まずいシリアル食ったら死んだ。 —Muv-Luv—   作:アストラ9

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 どうも。作者です。

 今回も上手く纏まってない気がします。未熟でどうもすみません。

 ああ、それと評価する際の文字数を変更させて頂きました。今後評価の奴を押す時は"是非とも"どこがダメだった等のご意見頂ければと思います。

 それでは、本編どうぞ。


『ベーバーゼ基地強襲』

 

『やあ、黒い鳥。僕だよ。

 依頼内容は東ドイツのとある基地、ベーバーゼ基地の強襲だ。

 ベーバーゼ基地には現在、とある人狼部隊が向かっているとの情報がある。今回の依頼はこの部隊に強襲を掛けることだ。

 あ、別に撃破する必要はないよ。依頼内容はあくまで"強襲するだけ"だからね。

 今回は対人戦がメインとなると思われる。その為命中精度が高い、取り回しが効く、防御性能の高い等のアセンブルで行く事をオススメするよ。あ、それと即時撤退できる事も考慮に入れておいた方がいいかもね。

 作戦の説明は以上だ。それじゃ、後は頼んだよ。

 

 

 依頼主: AWW(全世界統治神話連合)

 

 敵戦力: 秘密武装警察軍(シュタージ)

 

 作戦領域: 東ドイツ ペーバーゼ基地

 

 成功条件: 敵対勢力への強襲

 

 成功報酬: 120000C       』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東ドイツ、ベーバーゼ基地。今ここには東ドイツお抱えの秘密警察(シュタージ)の一隊が立ち寄っていた。

 

 理由はごく単純、上層部から出された "例の黒い亡霊について調査せよ" という任務を遂行する為だ。

 

 まあ一部には昔の顔馴染みの様子を見に来たという者もいるが。

 

 そのシュタージの戦術機に護衛されながらこの基地に着いたヘリコプターから、一人の男が出てくる。

 

 上質な素材である事を隠さないピンとした軍服を着込んだ赤毛の男性。

 その前髪のクルンとした癖毛は、自信家であるような雰囲気を醸し出しており、その整った顔立ちと合わせると実にイラっと来るものがある。

 

 男は部下を守るように佇むアイリスの目の前まで進み、目の前まで来ると腕を後ろに組んで喋りかけた。

 

「久しぶりだね、アイリス」

 

「こんな前線になんの御用ですか、シュタージ武装警察軍、ハインツ・アクスマン中佐。

 そして、ヴェアヴォルフ大隊指揮官、ベアトリクス・ブレーメ少佐」

 

 手前のチボラシュカから一人の女性衛士、ベアトリクス少佐がワイヤーを伝って降りて来る。

 長い黒髪、妖艶なスタイルが目につく彼女の表情は、少しの笑顔が映っている。

 

「久しぶりの再会だと言うのに、連れないわね。アイリスディーナ。

 私達は例の"黒い亡霊"とやらを探してこの近くに来たのよ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、第666戦術機中隊の皆が眉をひそめる。

 唯一何のことかさっぱりなのは、例のヤツと遭遇をしていないカティアだけだ。

 

「やはり気になるかね、アイリス。自分の隊の人間を攫って行った者の正体を」

 

「……」

 

 アイリスディーナ、その他の中隊メンバーはそれに対してだんまりを決め込んでしまう。

 確かに、自分達より技量の高いあの衛士の事や、あの機体についての疑問は残っていたのだった。

 

「……まあいいわ。貴方達は何も知らない様だし、今日の所は撤収するわ」

 

「おや? もう帰るのかね、ベアトリクス」

 

「ええ、久しぶりに馴染みの顔にも会えた事だしね」

 

 そう言って同志中尉(グレーテル)の方を向いてニヤリ、と微笑む。

 彼女の微笑を見たグレーテルは息を静かに飲み込んだ。その鋭い表情の裏には少しの恐怖が残っているようだった。

 

「それじゃ、今日の所は帰るわ。じゃあね、アイリ——」

 

 

 ——ズガァァァアアアン!!!

