もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
徹夜明けの雪希絵です
眠いですが、頑張りますので、お付き合い頂ければ幸いです
「エミヤ!待て待て!待ってくれ!」
「どうしたキリト」
非難するようなキリトの声に、全くわからないと言わんばかりに首を傾げるエミヤ。
それもそのはず、エミヤはキリトから『二刀流は使うな』としか注意を受けていないのだ。
「弓使っちゃダメだろ!二刀流と同じように、悪目立ちするんだよ!」
「いや、君からそんな話を聞いたこと覚え……は……」
そう、
「エミヤ」
「正座」
二刀流しか忠告を受けていない。
「ま、待て、落ち着けマスター!」
名前と命令だけというシンプルかつ恐ろしい怒声に振り返ると、そこには満面の笑みの立香。
当事者どころか、事情を知らないアスナですら硬直する、氷のごとき冷たさを持った笑顔だった。
「り、リツカちゃんって、こんな顔もするんだ……」
苦笑いで精一杯の感想を述べるアスナ。
マシュとアルトリアは全力で頷くばかりである。
「本当はね『全裸で、正座です♪』って言いたいんだけどね。それは流石にハラスメントコードに引っかかるから、やめとくけど」
(((((引っかからないならやるの……)))))
その瞬間、全員の内心はピッタリと一致した。
結局、エミヤは本当に正座させられる羽目になった。
先程から、時折通りがかる他のプレイヤーの視線が痛い。
「私言ったよね?エミヤにこの世界について説明した時。『近接武器しかないからね』って」
「す、すまない、マスター……。すっかり失念していた」
アスナの気をマシュとアルトリアが微妙に逸らしている間に、立香が咎めるような口調でそう言う。
それに対し、エミヤは申し訳なさそうに頭を下げる。
意外にも抜けているところがあるようだ。
「だいたい、
「すまなかった、気をつけよう」
「それに!使うとしても、
「一撃で止めを刺すことを優先したんだが……」
「爆発大きすぎ!」
「す、すまない……」
もはや、どこぞの竜殺しの英雄レベルで謝りながら、エミヤの説教は続く。
白髪に外套を羽織った高身長の青年が正座させられ、美少女女子高生に説教されているという状況。
どこかシュールな光景に、他の四人は終始苦笑いをするしかなかった。
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「よし、もう立っていいよ」
「現実の身体ではなく、仮想であることに、ここで感謝することになるとは……。脚が痺れていない」
そこそこ長く続いたお説教も終わり、立香はスッキリした顔で、エミヤはやや疲弊した顔で戻って来た。
「お疲れ様です、アーチャー」
「ああ……。うちのマスターは、怒らせると面倒だな……」
「……そう、です……ね」
アルトリアは少しだけ言葉に詰まる。
つい最近、本気で怒った上に大立ち回りを披露した立香を見た後だと、どうしても言葉を濁さずにはいられない。
「さて、そろそろ出発しようか?リツカちゃん、準備はいいかな?」
「ん、私はいいよー。みんなもいい?」
全員が頷いたのを確認し、ひとしきり迷宮区を回る。
今度こそエミヤは目立つ武器は使わず(それでも、武器の切り替えは充分な戦力だった)、きっちりと本日分の目標を達成した。
その帰路でのこと、またアスナが食事に誘った。
「新しいメンバーも増えたことだし、ちょっと豪華にしようよ」
「おっ!賛成!」
「私も賛成です」
「セイバー……なんという反応速度だ……」
「気にしないでください、エミヤさん。いつものことです……」
「また大食い勝負の勃発かなぁ……?」
それぞれがそれぞれな反応をし、食事をすることに決まった。
そして、事はその準備中に起こった。
「ねぇ」
立香が唐突に全員に呼びかけた。
「王様ゲームしたい」
そして、何やら妙なことを言い出した。
お読みいただきありがとうございました
美男美女だらけのメンツで王様ゲーム
何が起こるか、もはやお察しのことだと思います
それでは、また来週お会いしましょう!