東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

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孤独




それはみんな自分とは違うと気づいた時から始まった。







Adversary

金木Side

 

 

「ぐはッ!!!」

 

彼に攻撃した僕。

肉を得た僕は最初よりもはるかに力を得て、僕は彼を赫子で攻撃をした。

 

彼が持っていた武器が真っ二つに割れ、肩に血が吹き上がった。

 

やっと彼を攻撃を止めることにできた。

 

もう彼は戦えない。

 

 

「.......」

 

 

でも僕は忘れてはならないことが起こってしまった。

 

 

 

「....うっ!」

 

 

 

僕の体中から悲鳴が上がっていた。

自分の意志でもないのに体が勝手に動く。

それは心の中で潜んでいた"欲"が表に現れ始めた。

"欲"が欲していたものはただ一つ、"人間の肉"だ。

僕は勝手に動く体を必死に動きを止めるが、心は耐えきれない。

 

 

 

理性よりも力強い欲が僕の心に大きく蝕み始めてたんだ。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

亜門Side

 

 

「.....っ!!」

 

俺は必死に肩にできた傷を手で抑えていた。

それは喰種によって噛み付かれて、肉を引きちぎられてできた傷だ。

必死に痛みに耐え、なんとか正気を保った。

 

(....どうすれば)

 

俺には戦う術はなかった。

喰種を駆逐するためのクインケが壊れてしまい、

俺の体は深い傷を負ってしまった。

 

 

まさに飢えた獅子に俺は攻撃をしてしまった。

 

 

(...すまん..."張間")

 

張間 それはかつての俺の同僚の名だ。

彼女は俺と同じく喰種捜査官を目指していた。

だが、それは叶うことはなかった。

 

 

その理由は、喰種に殺されたからだ。

 

 

俺も同じく彼女の道に辿ってしまうと、覚悟をしていた。

 

 

 

 

しかし、俺に疑いたくなるようなことが起きたのだ。

 

 

 

 

「逃げてください....」

 

俺に攻撃をした喰種が震えた声で言った疑いたくなる言葉。

俺はその喰種の言葉に驚き、怒りが現れた。

まるでなぜこの場に身動きできない獲物を逃すような発言をしたのだ。

 

「ふざけるな!!!"喰種”()を前に背を向けるなど....!」

 

「行けッッ!!」

 

「!」

 

俺は喰種の叫び声に近い言葉が止まった。

これはふざけた行動ではない、俺が今まで信じていた世界が変わっていった。

 

「頼むから....」

 

 

 

 

 

 

『僕を人殺しにしないでくれ...』

 

 

 

 

 

 

その喰種は、泣いていた。

 

マスク越しから伝わる彼の気持ち。

 

それは雨の雫ではく、本物の涙であることに気づいた。

 

 

俺が駆逐しようとしたにも関わらず、彼は俺を殺そうとしなかった。

 

今までは欲望のまま殺しにくるはずだった喰種が、なぜこんな深い傷を負った俺を殺さなかった。

 

攻撃でやられた重い体を引きづりながら、俺は喰種から離れた。

 

 

 

 

「.........」

 

 

 

 

こんなの初めてだ

 

 

 

 

人間(ヒト)が憎むべき"喰種"に命を助けられるなんて

 

 

 

 

 

俺はあの喰種に考えさせられたんだ。

 

 

 

 

 

 

喰種という生き物は何かと

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

プロデューサーSIde

 

 

(.....次が決まる)

 

先ほど美城常務から私に伝えた言葉。

今回の秋の定例ライブは成功したと認識してくださった。

しかし、まだシンデレラプロジェクトが存続したとは喜ぶのはまだ早い。

冬の舞台が最終結果になる。

 

 

 

今回が良くても次がダメなら、来年も続けられるとは限らない。

 

 

 

そう考えるとほっとしてられない。

 

 

 

「あ、プロデューサーさん」

 

