東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

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新聞


それは"真実"と"嘘"を告げる紙



時には真実を伝え、また時には嘘を伝える






















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金木Side

 

 

あの悲しみにくれた夜が明けて、

僕は何事がなかったのように過ごした。

ただあの出来事を考えては何も良いことはない。

だから僕は心の奥底にしまった。

また増えてしまうのだけど

 

「カネキ 、コーヒーブラック2個頼む」

 

「わかった」

 

僕は午後の始めからあんていくにて働いていた。

その注文したのはおそらく喰種。

だいたいブラックコーヒーを頼むのは喰種であり、

人間は約2割ほどである。

 

(....)

 

ふとあの出来事が頭に現れる。

奥底にしまったはずのあの思いが頭に浮かぶが、

誰かに口にするにはやらない。

それは彼女を壊しかねない物であった。

 

「どうぞ、コーヒー2つ」

 

僕は気がつくと、驚いてしまった。

おかしく感じると思うかもしれないが、

僕は何も考えず無意識にコーヒーを作り、トーカちゃんにそう言葉を伝えたのだ。

決して考えながら行動をしておらず、ただあの出来事しか考えていなかった。

 

「カネキ、カネキ 」

 

「ん?」

 

「聞いてるのか?」

 

気がつくとお客さんがいたはずの店内は、

誰もおらず僕とトーカちゃんだけであった。

コーヒー2つを受け取り、飲んで帰って行ったお客さんを見送る姿を見れなかった。

 

「ああ...ごめん...どうしたの?」

 

「今日なんかぼーとしてない?」

 

「..ああ、そうだね..」

 

トーカちゃんは僕の様子に気づいたらしく、

少し気にしていた。

さすがに僕はその理由を伝えるわけにはいかない。

 

「卯月は来るのか?」

 

「今日は来ないよ...」

 

今日は卯月ちゃんはあんていくには来ない。

それはメールが来なかったではなく、

今日行われる"イベント"であった。

 

「来ない?....ああ、“ライブ”ね」

 

トーカちゃんも卯月ちゃんがライブにいることに気が付いた。

その気が付いた理由は彼女は"喰種"だからだ。

それは喰種の中である噂が上がっていたのだ。

今回の346プロダクションで喰種捜査官の配置とRc検査ゲートの設置だ。

それは表では"警備強化"と出しているのだが、

喰種の中では”喰種廃滅”と掲げているようにしか見えないと言う声があった。

そのせいで今まで346プロダクションのアイドルライブにひっそりと足を運んでいた喰種は、

行くことを断念せざえるしかなかった。

もちろんその一人に僕がいる。

 

「カネキは行かないのか?」

 

「行かないよ....まだ生きていたいし」

 

今回のライブは卯月ちゃんと未央ちゃんは舞台に立たない。

なぜなら凛ちゃんが別ユニットとして参加するからだ。

そのユニットの名前は彼女の口から出た"プロジェクトクローネ"だ。

その中の奈緒ちゃんと加蓮ちゃんと一緒に組む"トライアドプリムス"が今回のライブで舞台に出る。

 

 

 

凛ちゃんがステージに立つのは、今日の"夜ごろ"に開始だ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

卯月Side

 

 

今日行われるライブに足を踏み入れた、私。

舞台裏での準備が行われ、

 

(今日はライブですか...)

 

なんだか時の流れが早く感じました。

前回のニュージェネレーションズのライブからあっというまに時が来てしまいました。

今回は“ニュージェネレーションズ”は出ません。

凛ちゃんが"トライアドプリムス"に参加することで私と未央ちゃんは今回のライブは立つことはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"新しいこと"、か

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほーしまむ!」

 

「...え!?」

 

考え事をしていた私に、

急に未央ちゃんが私の背中に抱きつきました。

 

「一人で何してるの?」

 

「い、いや..なんでもありません」

 

 

本当は考えてました。

もしニュージェネレーションズがこのライブに立っていたならばと

そんなことを凛ちゃんや未央ちゃんが聞いてしまえば、

間違いなく未央ちゃんの顔は変わってしまいます。

未央ちゃんは抱きつくことをやめ、

あることを伝えました。

 

「そういえばしまむー聞いた?」

 

「なんのことですか?」

 

「金木さんは今回のライブに来ないことを」

 

「え?金木さんは今回も来ないですか?」

 

「うん、体調が悪いと言ってたよ」

 

未央ちゃんの言葉を耳にした私は驚きと心配が胸の中に現れました。

金木さんは前回のニュージェネレーションのライブには来ていません。

それの日に事故が会ったからです。

事故が起きた以降、金木さんは一人になることが多くなったと思います。

それは私たちの活躍が多くなかったからです。

金木さんの言葉から『最近卯月ちゃんぐらいしか来てないよ』とどこか寂しそうに言っていました。

 

「少し残念だけど、仕方ないかな?」

 

「そうですよね...もしかすると事故の影響が...」

 

"あの事故"の影響がまだあるかもしれません。

それは体に刻まれた傷よりも深い心の傷。

 

