もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

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どうも皆様

未だにテストから全力逃走中、雪希絵です

数学系は苦手なんですよぅ……!

それでは、ごゆっくりどうぞ!


止まらない無双ゲー

「だーいじょーぶー?キリト」

「ごめん……本当にごめん……」

「いや、だから気にしないでいいってば……」

 

街中ではHPは減少せず、全ての攻撃は紫色の障壁によって阻まれる。

 

とはいえ、どんな人間でも恐怖心はある。

 

手前で止まるとは分かっていても、ボコボコにされるのは怖いに決まっている。

 

「ふー……ふー……ふー……」

「どうどう、落ち着けマシュ」

 

アルトリアは冷静さを取り戻したが、マシュはまだ興奮気味だ。

 

先程到着したエミヤが宥めるが、相当に癇癪を起こしたらしい。

 

なかなか落ち着かない。

 

ちなみに、アスナはキリトの隣で満面の笑みを浮かべている。

 

何が怖いかと言えば、目が全く笑っていないことだった。

 

キリトにとっては針のむしろである。

 

「……すみません、キリト。少し冷静さをかいてしまいました」

「いや、俺が悪いから……」

 

キリトはすっかり意気消沈してしまっている。

 

どうもギスギスとした雰囲気。

 

そんな状況に、

 

「だぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉ!めんどくさぁぁぁぁぁい!!!」

 

とうとう立香がキレた。

 

「いい!?私は!気にして!ないの!分かったぁ!?」

「「「は、はい」」」

「分かったらさっさと迷宮区行く!ただでさえ攻略の速度も落ちてるんだから!うがー!」

「「「は、はいー!」」」

 

こくこくと頷く面々は、そそくさと踵を返して迷宮区の方向へ向かった。

 

「……マスターは相変わらず人心掌握が得意だな」

「人聞きの悪い言い方はやめてもらえる?エミヤ」

 

残ったエミヤがそう言うのに対し、立香は苦笑いで答える。

 

「あながち間違ってもいないだろう?」

「そんな大層なものじゃないって。私は、みんなに素直に向かってるだけ」

 

ニコリと笑い、立香は走り去ったアルトリア達を追った。

 

「……ふっ。全く……それがどれだけ難しいことか、うちのマスターは分かっているのか……」

 

エミヤは少し嬉しそうにそう呟きながら、後を追いかけた。

 

───────────────────────

 

「マシュ!前衛頼む!」

「はいっ!」

 

すっかり仲直りした六人の連携は完璧だった。

 

しばらくのブランクなどなかったかのように、息をするように互いの行動をカバーし合う。

 

「アスナ、行きますよ!」

「うん、アルトリアちゃん!」

 

マシュとキリトが切り開いた道に、アスナとアルトリアが敏捷力を活かして飛び込む。

 

「はぁぁぁっ─────!」

 

アルトリアが群がるモンスターを魔力放出+多段ヒットソードスキルでまとめて吹き飛ばす。

 

巨大なハンマーにでも殴られたかのように、モンスター達は残らずアスナの方に飛んでいく。

 

「やぁ─────!」

 

気合い一閃。

 

『リニアー』、『ペネトレイト』、などの突進系ソードスキルを使用し、正確無比にモンスターの急所を抉る。

 

だが、やはりソードスキルは隙が生まれる。

 

アスナの背後から、巨大な斧を振り下ろすモンスター。

 

気づいた、しかしアスナは反応しない。

 

そのモンスターのさらに背後から迫る、立香に気がついているから。

 

「ちぇいさぁーーー!」

 

立香渾身の膝蹴りが炸裂し、モンスターの顔面が潰れる。

 

猛烈な勢いで後頭部を地面に叩きつける。

 

そこをすかさず踏みつけ、追い打ちをかける。

 

「これで終わりっ!」

 

瓦割りのように構えから、顔面に拳を振り下ろす。

 

モンスターは悲鳴をあげることすら出来ず、砕け散った。

 

「伏せろ、マスター!」

 

そこへ、エミヤの指示が飛ぶ。

 

迷うことなくその場にしゃがみこむと、真上を矢が通過する。

 

一本だけではない。

 

二本、三本と次々に矢がモンスターに飛来する。

 

それは寸分狂うことなくモンスターの頭部を捉え、HPを大きく刈り取っていく。

 

「トドメは任せてください!」

 

マシュがモンスターに向かって突進する。

 

横側に盾を構え、黄色のライトエフェクトが発生する。

 

大盾ソードスキル『イノセント』。

 

「やぁ!」

 

横薙ぎに振るわれた盾がモンスターの腹部にめり込み、吹き飛ばす。

 

その途中、モンスターはポリゴンの破片となって霧散した。

 

そのマシュの横を、キリトがジェットエンジンのような音を響かせて通り過ぎる。

 

目前に迫ったモンスターの胸を貫き、上に切り上げる。

 

当然、HPバーはそのほとんどを黒く染める。

 

「『風王鉄槌(ストライク・エア)』!」

 

間髪入れずに飛来する風の塊。

 

キリトはとっくに横っ飛びで回避しているが、モンスターはそうもいかない。

 

風に飲み込まれ、高い鳴き声を上げながら、モンスターは爆散した。

 

「……戦闘終了。お疲れ様でした」

「数は多かったが、なんとか切り抜けたな」

「エミヤの援護が的確だったからね。やりやすかったよ」

 

アスナとキリトに説明し、エミヤは弓を使用している。

 

もっとも、今のように周りに他の人がいない場合に限るが。

 

「うーん……疲れた。さってと……」

 

そう言いながら、立香が先を見つめる。

 

「なんか、雰囲気変わったね」

「……ああ。端的に言えば、オブジェクトが重くなってきてる」

「ということは、この先は……」

 

全員で頷き、もう少しだけ互いの距離を縮めて、先へと進んで行った。

 

やがて、回廊の突き当りに到着した。

 

大きな、大きな二枚の扉。

 

「ボス部屋だね」

「ええ、間違いないでしょう」

「……開ける?」

 

問いかける立香に、キリトが頷く。

 

「ボスモンスターはその守護する部屋からは絶対に出ない。ドアを開けるだけなら多分……だ、大丈夫じゃない……かな?」

 

とほほ、という顔をする面々は、一応転移結晶を用意して、扉に手をかけた。




お読み頂きありがとうございました!

軍の描写入れてませんでしたけど、ちゃんと見かけてはいますのでご安心を……

それでは、また来週お会いしましょう!

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