すると私に声をかける人物がいました。

振り向くと一人の男性いました。

 

「今回喰種対策局から会場の警備をしました"滝澤 政道"ですっ!」

 

彼はビシッと私に敬礼をし言いました。

白いコートをきた人物。

喰種対策局から来てもらった"喰種捜査官"だ。

他に捜査官はいますが、おそらく代表者として伝えに来たと思います。

 

「お、お疲れ様です」

 

「今回は会場内に喰種らしき人物はいませんでしたっ!」

 

「そうですか。ありがとうございました」

 

少し緊張気味の様子で私に今回のライブの警備を伝えました。

おそらくはまだ入ったばかりの新人捜査官だと思います。

 

「では、失礼します」

 

「お疲れ様でした」

 

私はこの場から去っていく彼に一礼をしました。

今回ライブ中でも会場内の喰種への警備や、入場口のRcゲートをなどの喰種対策に乗り出してくださった彼らへの感謝でした。

会場裏ではトラブルはありましたが、喰種のトラブルがなくてよかった。

 

 

 

 

しかし、その時の私はほっとしてしまった。

 

 

 

 

 

ライブが行われている時、この東京内にて"事件"が起きていたとは、

 

夜が明けたとき知るとは、今の私は考えもしなかった。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

未央Side

 

 

「は〜終わった終わった!」

 

「終わったね」

 

ライブが無事に終わり、私としぶりんは一息をついていた。

長椅子で座っていた私たちは、今回のライブについて語っていた。

今日のライブはあたしたちにとって"最高の日"だった。

それはただいいことがあったからじゃない。

悪いことも起こって、それを乗り越えられたことも最高だった。

 

「未央」

 

「ん?」

 

「あの時ありがとう」

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

それはライブをやっていた時だ。

通常通りにライブが行われるはずだった。

しかし急に文香さんが体調を崩し、トラブルが発生したのだ。

なんとかライブにスケジュールに支障しないよう、

しぶりんたちが文香さんたちより先にステージに立つことになった時、

しぶりんもそうだし、加蓮もかみやん(奈緒)は不安そうな顔だった。

そんな時、私としまむーは緊張を和らげようとコツを教えた。

ステージに出る時に好きな食べ物を掛け声にすると言うこと。

 

「おやおや、何してるんかなー?」

 

すると私としぶりんの間に誰かが座っていた。

 

「え!?しきにゃん!?」

 

「いつの間に!?」

 

「ちょっと楽しそうだから来ちゃった♫」

 

そこにいたのはしきにゃんだった。

急にいたせいか私としぶりんは驚いた。

 

「どうやってそこに来たの!?」

 

「さぁ、どうでしょ〜?」

 

しきにゃんは確か美嘉姉と一緒に文香さんの元に行ってた。

今回しぶりんたちが先にステージに立った理由は文香さんが倒れたからだ。

理由はよくわかんらないけど、緊張で気分が悪くなったかららしい。

 

「いや〜雨が止んでいてよかったよ」

 

「雨が降ってた?」

 

「うん。確か文香ちゃんが倒れてた時にちょうど降ってたよ」

 

それ言えばライブの時に誰かから耳にした。

雨が振り始めたのはトラブルが発生した時で、

雨は上がった時はトライアドプリムスが終わった時に聞いた。

なんだか会場の状況が天気と同じくなるなんて不思議に思った。

 

「これで傘をささずに済む!」

 

「確かに傘を買わずに済むし!」

 

天気予報では雨が降るとは聞いてなかったから、

もし降っていたらコンビニで買うハメだった。

そんなしきにゃんとしぶりんと話をしていると、

私たちはあることに気がついた。

 

「あれ?卯月は?」

 

しぶりんは卯月が来ないことに私たちに言ったのだ。

同じくニュージェネのプチ打ち上げをあげようとしまむーに伝えていたのだけど....

 

(....あれ?)

