東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

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桜が咲き始めた4月。


彼がいなくなって半年を過ぎようとしていた。



彼が再び私たちの前に現れる気配もなく私の誕生日を迎えようとしたら、思わぬ出来事が起こったんだ。







to:re...

卯月Side

 

 

4月24日午後の6時ごろ。

お仕事が終わり、私は少し駆け足で凛ちゃんのお家に向かってました。

無事に志望校に受かり、4月の初めにアイドルに復帰しました。

今日の誕生日会は凛ちゃんのお家でやります。

 

「お邪魔します!」

 

私が凛ちゃんの家のお花屋さんに入り、元気よく言うと凛ちゃんと未央ちゃんが玄関から顔を出しました。

 

「やっほーしまむ!!」

 

「いらっしゃい卯月」

 

私がそのままリビングに入るとテーブルにあるものがありました。

 

「あちゃー、しまむーに見られちゃったね」

 

誕生日会を開催するリビングのテーブルには、まだ出来上がっていないケーキがありました。

 

「あれ?これって?」

 

「流石に卯月の誕生日ケーキをお店で買うのはあれかなって思って」

 

ケーキはまだスポンジの状態で、クリームといちごはまだ乗ってはいませんでした。

 

「私たちは仕事が終わって急いで作ってたから、もう少ししたら出来るよ」

 

「いえ、大丈夫です!」

 

手作りのほうがもっと嬉しいです。

凛ちゃんと未央ちゃんとは仕事関係で会う頻度は少なく、久しぶりに会えたのですから嬉しい。

凛ちゃんと未央ちゃんと楽しく話していると凛ちゃんのお母さんが顔を出しました。

 

「凛ー?ちょっと店番頼める?」

 

「えっ、今?」

 

凛ちゃんは今はケーキを作っていてお店を任せるのは無理があります。未央ちゃんはケーキのクリーム作りをしているのですが、ケーキをすぐ出来上がらせるには凛ちゃんの手が必要です。今のところ手が空いている人はーーー

 

「なら私がお店に立ちますよ」

 

「え?」

 

私は凛ちゃんにそう伝えると驚き、

 

「卯月、今日は誕生日だからやらなくても..」

 

「誕生日ですから、何かお役に立ちたいことをやらせてください!」

 

確かに今日は私の誕生日ですが、ただケーキが出来上がるのを待つのは嫌です。

なにもできないのは嫌だから。

 

「....わかった。なんかあったら私たちを呼んでね?」

 

「はい!島村卯月がんばります!」

 

私はそう言うと凛ちゃんのお店のエプロンを着け、店内に立ちました。

今の所お客さんの姿はなく、閉店時間はもうそろそろなので私は長く立つ必要はないと思います。

 

(っと言ったけど..もしお客さんから声をかけられたらどうしよう...)

 

私はお店の椅子に座り、悩んでいました。

もし何かあれば凛ちゃんサポートが来ますが、一体どんな方が来るのか少々不安です。

私がそう考えていると...

 

「あの....すみません?」

 

「あ、はい!いらっしゃいまーーー」

 

ふと気がつくとお客さんらしき方が私の前にいて、声をかけてきました。

 

「...え?」

 

慌ててお客さんに顔を向けると、私は自然と口を止めてしまった。

来たのはお客さんなのだけど、目を疑いたくなる人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"彼"が私の前に現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...嘘っ」

 

私は嬉しさのあまり、彼の胸の中に抱きついた。

 

「...えっ?」

 

「あなたを待ってた...ずっと待った...」

 

嬉しすぎて涙が無性に流れる。

最後に抱きしめた時と同じ暖かさ。

彼だ。

私を助けてくれた彼が帰ってきたんだ。

私の誕生日に帰ってくるなんて考えもしなかった。

 

「どうしたの?しまむー?」

 

「なにがあった....え?」

 

何か異変を察したのか、凛ちゃんと未央ちゃんは私の元に来ました。

二人は彼の顔を見ると驚き、

 

「か、金木さん....戻ってきたの..?」

 

「嘘っ..あんた...なんで...」

 

二人は彼を見て、声が震えていました。

凛ちゃんと未央ちゃんはわかっていました。

彼は一体誰なのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーしかし

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、ちょっといいですか?」

 

すると彼は抱きしめる私の肩に手を置き、離れさせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『...どうして泣いているんですか?』

 

 

 

 

 

「...え?」

 

彼の言葉に私たちに衝撃が走った。

 

「えっと...その、僕はカネキじゃなくて、佐々木琲世です」

 

「佐々木...琲世?金木じゃ...ない?」

 

彼の名前は全く知らない人の名前で、金木研ではなかった。

よく見ると髪は真っ白でも真っ黒ではなく、上は黒で下は白のツートンカラーの髪色だった。

 

