もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
風邪の脅威は去ったものの、今度は花粉症に悩まされる雪希絵です
結局マスクは外せません
先週は突然おやすみして申し訳ありませんでした
今週から復帰しますので、どうぞよろしくお願いします
血盟騎士団本部を出て、広場に向かう。
すると、血盟騎士団の制服を着た人物が、二人いることに気がついた。
「『クラディール』。『ノーチラス』。お待たせ」
片方は三白眼の顔色の悪い男。
もう片方は、少々気弱そうな見た目の青年だった。
「……どうも」
ノーチラスと表示されている青年が、そう言いながら軽く頭を下げる。
その様子に、立香は少々違和感を感じた。
今まで会った血盟騎士団の団員は、どちらかというと、
「初めまして。あなたがたのお話は聞いております。私はクラディールと申します。以後お見知りおきを」
こういった自信満々なタイプが多いような気がしたのだ。
ところが、ノーチラスはどうも自分に自信がないような。
というより、
(なんか……諦めてる感じ?)
首をひねりながら、そう思った。
ひとまず、挨拶をされたなら挨拶を返すのが礼儀だ。
「よろしくね、二人とも。私はリツカ。右からアルトリア、マシュ、エミヤだよ」
「「よろしくお願いします」」
「よろしく頼もう」
自己紹介を済ませ、一向は現在の最前線、五十六層迷宮区へと向かった。
「ひとまず隊列の確認。大盾使いのマシュちゃんが最前線。盾持ちのノーチラスにも前に出て貰うよ。同じ両手剣使いのクラディールとアルトリアちゃんには、それぞれ両サイドを固めてね。私とリツカちゃんとエミヤは遊撃。これで行こう」
「……早速実践する機会が来たようだぞ」
アスナの作戦を聞いた直後、エミヤは片手に剣を構える。
「総員構え!隊列を組んで!」
「腕が鳴るね!」
「皆さんは私が守ります!」
「………っ!こ、のくらい……!」
エミヤに習い、全員が武器を抜いた。
現れたのは、複数体の鬼型モンスター『オーガ』。
体躯はプレイヤーよりも大きめで、全員が棍棒を握っている。
「行きます!」
「ガァアアアアアアアアア!!!」
吠えるオーガの前に立ちはだかり、振り下ろされた棍棒を正面から受ける。
相当な体重の乗った一撃のはずだが、マシュはガッチリと受け止めてみせた。
「ガァアアア……!」
しかし、その脇をもう一体のオーガが走り抜けていく。
「!? ノーチラスさん、お願いします!」
流石に二体同時には受けられず、盾役二人目に託す。
「………っ!……ぅ……っ……!?」
しかし、ノーチラスの身体は動かない。
ガクガクと震え続け、脚がすくんでいるのが見てわかる。
「これくらい……!」
縫い付けられた足を無理やり引きはがすかのように、剣を構えて踏み込む。
オーガの振り回す棍棒を盾で受け、下からすくい上げるように弾き飛ばす。
しかし、その横から飛び込んでくるもう一体のオーガ。
「くそっ……!」
悪態をつくが、受けられる位置ではない。
「駆けよ、風よ!」
そこへ、剣をジェット噴射のように使い、轟音を鳴らしながらアルトリアが滑走。
「はぁ!」
勢いをそのまま乗せ、横薙ぎに不可視の剣を振るう。
「グガァ!?」
オーガの腹部に直撃し、吹き飛ばす。
「……ご無事ですか?」
「……あ、ああ」
「良い動きでしたが、前の敵ばかりを見すぎです。周りにも気を配るように気をつけた方が良いでしょう」
「なっ……!」
何を上から、と言うよりも早く、アルトリアは前線へと飛び出していった。
「クラディール殿、右側を頼みます!」
「承知!」
挟み撃ちし、マシュが足止めしていたオーガを同時に切り裂く。
「グゥ……ガォ……!」
頭の上のHPバーが大きく減少。
「これで終わると思わないでよね……!」
二人が作り出した隙に、不敵に笑いながら立香が突撃。
白いエフェクト光を発しながら、立香の拳が振り下ろされる。
拳闘スキルの威力に加えて、高い強度を誇る手甲が攻撃力を補正。
オーガの顔面が凹む程に拳がめり込み、再びHPバーが減少。
「やぁああああ!」
バランスを崩したオーガに、マシュの黄色く発光する大盾が叩きつけられる。
それはオーガのHPを見事に刈り取り、オーガはポリゴンの破片となって砕け散った。
「まだまだ!」
アルトリアはその一連の動きの間にバックステップ。
先程自分が吹き飛ばしたオーガに切りかかる。
一方、ノーチラスが抑えているオーガには、エミヤとアスナが向かう。
片手剣に、槍に、両手剣に。
多彩な武器に切り替え、様々なソードスキルをオーガに叩き込む。
アスナはその素早い動きで、四方八方から斬撃を加えていた。
「アルトリア!そっち行くよ!」
「助かります!」
オーガと切り結んでいたアルトリアの隣に、立香が立つ。
「ふっ……!」
アルトリアが棍棒をはね上げた瞬間、前脚を強く踏み込み、肘打ちを打ち込む。
そこへ、アルトリアの剣が大上段に振り下ろされる。
帯びる緑のライトエフェクト。
ソードスキルが見事発動し、オーガのHPをガリガリと削り取る。
「これで止め!」
立香渾身の蹴りがオーガの頭にクリーンヒットし、オーガが爆発四散。
同時に、もう一体のオーガも砕け散った。
えげつない程に強い(;゚∇゚)
自分で書いててそう思いました(^_^;
これはいよいよカーディナルが動き出しそうな予感……
それでは、また来週お会いしましょう!