まずいシリアル食ったら死んだ。 —Muv-Luv—   作:アストラ9

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 どうも。作者です。

 今回は『アーマード・コア3』より、あの新人(今はベテラン)レイヴンの登場となります。まあ、オリジナル設定増し増し+妹の追加という半オリジナルキャラと化していますが。

 そうそう、半オリジナルキャラと言えば、前回ご意見いだたきましたので、この場を借りて説明させて頂きます。

 この作品はマブラヴ小説なのですが、現在はオルタ編の過去の話となる通称『柴犬』という東ヨーロッパを舞台にした話に介入しています。

 つまり、オルタ等しか知らない人からすれば、誰だコイツ? 状態という訳ですね。なので原作キャラ等の軽い説明をさせて頂きます。

 まあアニメもやっていますのでそちらを見られた方が早いと思いますが。

 それでは、以下が簡易的なキャラ説明です。


 (※現在は次話に移転しています)


 ああそうだ、今話はいつもに比べ1.5倍の文字数になっています。因みに出来は……まあまあです。

 では、本編どうぞ。
 


『林檎少年と林檎少女』

 

『  依頼名称: 編入依頼 

 

 

 依頼内容

 

 お久しぶりです。レイヴン。アップルボーイです。

 地下世界「レイヤード」での貴方に活躍、お聞きしました。凄いですね、管理者を破壊して人類に地上への道を進ませた……。僕にはできない芸当です。

 今回の依頼は、そんな貴方にご指導願おうと思い、出した依頼です。今の自分がなぜACで戦っているのか、それを知る事が出来たなら……。

 それと今回は僕の妹もご一緒させて貰うつもりです。二人の編入は難しいかも知れませんが、貴方にならば出来る。そう信じています。

 いい返事を待っています。

 

 

  依頼主: アップルボーイ

 

 作戦領域: 東ドイツ近海 第二拠点AF 『ギガベース』

 

 成功条件: 傭兵として雇用、機体の供与

 

 成功報酬: 二人の傭兵       』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのベーバーゼ基地強襲作戦から3日。今日は久しぶりに戦闘系ミッションではない依頼を引き受けた。

 それが……

 

「お久しぶりです! レイヴン!」

 

「ああ、久しぶりだな。アディル

 

 彼、アディル・バートとその妹のリヴィア・バート兄妹の我が隊への編入だ。

 

 アップルボーイ。本名をアディル・バートと言う。

 

 俺の『魂』の一部が流れ込んだ世界の一つで出会った気さくな好青年だ。

 

 レイヴン成り立ての当初こそ実力が余り伴わなかった彼だが、俺が管理者を破壊する事を決意した辺りから彼の実力は激増。

 

 最後に見た時にはアリーナのAランク-3である、ロイヤルミストを打ち破る所だったな。残念ながらその後俺は……。

 

 ……いや、今は俺の事についてはどうでもいいな。次は彼女について説明しよう。

 

 彼女、リヴィアは元々病弱で、閉鎖空間で暮らしていた事もあって、真菌性の持病を持っていたらしい。

 

 そんな彼女が十二の時にその持病が悪化、脳や肺にまでそれが進行しており、とても助かるような物ではなかった。

 

 そして仮に助かるとしても、それには大量の金が必要になる。その金額は最低でも、1万C。1億円かかると言うのだ。

 

 そんな中、兄であるアディルがレイヴンになる事を決意した。レイヴンなら、大量の金が手に入る。妹も助けられる。

 

 ……それで、レイヴンになって色々仕事をしていた、って言うのが俺が彼女に聞いた話だ。勿論アディルには内緒で。

 

 そう言えばだが、当時の彼女は本当に弱り切っていたのを覚えている。俺も何万Cか寄付させて貰ったが、俺が残っていた時までには完治する事はなかった。

 

 なかったんだが……治ったんだな。良かった、本当に……良かった。

 

「あの〜、この方達は一体…?」

 

 俺たちが今いる食堂(仮)の厨房からイングヒルトが顔をだす。彼女には今まで朝食の準備をしていて貰っていたんだが……丁度いいか。挨拶して貰おう。

 

「丁度いい所に来たな、イングヒルト。彼らは今度うちの部隊に編入する事となったアディルとリヴィアだ。仲良くしてやってくれ」

 

「どうも! アディル・バートです! 今回レイヴンに傭兵として雇って貰うよう依頼させて頂きました! よろしくお願いします!」

 

