東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

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だれ?だれ?



自然とその人を知りたいっと言う欲求が増していく



まるで手に入りたいという欲望に似ているかのように






Who?

凛Side

 

 

「ただいま」

 

春の涼しい風が肌に感じる夜の帰り道を歩いてきた、私。

事務所から帰って来た。

今日は撮影の仕事で1日があっという間に終わったように感じた。

今回の仕事は雑誌ではなく、写真集だ。

一歩、家に入る花の香りがふわっと香る。

家は花屋さんをやっているため、玄関はお店の入り口だ。

 

「ああ、おかえり凛」

 

するとお父さんが顔を出した。

もうそろそろお店を閉めるところなのか、鉢に植えられている花を持っていた。

 

「もうそろそろ閉めるの?」

 

「ああ、時間だからね」

 

「ふーん」

 

私はそう言うと、家に上がろうとしたその時だった。

 

「凛、待ってくれ。今日、面白いお客さんが来たよ」

 

「面白いお客さん?」

 

私はそれを耳にした時、足を止めた。

お父さんがどこか面白く私にそう伝えた。

普段はあんまり私に声をかけることのないのに、今日はめずらしく私と話している。

 

「"白髪で眼帯の青年"が、アネモネを買ったんだ」

 

「白髪と眼帯の青年...?」

 

眼帯と青年と聞くと、真っ先に浮かんだのは"金木"だ。

でもあいつが急に髪を染めることはまずありえないし、しかも行方不明だ。

それを知ったのは去年の12月。

もうそろそろ半年も過ぎてもおかしくはない。

一体どうして姿を消したかわからない。

 

「どうしたんだ?凛?」

 

「え?あ、ああ、少し疲れていてぼーっとしてた...」

 

気がつくと私はぼっと考えていたせいか、お父さんは心配そうな顔をしていた。

お父さんは「そうか..まぁ、仕事で疲れていたかもな」と頷いた。

そして私はそれ以上聞かれないように家に上がった。

 

考え過ぎだ、私。

別に深く考えることのない話なのに、なぜか自然と考えてしまう。

眼帯の青年がアネモネを買う。

そういえばあいつも卯月と同じくアネモネを買っていた。

なんだか偶然過ぎるように感じる。

 

(考え過ぎかな...)

 

今回やって来た人はおそらくは"違う人"。

行方不明のあいつが急に顔を出すなんてありえない。

もしあいつが顔を出して来たら、真っ先に殴りに行きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちがどれだけ心配させたのかを、私は金木にもう一度会って伝えたいんだ。

 

 

 

 

 

 

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卯月Side

 

 

「こんにちは、トーカさん」

 

「いらっしゃい、卯月」

 

お仕事のないお昼下がりのオフの日。

学校帰りにあんていくにやってきた。

カランっとドアを開けば、コーヒーの香りがほのかに鼻にくる。

店長さんの体調がよろしくなく、あいんていくは長くお店を閉めてましたが、

つい最近再びお店が開いたと耳をし、ここにやってきました。

私はトーカさんが手前にいるカウンター席に座りました。

 

「久しぶりに会えて嬉しいですよ」

 

「そう?もう来ないかと思ってた」

 

「来ますよ! トーカさん」

 

「冗談だよ」

 

そういったトーカさんは少し微笑みました。

彼女の名前はトーカさん。

ショートカットで右目が髪で隠れ、私と同じ高校三年生で、ここあんていくで働いています。

 

「コーヒーをお願いします」

 

「またコーヒー?」

 

「はい!そうです!」

 

味に慣れるため、私は今回も頼む。

ただ苦いコーヒーを味わえるまで飲み続けています。

トーカさんは私の言葉に「また同じ言葉を言わないでね」といい、コーヒーが入った缶を開けました。

 

「...あれ?」

 

「ん?」

 

するとトーカさんは何かに気がついたように目をはっと開き、

 

「コーヒーを切らした」

 

「え?なくなったのですか?」

 

「うん、多分倉庫に置いてあるから、ちょっと取りに行ってくる」

 

「あ...はい」

 

トーカさんはそう言うと二階に続くドアを開き、二階へと上がって行きました。

私は一人店内に取り残されてしまった。

あんていくに訪れた時から私以外誰も入っていない。

やっぱりに一人いると寂しい。

トーカさんが帰ってこないか心から感じていたら、

 

「ん?」

 

すると二階へと続くドアが開きました。

トーカさんが戻って来たようでした。

 

「トーカさん、おかえり.....」

 

しかしドアから現れたのは、トーカさんではなかった。

私は思わず口を止め、驚いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは、小さな女の子。

 

 

 

 

金木さんがいた時に見かけた子だった。

 

 

 

 

 

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ヒナミSide

 

 

トーカお姉ちゃんを探していた、私。

店内にいると思いやって来たら、思わぬ状況に出会ってしまった。

 

「「......」」

 

それはカウンター席に座っていた人、お兄ちゃんの友達の"うづきちゃん"とばったりと会ってしまった。

不気味に静かな空気。

二人は黙ったままお互いの顔を見ている。

 

「あ...あの!」

 

するとうづきちゃんは緊張した様子で先に口を開いた。

 

「この前に私と出会った子...だよね?」

 

うづきちゃんは緊張はあったものの、笑顔に声をかけてくれた。

でも私は口を開かず、ゆっくりと頷いた。

私は怖かった。

喰種(グール)ではなく人間(ヒト)と話すのを。

かつてく人間(ヒト)の手でお父さんとお母さんを亡くしたのだから。

でも目の前にいるのは私が話したかった"うづきちゃん"だ。

それでも私は口を開くことができない。

 

「そうですよね!」

 

