もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
私の身体はどんだけ疲れているんだと思い始めた雪希絵です
寝落ちしておりました、大変申し訳ございません
もう……謝るしかできなくて本当にごめんなさい
記念すべき50話になんてことを……
それでは、ごゆっくりどうぞ
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
迷宮区に絶叫が響く。
「きゃぁぁぁああああ!!?」
何度目になるか分からないが、もう二桁は確実に超えている。
「うぅ……リツカちゃぁん……」
立香の右腕にしがみつくアスナ。
嬉しいことこの上ないが、動きづらいのは少々マズい。
「……どうしてこうなった?」
薄暗く、陰湿なイメージで染まった迷宮区内で、立香は首をかしげた。
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時間は一時間ほど前に遡る。
アインクラッド攻略は第六十五層に至った。
早速迷宮区を覗きに行こうと、立香達は人を待っていた。
アスナから誘いがあったのだ。
ちなみに、
「しっ────!」
「はぁ────!」
今回はキリトも(立香が無許可で)呼んでいるのだが、
「ぐぅ……おぉ!」
「ふっ────」
「……ああもう!このバトルジャンキー共がっ!」
会うや否や、挨拶もそこそこにデュエル中である。
ちなみに相手はエミヤ。
人通りのないところで戦っているため、エミヤはバッチリ二刀流である。
「くそっ、なんて剣技だ……!何より剣速が半端じゃないぜ……!」
「そちらこそ、大したものだ」
「まだまだだ。……出来れば、使いたくなかったんだけどな!」
そう言いながら、キリトはメニューを弄って二刀流を装備。
「わっ、ちょ、先輩!?」
「ま、マスター、見えません!ホットドッグが!」
二人の目は立香がさっと隠す。
マシュとアルトリアなら言いふらすことはないが、キリトの気持ちの問題である。
少しだけ向かい合い、剣を構える。
そして、同時に駆け出す。
火花が舞い散り、辺りに飛散する。
左右の剣を縦横無尽に振るい、空を切る音が、辺りを揺るがす程に起こる。
右手の剣で受け、左の剣で突き。
時には左右の剣を合わせて防御する。
激しい斬り合いが繰り返される。
「……お待たせー、リツカちゃん。って、リツカちゃん!?」
「私の手2本しかないんだけど。二人とも勘弁してくれない?」
そんな立香の願いも届かず、デュエルはひたすら続く。
「おぉぉぉぉっ!」
キリト渾身の突きが炸裂する。
轟音が唸りをあげ、エミヤに迫る。
「……そこだっ!」
瞬間、エミヤは小さくかがみ込む。
すくい上げるようにキリトの剣をはね上げる、軌道を逸らす。
「しまっ……!」
エミヤの剣がキリトの腹部を切りつける。
HPがイエローゾーンに到達し、デュエル終了を告げる表示が現れる。
「負けたか……。やっぱり、スキルの熟練度が足りなかったかな」
「いや、充分に強かった。大したものだ」
「ありがとう。今度リベンジするぜ」
「ああ、受けて立とう」
二人はにこやかに笑って武器をしまう。
「はぁ、やっと終わった」
言いながら、立香は三人から手を離す。
「先輩、どうしたんですか急に」
「いやぁ、ごめんごめん。気にしないで」
話をサラッと逸らし、立香はデュエルをしていた二人に駆け寄る。
「もう、二人とも。腕試しはいいけど、本気になりすぎるのはやめてよね」
「す、すまない……」
「つ、つい……」
すっかり立香に躾されている二人は、怒られて焦る。
そんなキリトに、アスナが気がついた。
「あ……き、キリトくん……」
「あ、アスナ?ひ、久しぶり……」
「う、うん……」
沈黙が降りる。
俯きながら、あさっての方向を見ながら、二人は押し黙る。
(……別れてから偶然再会したカップルか!?)
盛大にため息をつく立香。
「ほらほら、行くよ!せっかく久しぶりに同じパーティーになったんだから、ちょっとはやる気出して!」
「わわっ、お、押さないでよ、リツカちゃん!」
「待て待て!自分で歩くから、歩くから!」
そんなこんなで慌ただしく一行は迷宮区へ。
その方向へ進むたびに、どんどんと辺りは暗くなっていく。
より鬱蒼と、より陰湿な空気に変わっていく。
「ね、ねぇ、立香ちゃん……。本当にこっちであってるの?」
「あってるあってる。こっちで間違いないよ」
小刻みに震えるアスナ。
「大丈夫?寒いの?」
「う、ううん、平気……」
立香はアスナの方をチラチラと見ながら歩いていると、迷宮区へとたどり着いた。
のだが。
「…………ここ?」
アスナが震え声で言う。
目の前に現れたのは、まさしく城。
といっても、おとぎ話のような綺麗な白亜の城ではない。
古ぼけた、おどろおどろしい見た目。
今にも剥がれそうな外壁が、窓から覗く影が、這い回るツタが、より一層の恐怖を煽る。
「まさしく幽霊城って感じだね。ホーン〇ッド〇ンション?いや、タ〇ーオブ〇ラーみたいな感じ?」
「マスター、その発言は色々と危ない」
エミヤが若干慌てながらツッコミを入れる。
「いかにもゴースト系が出そうだな」
「ひっ……!」
「アンデッドも出そうですね……」
「いやぁ……」
敵の予想が展開される度に、アスナが頭を抱える。
どうやら、アスナはこういったホラー系が得意ではないようだ。
(大丈夫かな……)
そう心配しながら、立香は早速古城の中に入って行った。
お読みいただきありがとうございました
アスナのビビってる姿が書きたくてこうなりました
ちょっとだけ、この先もこの話が続きます
それでは、また来週お会いしましょう!