東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

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破滅


日が過ぎて行くにつれて、



自らが破壊されていくんだ






ruin

卯月Side

 

 

 

今日も養成場にやって来ました。

いつも来るのは学校が終わった放課後です。

ここは私がアイドルになる前から通っていた場所で、

アイドルになるきっかけを作ってくれた所です。

 

 

 

 

 

凛ちゃんと未央ちゃんは今お仕事でがんばってます。

 

 

 

 

私が離れてから、前より輝きが増しているように感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば事務所から離れて1週間は過ぎた。

今日もステップの練習をする、私。

何度も何度もやっても実感はできない。

ふとレッスンルームの鏡に写る自分を見ると思うんだ。

まだまだ足りないんだと感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほどプロデューサーさんが来てくれて、あることを伝えたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『卯月さんもクリスマスライブに出てくれませんか?』

 

 

 

 

 

 

それはニュージェネレーションズのクリスマスライブのことだった

もうそろそろクリスマスと言うことで、養成場にいた私に声を掛けたんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも私は、出るとは言えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私ははっきりとした答えが返せず、OKと言わなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の自分はステージに立つなんて早い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなと合わせれるぐらいにがんばらないとついていけない

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしないと置いてかれる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方に現れる暗闇

それはまるで今の私を表しているように感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

この自信のない私を映しているように

 

 

 

 

 

 

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金木Side

 

 

僕は何回も叫んだ

自分の足の指が引きちぎれると同時に叫んだ

痛みに耐えきれず、全身から叫ぶように大きく声を出した

引きちぎれた瞬間、大量の血が床に広がった

その色はただの赤ではなく、黒が混ざった赤

 

 

血の匂いが蔓延していた

それは他人の血の匂いではなく、僕の血の匂い

長くここにいたせいか、鼻にくるほど匂いが伝わる

自分の血の匂いがこんなにひどいだなんて、最悪だ

 

 

僕がここに来たのは数十日ぐらい前のことだ

それは卯月ちゃんと遊園地に行った次の日のことだ

僕はあんていくで働いていた時だった

その日は"普通の日"だと感じていた

 

 

 

 

 

 

しかし、"異変"は突如現れたんだ

 

 

 

 

 

 

 

僕は"アオギリ"と言われる喰種の集団に連れ去られた

 

 

 

 

 

 

 

その時は抵抗ができないほどの圧倒的な力に、

 

 

 

 

 

 

 

僕は連れ去られて、今に至っている

 

 

 

 

 

 

 

太陽の光なんか何日、いや数十日浴びてなんかいない

このドームは外の状況がわからない

朝の心地良さ、昼の暖かさ、夜の冷たさがわからないんだ

 

 

バケツにたまり続ける僕の指

今、足の指は何個取られたのだろう

何度も何度も足の指が取られ、再生すればまた取られる

僕の体は回復がしやすいらしい

時間が経てば取られて指が元どおりになる

そんな悪夢を僕は何もできず、見ていたんだ

 

 

 

 

 

この地獄と言える状況で僕はふとあることを思い出したんだ

卯月ちゃんが僕の頰に手を添えたことがとても懐かしいと

あのどこか暖かい手をもう一度、僕の頰に触れ欲しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも今では寒い手足を縛られ、足の指を抜き取られる日々

そんな願いなど、届くわけがない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、僕は

 

 

 

 

先の見えない苦しみを味わい続けるのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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プロデューサーSide

 

 

私は先ほど卯月さんの元に行き、事務所に帰って来た。

来週はニュージェネレーションズのミニライブを開催することを決定し、

島村さんにそのミニライブの開催を報告をした。

最近は養成場で基礎レッスンをしており、

本来出るはずだったお仕事は他の方に代役として出ています。

しばらく表には出ていなかった彼女にライブの出演を伝えたのだが....

 

(やはり他の部署でも同じお仕事をしている)

 

他の部署もクリスマスシーズンと言うことで、

足を止めることはなく仕事を進めている。

世間では光のイルミネーションが飾り、華やかなムードになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが世間では"明るい話題"だけではなく、その反対の"暗い話題"が同時に上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(最近では徐々に“喰種"が身近にも知られている....)

 

もうそろそろクリスマスシーズンと言う所だが、

日が過ぎて行くたびに11区の喰種集団に関する話が耳にするようになった。

11区の民間人の被害は他の区より倍に上がっており、

メディアだけでは伝えきれないほど深刻になっている。

 

(.......ん?)

 

そんなことを思っていた私は玄関に入り、ふとある人物が目に映った。

 

(あれは亜門さん...?)

 

私の目に映ったのは亜門さんだった。

亜門さんは今、誰かと話していた。

本来なら亜門さんが訪れることはないはずだ。

なぜなら彼は20区を担当している。

ここ13区に来るのは、そもそもないはずだが....

