もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

13 / 71
いやもう……死にそうです……

FGOのストーリーを三章から一気に進めたら、睡眠時間が削られまくりましたよ……

なんですかあれ、キャメロット難し過ぎますよ

おかげで時間がなくて……

お待たせしてすみません



黒の剣士

「ふーん……面白いナ。オマエ」

「そうかな?」

 

質問の意図が理解できず、口をパクパクさせるマシュとアルトリアを放置し、二人は話を進める。

 

「それはつまり、オレっちが知ってる限りでということでいいんだナ?」

「最強の情報屋が言うんだもん、間違いないでしょ」

「随分信用されたもんだナ」

「情報屋としての腕はね」

「それなら話は早イ。情報屋は、時に信用を得るのに一番苦労するから、そういう考えは助かるんダ」

「ま、現実主義だからね。それでどう?心当たりはある?」

「もちろんあル。情報屋だからナ」

 

そう言い、アルゴはステータス画面を操作し始めた。

 

どうやら心当たりの人物に、メッセージを送ってくれるらしい。

 

「先輩、なぜ直接情報を買わないのですか?」

「その分お金を払うはめになるからね。私たちが欲しい情報はかなり多いし」

「なるほど」

 

(それに、ドクターとダヴィンチちゃんの調査じゃ、さすがゲームの設定と世界観はわからないしね)

 

いくら高い報酬が出たとはいえ、いちいち情報を買っていたら、間違いなく底をつく。

 

だったら、今立香達が持っている最も面白い情報を提供し、代わりにこの世界の情報を貰う。

 

それこそが、立香の出した最適解だった。

 

(あとは、信頼に足る人物であることを祈ろう)

 

とりあえず、どこぞの金ピカ女神にでも祈ろうかな……など考えていると、アルゴの下に返信が来た。

 

「これからダンジョンに行くところだったらしいゾ。ギリギリセーフだナ」

「運だけはいいからね」

「大事にしておケ。このゲームでは重要な要素だからナ」

「ありがとう、そうするよ。アルトリア、そろそろ食べるの終わり」

 

待ち合わせ場所をメモし、料金を払ってから、立香は未だにホットドッグを齧っているアルトリアを立たせる。

 

「というか、何個目ですか?アルトリアさん」

「4個目です」

「本当によく食べますね……」

 

さすがは食いしん坊騎士王である。

 

「ありがとね、アルゴ」

「今度もご贔屓ニ」

「はいはい」

 

ちゃっかりしているアルゴに苦笑いしてから別れ、立香達は集合場所に向かう。

 

指定されたのは一軒の店。

 

なんだか喫茶店のような雰囲気の店に入ると……。

 

「立香ちゃん!こっちこっち!」

 

と、店に響くような声で呼ばれた。

 

「えっ?アスナ!?」

「うん、昨日ぶりだね」

「うん、また会えて嬉しいよ!っていうか、アルゴの心当たりの人ってアスナだったの?」

「半分正解で半分外れ。私だけじゃないんだよ?」

「えっ?」

 

アスナが言いながら指差した方向を見ると、そこには一人のプレイヤーが座っていた。

 

長めの黒髪に、漆黒の瞳。

 

細い体を黒いコートが包み、さらに背中の剣まで真っ黒。

 

「黒すぎでしょ」

「会って一言目がそれか……」

 

そう言って、真っ黒の剣士が嘆息する。

 

「あはは、ごめんごめん……。黒いからつい……」

 

謝りながら席につき、立香の右隣にマシュ、左隣にアルトリアが座った。

 

「たしかに黒いもんね、キリトくん」

「好きでしてるんだからいいだろ」

 

あはは、と笑いながらそう言うアスナに、『キリト』と呼ばれたプレイヤーは口を尖らせる。

 