「同じくリヴィア・バートよ。年は今年で15。お兄ちゃんは少し頼りなさそうに見えるけど、ホントはとっても強いのよ? レイヴンには敵わないけれども」

 

「あ、ええと、これはご丁寧にどうも。私の名前はイングヒルト・ブロニコフスキー、元東ドイツ陸軍第666戦術機中隊所属の衛士です」

 

「衛士? なんですか、それは?」

 

 赤毛の青年、アディルが頭に疑問詞を浮かべる。

 

 ああ、そう言えば彼らに説明していなかったな。そう思いこの世界について説明を施そうとしたのだが……それをリヴィアが遮った。

 

「もう、お兄ちゃん忘れたの? 『財団』さんに説明して貰ったでしょ?」

 

「ん? ……あ、そうだったね。そう言えばそんな説明されてたっけ」

 

 その兄弟の会話は一見普通の会話に見える。……だが、その会話の中に聞き捨てならない単語が含まれていた。そう……『財団』だ。

 

「おいお前ら、一体どう言う事だ? お前たちと財団は知り合いではない筈だろ?」

 

「ええ、確かに私は財団という男と知り合いではなかったわ。今までは、ね」

 

「なに?」

 

「僕たちのコンピューターに『財団』という男からメールが来たんだよ。そこで僕たちは彼に出会った」

 

 そこから彼らにどういう事か聞いて見たのだが……正直言って驚いた。財団がそこまで行動派になっていたとはな。

 

 財団は今、俺の昔の知り合いに片っ端に連絡を入れているようだ。戦力増強の為、らしい。

 

 そして彼らは財団にその話を持ちかけられた。俺の仲間にならないか、とな。

 

 そこで何を思ったのか知らんが彼らはイエスと答えてしまったそうだ。全く、なんでこんな宇宙人と戦争してる所まで追いかけて来るのかねえ……。

 

 まあ俺としては願ったりかなったりなんだが。正直改造戦術機一機だけじゃ厳しかったからな。弾が全然足りやしねえ。

 

 とは言っても、弾だったらレザブレを使えば良いだけの話だが。無限に振る事が出来るしな。

 

 ふとリヴィアの方を向く。そこには早くもイングヒルトと打ち解けているリヴィアの姿があった。随分と仲良くなるのが早いですね?

 

 一体どんな話をしているんだ? 

 

 俺は彼女たちのガールズトークを盗み聞きを始めた。

 

「……凄いですね。エーアス……ってそんなに……」

 

「……なのよ……んは…最強……打ち倒したの…」

 

 ふむ、何にも聞き取れん。やはり壁に隠れて盗み聞きは難しいな。

 

「何をやっているんですか? レイヴン」

 

「ん? ああ、アディルか。今丁度彼女達の話を盗み聞き……」

 

「誰の話を盗み聞き、ですって?」

 

 その声は俺の懐から聞こえた。

 そう、いつの間にか俺の懐にはリヴィアが飛び込んでいたのだ。その手を硬く握り締めながら。……まずいな。このままでは殴られてしま——

 

「ふんっ!」

 

「……ゔっ⁉︎」

 

 彼女はなんの躊躇いも無くその拳を腹部へと炸裂させる。その流れるように滑り込む様は目の前で見ている限り、とても美しい曲線を描いているようだった。……腹が痛いのを除いて。

 

「……まあ、強化人間だから余り痛くないんだがな」

 

「ふん、まあいいわ。それより私達はこれから何をすればいいの?」

 

 リヴィアが何食わぬ顔でそう聞いて来た。うーん、人を殴る事を躊躇わなくなったよな、お前。

 

「ああ、基本的には俺と一緒に戦場に出て貰う事になる。アディルの腕は分かってるからいいが……お前ACには乗れるのか?」

 

「勿論無理よ。ACどころかヘリすら乗れ無いわ」

 

「じゃあなぜこんな所まで来たんだよ」

 

「え⁉︎ え、ええっとそれは……」

 

 リヴィアは俺の質問には答えずに視線を泳がせている。どうやら何も考えていないようだ。

 それとリヴィア、お前顔赤いぞ。風邪でも引いていたのか?

 

「……まあいい。ならリヴィアには俺たちのオペレーターを務めて貰う。基本的には事務仕事になるが……大丈夫か?」

 

「え、ええ! 勿論よ! と言うよりもレイヴン、私の事軽く見てない?」

 

「ん、そう見えてしまったか。すまんな、まだ俺の中ではお前は昔のままなんだよな……」

 

「……ねえ、レイヴン。昔の私は貴方にはどう見えていたの?」

 

 随分と野暮な事を聞いてくるな、リヴィア。俺にとってお前はどのように見えていたかなんて、分かってるんじゃないか?