 

 

 ——それは彼女が機体のワイヤーに足を掛けた瞬間に起こった。

 

 ベアトリクス機の真横の機体が2機とも何か砲弾のような物に貫通されて爆発したのだ。

 

 当然、ベーバーゼ基地のドックを囲むように展開している部隊は慌てる。

 

 背を向けて居たような物だったとは言え、油断している隙に2機もやられてしまったのだ。

 

 突発的に起こってしまった同期の撃破。それに対し周りの戦術機部隊は、このままでは次にやられるのは自分だ、動かねば、という恐怖の念に駆られ辺りを見渡す。

 

 ……が、見渡す限りの雪原には、何も居なかった。

 

 見渡す限りの白。自分らを撃った機体など何処にも居ない。迷彩効果で隠れているのかと必死に辺りを探す一同。

 

「…あ……いた……」

 

 そんな中、ペーバーゼ基地のある一人の整備兵が声を上げた。その視線と指先は遥か上を示しており、その顔には恐怖の文字が浮かび上がっていた。

 

 そう、所属不明の機体が居た場所、それは——空だった。

 

 上空を飛んでいるいや、ヘリコプターのような物に吊るされているその機体に一同は、非常に高い違和感と……既視感を覚えていた。

 それは戦術機としては異様な四つ脚の脚部に戦術機の背丈より長い程の巨大な大砲。普段ならばそれに戦慄して終わっていただけだった。

 そして、何処かで見た事があるような真っ黒なカラーリング。彼らは確かな違和感を身体に感じていた。

 

 そして、基地のドック内でその一部始終を見ていたテオドールは気付いた。彼だけじゃない。第666戦術機中隊のカティアを除いた全員が、アレの正体に目星を既につけていた。

 

 数刻しない内にヘリと戦術機を繋ぐギアが回転して解除される。そしてヘリと機体を繋ぐ命綱が切れてしまった黒い戦術機はその重力に従って真っ直ぐと降りて来る。それはさながら、ある一種の爆弾のようだ。

 

 機体が地表に降り立った瞬間、激しい雪しぶきが辺りに巻き散らかる。雪がクッションになったとは言えあの高度から自然落下してしまえば流石に助からないだろう。ヴェアヴォルフ(人狼)大隊のメンバーはそう思っていた。

 

 だがテオドールは、第666戦術機中隊はその鋭い視線を例の機体の場所に向けて歯ぎしりする。アレがそんな簡単に死ぬはずがない。そして雪しぶきが収まって来た頃、その疑問は確信へと変わった。

 テオドールがそれを睨みつけて一言呟いた。

 

「……黒い…亡霊……」

 

 ——戦術機部隊を救って周った英雄"黒い亡霊"、その赤い視線は僅かに舞い散る雪しぶきの中で一際目立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……初弾、次弾ともに命中。これより各個撃破に移る」

 

 そして右手のレバーを引いた。

 

 そしてその瞬間、機体の右腕につけられた巨大な砲身が折りたたまれる。これで少しは移動しやすくなった。

 

 左ハンガーのサブアームで廃盾を展開しながら左手のパルスライフルを敵機に向けて一言言う。

 

「さーて、それじゃあ汚仕事でもしましょうか!」

 

 俺は四脚の特性を生かして地上を彼らに仕掛けた。

 

 

 

 

 

 ここで、彼の愛機、アンファングについての補足をしておこう。

 

 彼の機体は前回使用した際のF-4機の腕部パーツと融解してしまった脚部パーツを取り外して、新たに四脚パーツ、武器腕を取り付けた物となっている。

 

 右腕の長距離実弾砲(スナイパーキャノン)に左腕の高出力パルスライフル。どちらも非常に高い威力・命中率を持ち合わせている。

 

 そしてその類の兵器に高い適正を持つ四脚による射撃によって命中率が底上げされている。

 

 さて、そろそろ紐を解いていこう。

 

 彼がアンファング改修用に購入した機体は「044FV450」という狙撃特化型MTと「クアドルペッド」という高機動四脚型MTの二つだ。

 