「なので...僕はみんなが言うカネキじゃないです」

 

声も顔もまさに彼なのだけと、まさか別人だった。

 

「す、すみません....変なことして....私としたことが...」

 

「いや、大丈夫だよ..」

 

泣いていた私は、佐々木さんに謝りました。

佐々木さんは彼と似ていたせいか、胸の中でずっと彼に会いたい気持ちが爆発し、佐々木さんに抱きついてしまいました。

長く会ってないから感情を抑えられず、起こしてしまった行動。

私は錯覚してしまったんだ。

佐々木さんを金木さんだと認識してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

そう感じていた私に、佐々木さんに異変が起きました。

 

 

 

 

 

「ーーーあれ?」

 

佐々木さんの頰に雫が流れました。

それは一粒ではなくだんだんと増えていました。

 

「なんでだろ..おかしいな..」

 

私は佐々木さんの顔を見ると、彼は泣いていました。

佐々木さんは突然自分が泣いていることに驚いていて、無意識に泣いていたのです。

 

「悲しいのかな...なんでかな...」

 

佐々木さんは流れる涙を拭きますが、涙は止まることなく溢れます。

私はポケットからハンカチを取り出し、彼が流した涙を吹きました。

 

「大丈夫ですよ、佐々木さん」

 

「っ!」

 

私はハンカチで拭くと、佐々木さんは私の瞳を見ました。

その瞳は金木さんと一緒に遊園地にいた時を思い出す

夜が始まり綺麗なイルミネーションが照らされる中、金木さんは一人涙を流した。

金木さんが一人で悲しく泣いていた時、私は彼の側にいてこう言ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『金木研さん。私は何があっても忘れません』

 

 

 

 

 

 

 

だけど今、彼は悲しく泣いているのではなく、まるで再び会えたことに嬉しく泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

私たちともう一度会えたことに

 

 

 

 

 

 

「よかったら、一緒に私の誕生日を祝ってくれませんか?」

 

「誕生日..?」

 

「はい、今日は私の誕生日なんです。だから一緒に祝ってくれません?」

 

「...そうなんだ。じゃあ僕も一緒に祝うよ、島村さん」

 

「...卯月でいいですよ?」

 

「卯月...?」

 

「はい!卯月ちゃんと呼んでください!」

 

私は佐々木さんに私の苗字ではなく名前を呼んで欲しかった。

島村さんじゃなく、卯月ちゃんと。

 

「さぁ、佐々木さん!しまむーの誕生日会へ!」

 

「え!?ちょっと!?」

 

未央ちゃんは佐々木さんの背中を押し、リビングに誘導させました。

 

「今日は卯月の誕生日ですから、すぐに始めないと」

 

「え?あ、ああ、そうだね。早く始めないとね」

 

私たちは店内を後にし、リビングの中に入っていき、誕生日パーティーを始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の私の誕生日はとても嬉しいことがありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはただ嬉しさではなく、言葉に表せないぐらいのサプライズです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が待っていた人が帰ってきたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

名前が変わっても、彼は彼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

4月24日午後6時。

僕は沈みゆく夕日を眺めながら街を歩いていた。

 

僕の名は佐々木琲世。

CCGに所属している喰種捜査官であり本日、二等捜査官に晴れて昇進をした。 

同じく喰種捜査官であり、僕のメンターであるアキラさんからには昇進祝いとして白いコートをもらった。

その白いコートは他の捜査官が着ているものとはデザインが違う。

 

(まさか有馬さんが言うとは、さすが天然..)

 

今日は昇格記念と言うことかせっかくだから何か発見をしたらどうだ?と僕に伝え、いつもより早く仕事が終わってしまった。

普通ならばありえないのだが、有馬さんは何もおかしくなく僕に伝えた。

周りが働いている中、自分一人で帰るのは違和感があったけど、結局僕はそのまま立ち去っていた。

有馬さんは天然な面があるのだが、CCG内では死神と呼ばれるほどの特等捜査官であり、今までの戦闘では無敗と言われている。

僕は何度も有馬さんと相手をしたのだが、一度も勝つことはできない。

 

(ん?)

 

すると僕はあるお店の前を通り過ぎようしたら、無意識に立ち止まった。

 

(なんだろう?この花屋さんは?)

 

一見そのお店は普通に見えるのだけど、僕に芽生えた興味は胸の中から去る気配がなかった。

 

(...入ってみよう)

 

僕はそのお店の中にそっと入った。

花屋さんに入るのはなんだか新鮮に感じる。

店内は数々のお花が置かれていて、知らない品種が多く書かれていた。

もうそろそろ閉店が近いのか僕以外に訪れるお客さんは誰もいない。

 

(..ん?)

 

周りを見渡すと店員と思われる女の子が何か難しそうな顔をしたまま椅子に座っていた。

僕が来たことに気がついていないようだった。

 

(あの子って..?)