「...え?」

 

「私、話したかったんです!」

 

そう言うとうづきちゃんは席に立ち上がり、私の手を両手で握った。

急に起きたため、一体何が起こったのかわからなかった。

 

「あの時からずっと話したいと思ってました!」

 

うづきちゃんはまっすぐと私の目を見ていた。

それはとても輝いていて、綺麗な瞳。

私はそれを見て、だんたんと緊張がなくなっていったんだ。

まるでお兄ちゃんと初めて話した時のように。

 

「そ、そうなんだ....」

 

そう言うと私はだんだんと心が軽くなり、恐怖心が消えていった。

私はうづきちゃん連れられ、席の隣に座った。

 

「えっと....お名前はなんていうのですか?」

 

「....ヒナミ」

 

「ヒナミ?ヒナミちゃんですか!いい名前です!」

 

そう言うとうづきちゃんは私の名前を知って、とても嬉しそうだった。

 

「私の名前わかるかな?」

 

「えっと...うづきちゃんだよね?」

 

「うん、そう!もしかしてテレビで?」

 

「....テレビじゃなくて"お兄ちゃん"から教えてもらったの」

 

「お兄ちゃん?」

 

「..."カネキお兄ちゃん"のことだよ」

 

私は少し間を開け、言った"お兄ちゃん"と言う人。

それはうづきちゃんのお友達で、私にとって大切な人でもある"カネキお兄ちゃん"のことだ。

かつてあんていくにいたのだけど、今はここにいない。

 

「金木さん....」

 

「あ、ああ、ご、ごめんなさい」

 

私は無意識に謝ってしまった。

さっきまで笑顔だったうづきちゃんを暗くさせてしまった。

うづきちゃんはお兄ちゃんがいなくなって悲しかったと思う。

それを表すようにまるで綺麗に咲いていた花を、萎れさせてしまったかのように笑顔が消えていた。

 

「大丈夫.....だよ、ヒナミちゃん」

 

「...?」

 

「別にヒナミちゃんも誰でも謝ることじゃないよ」

 

うづきちゃんはそう言うと少し拳を握った。

確かにお兄ちゃんが"今の状態"になったのは私でもトーカお姉ちゃんでも誰でもない。

 

「...でも、私は新しいことを見つけれたよ」

 

「新しいこと?」

 

「うん、金木さんがいなくなった悲しみを全部埋めれることできない。でも今ヒナミちゃんとお話できただけで、私は嬉しいよ」

 

そう言うとうづきちゃんはにっこりと笑った。

私もお父さんとお母さんを失って悲しみがあった。

その悲しみは完全に埋めれるわけないけど、あんていくのみんなと出会って私は楽しく過ごせるんだ。

そして今うづきちゃんとお話できたことも一つなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はうづきちゃんの笑顔を見て、心の中でふと思ったんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"本当のこと"を伝えちゃダメだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"今のお兄ちゃん"を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし言ったら、うづきちゃんは....

 

 

 

 

 

 

 

「え?ヒナミ?」

 

ふと気がつくと、トーカお姉ちゃんがコーヒーが入った缶を持って、驚いた様子で立っていた。

本当は人前に立ってはいけないことを私に伝えたのに、私は人とお話をしていた。

 

「なんでここに」

 

「トーカさん!ヒナミちゃんとお話しできてよかったですよ!」

 

「あ、ああ....そうなんだ」

 

トーカお姉ちゃんはそう言うと、ぎこちなく頷いた。

楽しく接していたうづきちゃんの機嫌を損ねないために、それ以上私にうづきちゃんとなぜ会話したのかを言及しなかった。

 

うづきちゃんが帰ったあと、トーカお姉ちゃんから少し怒られた。

普段攻撃的なお姉ちゃんだけど、私には手を出さずに叱った。

確かに私はあの時、すぐに二階に行けばいいのではないかと思うかもしれない。

私が人から危険な目を再び合わないために。

でも私はうづきちゃんと話してよかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんがうづきちゃんと接していた理由がわかったから

 

 

 

 

 

 

 

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ミュージック番組の収録

スタジオにて収録が行われていた。

数々のアーティストが並ぶ中、あるユニットが注目されていた。

そのユニットは5人組ユニット"LiPPS"。

今年の3月に結成され、現在人気沸騰中のユニットである。

そのLiPPSのメンバーは速水奏、塩見周子、宮本フレデリカ、城ヶ崎美嘉、一ノ瀬志希だ。

今は曲を披露し、その後アナウンサーにインタビューを受けていた。

 

「一ノ瀬さんは確かLiPPSのメンバーの中でデビューが遅いですよね?」

 

「うんっ、確かにそうだね〜♪まぁでも、みんなとは仲良くしてるよ♪」

 

最初にインタービューを受けたのは一ノ瀬志希。

彼女はLiPPSの中で、一番デビューが若い。

他のメンバーは世間に大きく知られるのだが、その中で新人の志希がユニットに入っている。

 

「それで、一ノ瀬さんがアイドルになるきっかけはなんでしょうか?」

 

「えっとねー、プロデューサーにスカウトされたのもあるけど、"K・K"さんと言う男の人に出会ったからだね」

 

「K・Kさん?」

 

「うんっ、K・Kさん」

 

司会者がそのイニシャルに疑問を持った顔を持った。

一ノ瀬志希の発言にスタジオ内でざわつき始めた。

その"K・K"と言う人物は一体誰なのかと。

LiPPSのメンバーも志希の言葉に疑問を持ち始めた。

そのメンバーの一人、城ヶ崎美嘉は"K・K"と言う名に密かに勘付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもそんな状況にも関わらず、一ノ瀬志希はにこにこと変わらずに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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