 

 まあいい。改めて言うのもなんだがな。

 

「俺がお前をどう見ていたかだって? そんなの決まっているじゃないか。俺にとってはお前は……姫様だよ」

 

「……!!」

 

 うん。眠れる森の美女。実際リヴィアはそんな感じだったな。

 

 ミラージュの病室で寝たきりの状態。更にその病室にはアディルとリヴィアのお父さんが門番の如く警護していたしな。

 

 ついでに言うとリヴィアによると彼らのお父さんは元レイヴンらしい。なるほど、道理で……。と思ったよ。

 

 …ん? アディルの奴、一体どうしたんだ? 急に泣き出して……。

 

 と、思ったら急にこっちに来たな。どうかしたのか?

 

 アディルは俺の手を握って来た。そして涙ながらに言う。

 

「れ、レイヴン! い、妹の事を…どうぞよろしくお願います!」

 

「ちょ、ちょっとお兄ちゃん⁉︎ 何を言っているの⁉︎」

 

「お、おう? 分かっ…た?」

 

「レイヴンまで⁉︎ も、もう知らない!」

 

 リヴィアは何を怒ったのか知らないが、出て行ってしまった。

 

 うーむ、一体何で怒ったんだろうな? 別にアディルは妹の事を頼んだ、つまりは妹の命はお前に預けたぞ!、って事だろ? 何を怒っているんだ?

 

「……ま、いいか。リヴィアには後から謝っておこう。よく分からんが。

 それよりもアディル、お前の機体の事なんだが……」

 

「あ、僕は別に最安価ACでも大丈夫だよ、レイヴン。君には敵わないけれども、僕もそれなりには強いからさ」

 

 アディルは綺麗な白い歯を見せながらニカッと笑って見せた。

 

 ……アディル、そう言う事じゃないんだ。そう言う事じゃ。

 

「アディル、一つ言わせて貰いたい」

 

「はい、なんですか? レイヴン」

 

 アディルはまたしても笑顔で問いかけて来た。その笑顔をやめてください、罪悪感で死んでしまいます。

 まあ、話さないという訳にはいかないので、俺は言う事を決意する。彼にとって非常に辛い言葉を。

 

「アディル、驚かないで聞いてほしい」

 

「え? 一体なんなんですか、レイヴン。サプライズとかですか?」

 

「ああ、確かにある意味サプライズかもな。ある意味だが。

 ……アディル、お前にやれるACはない。MTに乗って出撃しろ」

 

「……え?」

 

 その時のアディルの表情は、非常に呆けたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東ドイツ、ツェーデニック基地。今ここでは東ドイツ軍の将校が集まって軍議を開いていた。議題は…

 

「おい! まだ"黒い亡霊"の所在は掴めんのか!!」

 

「す、すみません……。どうやら例の戦術機は"ステルス"の類の物を使用しているらしく、我が国の衛星等では捕捉が出来ず……」

 

「くそっ、名前通り"亡霊"という訳か……!」

 

 彼らの議題は勿論、例の戦術機 "黒い亡霊" の事である。

 

 前回のオーデル川西岸防衛戦ではその圧倒的な力でBETAを蹂躙した"黒い亡霊"。その圧倒的な力量は各地の衛士を震え上がらせる程の噂となった。

 

 

 ——だが、その圧倒的な力は、祖国ドイツにも牙を剥いた。

 

 

 東ドイツお抱えの秘密警察軍、シュタージの一隊がベーバーゼ基地へ訪問していた所、例の戦術機によって強襲を受けたのだ。

 

 これには全ての衛士が恐怖した。

 

 ドイツ主力戦術機バラライカの上位互換となるチボラシュカを、旧型でありながら8割も撃破したのだ。

 

 ドイツの新鋭機チボラシュカ。稼働性や整備性を犠牲にし、単純に戦闘力だけを強化した、兵器としては欠陥品の高価な機体である。

 

 戦闘力のみを求めた為その強さは並みのものではない筈なのだが……例の"黒い亡霊"は単騎で全滅寸前まで追い詰めた。

 

 これだけでも十分に凄い事なのだが、問題はそこではない。最も重要なのが、その後だった。

 一人の高官が口を開いた。

 

「それで? その戦術機は確かに"レーザー"を放ったのですね? ベルンハルト大尉」

 

