もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

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どうにか守りましたよ、更新日!

ギリギリでしたけどね!

提出物は出さないくせに投稿日は守る!それが雪希絵クオリティ!

……すみません、夜のテンションなんです


攻略会議

翌朝、アスナから緊急のメッセージが届いた。

 

なんでも、ボス攻略会議が今日これから行われるらしい。

 

「そういえば、キリトさんがボスの討伐の話が出ていると言っていましたね」

「だね。どうやら、私たちはその直前に転移させられたみたい」

「なんらかの作為を感じざるを得ませんね」

「うん。でも、今はとりあえず後回し。急ごう!」

「「はい!」」

 

昨日の話をしていたところだが、それと同時に朝食も手早く済ませ、三人は足早に宿屋を出た。

 

集合場所に指定されたのは、街中の大きな広場だった。

 

立香たちが広場に辿り着くと、

 

「リツカちゃん!こっちこっち!」

 

と、アスナが呼びかけて来た。

 

「おはよ、アスナ。メッセージありがとね」

「ううん。こっちこそ、急に呼んだのに来てくれてありがとう」

「でも、昨日はなんか、私たちに参加して欲しくなさそうだったよね?どうして急に?」

「キリトくんが言ってたんだ。今回のボスは相当な強さが予想されるから、アルトリアちゃんとマシュちゃんは必要不可欠だって」

「……私はついでなんだ」

「あ!ち、違うの!リツカちゃんが弱いとかそういう訳じゃなくて……!」

 

慌てるアスナに、逆に傷つく立香。

 

それはもはや、役立たずだと思っていたと言ってるようなものである。

 

「まあ、いいよ。気にしてない」

「うぅ、本当にごめんね……」

「よう、三人とも。もう来てたのか」

 

そこに、いいタイミングなのか悪いタイミングなのか、キリトが現れた。

 

「おはようございます、キリト。お腹の調子はどうですか」

「おう。寝たら絶好調だ。今すぐにでも食べられるぜ」

「奇遇ですね。私もです」

「二人とも、仲良くなるの早いね……」

「争った者同士の友情というものでしょうか」

「青春だねぇ」

 

大事な会議前だというのに、キリトとアルトリアはマイペースだった。

 

そのままその辺にあったベンチに座り、何気ない話をして過ごしていると、時間になったのかアスナが立ち上がる。

 

「それじゃあ、いってくるね」

「? どこに?」

「アスナは今回の攻略の指揮官なんだよ」

「なるほど」

 

案の定、アスナは全体が見渡せる位置に立つと、ぐるりと一周見渡す。

 

そして、今まで見たことのないような真剣な表情で、口を開いた。

 

「今回の作戦指揮をとります、血盟騎士団副団長のアスナです。どうぞよろしくお願い致します」

 

アスナの声は決して大きくはない。

 

しかし、静まり返ったその広場に、アスナの美声は凄まじいほど綺麗に響いていた。

 

「偵察の結果、この50層のボスは、今までと比較にならないほど巨大なことが分かっています。よって、今回の攻略作戦では、盾役の数を大幅に増やし、ボスのヘイトをひたすら集めてもらいます。こうして注意が逸れている間に、破壊が可能なら腕を少しでも削ぎ落とし、ある一定まで削ったところで一気に畳み掛けます」

 

50層のボスの姿は、数多くの偵察によって明らかになっている。

 

無数に腕のある、巨大な金の仏像。

 

もっとわかりやすくするなら、千手観音。

 

それが今回のボスらしい。

 

よって、まずはその大量の腕でしてくるであろう、連続攻撃を凌ぐ。

 

そのために前衛に大量のタンクを配置し、防御を固めつつ攻撃をそちらに集中させる。

 

その間に、別動隊として待機していたアタッカーが攻撃を開始。

 

切り落とすことが可能なら腕を攻撃し、不可能なら極力ダメージを与えてから後方に下がる。

 

そしてまたタンクが前に出る。

 

ひたすらこの繰り返しである。

 

単純な作戦だが、それゆえにシンプルで即実践可能だ。

 

「何か他に意見がある人はいますか?」

 

説明を終えたアスナが言う。

 

それに合わせ、ちらほらと何人かが手を上げる。

 

「それじゃあ……そこのあなた、どうぞ」

 

アスナは一番手前にいた男性プレイヤーを指さした。

 