 滑るようにヌルヌル動くクアドルペッドの四脚を脚部に、044FV450の長距離砲とクアドルペッドのパルスライフルを腕部に取り付ける事で、狙撃特化型MTもどきの戦術機の完成という訳だ。

 

 また、高軌道型の四脚を使用するに当たって防御力は必然的に少なくなっている。それをカバーする為に前回の出撃の際には使用しなかった廃盾をハンガーに装備している。

 この廃盾だが、今回購入したMTの使用しない装甲と廃棄パーツを組み込む事によって耐久力が上がっている。少しは長く耐えられるだろう。

 これによって前面のみだが、少ない防御力を補う事には成功した。

 

 更に内装に簡易FCSを2つ(・・)搭載する事で長距離・近中距離のロックを使い分ける事が出来る。

 

 ブースターには今回、AC用ブースター「EBT-GE2100」を採用した。

 

 前回のブースターの2倍近い出力を有するこのブースターならば狙撃型でもある程度の速度を保てる筈だ。因みに消費も少ないので長い間吹かせる事が可能である点も大きい。

 

 ジェネレーターは、前回オーバーフローしてしまったMT用廃価版ジェネレーターの変わりにクアドルペッド・044FV450の容量増加型ジェネレーターを2つ搭載、これによって非常に高い消費ENをカバーしている。

 

 欠点としては、高機動型でありながら"重い"という事だろうか。チューンによって多少は積載量を増加してはいるが、多少の重みはカバーできないという事だ。つまり、遅い。

 

 だがまあ、戦術機相手にならば十分な速さではあるが。

 

 

 ——カァオ!

 

 

 たった今、その四脚型アンファングによってパルスライフルが放たれた。

 その淡い青色の光弾を放たれた射線上にいた一機の戦術機は抗いのない暴力に犯される。つまりは、爆散、である。

 

 地上を右往左往に動き、その高速ブーストによって即相手の後ろを取るアンファング。その機動はまるで、何処かの街に住んでいた蜘蛛女(レッドラム)のようである。

 

 

 しかし、その放たれた光弾を見たエーアストを除く一同は驚愕の表情を浮かべる事となった。彼の高速機動ではなく、その放たれた光弾によって。

 

「…⁉︎(どういう事だ? 何故奴がレーザー技術を……?)」

 

 アイリスディーナは思考する。奴の武装の数々を。

 

 旧型でありながらバラライカを上回る機動性、

 

 2連装の突撃砲を撃っても破損する事のないマニュピレーター、

 

 高所、しかも空中での狙撃でアレだけ命中精度が高い機体。

 

 戦術機とは思えないその四脚による地上の高速機動。

 

 そして、今奴が目の前で見せた高出力レーザー砲。

 はっきり言って今の時代にとってはオーバーテクノロジー過ぎる。レーザー技術やアレだけの機体を製造出来る国など、存在するのだろうか。

 

 そして、それを踏まえてアイリスディーナは思う。奴は一体何者なんだ、と。

 

 ——その正体は、異世界でありとあらゆる兵器、企業、組織を瓦解させてきた正真正銘の破壊者(イレギュラー)である事を知るものは未だ居ないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ撤収した方がいいか」

 

 スナイパーキャノンでの空中狙撃から5分。パルスライフルで各機を迎撃していた俺の敵はいつの間にかあと2機のみとなっていた。

 

 というのも、奴らの機体が脆すぎるのだ。

 

 スナイパーキャノンに貫通して爆散するのは分かる。あれは貫通力が高いからな。

 

 ……だが、パルスライフル一発で蒸発するのは頂けない。流石にそれは脆すぎるというものだ。

 

 実弾防御重視EN防御そっちのけのスクータムですら三発は耐えるというのに、なぜ戦術機は触れただけでボカンするんだ⁉︎ 後継機では改善されているんじゃなかったのかよ?

