東京喰種 CINDERELLA GIRLS [完結]   作:瀬本製作所 小説部

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異変


それは私たちに突然起きました。

まるでシンデレラが再び元の"輝きない生活"に戻るかのように





Hatch

卯月side

 

 

学校が終わった午後4時

 

私はお仕事をするため、346プロに向かってました。

 

(これからどうしましょうか...)

 

私が所属しているシンデレラプロジェクトの事務所が資材室に変わり、

シンデレラプロジェクトが終わってしまうではないかと言う危機がありました。

でも、プロデューサーさんの努力によって、なんとか存続できる企画を出しました。

それの企画はシンデレラ舞踏会と言うものです。

でもそれはシンデレラ舞踏会と言うものを成功すれば存続できる話で、

 

 

もし成功しなければ.....

 

 

 

 

「あ!見つけた!」

 

 

 

 

すると後ろから何か近づいてくるような気配を感じました。

 

「ん?」

 

私はその声をした方に振り向いた瞬間、

 

「うぐっ!?」

 

思いっきり抱きしめられてしまいました。

まるで強い力が突っ込んできたように

 

「へ〜キミが"卯月ちゃん"なんだね〜♪」

 

「な、なんですか!?」

 

その人は私に離れようとはせず、

匂いをすごく嗅いてきます。

私はより近づこうするその人を離そうと必死に抵抗しますが、

その人の力が強いせいか中々離れません。

 

「ん〜卯月ちゃん、匂いいいね〜♪」

 

「や、やめてください!!」

 

私はそう言うと、「仕方ないな〜」とその方は離れました。

 

「あ、あなたは....誰ですか..?」

 

私は先ほど抱きしめられた時にやった抵抗のせいか、とても疲れました。

その方の容姿は私と同じ女子高生で、同じロングヘアーの方でした。

 

「おっと、自己紹介するのを忘れてたね〜♪」

 

その人は何気なくにゃははと笑い、

 

「あたしの名前は"一ノ瀬志希"。志希ちゃんと呼んでね♪」

 

「は、はぁ...」

 

私が少しため息に似た答え方をすると、

 

「あ、それと!同じ"346プロに所属しているアイドル"だから、安心してね♪」

 

そう言うと志希さんはウィンクしました。

私は志希さんのテンションになんだか怖さと言うか、

悪い感情は妙に生まれませんでした。

 

「そ、それで...どうして私に声をかけたのでしょうか?」

 

そう言うと志希さんは「ん?」と言い、

「あ、そうだ!」と思い出した手を叩く仕草をしました。

 

「卯月ちゃんって"カネケンさん"と知り合っているんだよね?」

 

「カネケンさん..?」

 

聞き慣れない名前に私は疑問を持ちました。

その"カネケンさん"は一体誰かと聞こうとしたその時、

 

「あ、カネケンさんは"金木研"のことね」

 

「...え!?金木さんを知っているのですか!?」

 

私はそれを聞いて驚きました。

 

「もちろんだよ〜♪同じ20区に住んでるし」

 

志希さん私の答えに満足そうな笑いを答えました。

確かに金木さんは20区に住んでます。

 

「そういえば、"カネケンさん"と連絡してる?」

 

「い、いえ...最近はお仕事で忙しいので..」

 

「ああ、そうなんだ」

 

志希さんは私の答えに顔が変わりました。

先ほど笑っていた顔が消え、

まるで私の答えにどこか不満があるかのような顔でした。

 

 

そして 志希さんの口からとんでもないことを耳にしました。

 

 

 

 

 

『カネケンさんは、"事故"に巻き込まれたよ』

 

 

 

 

「...え?」

 

私はそれを聞いて、一瞬頭が真っ白になってしまいました。

あまりにも衝撃的な事実でした。

 

「ど、どうしてわかるのですか..?」

 

「あれだよ、最近あった"臓器移植事件"だよ」

 

「...え?あのニュースですか?」

 

そういえば私もなんとなく耳をしてました。

朝のトップニュースになるまでの事件だとわかりましたが、

その事故の被害者は名前が出されてなかったのでわかりませんでした。

 

 

その被害者の一人が"金木さん"だなんて....

