリズ。今って時間ある?」

「まあ、一応あるけど。どうしたのよ」

「うん。ちょっとお願いがね」

 

そうして、アルトリアとマシュが自分の武器を取り出す。

 

「強化、頼みたくてさ」

 

SAOにおける強化とは、NPCもしくはPCの鍛冶師にコルを渡し、六つのパラメータのうちのどれかを上昇させるというものだ。

 

ただし、武器によって強化出来る回数制限がある上に、失敗しても回数制限は消耗されてしまう。

 

ややリスキーではあるが、やってみる価値は充分にある。

 

「なるほどね……。OK、任せて」

 

ウィンクし、快く応じるリズベット。

 

「ありがとう!さすがはリズ!」

「ただ、成功するかどうかは運だから、過度な期待はしないでよ?」

「任せたよ、リズ!」

「お願いします」

「楽しみです」

「話聞いてた?あんた達」

 

額を抑え、ため息をつくリズベット。

 

しかし、すぐに立ち上がると、ハンマーを取り出して火事場に向かう。

 

「さて、どっちから始める?」

「では、私から」

 

名乗りをあげたのはアルトリアだ。

 

手に持った『約束された勝利の剣』を、リズベットに手渡す。

 

途端、リズベットの両腕にずっしりとした重みがのしかかる。

 

(見た目の割に結構重いなぁ)

 

「アルトリア、強化はどこに振るわけ?」

「そうですね……。では、鋭さ4と速さ2、丈夫さ2で」

「りょーかい!ついでにマシュは?」

「えーっと……。重さ2と丈夫さ6で」

「はいはい。任せて」

 

ステータス画面を操作しながらそう言い、リズベットは作業台に剣を置く。

 

「……よし」

 

気合を込めて、リズベットはハンマーを振り下ろした。




というわけで、武器を強化することになりました

実際出来るか分かりませんが、この場合は出来るということでお願いします

それでは、また来週お会いしましょう

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