「相手を倒さねば進めぬ道、己の道の障害を取り除くために」
「魅せろ、美々しく舞うがいい」
「私に戦いの宝石を見せてくれ」
演説・ラインハルト・ハイドリヒ
BGM・Götterdämmerung
日数は時間とともに過ぎていき、約束の一週間が経った。
サタナとフォルは前日に専用機を渡され、試運転をその日に済ませたが
最初の組み合わせはフォルVS織斑千雨の組み合わせだ。
試合時間が迫っているためISを展開し、フォルはアリーナの入口へと向かった。
「頑張ってね~」
「無理は禁物ですよ?」
「分かってますよ」
二人に挨拶を交わすとフォルはサタナと向き合った。
「アイツを叩きのめすのはお前の役目だ。だが、俺もかなりやるからよ?」
「ああ、遠慮なくやってくれ」
「んじゃ、いっちょ行くぜぇ!!」
アリーナへと飛び出すと織斑千雨が向かい側で待っていた。
「アンタを叩きのめしてこの学園から永久追放させてやるわ!」
「はん!やれるもんならやってみやがれってんだ!」
挑発を挑発で返し、試合開始のブザーが鳴る。
「先手必勝!」
千雨は二本の刀を展開しフォルへと斬りかかる。
その動きはまるで水のようで洗練されている。一太刀でも受ければ動けなくなるまでくらい続けるだろう。
雨の名を持つがゆえ、このような剣術を身につけたのかもしれない。
「避けるなぁ!!」
「そいつは無理な相談だ。俺だってくらいたくねえよ!」
フォルは回避行動を続け、時間を稼ぎ機体表示を見る。
そこには
「!?
「学習しねぇのか?お前さんはよ?」
フォルはクローを展開し二刀流の攻撃を左右別々で受け止めていた。
「わ、私が止められた!?」
「この位の速さ、徐行運転の車並にしか見えねぇ・・・よ!」
「きゃあ!」
驚愕の間にフォルは蹴りを腹部へと放った。
絶対防御によって防がれたがフォル自身としては面白みがなかった。
「この程度?効いてないわよ?」
「なら、いいものパート1を見せてやるよ」
ピットで見ていたサタナ、マレウス、ベアトリスはある予感を感じていた。
「相棒、やるのか?」
「とうとう見れるのね?楽しみ!」
「一体どんな・・・」
各々が注目する中、それは始まっていた。
黒円卓に所属する者ならば内から聞こえてくる
新たに所属した二人も例外ではない。
それは自らを罰するか、相手を敬う
「
「
「
紡がれた
「へぇ?慣れたらこんな形になるのか。なら、これだな」
構えをとるとその姿にピットにいる三人だけは別の存在を感じ取っていた。
「あれが・・・相棒の形成」
「あの拳の構え方、マキナかな?」
「間違いありませんね、あれはマキナ卿の構えです」
「彼の観察力には脱帽しますね」
それぞれが感想を言っている間に試合は続いていく。
「ハァァァァッ!!」
「くっ!なによこのパンチ!早くておまけに重い!?」
フォルのラッシュは千雨を捉えているが有効な一撃にはなっていない。
「このぉ!」
左右の横薙ぎを回避させ、千雨は間合いをとった。
「アンタには使うまいと思ってたけどね、そうも言ってられないわ」
千雨は二本の刀を一つとし、その刃はエネルギー状となって形を成していた。
「これが私の技、零落白夜!覚悟しなさい!」
そう言って突撃し変化を付けた切り込みによってフォルは避け続けるを得なくなっていた。
「エネルギー状の刃かよ!それに奴の剣技も相まって厄介すぎる!」
「おとなしく負けろォォォ!」
「俺は負けねぇ・・・!俺に勝てるのは・・・」『「あの人だけだァァァ!」』
その瞬間、千雨は吹き飛び、フォルの内部では黒円卓の一人が声を聞かせていた。
同じ思いによって同調しフォルはその声を聞いていた。
『情けねぇなァ?物真似野郎!その程度で負けそうになってんじゃねえよ!』
「(っ!?ヴィルヘルムさん?)」
『許可してやるからよォ、あの女を吸い殺しちまいなァ!アハハハハ!』
その言葉と同時にフォルのISの装甲がパージされ、身軽になっていく。
「
「
「
「
先ほどの
「コケおどしが通用すると思ってるの!?」
「うるせぇよ・・・!クソアマがぁ!キッチリ吸い殺してやるよォ!」
許可を出した人物は聖槍十三騎士団第四位、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイその人だ。
その影響からかチンピラのような言葉遣いになっているがその目に宿る殺意は本物である。
「
いの一番に危険性を察知したのはフォルの陣営だった。
「あれって不味くない?フォル・・創造まで使ってベイみたくなってるし!」
「え?確かベイさんの創造って」
「これは危険すぎます!アレが来ますよ!!」
しかし、もう既に遅いのである。同調したフォルに周りの配慮などもうないのだから。
そして同調した人物の
◇
紅い月が上り、闇の不死鳥が飛び立つ。
それは誰もが知っている西洋の怪物、ヴァンパイア。
赤い夜とは血を吸うために現れる夜である。
「どうだァ?この夜は最高だろォ?織斑千雨ェ!!」
「あ・・うああ、何よ・・これ・・力が・・抜けて」
「クッ・・・ハハハハハハ!!模倣だからよォ・・・!バリア内部の限定だがなァ!!」
模倣と言っていても吸収と略奪の力は変わらない。
故に時間が経てば経つほどに千雨の方が不利になっていく。
「どうよォ?吸われ続ける気分ってのはどんな気分だよ!?なぁ教えてくれねェか!?」
「あ・・・ぐ・・・ああ・・・っ」
「ああ、悪い悪い。地面にキスしてりャあ言葉は喋れねェわな!!アーッハハハハハハ!!」
「うご・・け・・な」
「終わりにしてやるよ・・・
フォルは動けなくなった千雨の頭を掴み、そのまま容赦なく地へと何度も叩きつけエネルギーを0にした。
「アハハハ!フハハハッ!!」
試合終了と同時に赤い夜が消滅し、アリーナも元の状態へと戻った。
「こんなテンションで戦ってるのか、それじゃ強いよな。ヴィルヘルムさんは」
少しづつ冷静になり創造を解くとISを待機状態にし、フォルはピットへと戻っていった。
「第一幕が始まったばかり」
「闘争とは飢えていなければ勝てぬものだ」
「さぁ、もっと魅せてくれ」
「それこそが至高の供物だ」
演説・ラインハルト・ハイドリヒ
※ルビが上手くいかないのでルビが出来るところだけルビを振りました。