無限の成層によるDies irae   作:アマゾンズ

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「彼らは何を思い、何を考え爪牙となったのか・・・」

「これを運命というのならば神が引き寄せたのやも知れぬ」

「学び舎で二人は知る事になるだろう」

「己の渇望がどれほど強力なのかを」

「これは目の前にある美酒を開けたいと思う欲望と似ている」

「いずれは開く事になるだろうが今はその味を想像するだけにしよう」

「では、幕が上がるよ。楽しむといい」


演説 水銀の蛇


第二劇 訓練

「ははははは!どうした!!その程度は勝てんぞ」

 

葉巻を口にくわえ、楽しそうに笑いながら炎を放っているのは赤騎士(ルベド)の称号を持つ大隊長、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ=ザミエル・ツェンタウァその人である。

 

「手加減なしかよ!あの人!!」

 

「ベアトリスさんも言ってただろ!![少佐は絶対に手加減なんてしてきませんから]ってよ!おわ!」

 

その炎を避けつつ会話しているのは織斑一夏=サタナ=キアと鏡月正次=フォル=ネウスの二人である。

 

こんな状況になったのは二人の浅はかな行動のせいであった。

 

地上での買い物を頼まれた二人は各々が必要とするものを買い終えた矢先にISの起動モニターをしていた場所でISに触れて起動させてしまい、逃げるようにグラズヘイムへと戻ったのだ。

 

そのことを知った黒円卓の面々は大笑いし、メルクリウスからは。

 

「女の園であるIS学園に行く事になるだろう。書類などは私が済ませておくよ」

 

と言われてしまう始末である。

 

それを言われた二人は。

 

「「メルクリウス!超ウゼェェェェェ!!」」

 

とものすごい声で叫んだらしい。

 

 

その後、外の時間では半年余りの猶予があるということでこうして特訓と入学までの知識を叩き込むという名目でシゴかれているのだ。

 

勉学の教員はエレオノーレ、ベアトリス、リザ、ルサルカ。

 

戦闘訓練担当はエレオノーレ、マキナ、シュライバー、ヴィルヘルム。

 

という並の人間なら200年先まで殺されてるんじゃないかという面子だ。

 

特にエレオノーレは久々に教官が出来るとの事でものすごくいい笑顔だったらしく。

 

それを見たベアトリスとリザはこう語っている。

 

「あんな楽しそうな少佐初めて見ましたよ・・・」

 

「よほど教官をやれるのが楽しみなのね・・・」

 

とリザは呆れており、ベアトリスは苦笑していた。

 

 

「ほう?貴様等、お喋りする余裕があるようだな?」

 

「げっ!」

 

「ヤバっ!!」

 

「燃え尽きろおおおおお!!」

 

一発だった砲撃が一気に10発へと増え、更にはパンツァーファウストまで出てくる事態になった。

 

「サタナ!この訓練が終わればリザさんとの勉強だ!」

 

「おう!フォル!意地でも生き残るぞ!」

 

「ブレンナーとの勉強だと?」

 

「「あ・・・」」

 

それは聞こえていたらしくエレオノーレは青筋を立てていた。

 

「逃がさん!灰になるまで決してなぁ!!」

 

砲撃が激しくなり、ベアトリスが止めた時点で特訓は終わった。

 

死んでも死ねないのがグラズヘイムの特性であり、二人は訓練後に教室へと向かった。

 

「あらあら?エレオノーレによっぽどシゴかれたようね?」

 

教室に入ってきたリザは苦笑しながら二人を見ていた。

 

「生きてるだけで儲けものですよ」

 

「ああ、死ねないことにこれほど感謝したことねぇや」

 

着席すると二人は授業用のノートと教科書、ペンを出した。

 

「それじゃ始めるわね」

 

その後の勉学は二人共真面目に聞いていた。

 

美人で教え方も上手な年上の方に教えられれば、それは頑張るというもの。

 

「はい、今日はここまでよ。この後も戦闘訓練でしょう?」

 

「「ありがとうございました」」

 

そう言って教室を出ていき、闘技場に向かうとそこにいたのは。

 

「やぁ!午後の訓練の相手は僕だよ」

 

「うわあああああ!!」

 

「シュライバー卿かよおおお!!」

 

「アハハハハ、君達?また僕を楽しませてよねぇ!」

 

そう、三騎士の一人であり白騎士(アルベド)の称号を持つ大隊長、ウォルフガング・シュライバー=フローズヴィトニルがそこにいたのだ。

 

二人はシュライバーを苦手としている理由は二つ。

 

一つは遠距離から攻撃してきてそれが的確であること。

 

もう一つは攻撃を当てた瞬間に創造(真)が発動するためだ。

 

「行くぞォ!!」

 

「行くぞォ!!」

 

二人はヤケクソ気味に戦いを挑んでいった。

 

「いいよ、いいよ!君達!最高だ!何度でも倒してあげるよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訓練を半年続け、とうとうIS学園への入学の日がやってきた。

 

「卿らはしばらくこの城を離れるわけだな」

 

「はい」

 

「大丈夫ですよ、すぐに終わりますから」

 

入学の報告を首領であるハイドリヒにしていた。

 

「獣殿、私から提案が」

 

「なんだ?カールよ」

 

いつの間にかカールがハイドリヒの隣に来ており、話しかけていた。

 

「外の世界は私も興味がある、ゆえに二人ほど監視役を出しては如何かと」

 

「ふむ、この二人と共に外へ行く者はいるか?」

 

ハイドリヒが目配せすると二人ほど手を上げていた。

 

「私も行きます。この二人危なっかしいですし」

 

そういったのはベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼン、黒円卓の中で二人が最も親しみやすい女性だ。

 

「じゃ~私も~。坊や達の成長もみたいし~」

 

楽しそうに自分も行くと言っているのはルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム。

 

少女のようだが実際は二人以上の年上である。

 

「ふむ、ではマレウスとヴァルキュリアを向かわせましょう」

 

「ああ、卿ら。しかと学んでくるといい」

 

 

「「Jawohl!」」

 

 

そして二人はIS学園へと向かう。

 

新たな戦いが待っていると知らずに。

 

自分達を見捨てた者たちが居ると知らずに。

 




「歌劇の休息となる」

「では、後の歌劇を楽しみたまえ」

「次の演目は入学だ」

「憎みあっている者が出会った時にどうなるか、楽しみで仕方ないよ」

「では、後ほど」


水銀の蛇

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