「あの、この作戦だと、盾役の人はずっと攻撃をくらうことになりますよね?HPが全損したりはしないんですか?」

「そうならないように、盾役の数を普段より多くしたんです。ひっきりなしにスイッチを行えば、回復する隙はできるはずですし、人数が多ければダメージは分散します」

 

アスナはスラスラと回答し、男性プレイヤーは納得したのか何度も頷いていた。

 

さらに質問は続く。

 

「盾役を増やすとアタッカーの数が減ると思うんですが」

「今回は両手剣と細剣使い、または筋力パラメータの特に高い人達にアタッカーに回ってもらいます。両手剣は着実に重い攻撃を当て、細剣は手数でひたすら刻み続けます」

「ここのフォーメーション、もう少し間隔を狭くしてもいいと思います」

「後ほど検討します」

「次、いいですか」

「はい、どうぞ」

 

何人ものプレイヤーが話し合い、果てはグループを作って相談をしているところまである。

 

「ねぇ、キリト」

「ん?」

「攻略会議っていつもこんな感じ?」

「まあ、基本的には。でも、今回は相手が強いからな。みんなも気合いが入っているのかもしれない」

「……まあ、自分の命かかってれば、真剣にもなるよね」

 

そういう立香も、決して他人事ではない。

 

昨日のロマンとダヴィンチの話によると、この仮想の身体を失えば、立香とアルトリア、マシュの魂を繋ぎ止める器が消えることになり、もう元に戻すことはできなくなるそうだ。

 

つまり、三人は何が何でも、周りのプレイヤーと同じように、一度もゲーム内で死亡しないでゲームをクリアする必要があるわけだ。

 

着々と進んでいくボス攻略会議を聞きながら、立香はため息をついた。

 

しかし、立香には確信があった。

 

アルトリアとマシュ、二人の相棒がいれば、必ずクリア出来るだろうと。

 

───────────────────────

 

だからこそ、今この状況は立香にとっては腹立たしくて仕方なかった。

 

というのも、

 

「せ、先輩……」

「…………」

 

アルトリアとマシュが標的になったからだ。

 

事の発端は、一人の男性プレイヤーの一言。

 

『なぜベテランばかりが集まるはずのボス攻略に、あんな見慣れないやつがいる?』

 

それに対し、アスナは『今回から攻略に参加するプレイヤーだ』と素直に説明した。

 

しかし、どういうわけか、それが一部のプレイヤーのカンに触ったらしい。

 

いつの間にか、立香もアルトリアもマシュも素人扱いを受け、今まさにこの広場と攻略メンバーから外されようとしている。

 

(うっわ……ウザ)

 

二人に分かっているかは謎だが、立香にはだいたい分かっていた。

 

ようは、自分たちが時間をかけて築き上げて来た攻略組メンバーという枠組みの中に、どこの誰だかわからないやつが入っているのが気に入らないだけ。

 

単純に、自分たちの居場所が踏み荒らされたような気がして我慢ならないだけだった。

 

たしかに、その気持ちはわかる。

 

実際、立香たちはつい一昨日この世界に来たばかりで、知らないことも多い。

 

攻略組のメンバーたちには、今まで命懸けで戦って来た誇りもあるだろう。

 

だが、

 

「私の相棒が、弱いだって……?」

 

それでも、大事な仲間を邪魔者呼ばわりされる筋合いはない。

 

「だったら証明しようか。二人の強さ」

「先輩?」

「マスター?」

 

キョトンとする二人に、立香はにっこりと笑いかける。

 

そしてその表情のまま、全員に向かって言う。

 

「誰でもいいよ。この二人とデュエルをして。その結果で決めよう」

「「「「なっ……!」」」」

 

カチンと来たのか、先程の騒ぎに参加していなかった人も顔をしかめる。

 

そんな中、二人のプレイヤーが手を挙げた。

 

「じゃあ、俺がアルトリアの相手をしよう」

「それじゃあ、私はマシュちゃんの相手をするよ」

 

その二人とはもちろん、キリトとアスナの二人である。




次回、デュエル編です

最初はマシュVSアスナからとなります

SAO最強の剣速対SAO最強の防御力(たぶん)!

果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか!

次回『マシュVSアスナ』!

お楽しみに!

……なんかすごく次回予告っぽい

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