もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

36 / 71
どうも皆様

明日が再試験なことに気がついた雪希絵です

どうしましょう、このままでは単位が……

とにかく、死ぬ気で勉強します!

ごゆっくりどうぞ!


どこに行ってたの?

「わざわざ送ってもらってすまないな、キリト」

「なんとなくついてきただけだよ。気にしないでくれ」

 

リツカ達が泊まっている宿屋に到着し、エミヤとキリトはそこで別れることにした。

 

だが、

 

「なーに二人でコソコソしてるのかな?」

 

唐突に背後から声がかかる。

 

聞きなれた声に振り返ると、そこには満面の笑顔で腕を組み、仁王立ちする立香。

 

どうしてだろうか。

 

可愛らしい笑顔のはずなのに、ものすごく恐怖を感じる。

 

「ま、マスター……」

「り、リツカ……」

 

ひくついた笑顔でそう言うと、リツカは唐突に笑顔を消す。

 

「こんな時間に何してたのかな?」

「せ、世間話だよ、うん」

「夜遅くに?わざわざ外に出て?」

「飲み物を用意してから話したかったからな」

「宿屋でも飲めるけど?」

「「うっ…………」」

 

言い訳をことごとく返され、エミヤとキリトは後ろを振り返って相談を始める。

 

「どうするキリト」

「なかなか厳しいな……」

「だが、逆に考えればチャンスでもある」

「どういうことだ?」

「マスターだけしかいないのなら、先程の相談も可能なはずだ」

「なるほど、それもそうだ」

「どうするキリト」

「そうしよう」

 

再び振り返り、

 

「リツカ、折り入って相談があるんだ。ちょっといいか?」

 

と、相談した作戦を遂行した。

 

「ほえ?どうしたの急に」

「先程キリトと話していたことだ。私からも説明しよう」

「んー、分かった。ちょっと聞いてみよかな」

 

───────────────────────

 

「ふむふむ、なるほど」

 

場所は変わって、宿屋の屋根の上。

 

アルトリアとマシュは、ラフコフ戦で疲れたのか、早々に寝てしまっている。

 

というわけで、その屋根の上で話しているのだ。

 

ちなみに、立香はスルスルと登っていたが、実は窓から屋根は結構離れている。

 

エミヤとキリトは、少しばかり苦労した。

 

「で、どうしてスキルが発動したのか、って考えてたんだよ」

「私も考えてはみたが、やはりマスターの方が適任だと思った次第だ」

「エミヤってば、私のこと買いかぶり過ぎじゃない?」

 

たはは、と苦笑いし、すぐに考え込む。

 

顎に手を当て、真剣な表情をする様は、本人の容姿も合わさってかなり画になる。

 

「……まあ、キリトの話を総合すると、スキルが発動した理由として考えられるのは三つだね」

 

そして、すぐに考えを導き出した。

 

「というと?」

 

キリトが身を乗り出し、答えを待つ。

 

「完全にランダムに割り振られるか、第三者が意図的にキリトに割り振ったか、あらかじめ用意されていた何らかの条件を満たしていたか。このうちのどれかだと思う」

「……第三者、というと?」

「まあ、一番考えられるのはGMだよね」

「そんな馬鹿な!一年間潜ったままのGMなんて……!」

「ダイブしたままじゃないとしたら?」

 

どこまでも冷静な立香の発言に、キリトが押し黙る。

 

「可能性的にはありえるよ。初めてのVRMMOのゲームを作ったんだもん。人を殺すシステムの組み込まれていないナーヴギアを身につけていても不思議じゃない」

「───たしかに、ありえる話だ」

 

立香の推論は、恐ろしいほど説得力があった。

 

二刀流スキルのことはさておき、高出力マイクロウェーブのシステムがないナーヴギアがあること、それを使ったGMが存在する可能性。

 

それはたしかな説得力を持っている。

 

「さすがはマスターだ。ユニークスキル一つで、ここまで推理できるか」

「ええへー、それほどでもあるよ!」

「前言撤回だ。調子に乗りのはよしたまえ」

「エミヤちょっと酷くない?」

 

上げてから下げられた立香がしょげる。

 

しかし、キリトは素直に感嘆していた。

 

「いや、エミヤの言う通りだ。月並みだけど、すごいよ」

「ありがとキリト。エミヤとは違って優しいね、エミヤとは違って!」

「待て、何故二回も言う」

「大事なことなので二回言いました」

「私はあくまでも、マスターの人間的な成長を祈って言っているだけだ」

「いつも思うけど、おかんか!」

「私も心が痛いんだ。だが、時には心を鬼にすることも───」

「おかんか!」

 

憤慨する立香の声と、エミヤの説教、キリトの苦笑いが、夜の街に響いた。




お読みいただきありがとうございました!

ちょっと短めですが、お許しください

それでは、また来週お会いしましょう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。