 

 

「それって、大変じゃないですか!?」

 

私は志希さんの口に出た言葉に心配が徐々に胸の中に生まれました。

 

「カネケンさんは結構ストレス抱えていると思うよ」

 

 

『だから卯月ちゃんも、時間があったら会ったらいいんじゃない?』

 

 

そう言った志希さんの顔は笑顔が再び現れました。

でもその笑顔はどこか寂しく見えました。

 

 

 

まるで"彼"に似た顔でした

 

 

 

「じゃあ、またね〜♪」

 

志希さんはそう言うと立ち去って行きました。

彼女は満足そうな顔で帰って行きました。

 

「.......」

 

先ほどの志希さんの言葉が頭に残っていて、言葉がでません。

その何気なく聞いてニュースの被害者が身近にいる人だと言うことを

そう思うとなんだかとても怖い。

 

 

 

あの時事故の夜、私が感じた"嫌な予感”

 

 

 

それが"あの事件"の予知なのでしょうか..?

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

金木Side

 

 

 

僕が学校にやってきた午後の4時

  

(...久々だな...大学)

 

僕は久しぶりに大学に訪れた。

長く休んでいたせいか、なんだかとても居心地が悪い。

 

"眼帯”(コレ)...逆に目立ってないよな...?)

 

僕は左目に眼帯をしていた。

理由は片方の目は空腹の時に、赤い目が現れてしまうからだ。

その目は"  ”の特徴でもある赤い目だ。

さすがにそんな姿で人前に出てしまえば不味いので、

僕は眼帯をしている。

 

(そういえば..."気分"がいいな..)

 

今日の僕は久しぶりに元気になっていた。

昨日の夜に”あれ”を食べたことが原因だと思う。

でも僕の腹は満たされてはいなかった。

 

(ヒデもだいぶ心配しただろうな...)

 

僕が休んでいる時、ヒデからのメールが何件も届いていた。

授業の時に取ったノートを写真で送ったものばかりでもあり、

僕がいないことに寂しがるようなことも送ってきた。

 

 

 

「金木さんっ!」

 

 

 

すると後ろから僕の名前を呼ぶ声がした。

その声は初めて聞く声はなく、聞き慣れた声であった。

 

 

 

 

僕はその人を見て、驚いてしまった。

 

 

 

 

 

その人は、"鷺沢文香”(さぎさわふみか)であった。

 

 

 

 

 

それを見た僕は、ふと胸に"あること"を感じた。

 

 

 

 

僕にはまだ"居場所"がある、と

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

文香Side

 

 

私が金木さんに出会った午後4時30分

授業が終わり346プロに向かおうとした時、金木さんの姿を見つけました。

その後私たちはベンチに座り、

 

「だ、大丈夫でしょうか..?」

 

私はすぐに声をかけました。

とても心配していました。

 

 

とても、とても

 

 

心の底から私は心配してました。

 

「な、なんとか...大学にいけるぐらいになりました..」

 

金木さんは少し寂しそうな笑いをし、そう答えました。

私はその彼の姿に嬉しさと、どこか悲しさに似た感情を抱きました。

心の底から嬉しく感じたのですが、

彼の姿を見ると悲しさと言うものがなぜか胸に生まれます。

 

「そうですか...安心しました」

 

そう伝えた私は胸の中にある感情を隠すように、

少し笑顔で返しました。

それから私は金木さんに会えなかった時に話したかったことをお話しました。

オススメな本、レッスンのこと、最近アイドルのお友達ができたこと、

そして私の世界が広くなったことをお話ししました。

 

金木さんは私のお話を聞いてくれました。

よかったですやそうなんですか、いいですねなど言ってくれました。

でも私は彼の行動に何か感じました。

 

 

 

 

"何か"変だと

 

 

 

「ところで...金木さん?」

 

「はい?」

 

「顔色が悪いですが..?どこか調子が悪いでしょうか?」

 

「...えっ?」

 

金木さんは私の質問になぜか驚いた顔になりました。

 

「い、いや...別に大丈夫ですよ」

 

金木さんはそう言い、"自分の顎をこするように触りました"。

 

「そ、そうですか...すみません...」

 

私は金木さんの行動に少し不愉快に感じながら、そう答えました。

金木さんは何か隠しているように見えます。

 

「とてもお顔が悪そうでしたから...」

 

「そ、そうですか...」

 

金木さんの顔はなんだ以前より違って見えました。

"何かに怯えている"ように見えました。

 

「それじゃ...僕、行きます」

 

金木さんはそう言うと、私の元から離れて行きました。

その彼の背中はなぜか寂しく見えました。

何か抱えているように

 

(.......)

