もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

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どうも皆様

最近炭酸水にハマった雪希絵です

WILKINSON炭酸のコーラ味美味しいです

さて、やって来ました更新日

タイトルからご察しの方はいるとは思いますが、楽しんでいただければ幸いです

それでは、ごゆっくりどうぞ!


真名解放

「……何か策があるのかね?」

 

ヒースクリフはそんな立香に、攻撃を受けながら冷静に尋ねる。

 

二人はもちろん初対面だが、わざわざ挨拶をしている余裕はない。

 

「はい。勝てます」

 

立香もひらりと攻撃を回避し、はっきりと、迷わず答える。

 

「……わかった。任せよう」

 

そんな立香に何か感じるものがあったのか。

 

ヒースクリフはあっさりと後退し、ボスと距離を取る。

 

「なっ!?だ、団長!」

「しょ、正気かっ!?」

 

驚くべきヒースクリフの言動に、アスナとキリトが止めに入る。

 

周りのプレイヤー達も固まっている。

 

しかし、ヒースクリフも立香たちも何も気にしていない。

 

ヒースクリフという壁がなくなり、自由になったボスは攻撃を始める。

 

「ォオオオォォォォォ!!」

 

叫び、減ってはいるがまだ数多くある右側の腕を振りかぶる。

 

「マシュ」

「はい」

 

名前を呼ぶだけの指示。

 

だが、マシュはそれだけでも的確に動く。

 

立香とアルトリアの前に立ち、束になる右腕をいとも簡単に受け続ける。

 

衝突する度に弾ける火花。

 

普通のプレイヤーならHPが削られ、数回も受ければ何度もノックバックするような激しい攻撃。

 

それに対し、マシュはたった一人、ヒースクリフをも超える見事な反応速度と防御力を発揮する。

 

しかし、これでは先程と変わらない。

 

ただヒースクリフが前線で攻撃を受け続けていた時となんら変わりはない。

 

(一体何をするつもりだ……)

 

キリトは頭を捻る。

 

鉄壁の防御にアルトリアも加わり、両側に増えたボスの攻撃をひたすら受ける。

 

ほんの、ほんの少しずつ減少するHP。

 

未だに何もしない立香。

 

しばらく響き続けていた音は、

 

「オオオオォォォォォォォォォォ」

 

ボスの咆哮に掻き消された。

 

再び、間抜けな音を立てて開く口。

 

「やばいっ!」

「みんな、下がって!」

 

キリトとアスナの危機警告をする中、立香は一人、

 

「待ってたよ。それを」

 

にっこりと微笑む。

 

右手の袖を捲り、手の甲を正面に。

 

横にいたキリトとアスナは気がついた。

 

その手には、奇妙な紋章が刻まれていることに。

 

「真名解放……」

 

ボスの口に収束する光。

 

それに対し、控えめに光る立香の右手の紋章。

 

それは、サーヴァントを操るマスターだけの特権。

 

ありとあらゆる不可能を可能にする、聖杯に最も近い魔術行使。

 

『令呪』。

 

サーヴァントの魔力がどれだけ減っていようと、切り札を切ることができる強力な命令権。

 

「『マシュ・キリエライト』!!」

 

それを、今使った。

 

立香が名前を叫んだ直後、マシュの身体が光り輝く。

 

いよいよブレスが吐き出される、その瞬間。

 

マシュは、一歩、二歩先へ。

 

ボスの目と鼻の先に、立つ。

 

「真名、開帳────私は、災厄の席に立つ」

 

静かに呟き、盾を振り上げる。

 

ボスの口が最大限まで開き、ブレスを放出。

 

目を開けていられないほどの閃光と、耳をつんざく轟音。

 

そんな中、不思議とはっきり聞こえるマシュの声。

 

「それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せよ『いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)』!!」

 

盾がズシンッと床を揺らして叩きつけられると同時、マシュを中心に権限する城壁。

 

白亜の城と円卓の騎士の中枢、円卓自体を呼び出させるマシュの宝具。

 

それらを用いた究極の守り。

 

いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)』。

 

マシュの作り出した盾と、ボスのブレスが激突。

 

しかし、ブレスは当たった端から霧散していく。

 

あまりの防御力に、ブレスは微塵も歯が立たないのだ。

 

「マスター!アルトリアさん!今です!」

 

懸命に盾を支えながら、マシュが背後の二人にそう言う。

 

「OK、分かってるよ。マシュ」

「お任せを。本気でいきます」

 

そうして、再び右手を突き出す立香。

 

「真名解放……!『アルトリア・ペンドラゴン』!!」

 

立香の宣言とともに、マシュ同様に輝き出すアルトリアの身体。

 

いや、令呪の干渉が終わっても、なお輝き続ける。

 

地面から登ってくるような、光の粒子。

 

その数は次々と増えていき、やがて周囲を埋め尽くさんばかりに広がる。

 

その中央で、アルトリアは剣を垂直に構える。

 

空気の爆ぜる音とともに、解除される封印。

 

不可視の剣は可視の剣となり、その全容を表す。

 

目を閉じ、意識を集中するアルトリア。

 

(必ず決める。この一太刀で、この目に写る全てを救う!)

 

もう既に犠牲者は出てしまった。

 

だからもう、これ以上何も失わせはしない。

 

「遍く星の息吹よ、輝ける命の奔流よ。受けるがいい!」

 

柄を両手で握りしめ、目を開く。

 

同時、マシュはその場から跳ねるように移動。

 

これでもう、アルトリアとボスの間に障害はない。

 

「ォォォオオオオォォォォォオオオオォォォォォ!!!」

 

ブレスを防がれ、激昂でもしたのか。

 

ボスは残った腕全てを伸ばし、手当たり次第に殴りかかろうとする。

 

だが、そんなものは無駄な抵抗だ。

 

勝負は、決まったも同然なのだから。

 

アルトリアの周りの粒子が集結し、剣から光の帯が伸びる。

 

高く、高く。

 

数メートルは伸びた剣。

 

(砕け散れ、モンスター!!私達は、こんなところで止まるわけにはいかないのだ!)

 

「『約束された(エクス)────』」

 

強い意思を込めて、振り下ろす。

 

「『勝利の剣(カリバー)』!!!」

 

まるで剣が伸びたように。

 

巨大なレーザーのような斬撃が放たれた。

 

それは聖剣の真骨頂。

 

全ての力を解放した最強の剣でのみ放たれたる、究極の斬撃。

 

魔力を直接光に変換することで、莫大なエネルギーを伴った一太刀。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)』。

 

立香達の正真正銘の切り札である。

 

ボスモンスターの大部分を覆う一撃は、いとも容易くボスのHPを刈り取る。

 

猛烈な勢いで減少、即座に空に。

 

グリーンから黒一色に染まったHPバーは、

 

「オォォォォォォォォ……………!」

 

ボスを討伐した証拠。

 

長い長い断末魔を上げ、ひび割れるボス。

 

一際大きい破砕音が鳴り、木っ端微塵に砕け散り、ポリゴンになってキラキラと舞う。

 

それが消えてから現れる『Congratulation!!』の表記。

 

第五十層ボス攻略戦、終了の瞬間だった。




どうでしょう、かっこよく書けていましたでしょうか?

このシーンはこの作品を書く上でも重要なシーンだと前々から考えていたので、気合いを入れて書きました

よろしければ感想などお聞かせください

お読みいただきありがとうございました!

また来週お会いしましょう!

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