「はい、その通りです。確かにあの戦術機はレーザーを放っておりました。しかも光線級の放つような収縮された物ではなく、純粋なエネルギーとしての"レーザー"を」

 

「ふむ……」

 

 そこで会場は騒然となる。"純粋なエネルギーとしてのレーザー"とは一体どういう事なのか、と。

 

 実はこの会場に出席している大半の高官は、例の戦術機はアメリカ所属の暗躍部隊か何かと思っていたのだ。だが、その言葉でその予想は崩れさる事となった。

 

 何故ならば、レーザーを収縮なしで放つ事など"不可能"だからだ。それこそ、BETAの重光線級にすら。

 

 そもそもレーザーとは、増幅した光の集合体の事を示す。そしてその光は収縮すればするほど熱量は上がっていき、切断力を増す。

 

 つまりレーザーは収縮していけば威力は増していき、より軍事的に利用出来る事になる。その威力は光線級が証明している通り、非常に高い威力を出す事が出来る。

 

 だが、メリットにはデメリットが付いて回る。必ずと言っていいほどに。

 

 今回のレーザーに関してだが、基本的にデメリットは3つある。

 

 一つ、消費エネルギーが高すぎる事。

 

 一つ、レーザーを扱う為のパーツが作られていない事。

 

 一つ、製造・修理コストが高い事。

 

 まず一つ目だが、先程レーザーは収縮すればするほど高出力になるという事を説明した。だが、その為のエネルギーはどこから持ってくる?

 

 当然収縮すればするほど使用するエネルギーは増えていく。それが軍事用に転換しようとすれば、当然使用エネルギーは莫大な物となる。

 

 それを例えばだが、戦術機に乗せるとなるとどうなる? 当然貯蓄タンク等は巨大化してしまう。しかしそれでは戦術機は動く棺桶と化してしまうだろう。表面積が増大してしまうのだから。

 

 そして2つ目だが、そもそもそれを安定的に使用できるようなパーツが作られていない事だ。

 

 ここでレーザーの説明に戻るのだが、レーザーは収縮すればするほど、と言ったがそもそも収縮するのにも問題があったとしたらどうだろうか? 当然レーザーを兵器転用するのは夢のまた夢となる。

 

 そして恐ろしい事なのだが、収縮するのにも問題がある。実はレーザーは増幅器という、エネルギーを出力として取り出す為のパーツによって使用できるエネルギーが決まる。増幅器の最大増幅量が増えれば出力が上がるという訳だ。

 

 そしてその増幅器だが、実は増幅効率という物がある。どこまで出力をあげられるかの限界の事だ。

 この限界値というが実はとても高いハードルで、今この地球上には兵器転用出来るようなパーツが存在しないのだ。いや、あるにはあるのだが。

 

 だがそれは非常に増幅効率が悪く、複数機搭載しない使用出来ない為、艦載用や防御兵器用としか扱われていない。戦術機用には使用できるような代物ではない。

 

 だがまあ仮にだが、戦術機のサイズ的にも、効率的にも非常に高性能な増幅器があったとしよう。……だが実はまだ問題がある。

 

 それはその高出力レーザーに耐えれるパーツを作れるか、という面だ。

 

 出力をあげれば当然熱量は増し、切断力は大きな物となる。

 

 だがその熱量は敵だけではなく、自分にも降り注がれる。

 

 考え方としては、熱湯水鉄砲である。

 

 この水鉄砲の銃口を敵に向けてトリガーを引けば、当然その方向は相手へと向かっていき、相手を火傷へと追い込める事が出来るだろう。

 

 だが、その熱湯に銃自体が耐えられなければ話にならない。例えば熱湯が100度で、銃は60度までしか耐えられない素材だった場合、銃は溶けてしまう。

 

 そうなれば中身は当然外に出てしまい一番近くにいた自分へと降り注がれる。敵に当てる為の高音の熱湯が自分へと降りかかってくるのだ。

 

 この事を一言で表すと、"切れすぎる刀は自分をも斬る" というものとなるだろう。

 

 そしてまだ問題はある。それは"エネルギータンクを守れるか"という問題だ。

 

 エネルギータンクである以上、先程の切れすぎる刀である事を防ぐ為、タンクの内部からの防御力に力を入れなければいけない。そうなると当然外部からの攻撃に対する防御は低くなる。

 

 そうなれば機体には被弾していないが、タンクに掠っただけで爆死した、なんて事がありえる。それはある意味触っただけで爆発する爆弾を持っているような物である。

 