 

私は金木さんと会話して思いました。

胸の中には会話して楽しいと言う感情だけではなく、

 

 

 

 

彼の"恐れ”を感じました

 

 

 

 

 

それは触れてはいけないもののように怖く感じました。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

弱い

 

 

弱い

 

 

僕が"バケモノ"に勝てるわけない

 

 

一度も人を殴ったことのない僕が、

 

 

戦えるわけない

 

 

 

圧倒的な力で僕はそのまま倒れてしまった

 

あまりにも攻撃を受けたせいか、

 

視界がとても歪んでいるようであった。

 

まるでここは世界の闇みたいに感じる。

 

 

 

 

 

その"バケモノ"は僕の友達を殺そうとした。

 

 

 

 

 

 

僕は友達の死を見届けるのか?

 

 

 

 

いや

 

 

 

そんなの嫌だ

 

 

 

嫌だ

 

 

 

嫌だ

 

 

 

 

 

今まで僕を支えてくれた友達がいなくなるなんて

 

 

 

 

 

 

 

そんなの

 

 

 

 

 

 

 

 

"ゆるせない"

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

私はある夢を見ました。

 

 

 

その時の私は白いドレスを来ていて、

 

綺麗なシンデレラになっていました。

 

 

 

私がいたのは綺麗なお花畑の中心でした。

 

色鮮やかな花がたくさん足元にありました。

 

 

私は周りは見渡していると、

 

 

 

奥から"とある王子様"がやってきました。

 

 

 

その”人”は髪が白くて、黒い眼帯をしてました。

私はその"人"を見た時、少し惚れたような感情を抱きました。

なぜかは知りませんが、そう言う感じようを抱きました。

 

「あなたは誰でしょうか?」

 

「.......」

 

彼は私の答えに答えませんでした

彼の顔を見ると、どこか寂しそうに私を見ていたように見えました。

私は他の質問をしようとした時、

彼はこう言いました。

 

 

 

『僕は、君を一人にしないよ』

 

 

 

その声は強くて、哀しそうな声でした

彼がそう言った瞬間、

周りが一瞬にして白く輝きました。

 

 

 

 

 

 

 

「........ん」

 

 

目が覚めた時、外が明るくなっていました。

窓を開くと空は徐々に日が登っていました。

鳥の鳴く声が朝を知らせているみたいで心地いいです。

 

「....誰だったんだろう」

 

私は外の空気を感じながら、そう呟きました。

その"人"の声はどこか聞いたことのある声でした。

 

 

 

そして彼が言った言葉が気になって仕方ありませんでした。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

僕は友達を殺そうとした。

 

 

 

 

 

"  ”から守ったと言うのに、

 

 

僕は空腹から現れた"食欲"と"理性"を失った同時に現れた自暴によって、

 

 

友達を喰おうとしたんだ。

 

 

 

 

 

でも僕が意識を取り戻した時、

 

ベットにいたんだ。

 

外は朝日が眩しく輝いていた。

 

まるで悪夢から覚めたように思えた

 

 

 

でも僕の口に赤い血がついていた

 

その血は僕では無く、人を食べた時についた血だった。

 

僕は"人の肉"を食べたんだ

 

 

 

 

その時、"店長"から言われたんだ。

 

 

 

『君は"喰種”(グール)でもあり、同時に”人間”でもあるんだ』

 

 

『ふたつの世界に居場所を持てる唯一人の存在なんだよ』

 

 

 

 

そして僕は"居場所"を守るため、

 

 

 

 

 

"喰種”(グール)の世界を知るんだ

 

 

 

 

 

 


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