 

僕は彼女をどこかで見た記憶があった。

どこで見たかは思い出せないが、とりあえず僕は彼女に声をかけた。

 

「あの....すみません?」

 

「....あ、はい!いらっしゃいまーーー」

 

僕の返事に気がついた瞬間、慌てた様子で僕の顔を見た。

僕を見た瞬間、彼女は目をパッと開き固まってしまった。

 

(...あれ?)

 

彼女は僕をじっと見つめる。

大きく目を開き、だんだんと手が震えていた。

 

「...嘘っ」

 

しばらくすると彼女は手を口に涙を込み上げ、まっすぐ僕に抱きついた。

 

「...え?」

 

「あなたを待ってた...ずっと待った...」

 

何が起こっているんだ?

突然、彼女に僕に抱きつきたのだ。

彼女は泣きながら僕を強く抱きしめる。

お店の店員さんが僕に抱きしめるだなんてありえない。

それにずっと待っていた?

一体どう言うことなんだ?

 

(ーー!!)

 

僕を抱きしめてきた彼女の顔を見ると、見覚えのある人物であった。

彼女は世間に知られているアイドルの島村卯月であった。

そんな彼女が僕に抱きつき、涙を流していた。

 

「どうしたの?しまむー?」

 

「なにがあった....え?」

 

するとお店の奥から二人の女子が顔を出すと、

 

「か、金木さん....戻ってきたの..?」

 

「嘘っ..あんた...なんで...」

 

僕を見ると驚き、目を滲みませた。

やってきた二人の顔をよく見ると、島村卯月と同じユニットメンバーである渋谷凛と本田未央であった。

その彼女たちが僕を見て、驚いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、ちょっといいですか?」

 

僕は抱きつく島村卯月を離れさせ、彼女たちにこう聞いた。

 

「...どうして泣いているんですか?」

 

「え?」

 

彼女たちは僕の言葉に疑った。

まるで僕の言葉を間違っているように。

 

「えっと...その、僕はカネキじゃなくて、佐々木琲世です」

 

「佐々木...琲世?」

 

僕の名前はかねきという名前ではなく佐々木琲世だ。

彼女たちは僕の名前を聞くと落ち着き始めた。

どうやら人違いだったようだ。

 

「す、すみません....変なことして....」

 

「いや、悲しませることさせてごめんね」

 

島村さんは自分の手で涙拭きながら僕に伝えた。

どうして彼女たちが真剣な眼差しで僕を見るのかわからない。

僕には心当たりもなく、そう答えるしかなかった。

僕は20年間の記憶はないのだが、彼女たちはどこかに会った記憶は思い出す気配はなかった。

 

 

 

 

 

 

すると突然ーーー

 

 

 

 

 

 

「ーーーあれ?」

 

僕は無意識に涙を流していた。

 

「なんでだろ..おかしいな..」

 

なんだろう、この感覚?

それは有名人に会えて嬉しいというのではなく、大切な人に再び会えた感覚。

彼女たちとは初めて出会ったはずなのに、なぜか懐かしい。

 

「悲しいのかな...なんでかな...」

 

僕は涙を手で拭くが、たくさん涙が流れているためか拭ききれない。

僕の肌にやわらかい布がそっと触れた。

 

「大丈夫ですよ、佐々木さん」

 

「っ!」

 

島村卯月は泣いている僕にハンカチで涙を拭いてくれた。

彼女の瞳を見た僕は何かを思い出した。

それはどこかの夜の遊園地で二人っきりの時。

今は大学生である彼女がかつて着ていた制服姿が頭に浮かぶ。

僕は高校生だった彼女をあんまり見たことがなかったのだが、鮮明に覚えているかのように思い出した。

 

『***さん。私は何があっても忘れません』

 

島村卯月の言葉が自然と頭に流れた。

僕は前に彼女と出会っていたのか?

消えた20年の中に、僕は会っていた?

 

「よかったら、一緒に私の誕生日を祝ってくれませんか?」

 

「誕生日..?」

 

「はい、今日は私の誕生日なんですよ。だから一緒に祝ってくれません?」

 

「...そうなんだ。じゃあ僕も一緒に祝うよ、島村さん」

 

「...卯月でいいですよ?」

 

「卯月...?」

 

「はい!卯月ちゃんと呼んでください!」

 

僕は卯月ちゃんと言うと彼女はとても嬉しそうに微笑んだ。 

僕は彼女の返事に断ることもなく、そのままお店の奥に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちとは初対面にも関わらず久しぶりに会ったかのように心が温まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかしたら、以前の僕は彼女たちとは出会っていて、楽しんでいたのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はこの世界に生まれた時、喰種の部分しか思い出せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど今は人間の部分が思い出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は悪い記憶ばかり持っていたわけじゃなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちのような友人を持っていたことに気づけて、よかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