 

 

 

 

その時でした。

 

 

 

 

 

「あ!卯月ちゃんを見つけた!」

 

「ん?」

 

誰かが私の名前を呼んだ声を耳した私は、その声のした方向に振り向いた瞬間、

 

「うぐぅ!?」

 

誰かが強い力で私に突込み、私に抱きつきました。

 

「いや〜ここでも同じく会えるとはね〜♪」

 

「だ、誰なのしまむー!?」

 

未央ちゃんは一体何が起きたのかわからずに驚きました。

その抱きついて来た人をよく見たら、くせ毛のあるロングヘアーに聞いてことのある声に思い当たる人物が浮かびました。

 

「おっと紹介し忘れてた〜」

 

その人は抱きつくのをやめ、未央ちゃんの方向に体を向けました。

 

「あたしの名前は一ノ瀬志希。 別の部署だけどアイドルやってま〜す♪」

 

その人はピースをし、にゃははっと笑いました。

その方は志希さんでした。

 

「し、志希..?」

 

「うんっ。志希ちゃんかしきにゃんっと呼んでね?」

 

「志希さん痛かったですよ...」

 

前回と同く受けた突っ込むような抱きつきが痛く感じました。

 

「あ、いや〜ごめんよ〜卯月ちゃん♪」

 

志希さんはそう言うと再び、私に抱きつきました。

先ほどの抱きつきより優しいものでした。

 

「カネケンさんはいなくても、あたしがいるよ〜♫」

 

「撫でられるのはちょっと...」

 

志希さんはさらに私の頭をよしよしっと撫でました。

別に悪くはないのですが....

 

「カネケンさん..?もしかして金木さんと知り合ってるのですか!?」

 

「うんっ♪もちろん大切なお友達だよ?」

 

「本当ですか!?金木さんとお友達なんだー!」

 

すると未央ちゃんは"カネケンさん"という言葉に金木さんではないかと気づき、志希さんに聞きました。

そして二人はお互い金木さんを知り合っていることを知ると、緊張感をなくし会話が弾みました。

 

 

そういえば今日の夕方ごろは"雨が降る"と言うのをニュースで耳にしたました。

 

 

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董香Side

 

 

(と言うか...卯月のことうるせえなぁ...)

 

今日の金木は少しおかしい。

それは二つ挙げられる。

一つは何かボーとしていること。

なんども名前を呼んでも聞こえない時があり、私は少しイラついた。

二つ目は金木は”卯月たち“のことに気にしすぎだと思う。

今日の会話はそれがメインといってもいいぐらい喋ってた。

なにせ今日はライブをするのだから。

 

(卯月ちゃんがどうのこうのとか、凛ちゃんが別ユニットとかうるせぇ..)

 

その話を聞くたび、思わずカネキに蹴りや殴りで攻撃した。

 

(さっさと帰りたい...)

 

店内は少し薄暗い雲で暗かった。

これから雨が降ると耳にしたかったから濡れる前に帰りたい。

 

(とっとと掃除終わらせよう...)

 

私は布巾を手に取り、机やカウンターなどを拭いた。

その時、カネキがあることを口にした。

 

「今日はヒナミちゃん静かだね」

 

「ヒナミ?」

 

確かに仕事していた時は二階から物音がしなかった。

別に忙しくて聞く暇はなかったとかではなく、

お客さんがいない時でも聞こえなかった。

 

「見てきて」

 

「わかったよ」

 

私が言うとカネキは二回に上がって行った。

ヒナミは最近カネキから借りている本を読んでいるおかげで、夜中でも部屋のあかりは消えることはない。

でも親をなくしたヒナミにとっていいかもしれない。

それともう一つ、本以外にヒナミが気になっていることがあった。

 

 

 

『私、卯月ちゃんに会って見たい!』

 

 

 

それは金木の友達の”卯月“だ。

ある時に耳にした言葉。

私はその時なんて返せばいいのかわからなくて、

適当に流してしまった。

その理由はヒナミにもう一回心に傷を与えてしまうかもしれないから。

人間と関わってしまったなら覚悟をしないといけない。

 

 

 

もし知り合えば、偽らなければならない。

 

 

 

私はその”一人“だから

 

 

 

「トーカちゃん!」

 

するとカネキが何か慌てた様子で帰ってきた。

 

「どうしたの?」

 

「ヒナミちゃんがいないよ」

 

「....え?」

 

疑ってしまう言葉。

私は持っていた布巾を机に置き、すぐにヒナミがいるはずの部屋に駆けつけた。

 

(....!)

 

ヒナミがずっといるはずの部屋に来た、私。

雨雲で暗い部屋の中に、ヒナミの姿がなかった。

 

「ヒナミがいない...?」

 

部屋の窓が開いていて、カーテンが風にゆらゆらと揺れていた。

 

「カネキ....違う部屋も見て」

 

「わかった」

 

 

信じたくないこと

 

 

 

 

まさか...外に行ってしまった?

 

 

 

 

 

 

 


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