 ここら辺はガスタンクを思い浮かべて頂ければ良いだろうか。ガスタンクは内部のガスの密集を防ぐ為球体になっている。が、見た目防御力は非常に低そうに見えるだろう。

 

 これはコスト的にそうなった事なのだが、実際に防御力を高めようとすると、今度は内部のガス密集・高コスト問題になるという問題が出てくる。

 

 バランスを取れば良いだけの話だが、そのバランスを取る為に苦労をしているのだ。学生には勉強と部活、人間性全てを完璧に行うのは難しい、と言えばわかるだろうか。

 

 と、今までは使用するまでの問題を提示してきた。が、これから説明するのは、兵器として使用するには? である。

 

 先程提示した3つ目に当たるのだが、コストの問題である。

 

 仮にレーザー兵器が作れて、更に全体的に高性能な物となっているとしよう。確かにそれならば対BETAや対人にとても優秀な兵器となり得る。

 

 だが、機能は良くても、コストが高ければ意味がない。

 

 例えば敵を10人殺すミッションに行くとする。その際に使用するのは一発10¥のライフルと、一発500¥のランチャー、どちらを使用する?

 

 普通ならばライフルを使用するだろう。仮に敵を一撃で排除できた場合、そのコスト差は4900¥だ。倍率にして1:50。

 

 そんな物を軍事用として配備しようとなるとどうなる? 軍事予算はあっという間にオーバーして、国家予算はあっという間にカツカツになる。

 

 更に新兵器である為に整備コストも高めになってしまい、最悪の場合全体の機体整備もままならない状態になるという状態になる可能性もある。あくまで最悪の場合、だが。

 

 と、ここまでレーザーの兵器実現はとても大変な事である事が分かった所で言わせて貰おう。

 

 これはエネルギーを収縮して使う場合だ。

 

 収縮する場合のレーザーですらこれ程まで実現が難しい兵器であるというのに、例の黒い戦術機は非常にコンパクトな機体でのレーザー兵器の使用に実現している。

 

 更にそのレーザーは収縮率が非常に小さく、放射するように射出されている。これは非常に不可解な現象なのである。

 

 普通レーザーの類の物は収縮しなければ使い物にはならない。なぜならば、一直線に貫通などせずに横へとそれてしまうからだ。

 

 それなのにこのレーザーはそこまで収縮せずとも高い威力を実現している。戦術機を蒸発させる程に。

 

 またレーザー兵器には普通"溜め"が必要である。エネルギーを充填、圧縮、射出する。この3つのプロセスを跨がなくてはならない。

 

 だが例の戦術機はどうだろうか? 溜める素ぶりなど見せずにレーザー兵器の連続射撃を実現している。冷却を挟まずにレーザー兵器を使用するなど、普通ならばあり得ないのだ。

 

 そしてこの冷却だが、それは人類だけに言える事ではない。冷却を挟んでいるのはBETAの光線級も同じなのである。その為の照射インターバルなのだ。

 

「「「「……」」」」

 

 この事に即座に悟った一同はその身に確かな焦りを感じていた。

 

 当初の予想では例の戦術機はアメリカの物だと思っていた。BETAの技術を唯一占領しているのは合衆国アメリカだけなのだから。

 

 だがアメリカが、BETAの技術を上回るレーザー兵器の開発に成功するのだろうか? 否、それこそあり得ない。BETAの技術の再現すら難しい物なのに、それ以上の物を開発する? 笑わせるなというものである。

 

 そして、これらの事実を踏まえて、議長はある決断をした。それは……

 

「……ハインツ・アクスマン中佐とベアトリクス・ブレーメ少佐をここに」

 

 失態を晒して牢屋へと収容されたシュタージの重要人物をこの会議を参加させるという物だった。

 

 東ドイツの高官達は、今更ながらに相手の組織の強大さに気づいたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 というかコレ書いてる時に思ったんですが、ACってバカみたいに強いっすね。MTも含めて。

 レーザーを何発を耐える装甲。

 無限にエネルギーを供給するジェネレーター。

 核ミサイルすら搭載できる強力な武装群。

 更にネクストだったらこれ以上……ACの世界頭おかしい。

 あ、お気に入りが99に増えてました。ありがとうございます。

 そう、『99』です。『9』。

 これだけで何か分かった人は即病院に行ってください。貴方はフロム脳の可能性があります。

 では、今回はここら辺で。また今度お会いしましょう。

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