もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
始めたはいいものの、忙しくてなかなかSAOのゲームが出来ない雪希絵です
土日マイクラやる暇あったらやればよかったのに...( = =) トオイメ
それはさておきまして
最近、オリジナル小説の書き溜めがようやく出来上がって来ました
別サイトで連載しているのですが、せっかく再開しようとした矢先にメモ消失事件でしたから……
近いうちに更新を再開したいと考えています
そうなった時、並行が難しいと考えた場合は、この作品の投稿頻度を下げることになってしまうかもしれません
そうなった場合は、どうぞご了承ください
それでは、ごゆっくりどうぞ
(ユナ……?あの子ことか!?)
ユナ。
様々な街に現れては、転移門前で歌を披露しているプレイヤー。
そんな彼女の歌は、心から楽しそうで、純粋に歌を楽しんでいるのが伝わってくる。
立香達も、密かに会えるのを楽しみにしていた。
それでも、話したことも、面と向かって会ったことすらない。
彼女が転移門前で披露していた歌を、何度か聞いたことがある程度。
されど、助けるのに仲の良さなど関係ない。
「アルトリアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
立香が全力で叫ぶ。
「ここは私達でなんとかする!」
「アルトリアちゃん、お願い!」
「アルトリアさん!」
「セイバー!」
受け、斬り、避け、戦闘を続けながら、アルトリアに希望を託す。
「承知しました!」
アルトリアは強く頷き、ボス部屋の出口へ飛び出す。
剣を水平に構え、魔力放出の加速も使って。
立香の横を通り過ぎる直前。
「任せたよ!」
「はい────!」
そう、言葉を交わした。
───────────────────────
転移結晶を用いて、アルトリアは即座に目的の階層へ飛んだ。
ゲートを潜ったその瞬間、アルトリアは全力で駆け出した。
場所は、薄暗いダンジョンの底。
アルトリアは、己の直感だけを頼りに、ひたすら走った。
近くまで来ると、何が起きているかはすぐにわかった。
視界を埋めつくす、おびただしい数のモンスター。
「……あそこですね」
確信し、アルトリアは速度を上げるために、
「──────ふっ」
己の鎧を解除。
激増した魔力放出を伴い、駆ける、駆ける。
群れるモンスターの上を飛び越え、そして騒ぎの中心へ。
その瞬間、アルトリアは目にした。
茶髪の少女に斬り掛かる、モンスター。
鈍く輝く刃が、少女に振り下ろされる。
すでに覚悟は決まっているのか、それとも諦めたのか。
少女は静かに、目を閉じる。
まさに、その少女に凶刃が当たる寸前。
「はぁああああああああああ!!!」
鎧を外したことにより、全ての魔力を魔力放出に注ぎ込んだアルトリアが割って入る。
ギャリィィィィィィィィ────!!!
猛烈な摩擦音と、視界が掻き消える量の火花。
ギリギリのギリギリ。
後一歩遅ければどうにもならかった。
だが、アルトリアは間一髪間に合った。
「……あ……れ?」
ユナは何が起こったのか分からないという顔をしたあと、目の前のアルトリアに気がついた。
「あ、あなたは……?」
至極当然の問いに、アルトリアは肩越しに振り返って答える。
「……そうですね。あなたのファン、と言っておきましょうか」
そして、目の前の敵を睨みつける。
数えるのも馬鹿らしくなる数。
それでも、アルトリアは怯まない、揺るがない。
勢いよく駆け出し、その手に握った不可視の剣を振るう。
爆音と噴出音が鳴り響き、辺りを揺るがす。
アルトリアの一太刀一太刀が、莫大な威力を持っていることが目に見えてわかる。
「くっ……!」
それでも、HPは僅かに、ジリジリと減る。
避けきれない攻撃、受け損ねた剣戟。
数があまりにも多すぎて、どうしてもそういったダメージが発生するのだ。
「や、やめてください!このままじゃ、あなたまで……!」
当然のように、ユナは止めに入る。
そもそも、この数に一人で飛び込むこと自体がどうかしている。
それでも、
「それは無理な相談です。……私は、ここで退くわけにはいかない!」
アルトリアに諦める気は微塵もない。
「『
詠唱し、モンスターの群れに向かって剣を突き出す。
解き放たれた風は、モンスターの群れを割くように直進。
いくつかのモンスターのHPを削りながら、部屋の中に微かな空間を作る。
そこに飛び込み、アルトリアは縦横無尽に剣を振るう。
「貴女はここで死んでいい人間ではない!」
休むことなく戦いながら、アルトリアは叫ぶ。
「貴女の歌は人々を励まし!」
剣を低く構え、かち上げるように斬撃。
ソードスキルが発動し、赤い閃光を纏った四連撃が繰り出される。
「貴女の歌で戦士達は鼓舞し!」
それは次々とモンスターを屠り、さらに直後の硬直時間を魔力放出で埋める。
「貴女の歌で傷ついた心は癒される!」
アルトリアは斬り続け、そして叫び続ける。
「貴女の存在が、貴女の歌が、このアインクラッドの希望の一つなんです!」
四方八方から繰り出される攻撃を、魔力放出だけで無理やり逸らす。
同時に一歩大きく踏み込み、常識外れの速度でユナの近くに飛び込む。
ユナを攻撃しようとしていたモンスターの胸を、不可視の剣が貫く。
「私はそんな貴女を救うためにここまで来た」
真上に切り上げ、モンスターの上半身が真っ二つになる。
ユナを真っ直ぐ見つめ、
「私は貴女を助けます。そして、貴女を彼の……ノーチラスの元へ連れていく。そんなことも出来ないで、何が騎士か!!!」
そう言い、踵を返して再びモンスターに向き直った。
「おぉぉぉぉぉぉぉっ─────!」
水平に構えられた剣を真上に切り上げると、魔力放出の乗った衝撃波が放たれる。
それはモンスター達をやすやすと吹き飛ばし、直撃していないモンスターも動きを鈍くする。
その隙を逃さず、アルトリアは一気に距離を詰める。
「────ギャンッ!」
奇妙な叫び声を上げ、モンスター達は次々とバラバラにされる。
手を切り落とされ、足を両断され、首を飛ばされる。
当然のように、HPは猛烈な勢いで減らされていく。
やがて完全にゼロになり、破砕音を響かせて消えていく。
「……まだまだ、これからだろう?来ないのなら、こちらから行くぞ!」
剣を握り直し、アルトリアは未だ多くいるモンスター達に立ち向かった。
そんなアルトリアの戦闘は、どれくらい時間が経ったかも分からないまま。
長く長く、続いた。
最後の一体を切り払った時には。
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
片膝をつき、剣を支えに肩で息をしていた。
それでも、アルトリアは生き延びた。
ユナを、守り切ったのだった。
お読みいただきありがとうました
直感で居場所を当てるアルトリアすさまじい(;゚∇゚)
流石は直感A……書いた張本人ですけれど
それでは、また来週お会いしましょう!