 

その同時に私はあることに気がついた。

 

「あれ?志希が消えた!」

 

「え!?」

 

ちょうど同じくこの場から消えていた。

私としぶりんの真ん中にさっきまで座っていたはずのしきにゃんが消えたのだ。

どこに見渡してもしきにゃんの姿が見当たらなかった。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

志希Side

 

 

「ふっふふ〜ん♪」

 

あたしは一人、満足した気分で歩いていた。

何ってそりゃあ今回のライブが無事に終わってよかったから。

他の子もライブが無事に終わってくれてよかったけど、

文香ちゃんと美嘉ちゃんが特に成功できてよかった。

 

(まぁ、美嘉ちゃんと文香ちゃんはそれぞれ時間かかりそうだし)

 

美嘉ちゃんと文香ちゃんはそれぞれ、他の子と打ち上げみたいのをやるらしいので、

あたしはとりあえず卯月ちゃんと同じくユニットの凛ちゃんと未央ちゃんに訪ねた。

それで凛ちゃんが『卯月は?』と言ったため、今私は卯月ちゃんを捜索中だ。

 

(ちょっと、探索したくなったのだ〜♫)

 

と言ってもいつもの失踪とは変わらない。

あたしは会場内に卯月ちゃんを探しつつ、探検していた。

時間など気にせずに歩いていると....

 

(あ、見つけたっ!)

 

あたしの目に卯月ちゃんの姿が映った。

なぜか卯月ちゃんは一人、みんなから離れていた。

一人何か見つめているように見えた。

一言で言うと、"寂しい"っと言うことかな?

 

(....チャンスっ!)

 

とりあえず卯月ちゃんを驚かすことにした。

もちろん理由は脅かしたいから。

そっと私は卯月ちゃんの背中に位置に着き.....

 

「卯月ちゃ〜ん♪」

 

「っ!!」

 

両肩にぽんっと手を置くと、

卯月ちゃんは声にならない驚きをした。

 

「どうしたのー?」

 

「え、えっと....」

 

驚いたせいか、なんて言えばいいか迷っている様子だった。

 

 

 

 

 

他の見方だと、"何か"隠しているっと言えばいいかな?

 

 

 

 

(...いいこと思いついちゃった♪)

 

その隠していることを突き出して気分を悪くさせるより、はるかにいいことが頭に浮かんだ。

 

「カネケンさんと話してみる?」

 

「え!?」

 

何って卯月ちゃんはカネケンさんと同じいい匂いがするからねぇ。

 

「ちょっとスマホ貸して」

 

「え?」

 

私は卯月ちゃんのズボンのポケットにあったスマホを取り出し、

すぐにロックを解除をした。

パスワードは六桁だけど、あたしは覚えていた。

 

「ど、どうして私のスマホのパスワードを!?」

 

「どうしてでしょう〜♫」

 

卯月ちゃんとカネケンさんのバイト先の喫茶店でアネモネと言う花の意味をスマホで調べる時に、

入力したパスワードを覚えた。

もちろん悪用するつもりはないけど。

 

「元気がないなら...電話しちゃえ♪」

 

あたしは『えいっ♪』と金木さんに電話をかけました。

 

「え、え、か、金木さんに!?」

 

卯月ちゃんの顔は驚きと混乱が混じった顔つきだった。

 

「じゃあ、電話よろしく〜♫」

 

「え、えっ!?」

 

あたしは卯月ちゃんのスマホを返した。

でも卯月ちゃんは電話を切らず、ちゃんと受け止め電話に出た。

そういうところがあたしが卯月ちゃんが好きなところだね。

 

 

 

 

今の時間帯ならカネケンさんはバイトは終わっているはず。

 

 

電話は出てくれるかも

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

金木Side

 

 

「助けて....助けて....」

 

雨が上がった川沿い。

彼が離れた後の僕は、自らの欲望と戦っていた。

 

「...肉っ....肉っ!」

 