「まあ、気を取り直して。改めまして、血盟騎士団副団長アスナです。よろしくね」

「俺はキリト。ソロプレイヤーだ」

「よろしくね、。私はリツカ。右隣がマシュで、左隣がアルトリアだよ」

「「よろしくお願いします」」

「話をする前に一つ言っておくけど、アスナは勝手に着いてきただけだ。アルゴに呼び出されたのは俺の方」

「だ、だって、キリトくんとダンジョンに行こうとしたら、聞き覚えのある人に呼び出されたって……」

 

自己紹介を終え、キリトがぼやくと、アスナが顔を赤くして反論する。

 

その雰囲気に何かを感じ取ったのか、ふーん……、と言いながらニヤニヤと笑う。

 

立香は美少女好きだが、その恋路を邪魔するような、無粋な真似はしない。

 

むしろ、その動向をニヤニヤしながら見守り、手伝うタイプだ。

 

(まあ、面白そうだから、アスナが自分で話してくるまでは傍観してよっと)

 

などと企み、立香は注文したコーヒーを飲む(ちなみにブラック)。

 

「さて、それじゃあ早速話を始めよう」

 

キリトとアスナが落ち着いたのを見計らい、提案する。

 

「ああ、そうだったな。まず何から話すんだっけ?」

 

それを聞いて、立香は少し考える。

 

第一印象は悪くない……というか、アスナの意中の男性なら、まず間違いはないだろう。

 

信用できるかを判断しようとしていたが、もうその必要はなくなったわけだ。

 

そもそも何故あんな条件にしたかというと、面白い話に食いついてくれて、尚且つその話を漏らす心配のないソロプレイヤーが理想だったからだ。

 

それがキリトだったわけだが、アスナが一緒だったのは都合がいい。

 

(美少女は正義なわけだし、だったらキリトにも話せるね)

 

「えっとね、このゲームのことを話して欲しいんだ」

「? 昨日も言ってたけど、どういうこと?」

「アスナが知りたいなら、後でお礼に話すよ」

「分かった。等価交換だな」

「そういうこと。お願い出来る?」

「まあ、そういうことなら。いいよね?キリトくん」

「いいよ」

 

二人の許可も出たところで、立香はまず基本的なことからきく。

 

「じゃあ、一つ目。このゲームってどういう世界観なの?」

「本当に基本的なところからだな。まあいいか」

「このゲーム……『ソードアートオンライン』ことSAOが、VR世界だってことはわかる?」

 

三人は同時に頷く。

 

立香は元より、アルトリアとマシュは説明により掠める程度は理解している。

 

「良かった。そこは分かってたんだ」

「じゃあ、世界設定だな。まず、ここは『アインクラッド』っていう、天に浮かぶ巨大な城なんだ。基部は一キロメートルにも及ぶな」

「広っ!」

「それが、上に百層連なっているんだよ」

「高っ!」

 

その茫漠とした大きさに、立香は驚愕する。

 

(上に行く連れて段々小さくはなるんだろうけど……。えーっと、一層ごとに約0.5パーセントずつ小さくなると考えると、総面積は……ああもう!めんどいー!)

 

考えるのを放棄した。

 

「まあ、それはまだ重要度が低い。この世界で生きるために、もっと大事なことがある」

「? なに?」

 

パフェを頬張ったアルトリアの口についたクリームを拭きながら、立香は聞き返す。

 

キリトはコーヒーを啜って一拍おき、真剣な表情で口を開く。

 

「……ゲームでプレイヤーが死ぬとどうなる?」

「そりゃあ、蘇生ポイントに……」

「ああ。だが、この世界は違う」

「……!ま、まさか!」

 

察しのいい立香は、悲痛そうなキリトとアスナの表情を見て、思わず立ち上がった。

 

何人かの客が振り向くが、そんなものは気にしない。

 

「ご察しの通りだ」

「……この世界ではね、プレイヤーのHPがゼロになると、現実でも死ぬことになるの……」

「……なに……それ」

 

(そんなの、もう、ゲームじゃない。ゲームという形を取った、ただの現実世界だよ……!)




短編で『年末年始特別企画 ぐだ子とダヴィンチちゃんの聖杯戦争』というものを出します

そちらもライカが主人公なので、よろしかったらご覧になってください

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。