「それは彼らにとって良き再会なのか、憎しみを暴走させるのか」
「未だ解らない。ただ一つ言えることは」
「その目には殺意のみが宿っているという事」
「さぁ、その
BGM・Unus Mundus
演説・水銀の蛇
グラズヘイムから抜け出して一日が経過し、晴れてIS学園に通うことになった俺達は受付をしに学園へ訪れていた。
「はい、書類の方も預かっています。皆様は転校生という形で編入になります」
「「「「ありがとうございます」」」」
教員の一人が四人を見つつ、書類に不備がないか確認している。この間に久々の地上を俺達は噛み締めている。
「それでは皆様のクラスは一組となります。この職員室を出て二階の一番奥ですので」
「はい、分かりました」
「失礼します」
「失礼しまーす」
「それじゃ~」
一言、挨拶を返すと四人は職員室を出た。
「しかし、馴染まないな?この制服。苦しくて仕方ないって」
「贅沢言うなよ、我慢しとけって」
「はぁ・・・」
サタナはため息をつき、フォルは笑いながら教室を目指した。
「ここの制服はキツいものね~」
「うーん、こういうのって違和感ありますよね」
ルサルカはノリノリで着ており、ベアトリスは苦笑しながら歩いていた。
「そういえば、二人共名前は決まっているの?」
そう、声をかけたのはルサルカだ。どうやら気になっているようで笑顔のまま、先頭を維持したまま振り返った。
「ああ、サタナだけじゃ不便だからサタナ=キア・ゲルリッツって名前にしたよ」
「なんだかドイツっぽい名前ね~?」
「フォルも決めているんでしょう?名前は」
フォルに声をかけたのはベアトリスだった、やはりニヤニヤ顔で聞きたそうにしている。
「フォル=ネウス・シュミットって名前だ。ドイツ風味が被っちまったけどよ」
「良いじゃないですか、ドイツに帰化したと思えば」
「確かにそうだな」
少しだけ笑い合うと目的の教室に到着していた。
どうやら中では一人の教師の反響がすごい状態らしい。中からは
「私、お姉さまに憧れてこの学園に来たんです!」
「お姉さまの為になら死ねます!」
等といった発言が危なすぎるカオスな状態になっているようだ。
「・・・・」
その様子を廊下からサタナは睨むように見ていた。彼にとっては最も憎く嫌いな相手が教室の中にいるためだ。
「サタナ、俺達はもう別の人間だ。関係ない」
「フォルの言う通りよ?気を楽にね?」
「ああ、ありがとうな?相棒、ルサルカさん」
「ふっ」
「さん付けで呼ばれるとなんだかくすぐったいわね~」
そう言っているうちにどうやら教室内部が落ち着いたようだ。
「これでSHRを終わりとする!と言いたいが、ここで重大発表がある。今日から発見された男性操縦者の二人と転校生二人がこのクラスに来る」
男性操縦者と聞いてクラスは賑わいを見せるがそれを静止させた。
「入ってこい」
扉を開けるとそこにはサタナの因縁の相手、織斑千冬とその副担任である山田真耶が教壇に立っていた。
「「「「失礼します」」」」
「(?アイツ・・・誰かに似ているような?まさかな)」
千冬は一瞬だけサタナに注目したがすぐに視線を逸らした。
「四人共、自己紹介を」
「・・・分かりました。ドイツから来たサタナ=キア・ゲルリッツだ。何故かISを動かせてしまった為にこの学園に来た。女尊男卑は嫌いだが後は普通に接してくれ」
「同じく、フォル=ネウス・シュミットってんだ。俺も女尊男卑だ勘弁願いたい、が!気兼ねなく接してくれや」
女尊男卑の言葉に数人の生徒が反応したがそれ以上に。
「きゃああああああああ!!」
他の生徒の悲鳴にも似た声が響き渡り、四人は耳を塞いだが少し遅く、耳鳴りを起こした。
「男子!それも二人よ!」
「黒髪に青い眼って神秘的!!」
「茶髪に黒い眼、帰化した人なのかな?」
「これはイイわ!今年はこの二人ね」
