海に出た。シュウは一人で、海を眺めながらぼんやりしていた。
「おーい」
後ろから声がした。水着姿の四人がやって来た。
「…………」
「お待たせー……って、どうしたの?」
「あー、もしかして私達の水着に見惚れてたな?」
「や、ちなつは無いよ。もう二十歳越えてるし」
「真顔で返すなよ‼︎」
涙目で返すちなつの横から、ねねが悪戯っぽい顔で言った。
「『ちなつは』って事は、私達には見惚れてたんだ?」
「………いや、その、」
「顔赤くして、可愛いところあるじゃん」
青葉にも言われ、さらに顔を赤くするシュウ。
「ち、ちがうから!別に見惚れてたとか、そんなんじゃ……なくて……」
「じゃあ何?」
「その……いや、いいです。引かれるので……」
「そこまで言ったらいいなよ!」
「往生際が悪いぞー!」
「言っちゃいなよ、ユー!」
青葉、ほたる、ねねとせめられて、シュウは観念したように途切れ途切れに言った。
「そ、その……全員、割とエロい水着を着て来たなって……」
「「「…………は?」」」
「なんで3人揃ってビキニなのか……」
「「「…………」」」
恥ずかしくなった3人は、顔を赤くした後に攻めるようにシュウを指差した。
「せ、セクハラ!」
「変態だ!すけべ!」
「最低!」
「な、なんでだよ⁉︎言えって言ったのそっちだろ‼︎」
「罰として今日は私達の下働き!」
「はぁ⁉︎絶対嫌だわ‼︎」
「ダメ!じゃないとクラス中に今言った事バラすから‼︎」
「は、はぁ〜?汚ぇ奴らめ……」
と、いうわけで奴隷になりました。
*
お絵描きスタート。まぁ、絵を描くのにあまり雑用は必要ないわけで。
ちなつがモデルになって他の二人が描いてる間、シュウはパラソルの下で寝転がっていた。
「ふわあ……眠い」
そんな事を呟いてると、スマホが震えた。
篠田はじめ『今暇?どこにいるの?』
「……えっ、何?この『暇なら遊ぼう』的な内容」
呟いてから、返信した。
豊田シュウ@黒トリガー使い『海っス』
篠田はじめ『海?誰と?』
豊田シュウ@黒トリガー使い『部員と。合宿』
篠田はじめ『女の人?』
豊田シュウ@黒トリガー使い『全員女子っス。いや、一人は女子って歳じゃねーな』
篠田はじめ『ふぅん、ごめんね邪魔しちゃって』
豊田シュウ@黒トリガー使い『ああ、全然。みんな絵を描いてて暇だったんで』
篠田はじめ『シュウくんは描かないの?』
豊田シュウ@黒トリガー使い『いや俺は美大目指してないんで』
篠田はじめ『ああ、美術部の合宿ね。シュウくんは何処大行くの?それとも就職?』
豊田シュウ@黒トリガー使い『まだ決めてないっス』
篠田はじめ『えっ……?遅くない?まだ志望校どころか就職も決めてないの?』
豊田シュウ@黒トリガー使い『や、それはさすがに進学で決めてます。でも、何処大かはまだ。現状で入れる一番良い大学に入って、取れそうな資格は全部取って、最強の公務員になります』
篠田はじめ『あ、う、うん……そう。まぁ、好きにしたら?』
豊田シュウ@黒トリガー使い『ええ、そうします』
篠田はじめ『でも海かぁ、いいなぁ』
豊田シュウ@黒トリガー使い『行けばいいじゃないですか』
篠田はじめ『仕事』
豊田シュウ@黒トリガー使い『あ、みんな呼んでるので失礼します』
篠田はじめ『あー!ち、ちょっと!逃げないでよー!おーい!』
逃げました。
そろそろはじめさんを出します