もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
今年もよろしくお願い致します!
雪希絵です!
いやはや、なんだか昨年1年はとても早かったように思います
思えば、昨年は1年間、この小説と向き合って来たんですよね
これからも、出来うる限り続けて行きたいと思います
皆様、よろしければ、どうぞお付き合いください!
それでは、ごゆっくりどうぞ!
そういうわけで古城ダンジョンの中に入ったわけだが、
「キシャアァァァァァッ!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ゴースト系モンスターが、曲がり角から飛び出して来た。
それはまさしくホラーゲームやお化け屋敷のようで、アスナは大きな悲鳴を上げて逃げる。
安心するのか、立香の腕を掴んで涙目になっている。
「……ねぇアスナ?とてもとても、いやこれもう天国かってくらいに嬉しいけどさ。大丈夫?一回出ようか?」
ふるふると震えるアスナを見ながら、立香はそう言う。
「だ、大丈夫……。大丈夫だからぁ……!」
「そんな可愛い泣き顔で言われても説得力皆無なんだけど……」
美少女の泣き顔とは、人によってはなかなかにそそるものである。
先に進むごとに、どんどんドッキリ要素が増えていく。
まるで製作者の悪意がそのまま具現化したかのように、次から次へとゴーストモンスターが現れる。
それは軍隊のように群れをなしている訳ではなく、絶妙なタイミングで脅かしに来ているという意味だが。
「うぅ……もういやぁ……」
叫び過ぎて疲れたのか、若干死んだような目をしているアスナが呟く。
「マスター、モンスターの討伐完了しました」
「うん、ありがとマシュ。ほら、もう目開けていいよ、アスナ」
もうすっかり慣れたもので、モンスターが現れる度に立香が目を閉じるように指示している。
一応、アスナも慣れてはきたようで、先程よりは絶叫しなくなってはいる。
「……ふむ」
そんなアスナを見て、そして気味悪そうではあるが割と平気そうな顔をしているキリトを見て、立香は口の端を釣り上げる。
そして、アルトリアとエミヤは立香の横顔を見て、
「「……ああ、何か企んでる顔だ」」
そう考え、これから起こるであろうひと騒動に、盛大にため息をついた。
マッピングを進め、もう少ししたら帰還しようかという時。
「はあぁぁぁ!」
アルトリアの剣がゴーストを捉える。
上下に真っ二つに切り裂かれ、ゴーストが声もなく崩れ落ちる。
「『
エミヤの周囲に無数の剣が現れ、モンスターに向かって飛来する。
それはモンスターに突き刺さり、飛び穿ち、そして貫いていく。
「おおっ!」
キリトの剣が青く輝く。
ソードスキルが閃き、青い閃光を靡かせてモンスターを切り刻んでいく。
「戦闘終了、お疲れ様でした」
マシュがそう言い、全員が武器を収める。
「……いや、まだだ!」
立香がそう叫び、超速で前に飛び出す。
ダンジョン自体が暗いため、立香の姿はすぐに消えてしまう。
「先輩!」
マシュもそれについて行く。
金属音のようなものだけが響き、時折火花が五人のいる所まで飛んでくる。
「マスター、加勢するぞ!」
「私も行きます!」
エミヤとアルトリアが、その中に飛び込む。
「リツカ!マシュ!」
「エミヤさん!アルトリアちゃん!」
二人が叫ぶが、金属音が轟くばかりで、何も返事がない。
「くそっ!俺も加勢する!」
「ダメっ!逃げて!」
立香の叫び声。
「モンスターの数が多い……!私達も隙を見て逃げるから、行って!」
「……で、でも!」
「いいから!近くの安全地帯に!」
そう言われ、目と目を合わせる二人。
「どうする、キリト君」
「決まってる、助けに行く!」
アスナは神妙に頷き、剣を抜く。
キリトもそれにならい、背中の剣を抜き放つ。
「行くぞ!」
「うん!」
まるで最初期の頃に戻ったかのように、二人は並んで四人の元へと駆けた。
その先で待っていたのは、
「はーい♪いらっしゃーい♡」
実に楽しそうな表情をしている立香だった。
近くで渦巻くのは、見覚えのある青色の渦。
見慣れた転移結晶より、色が濃い。
「回廊結晶……!?」
そう、指定した場所に相手を飛ばす回廊結晶だ。
勢いつけすぎた二人は、吸い込まれるように回廊結晶に向かい……
「いってらっしゃーい♪」
そう満面の笑みで言う立香の声を最後に、完全に飲み込まれてしまった。
そう、全ては立香の計画通り。
転移先は探索の途中で見つけた安全地帯。
ただし、レベル1かつ全く攻撃してこない敵モブが湧いている。
そうして、それがダンジョンとは比にならないほど絶妙に驚かしてくる……らしい。
実はアスナが入るのを断固拒否したため、入ってはいないのだ。
結局、立香がダッシュで駆け抜けて走破した結果、入ると入口からは出られないこと、そしてそこそこ長いこと。
端的に言えば、完全にお化け屋敷だった。
「ふっふっふ……この吊り橋効果さえあれば、二人は間違いなくラブラブになるはず……!」
そう計画した立香は、わざわざマシュやアルトリア、エミヤと組手のように戦う芝居までして、この状況を作ったのだ。
「よっし!出口の方に回り込むよ!迎えに行かなきゃね!」
そうして、返事も待たずに駆け出してしまった。
「……ちょっかいは出さないのではなかったのか、マスター」
「先輩……」
「嘆いていても仕方ありません。ここはマスターに従って、素直に出口へと向かいましょう」
サーヴァント組は大きくため息をつき、やっぱり予想通りになったと頭を抱えていた。
お読みいただきありがとうございました!
二人にラブラブして欲しかったので、こういう展開になりました
さて、どうなることでしょうか
それでは、また来週お会いしましょう!