おい、最後!夜のティーガーみたいなことを連想するからやめろ。
「(私も欲しいかなぁ。その本)」
そんな事が起こっていたが、二人の自己紹介が終わると同時にサタナの頭部へ出席簿が振り下ろされ、それをフォルがしっかりと出席簿を握って止めていた。
「おいおい、これが教師のご挨拶か?」
「まともな自己紹介も出来ん奴らに仕置しようとしただけだ」
「こりゃあブリュンヒルデじゃなく、タローマティの間違いじゃねえのか?」
「貴様・・・」
フォルの挑発に千冬は更に追撃しようとしたが。
「やめてください、まだ他の二人の自己紹介が残ってるんですから」
それを止めたのは副担任の山田先生だった。
「ふん、命拾いしたな?」
「あんたに取られるほどヤワじゃないけどな?」
挑発を挑発で返し、教室内は殺気で包まれたがそれを払拭しようと声を上げた者がいた。
「あー!全くもう!あ、私はベアトリス・キルヒアイゼンと言います!私もISというものが動かせてしまったのでよろしくお願いしますね!気兼ねなく話してくれると嬉しいです!」
「(ナイスよ!ヴァルキュリア!)ハーイ、私はルサルカ・シュヴェーゲリンよ。私も動かせちゃったから来たの、仲良くしてね?」
ベアトリスの元気な声とルサルカの鈴のような美声に教室中の生徒は。
「可愛い!」
「あのブロンドの髪をポニーテールにしてるけどすごく似合ってる」
などと騒ぎが再び起こっていた。
その中で一人だけ男性操縦者を睨んでいる者がいた。
「(男がISを動かしただなんて!それに、あのサタナって男。あの劣等種に似てて激しくムカつくわ!!)」
「四人の席はちょうど右隅が空いているな、そこに座れ」
促されるがままに四人は各々の机に着席した。
◇
その後は四人で学生らしく喋っているように振舞っていた。
そこに来たのは一人の女学生だった。
「少しいいか?その、サタナという男と話がしたい」
「あ?」
黒髪にポニーテール、その目には危うさや独善といったものが宿っているが成長していないだけなのだろうという印象を四人は持った。
「俺とだと?」
「ああ、屋上でいいか?」
「手短に頼む」
サタナは他の三人に目を向けると。
フォルは行ってこいと行った様子で、ベアトリスさんは頑張ってくださいと言いたげでルサルカさんに関しては若いっていいわね?といった感じだ。
女学生とサタナは屋上へ上がり、向き合った。
「お前は・・・織斑一夏だろう?」
「誰だ?それ。俺は名乗ったはずだぞ?サタナ=キア・ゲルリッツだ。織斑一夏じゃない。それに誰だよ、お前は」
「わ、私は篠ノ之箒だ!忘れてしまったのか!?幼なじみを!」
「ああ、居たな。けどそれは織斑一夏が出会っただけでサタナ=キア・ゲルリッツは初対面だ」
「な・・・!」
「悪いな、戻らせてもらう」
そう言うとサタナは屋上から教室へと向かっていった。
「一夏。いや、サタナ・・・やはりお前はあの時のことが」
箒と名乗った少女は悲しそうにサタナが出て行った扉を見つめていた。
「こうしてかつての家族は出会った・・・」
「だが、それは仮初で最早憎しみという繋がりしかない」
「この繋がりを断ち切るか否か、それを教えたいところだが私は演者ではない」
「故に先の演目を楽しみにしてくれたまえ」
「では、次の演目で会おう。客人よ」
BGM・Unus Mundus
演説・水銀の蛇
※追伸
「作者よ、何故IS学園の制服姿のヴァルキュリア(ベアトリス)に悶えているのかね?」
『だったら女神(マリィ)がIS学園の制服着てるところ想像してみればイイだろ!』
「ああ、これは素晴らしいな。是非とも永久保存するべきだ。そうは思わんかね?」
『ウザイけどマリィの制服姿に関してだけは同意する』
「では、更にデータに保存し部屋用の壁紙にしなければなるまい」
『やっぱりメルクリウス。超ウゼェェェェ!!』
「解せぬ・・・」