楓Side

 

 

 

とある真昼の頃。

 

 

私は都内のとある喫茶店で一人コーヒーを飲んでいました。

 

あれから私の居場所がひとつ消えてもう一年が経ちました。

今まで当たり前のことが一瞬で崩れ去った痛みは今でも心の奥底で感じます。

運が良いのかそれともまだ気づかれていないのかわかりませんですが、私はあんていくに働いていたことは公には一度も流れていません。

私があんていくに働いていたことを知っているのはプロデューサーさんと卯月さんしかおらず、あとのあんていくに働いていた方々の行方は知りません。

 

(ん…ちょっと酸味が強いですね..)

 

私の最近の楽しみは都内のカフェ巡りです。

カフェ巡りはお友達を連れてではなく一人で巡ります。

今訪れている喫茶店が出すオリジナルブレンドは私が思う美味しいコーヒーはまだまだです。

好物の飲み物としては流石のお酒のほうが勝りますが、コーヒーはその次に好きな飲み物だと言えます。お酒は一人ではなくお友達と一緒に飲むのですが、コーヒーは一人で過ごしたい時には口にしたいものです。

少々不満足感を味わった、私。

すると一人の男性が店内に来店しました。

 

「…!」

 

私はその人に目を向けると、驚いてしまいました。

その男性はどこか見覚えのある方でした。

彼は私とは少し離れたテーブル席に座り、店員さんに注文をしました。

 

「すみません。オリジナルブレンドを一つお願いします」

 

彼の声を耳にした私は驚いてしまいました

その人はまるであんていくに働いていた人にそっくりでした。

興味を抱えた私はその男性に話そうと座ったテーブル席に足を運びました。

 

「あの、すみません」

 

「ん?」

 

「座ってもよろしいでしょうか?」

 

「え?...あ、ああ、大丈夫ですが?」

 

彼の了承を得ると私は向かいの席に座りました。

その人は私に突然声をかけられ、隣に座ったことにどこか不信感を抱えたのかもしれません。

 

「あの...どうして向かいの席に..?」

 

「どうしてなんでしょうね?」

 

私はからかうように返事をしました。

少しは変装をしていましたが、彼は気づくような仕草はしていません。

 

「あなたのお名前はなんでしょうか?」

 

「僕ですか?佐々木琲世です」

 

「佐々木琲世さんですか…ご年齢は?」

 

「年齢ですか?僕はちょうど二十歳になったばかりで」

 

「そうなんですね」

 

私とは7歳年が離れています。

確か私がかつて働いていた喫茶店でいた男の子とは同じ年齢。

声と姿はまるであの人に似ている。

だけど名前が違う。

 

「あの…あなたのお名前は..?」

 

「私ですか?高垣楓と申します」

 

「高垣か….え!?」

 

彼は私の名前を聞くと不意につかれたように大きく驚きました。

 

「た、た、高垣楓って…あのアイドルのですか?」

 

「ええ、そうですよ?」

 

彼の驚き方は以前に出会ったことを思い出したのではなく、テレビや雑誌で見たことを思い出したと言ってもいいでしょう。

 

「何かのドッキリじゃないですよね?よくテレビにあるやつじゃ」

 

「ええ、どこも隠しカメラもありませんから安心してください」

 

彼は私の言葉を聞くと、「そうですか..ありがとうございます」と胸をなでおろした。

 

「もしかしてテレビが出るのが嫌い?」

 

「嫌いと言うか、あまり目立つことが嫌いなもので」

 

「そうなんですね。あと佐々木くんと呼んでいいかしら?」

 

「え?別に構いませんですけど...?なんでですか?」

 

「んー、なんでしょうね。以前、佐々木くんと似ている子がいたからかも」

 

「似ている子?その人って誰ですか?」

 

「誰でしょね〜、うふふ♪」

 

「からかっているんですか?」

 

私がそう答えると佐々木くんはもやもやした顔になりました。

 

「あ、そうそう、もしよかったら…」

 

私はあることを提案しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

『あとで一緒に歩いて行きませんか?』

 

 

 

 

 

 

私がそう言うと佐々木くんは「いいですよ」と了承をしてくれました。

彼がコーヒーを飲み干し一緒にお会計をした後、一緒にお店から出ました。

佐々木くんは喰種対策局に勤める喰種捜査官だと聞きました。

佐々木くんは真面目な男の子ですが、私の冗談やダジャレには無視はせずノリに乗ったり突っ込んでくれました。

それから私は連絡先を交換し、別れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐々木くんはまるであんていくにいた彼を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかしたら彼はーーー

 

 

 

 

 

 

 




東京喰種 CINDERELLA GIRLS 完

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