赫子が出たせいか心の中に潜んでいた欲望が僕の理性を揺らめき、

ますます人の肉への欲求が増すばかりであった。

 

「違う....っ!僕は食べたいんじゃ......」

 

正気に戻ったり欲に戻ったりと、僕の体はとても不安定だった。

 

 

 

その時であった。

 

 

「.....?」

 

ふと突然、電話の着信音が僕の耳に入った。

よく聞くとその着信音は僕の携帯の音であった。

 

「....だ....れ?」

 

雨で濡れた地面に這いずりながら、僕は自分のカバンに向かった。

鉛のように重い体を、僕は必死に前へと進む。

自分のカバンがある場所に着くと、

重く、痛みがある手でカバンを漁るように携帯を取り出した。

 

「....!!」

 

僕はその電話をかけてきた人物に驚いてしまった。

 

「....う....づ...き...ちゃん..?」

 

その着信をした人は、卯月ちゃんからであった。

どうしてこのタイミングでかけてきたのかわからなかった。

 

でも電話に出てはダメだ。

 

今の僕は瀕死状態だ。

 

今出てしまえば、彼女に心配をかけてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、彼女をここに呼び出しておけば...........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は"肉"を得ることが....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......」

 

ふと気がつくと、後ろに気配を感じた。

それは人のような気配。

気配を知った僕は、体に張り付いていた苦しみが一瞬欲求に変化した。

 

 

 

 

『...誰...か...し.....ら.....』

 

 

 

マスクを外し

 

 

 

 

『フフ.....まァ...誰でもいいか.....』

 

 

 

 

その人は(あたし)に何も答えず

 

 

 

 

『ねぇ』

 

 

 

 

まっすぐとその人に向かい

 

 

 

 

(あたし)......』

 

 

 

 

赫子を出し

 

 

 

 

『すごくお腹がすいているのーーーー』

 

 

 

 

 

 

僕はその人の体を赫子で貫いたんだ。

 

 

 

 

「芳村さんがお前にお前に目をかける理由が、わかった気がする...」

 

 

 

『"楓と同じ奴ら"との交流を止めない理由も』

 

 

聞いたことのある声。

僕は徐々に我に返り、自分がやってしまった過ちに気づいていく。

突き出した赫子から血が流れていた。

 

「よ....四方さん...?」

 

だんだんと震えと、犯してしまったことへの怖さが心の底から感じる。

僕は攻撃をしたのだ。

欲に飲まれ、攻撃をしてしまった。

 

「喰え、楽になるぞ」

 

そう四方さんが言うと僕の赫子が消えた。

四方さんは赫子で穴ができていたにも関わらず、

何もびくとはせず立っていた。

僕は手渡された肉が入っている包みを開き、

僕はそれを口の中に入れた。

 

 

 

僕は改めて実感をした。

 

 

それは人の僕ではなく、喰種の僕がやってしまった過ち。

 

 

欲望に負けて、"人の友達"を殺してしまう恐怖を頭に想像してしまった。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

董香Side

 

 

「.......」

 

薄暗い橋の下。

そこに私とヒナミはいた。

さっきまで捜査官(ハト)と戦い、

その捜査官(ハト)を殺した。

私は傷を抑え、奴の死体に近づいた。

 

 

 

「....やったんだ...」

 

 

 

私はまた殺したんだ。

 

捜査官(ハト)

 

 

 

 

「....ど...けよ」

 

私はそいつに気に入らなかった。

そいつは手袋をしていた。

喰種(私たち)を素手で触るのを嫌がっているように見え、

 

手袋なんか(こんなもん)しやがって....」

 

私はそいつの左の手袋を掴み

 

「私らに触るのも嫌かよッ!!」

 

思いっきり引っ張り、投げ捨てた。

こいつによって殺されたリョーコさんの恨みが晴らように気分は落ちついた感じだった。

 

 

 

 

 

これで終わりと思っていた、私。

 

 

 

 

 

 

 

 

違った。

 

 

 

 

 

 

 

「......っ!」

 

しかし、それで済まされるとは違った。

私はあるものを見てしまったのだ。

それを見た瞬間、私の胸にあった復讐が恐怖へと変わった。

計り知れないほどの、恐ろしいものに感じたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奴の左手には、"指輪"があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「トーカちゃん!!」

 

 

カネキとヨモさんが私たちの元に来た。

 

それはちょうどいいタイミングで来たんだ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

卯月Side

 

 

(.....あれ?)

