もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
どう森スマホ版にどっぷりハマった雪希絵です
初めてどうぶつの森というものをやりましたが、結構楽しいものなんですね
さて、ここで皆様にお詫びがございます
今まで私は、大きな設定改変はしないように気をつけきました
やむなく変わってしまったところはありましたが、極力気をつけてきたつもりです
ですが、今回は自分の意思で流れを変えさせていただきます
どうかお付き合いください
「さてさて、今日も今日とて迷宮区へレッツラゴー!」
アスナが目覚め、朝食を食べた後に、いつものように迷宮区へ向かう。
しかし、
「あれ?クラディールとノーチラスは?」
昨日パーティーを組んだ二人がいなかった。
「あ、連絡来てたよ。先に向かってるって」
「先にって?」
「ボス攻略会議」
「「「「……はい?」」」」
カルデア組全員の声が重なった。
アスナ曰く、昨日深夜組が徹夜で攻略を進めていく中、ボス部屋を発見。
そのままメンバーを再招集して偵察。
すでに、これからボス攻略に行く算段がついているそうだ。
「はっや。ペース早っ」
「ここまでの階層になると、それほど弱いとも思えないが……」
「たぶん、みんなが血盟騎士団にいるうちに、攻略したいんじゃないかな?だから団長も早めにボス攻略の話を出したんじゃない?」
「なるほど。納得です」
話ながらボス攻略会議の行われる場所へと向かう。
そこには、すでに多くのプレイヤーが集まっていた。
少し離れてはいるが、キリトやクラディールを含めた血盟騎士団のメンバーの姿もある。
「……マスター」
「んー?」
「ノーチラスの姿が見当たりません」
「あれ?本当だ」
アルトリアに言われ、立香は周囲を見回す。
だが、どこにもノーチラスの姿はなかった。
「単純に遅れてるだけじゃない?」
「寝坊か。まったく、自覚が足りないな」
「オカンか!」
そんなこんなで騒いでいると、攻略会議がさっそく始まった。
今回の標的は巨大な鳥型。
猛禽類を思わせる見た目で、全身のベースは赤色で、ところどころに黄や紫の入った毒々しい色使いだそうだ。
目と目の間、額に当たる部分には閉じられたもう一つの目があったらしい。
「……ってことは、特殊攻撃ありっぽいね。第三の目って、いかにもビームとか視線攻撃とかしてきそうだし」
すっかり軍師ポジションに収まった立香がそう言う。
最初こそ反感を覚えていた攻略組の面々だったが、その洞察力と犠牲者を出さない作戦の数々に、今では逆らう者などいなかった。
「石化とかだったらぞっとしますね。状態異常に気をつけて前に出ます」
「最悪麻痺とかでスイッチ出来ない可能性もあるね……どうしよう、リツカちゃん」
「そうだねぇ……」
顔を覗き込みながらそう言うアスナに、立香は首を傾げて唸り声を上げる。
数十秒後、
「……壁、正面に配置するのやめよっか」
と、妙なことを言い出した。
「「「「「はい?」」」」」
そんな立香に、参加者達はキョトンとするしか無かった。
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隊列を組み、全員でボス部屋へと進軍。
手際よく、最短距離で行進し続け、ほとんどのプレイヤーがHP最大でボス部屋に到着。
最前線には、もちろんヒースクリフ。
「行くぞ、全員突撃!」
「「「「うぉおおおおおおおお!!!」」」」
扉が一気に開かれ、盾役から先に部屋の中へなだれ込む。
次々と灯台に日がともり、部屋中央でポリゴンが形を作り始める。
それは大きく横に広がり、巨大な鳥型モンスターの形をとった。
ベースは真紅、羽には黄色や毒々しい紫色の羽が追加されている。
完全に形が完成すると、四本のHPバーが現れ、同時に正式名称がポップアップする。
『The Poison raindown』。
降り注ぐ毒。
「キェェェェェェェェェェェェ!!!」
甲高い叫び声を皮切りに、ボス攻略戦が始まった。
「行きます!」
漆黒の盾を握り、白い衣装に身を包んだマシュが滑走する。
他の盾役プレイヤーも、それに続く。
「キァァァァァァ!!」
再び吠え、ボスはその巨大な翼を振るう。
次々と大量の羽が飛び出し、それ自体が意思を持っているかのように、プレイヤー達に襲いかかる。
「防御!」
ズシンッ、と盾を地面に叩きつけ、防御態勢。
今回のボスが遠距離タイプであることは、すでに分かっているのだ。
「総員、前進!」
羽はぶつかった先から撃ち落とされていき、進軍の速度を少々削ぐことしか出来ない。
「キェェェェェェェェェ!!!」
業を煮やしたのか、ボスは咆哮しながら一瞬だけ静止。
奇妙な物音を響かせ、額の目が開いた。
「来るよ!予定通りに動いて!」
そんな立香の声を掻き消すようにキン、キンと高い音が鳴った後に、
リィィィィィ────ン!!!
紫色の閃光が放たれた。
部屋を埋め尽くすように放たれたそれは、至近距離にいては目を細めざるを得ない眩しさだった。
それは固まっていた壁役プレイヤー達を捉え、HPを削る。
見た目の派手さの割に、あまり威力はない。
だが、
「う……ごけ……ない……!」
「体が……痺れて……」
状態異常付きだ。
麻痺、毒、一部石化、鈍化。
様々なバッドステータスが、プレイヤー達を襲う。
当然のように、ボスは追い討ちをかけようとするが……。
「どこ見てんの!」
「お前の相手はこっちだぜ!」
その前衛組とは、対称の位置に別の前衛組の方から声が上がる。
これこそが、立香の考案した作戦。
範囲攻撃で状態異常付き。
たしかに強力だが、だったら狙いを一つに定めさせなければいい。
そこで、前衛組を二つに分け、左右からボスを挟み込むように配置。
片側が状態異常で動けなくなれば、それが治るまでもう片側がヘイトを集める。
それをひたすら繰り返せば、ボスの状態異常攻撃をある程度無効化できる。
ボスのAIは、まだ動ける方の前衛組を脅威と判断。
巨大な鉤爪や羽を用いて攻撃を仕掛ける。
当然、それは防御され、隙が生まれる。
「攻撃開始!」
「「「「ぉぉおおおおおおお!」」」」
立香とアスナが率いる攻撃部隊が、ボスのHPを削りにかかる。
「せいやぁぁぁぁ!」
立香の拳が。
「はぁあああああ!」
アルトリアの不可視の剣が。
「ふっ────!」
エミヤの剣と槍が。
「やぁああああ!」
アスナの細剣が。
「おぉおおおおおお!!」
キリトの片手剣が。
その他大勢の武器が、ボスのHPを着実に削り取る。
(行ける、このペースなら勝てる……!)
攻撃を続けながら、立香がそう確信した時。
ボス部屋の扉が、開いた。
「!?」
近くにいた立香含む数人が振り返った先には、
「……ノーチラス?」
息も絶え絶えなノーチラスの姿が。
そんな立香達の驚きも無視し、ノーチラスは叫ぶ。
「誰か……誰か、ユナを……助けてくれ!」
悲痛な叫びが、ボス部屋の中にコダマした。
というわけで、原作ではかなり前の層の話をここでさせていただきます
そういったものが苦手な方、申し訳ございません
それでも、私はこの話が書きたかったのです
どうか、どうかお付き合いくださいませ
それでは、また来週お会いしましょう!