東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

60 / 84


壊れてしまった時計



それが再び動き始めたんだ






第3章 空白
壊れた時計


冬の寒さが過ぎ去り、暖かさを取り戻した春。

寒さを耐えたつぼみが綺麗に咲き誇り、鮮やかに染まる景色。

 

 

 

そんな時、346プロダクションに入って行く人がいた。

 

 

 

「おはようございます!!」

 

元気よくみんなに挨拶をする女の子。

その子の名は島村卯月(しまむらうづき)

笑顔が素敵な彼女で、かつては普通の女の子。

 

 

 

でも彼女は綺麗な舞踏会にたった初代シンデレラプロジェクトの一人であった。

 

 

 

 

 

 

 

それが世間が知る島村卯月。

 

 

 

 

 

 

 

でも僕は、

 

 

 

 

 

変わっていく彼女よりも、僕は最初に出会った彼女を懐かしく感じているんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

これ以上時間が進まないことを、僕は影からひっそりと望んでいた

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

卯月Side

 

 

お仕事が終わり、家に帰った私。

今日は4月24日。

私の誕生日であった。

 

「ただいまー」

 

「おかえりー卯月」

 

家に帰るとママが返事を返してくれた。

本当は誕生日会を開きたかったけど、メンバーが揃うことなく開くことはできなかった。

凛ちゃんと未央ちゃんはお仕事で忙しく、最近会うことがありません。

 

(....でも、来年こそは誕生日会を開きたいな)

 

場所は決めてはないけど、来年こそは3人で集まれると信じている。

私は気を取り直し、二階にある自分の部屋に入る。

一歩一歩ゆっくりと階段に登る。

今日のお仕事は少し疲れた。

今日は美穂ちゃんと響子ちゃんと一緒に、握手会と雑誌のインタビューをした。

握手会でも一つではなくいくつかの場所に向かい、インタビューは4社からそれぞれ違う質問を答えなければならなかった。

 

(ちょっと...暑いかな)

 

今日は日中暖かったせいか、部屋はムシっとしていた。

換気しようと私は部屋の窓を開け、 気分に夜の空気を吸った。

外は日中とは違い、ひんやりと涼しかった。

 

(今日もやらない...)

 

私の机にはたくさんの本が置いてある。

それはほったらかしたのではなく、勉強の為に置いてある教材であった。

私は大学受験を受ける為の勉強をしていたんだ。

 

(しばらくお仕事をやめないといけないのか...)

 

その山積みにされた教材を見て、ふと心の中に呟いた。

なんだか物寂しく感じるけど、仕方ないがないこと。

去年とは違い、今年は高校三年生。

とりあえずプロデューサーさんをお話をし、今度のピンクチェックスクールのお仕事が受験前最後のお仕事になる。

そのお仕事は『ラブレター』の収録とPV撮影だ。

 

「卯月ー?ご飯ができたわよ?」

 

「わかった、ママ!」

 

一階から聞こえたママの声に私は部屋から出ていった。

そのまま窓を開け、部屋から出たんだ。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

晩御飯を済ませ、私は二階へと向かっていた。

去年の私ならリビングでゆっくりとしていた。

でも今は自分の部屋に戻り、勉強をする。

戻って部屋に向かうと、

 

「...ん?」

 

カーテンが風でなびかせ、私の机に"あるもの"が置いてあった。

 

「....花?」

 

綺麗に置いてあった、花束。

その花は紫に白い色をしたお花。

それを見た私は、はっと驚いてしまった。

 

「アネ....モネ」

 

お花に詳しくない私が、自然と名前を一人つぶやくように言った。

去年のこの時期、凛ちゃんの親がやっているお花屋さんで買ったお花。

誰も二階に向かったような様子もなく、ポツンと机においていた。

付いていたレシートには購入した時間帯は5時50分。

去年と同じ時間帯であり、同じく買った場所であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「....."金木さん"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと呟いたある人の名前

 

 

 

 

 

 

 

 

その人はかつて私が出会った人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも今では出会うことができない人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私に胸の中に止まっていた時間が、再び動き始めたんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 

登場人物

 

 

・島村卯月

 

 346プロでアイドル活動をする高校三年生。

 初代シンデレラプロジェクトの一人で、世間では大きく知られている。

 受験のためアイドル活動を一時休止をすることになる。

 金木研とは渋谷凛の両親がやっている花屋に出会い、

 彼が行方不明になる前、最後に出会った人でもある。

 

 

・渋谷凛

 

 アイドル活動をする高校二年生。

 クールな外見で、現在入っているユニット"トライアドプリムス"やモデル撮影をしている。

 初代シンデレラプロジェクトの一人で、世間では大きく知られている。

 金木研とはアイドルになるきっかけを作った一人であり、友人同士だったが、

 現在は会うことができない人になってしまった。

 行方不明となった金木に疑問を抱いている。

 

 

・本田未央

 

 アイドル活動をする高校二年生。

 現在は舞台を中心に仕事をしている。

 初代シンデレラプロジェクトの一人で、世間では大きく知られている。 

 金木とは彼女がアイドルオーディション当日に会ったが、

 現在は彼とは会うことができない。

 消えてしまった彼をこっそりと探している。

 

 

・一ノ瀬志希

 

 高校を卒業をしたが、大学には行かずにアイドル活動をしている。

 化学と香りを好んでおり、特に鼻は誰よりも利くらしい。

 金木研とは20区で知り合った。

 ここ最近、喰種に対して興味を持っている。

 

 

・鷺沢文香

 

 346プロでアイドル活動をする上井大学3年生。

 金木研とは同じ大学であり、数少ない友人でもあった。

 アイドルになるきっかけを作った金木研を失ったことで、他の理由を模索している。

 

 

・城ヶ崎美嘉

 

 アイドルの頂点シンデレラガールズの一人である大学一年生。

 金木研に助けられたことで、お互いに知り合った。

 かつて同僚であったアイドルが喰種によって失ったため、喰種に対しては否定的である。

 

 

・金木研

 

 かつて彼女たちと交流があった上井大学一年生の青年。

 島村卯月との出会いを最後に去年、姿を消してしまった。

 現在も行方不明とされるが、ある情報が彼女たちに耳をすることになる。

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

その他

 

 

・霧嶋董香

 

 あんていくで働く喰種の少女。

 彼女たちが喰種だと言うことに彼女たちは知らない。

 なお、金木研が行方不明になった理由を知っている。

 

 

・笛口ヒナミ

 

 両親がCCGに殺された孤児の喰種。

 現在は金木研の元にいる。

 彼の友人島村卯月に憧れを抱いている。

 

 

・亜門鋼太朗

 

 

 CCGに働く喰種捜査官。

 かつてプロデューサーとは一つの喰種捕食事件に出会い、

 現在でも彼との交流はある。

 

 

・プロデューサー(武内P)

 

 346プロダクションで働く男性。

 現在は2代目シンデレラプロジェクトを担当しているため、

 初代シンデレラプロジェクトのメンバーとは別々に仕事をしている。

 過去に喰種によって一人のアイドルを失っているため、

 喰種に対しては否定的である。

 

 

・高垣楓

 

 アイドルの頂点を極めたシンデレラガールズの一人

 かつて、あんていくに働いていた過去をもっている。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。