 

 正直言って落胆した。そしてそんな彼らを迎撃して思った事が一つある。

 

 ——つまらない。

 

 今まで色々な巨大兵器を潰して来たからかも知れないが、手応えがないのだ。手応えが。

 

 敵の後ろを適当に取って、軽くサイティングして、撃つ。これだけの作業を数分かけてやっていた。

 

 半固定砲台型ノーマルの真似事もやってみた。その場で停止して、戦術機をスナイパーキャノンで適当に撃って様子を見ようともした。

 

 だが、それですら彼らは避けてくれなかった。MTFCSだから一次ロックであるはずなのに、彼らは避けてはくれなかった。

 

 という訳で数分色々やっていた訳だが、既に対人戦は飽きてしまっているというのが現状だ。

 

 どうやら奴らはドックから新たに戦術機を出して応戦するつもりらしい。まあそんな素振りを見せているのも、結構滑稽だと思うが。

 

 だが所詮数が増えた所でつまらないのは変わらない。面白みがないのはある一種の地獄と言うものだ。

 

 例えるなら……そうだな、RPGゲームの序盤の戦闘エリアでただひたすらにレベル上げを繰り返す、見たいなものか? 因みにその際の目標はMaXと仮定する。

 

 ……どうだ? 苦行だろう? それと同じ事を俺は今やっているのだよ。

 

 ま、今回の依頼はあくまで強襲だからな。全滅させる事もないだろう。

 

「と言う訳で帰る事にする。最後に置き土産置いて行ってやるよ」

 

 FCSモードをノーロックモードに即座に切り替える。ついでにアンファング回収ヘリの支援を要求した。

 

 俺は敵一番機の左肩辺りにサイティングする。ノーロックだから避けてくれると有り難いんだがな。

 

 俺はトリガーを引いた。

 

 

 ——ズガァァァアアアン!!!

 

 

 俺の放った弾丸は一番機の左肩に惜しくも当たってしまった。

 

 その際コックピットブロックと腕部パーツの接続部に命中してしまったららしく、左腕はどっかに飛んで行ってしまった。

 

 そして、コックピットブロックの方はというと……装甲の一部が剥がれてしまってました。どうもありがとうございます。

 

 ま、左肩寄りに当たってたのが幸いだな。もしもコックピットの方に当たってたらパイロットが死んでいたかも知れない。

 

 流石に隊長機のパイロットを殺すのは勿体無いからな。実力者が減ってしまうのは流石につまらない。

 

 っと、そんなこんなしてる内に回収ヘリがついたようだな。スナキャを折り畳んでおこう。

 

 いつの間に着いたのか、俺の後方には既に回収用のヘリ「LAQLAQ(ラクラク)」が待機していた。

 

 AC2機を搭載できるくらいの全長を持ち、10m以上もある長いランディングギアは、ACを積みながら着陸するには必要となるパーツだ。

 

 すぐさまヘリのシステムにアクセスし、アンファングの機体を懸架させる。

 

「よし、機体の接続を確認した。これよりL1はAF2へと帰還せよ」

 

『…L1、ターゲット了解。帰還します』

 

 無機質なシステム音が流れる。この音声を聞いているとやはり、人肌が恋しくなるな……。

 

 ふとペーバーゼ基地の方を見やる。そこは確かに軍事用に開拓こそはされていたが、確かに緑があった。雪があった。自然があった。

 

 ……ここはあの寂れた場所(V)とは違うんだな。資源も、自然もある。汚染も無い。ホント、羨ましい世界だよ。

 

 俺は何とも言えない気持ちを心に秘めながらも、帰還した。

 

 

 

 

 




 
   —収支報告—

◯収入金額 成功報酬: 120000
      特別加算: 0

◯支出金額 弾薬清算: 400c
      機体修理: 0(修理なし)
      特別減算: 150000(クアドルペッド・044FV450)

◯合計        1,147,600C



  —制限解除—

 ⚪︎ACパーツ

・中量四脚「ELF-DEX-2F」

・パルスライフル「MWG-KP/120」

・スナイパーキャノン(V)「D/SC61」(プレゼント)

 ⚪︎MT・通常兵器

・ボール型無人MT「インタールード」

・エムロード製二脚型汎用MT「ローバスト」

・GA製ミサイル装甲車「GAM2-ARBALESTER」


  

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