 

志希さんに私の携帯を開かれ、金木さんに電話を繋げさせられ、

私が電話に出ましたが......

 

「ん?電話にでなかった?」

 

「...はい」

 

電話をかけたのだけど、金木さんは電話には出ませんでした。

 

(...なぜ出なかったんだろう...?)

 

確かこの時間ならお家にいてもおかしくはないのですが....

 

「多分なんか電話の電波が乱れちゃったりして?」

 

「....そうかもしれませんね」

 

「まぁ、そういうときもあるよ。あとカネケンさんとお話しできなくて残念?」

 

「そ、そんなことありません!」

 

志希さんは私の答えに、にゃははっといつもの笑いをしました。

心の片隅では少しだけ話したかったのは事実でした。

でもその時の私は自然と、笑えなくなっていると知らずに話していました。

心から嬉しくなれないような、すぐに消えてしまう笑い。

 

 

 

 

 

なんだろ....

 

 

 

 

 

 

私......

 

 

 

 

 

 

どうすればいいんだろう.....?

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

亜門Side

 

 

真戸さんに指定された橋の下。

 

 

俺はそこにやって来た時、もう遅かった。

 

 

俺の目に映ったのは、血を流しうつ伏せに倒れた真戸さん。

 

 

それを見た時、言葉が浮かばなかった。

 

 

俺は無情な顔で倒れている真戸さんの元に冷たい川を気にせず足を運んだ。

 

 

彼の体を起こさせるも、息はしていなかった。

 

 

半目で口に血を流し、首には喰種によって切られた傷が深く残っていた。

 

 

俺は真戸さんの目を手で閉じさせた。

 

 

安らかに眠らせるようにと。

 

 

「.............っ」

 

 

俺は真戸さんの死に受け入れられなかった。

いくら心にそう伝えても、自然と目に涙が流れ始め、

しゃくり上げ始めた。

 

 

 

 

 

 

「アアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

俺は泣き叫んだ。

 

 

悲しみと悔やみがこもった声で泣き叫んだ。

 

 

 

死した最初に私とパートナーとして組んでくださった方。

 

 

 

これが彼の死。

 

 

 

 

俺は止められなかった。

 

 

 

 

 

彼を助けられなかった。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

金木Side

 

 

他の捜査官が来る情報が四方さんから聞いたため、

僕たちはトーカちゃんとヒナミちゃんがいたあの橋下から離れた。

 

「....」

 

僕はあるものに目を向けていた。

先ほど着信を眺めていた。

 

「....あんまり"あいつら"とは話すな」

 

「....わかってます」

 

四方さんから僕に伝えた。

人間である卯月ちゃんたちとあまり話すなと。

僕は人でもあり、喰種でもあるんだ。

四方さんからもらった"肉"を口にして思った。

卯月ちゃんたちとは住んでいる世界は違う。

あの華やかな世界と僕たちがいる血が滲む世界。

その違いを再び気づかせてくれた。

 

でも僕は四方さんに心から感謝している。

あの時、理性を失った状態で電話をかけようとしていた僕を止めたからだ。

もし卯月ちゃんに電話に出てしまえば、最悪な状況になっていたかもしれない。

 

 

 

(....あの人の言葉が頭に残っている)

 

 

彼が言ったことが、僕の頭に残ってた。

 

 

まるでループしているように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この世界は間違っている』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはこれからの僕にとって重要な言葉になっていくんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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