 

(一体何.....え?)

 

私がなぜ亜門さんがここ346プロに訪れているのか考えていると、

その亜門さんと話している人物に目にし、驚いてしまった。

 

(あれは....美城常務っ!!)

 

何度か美城常務と意見が衝突をしており、

正直この場で話すのは避けたくなる。

少し時間が経つと亜門さんは美城常務との会話が終わり、事務所から去って行った。

その瞬間、私は美城常務と目が合ってしまい、

 

「ああ、君か」

 

美城常務は私に声を掛けた。

 

「お、お疲れ様です、常務」

 

「先ほど君に似ている喰種捜査官が私の元に来てな。11区の状況と今後の対策を報告してくれた」

 

「報告ですか...?」

 

「あとで皆の前で伝えるが.....先に君に伝えても悪くないな」

 

美城常務はそう言うと、"ある書類"を私に渡した。

 

「先ほどCCGの捜査官が渡した今後の対策について書かれた書類だ」

 

私はその書類に目を通した。

その内容は主に13区に関する喰種の状況で、

CCG側の被害と喰種の駆除数、喰種に関する事件内容が書かれていた。

明らかに一般に知られてはならない情報が書かれており、

関係者に渡されるような書類だ。

 

「お互いアイドルの方針は違うことはわかっている。だが喰種に対しては同じく一致してるはずだ」

 

確かに美城常務が入って以来、社内の改革の一つに喰種対策を挙げた。

これは346プロダクションが喰種対策を始めて以来、初めての改革であった。

多くの人は経費削減、もしくは廃止を美城常務の口から出るのだと考えていたが、

実際はその正反対の対策強化を口から出したのだ。

 

「社内の皆は喰種対策を軽蔑視をしている。君も肌に感じただろ?」

 

「はい.....多くが廃止、もしくは経費の削減を求める声がありました」

 

「だろうな....皆はある意味"平和ボケ"しているかもな」

 

「........"平和ボケ"」

 

日本は他の国とは違い、治安が良く平和だ。

アメリカのように銃社会ではなく、法はある程度整備されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、喰種に関しては何も変わりがないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

「それで本日の夜、11区で大規模の作戦が実行されることが決定した」

 

「11区で...!?」

 

「ああ、本当ならもう少し前に伝えて欲しかったが、おそらく外部に漏れないためだろうな」

 

確かに常務の言う通り、事前に伝えてくれればいいのだが、

仮に漏れてしまえば、喰種は11区から逃げ出すかもしれない。

すると私は美城常務から受け取った書類に、

あることに疑問が浮かんだ。

 

「...あの、質問があります」

 

「なんだ?」

 

「なぜ23区も危険区域に指定を..?」

 

本来は11区付近のみを危険区域にしているべきなのだが、

なぜか遠く離れた23区も危険区域に指定と記述されていた。

 

「CCGは23区の捜査官を多く使い、警備を薄れさせている。私の元に訪れた彼から耳にした」

 

「他の区よりですか?」

 

「そうだ。どうしてかは奴らの上のことは知らないが、仮にその23区にいた捜査官が大半損害が出たらどうなる?」

 

「......23区の警備が薄くなりますね」

 

「ああ。しかも23区に喰種の収容所がある。そこも例外なく警備が今薄い」

 

「えっ?じゃあ、もしそこを攻撃されてしまえば....」

 

「そうだ。もし連中(喰種)がそこを攻撃をすればどうなる?」

 

私の頭に嫌な予感がした。

それはこれから起きるであろう最悪な出来事がが頭に作り上げられていたのだ。

 

「我々はCCGの奴らほど喰種のことは知っているわけないが、その事態を悪化させないための予知する能力を持たなければならない」

 

 

美城常務とは仕事上は意見が違うが、喰種に関しては一致している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決して明るいものだけを見るだけではなく、暗いものを見なければならない

 

 

 

 

 

 

 

 

例えそれが、目を背けたくなるものでも

 

 

 

 

 

 

 

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卯月Side

 

 

ベットの中に入った、私

 

 

 

真っ暗な部屋で今、眠りにつこうとしていた

 

 

 

 

 

でも横になっても、心地よく眠れない

 

 

 

 

 

 

ここ最近感じ始めた

 

 

 

 

 

何か満たされていないから、眠れないかもしれない

 

 

 

 

 

 

そう言えばベッドに入る前に、テレビであることを見たんだ

 

 

 

今11区では喰種を制圧するための大きな作戦をしている

 

 

 

今回は結構大きく、11区は大部分は封鎖されている

 

 

 

 

 

でもそれは私にとって直接関係ない

 

 

 

 

 

私が知っている人はこの大きな作戦に関わっているとは考えにくい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからその11区のことは、私には"関係ない話"に聞こえた

 

 

 

 

そう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時の私はね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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