もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

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どうも皆様

怒涛の土日が終了しました、雪希絵です

心休まる暇がないとは、まさにこのことですね

今日はおやすみしたので、更新こそできますが、疲れが残っているのか時間を過ぎてしまいました

申し訳ございません

それでは、ごゆっくりどうぞ


速度制限は守りましょう

翌朝。

 

立香の部屋にて。

 

「先輩、先輩。起きてください」

「……うーん。あと一日」

「それは寝すぎです!」

 

マシュがゆさゆさと揺するが、立香は唸るばかりで起き上がらない。

 

「どうした、マシュ」

 

そこへ、エプロン姿のエミヤがひょっこりと顔を出す。

 

隣にはアルトリアもいる。

 

「先輩がなかなか起きてくれなくて……どうしましょう」

「ふむ、なるほど」

 

エミヤは少しだけ思案顔をすると、キッチンの方へと引っ込んでいく。

 

「珍しい……というわけではないですが、久しぶりですね。マスターが起きて来ないとは」

「SAOクリアに真剣でしたからね」

 

立香は特別早起きというわけではないが、特別寝坊というわけでもない。

 

まあ、頻繁にマシュに起こされているのは事実だが。

 

「待たせたな」

 

程なくして、エミヤが部屋に戻ってきた。

 

その手には、

 

「な、なんですかそれ……?」

 

フライパンとお玉が握られていた。

 

「見ての通り、フライパンとお玉だ。調理器具だ」

「そんなことは知っています!」

 

若干ズレたことを言うエミヤ。

 

マシュはため息をつきながら、エミヤの発言を否定する。

 

「どうしてそんなものを持っているのか、と言っているんです!」

「なるほど、そういう意味合いか」

 

うんうん、と頷きながら、納得したようにエミヤはそう言う。

 

「なに、簡単な話だ」

 

当然、と言わんばかりにフライパンとお玉を両手に構える。

 

「こうするのだよ!」

 

そして、その二つを思いっきり打ちつける。

 

カァァァ────────ンッッッ!!

 

甲高い音が部屋どころから家全体に響き渡る。

 

「うわっひゃあ!?おはようございますっ!」

 

当然、こんな状態で寝られるはずもなく、立香は跳ね起きる。

 

「エミヤさん……。つい先程、調理器具だと仰ったばかりですよね……?」

 

再び、マシュは大きくため息をつく。

 

アルトリアはよく分からないといった表情で、首を傾げていた。

 

跳ね起きた立香と共に、ささっと朝飯を済ませると、四人揃って街に出る。

 

「集合時間ギリギリですね。急がなくては」

「いや、もはや間違いなく、時間を超過するだろう」

 

全員高めの敏捷力を持っているため、かなりのスピードで街中を走り抜けているが、いかんせん時間が無い。

 

それこそ、転移結晶でもなければ間に合わない。

 

しかし、遅刻しそうだから転移結晶を使うというのは、少々もったいない。

 

「あーもー!どうしてこうなった!」

「マスターが寝坊したからです。理由は明確ですよ」

「セイロンスギテクサハエル」

「先輩、口調が明らかにおかしいです!落ち着いてください!」

 

軽口を叩き合いながら、街中を疾走する。

 

やがて、転移門が見えてきた。

 

「飛び込めぇぇぇぇ!」

 

立香の声に従い、アルトリアとマシュが転移門に飛び込む。

 

「ま、待て!そんな勢いで飛び込んだら……って、遅かったか……」

 

既に転移門に消えてしまった三人の無事を、エミヤは祈った。

 

軽い目眩のような感覚と共に、転移が終了する。

 

転移は問題なく終了した。

 

問題は、

 

「どわぁぁぁぁぁ!?」

「きゃぁぁぁぁ!?」

 

その後も勢いが収まらなかったことである。

 

「わぁぁぁぁぁ!?」

「きゃぁぁぁぁ!?」

 

門の前には、キリトとアスナが向かい合うように座り込む。

 

そこへ、ピンポイントに、寸分も狂いなく。

 

立香とマシュがなだれ込む。

 

派手な音を鳴らしながら、キリトに覆いかぶさってしまう。

 

「ぐおぉぉっ……!」

 

カエルが潰れたような声を上げるキリト。

 

勢いそのまま、ゴロゴロと転がる。

 

「マスター!マシュ!キリト!ご無事ですか?」

 

アルトリアは持ち前のバランス感覚でギリギリ転移門前でブレーキをかけ、踏みとどまった。

 

三人が転がった方に駆け寄ると、途中でマシュが目を回して座り込んでいた。

 

「わ、私は大丈夫です……」

「良かった。マスターは……?って……」

 

辺りを見回すと、二人は固まってそこにいた。

 

どういう状態かと言えば、

 

「………っ!?」

「……あらま」

 

立香を押し倒すように、キリトが覆いかぶさっている体勢だ。

 

キリトの右手は、立香の左胸に触れていた。

 

「わぁぁぁぁぁぁ!?ごめん……うおっ!?」

 

大急ぎで飛び退こうとするキリトの顔面に、思いっきり拳がめり込む。

 

もちろん、街中であるため、ダメージは通らない。

 

驚いたキリトが脇を見ると、

 

「……あ、あの……あ、アスナさん?」

 

鬼の形相で拳を握りしめるアスナがいた。

 

さらに、

 

「キリト、少し話があります」

「安心してください。すぐに終わります」

 

キリトの両肩に、アルトリアとマシュの手が置かれる。

 

「……お、お手柔らかにお願いします……」

「「保証しかねます」」

「ですよねーーーーー!?」

 

目の前でお話(物理)を展開する仲間たちを見ながら、立香は、

 

「……いや、事故だしそんな気にしないんだけど……」

 

誰にも届かない呟きを言っていたのだった。

 

余談だが、事情を知らないままだったエミヤは、到着してから状況を察し、キリトのやけ酒に付き合ってあげたそうだ。




お読み頂きありがとうございました!

今までこういうラッキースケベは、基本的に百合でやっていたので、なかなか珍しい展開ですね

ちなみに、立香の反応についてはだいぶ迷いました

結局、こんな感じのクールな反応なのかな、と思ってこう書きました

それでは、また来週お会いしましょう

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