Fate プリズマ☆アンリ   作:雨の日の河童

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大切な家族/日々を守るため彼らは決意する


第3話

士郎?side

「行ってきます」

「あら、今日は早いですね?まだ、六時ちょっとですよ。どうかしましたか?」

 

ぎくっ

そうだ、いつもならもう少しゆっくりしてから学校に行ってた。

 

「た、たまには早めに出てみようかなぁ、なんて。ほら、早起きは三文の徳っていうだろ?」

「・・・・はぁ、そうですか。いってらっしゃい」

「い、行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、危なかった」

『いや、あれは確実に怪しんでるぜ?』

「うるさいぞ、アンリ」

 

きひひと笑うアンリ。

まぁ、御覧の通り夢じゃなかった。

 

こんな朝早くに家を出たのも二人でこれからの方針を話し合うため。

 

「まず、最初の決定事項。人にばれない、ばらさない。特に家族には絶対に」

『えー、ばらそうぜ?そっちの方が後で楽なんだしよ。それに嘘つくの得意じゃないだろ?』

「う」

 

たしかに、嘘は得意じゃない。むしろ苦手な部類だ。それでも

「それでも、みんなに心配かけたくない」

みんなには今まで通り笑っていてほしいから。それを聞くとアンリはわがままだねぇ、なんて笑いながら了承してくれた。

 

『ま、いいぜ?なら、オレからも質問』

「なんだ?」

『あれなに?』

「あれ?」

 

アンリは冬木大橋を指しているが・・・・。

 

「何ってただの橋だろ」

『うーん、シロウには見えてないっぽいな。いいぜ、ならもっと近くまで行ってくれ』

「別にいいけど」

 

アンリに言われた通り冬木大橋の付近に向かう。

 

「なぁ、一体何があるっていうんだ?」

『まぁ見てなって』

 

見てなって一体・・・・ッ!!?

 

 

それはまさしくいきなりだった

先ほどまで何もなかった。

否、感じなかったが正しい。

 

「なんだよ、これ?」

 

まず、感じたのは倦怠感。

全身に重り付けたかのように身体がだるい。

更に人を拒絶するような感じもある。

 

「アンリ、これは」

『んー、シロウには見えないけど感じることは出来るみたいだな。たぶん、ここ、オレと同じものがあるぜ?』

「同じもの?・・・まさか!?」

『そ、カードがあるってわけだ。こりゃあ、きな臭くなってきたな』

 

イリヤが持っていたカード。

偶然じゃなかった?

俺がたまたまアンリを引き当てたわけじゃなくカード全てにアンリと同じナニカがいるとしたら?

イリヤはどうなる?

 

「・・・・アンリ」

『お、やる気だなシロウ。いいぜ、協力は惜しまない』

「・・・ありがとう」

 

 

それから俺はアンリに言われるまま色々と準備した。

 

「なぁ、アンリ」

『ん?どうした』

「どうしてここまで手伝ってくれるんだ」

人間は常に損得勘定で働く生き物。

俺にはどうしてここまで協力的なのかわからない。わからないからこそ裏を探ってしまう。

 

一瞬、きょとんとしながらお前がそれをいうのかとクツクツ笑う。

 

「おい、アンリ?」

『いや、わるいわるい。そうだな強いて言うなら楽しそうだから?』

「はぁ?」

『お前も見たと思うが俺って生きてた頃になーんにも出来なかったわけよ。だから、こうしてお前と一緒になってワクワクしてんだ。それに・・・・』

「それに?」

『・・・・いや、なんでもねぇわ』

・・・・あの二人に会えるかもしれないし。

 

一瞬だがアンリの声が聞こえた。

口には出していないから幻聴かもしれない。

それでもその声は何処か嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、あの場所から離れ現在、弓道場。

胴着に着替え朝練に向かう。

 

弓道場に一礼。

さっそく射ることにしよう。

いつものように呼吸を落ち着け的に向かう。

 

足踏み、いつもと変わらず。

胴造り、身体は常に自然体で。

弓構え、的を見据える。

打起し、感覚は研ぎ澄まされ。

引き分け、心は無心に。

会、最適の力で。

離れ、矢を射る。

残心、静かに終える。

 

 

「お疲れさん!」

「いて」

 

気を抜いた直後、背を叩かれた。

 

「流石先輩ですね!!とっってもきれいでした!!」

「桜、美綴きてたのか」

 

弓道部部長の美綴に後輩の間桐桜。

男勝りで頼れる姉御肌の美綴は後輩や同期に慕われる良い部長である。

桜は初めてにしてはそれなりに筋が良く期待の新人だ。

 

「衛宮、また腕上げたな。まったく、アンタの弓見てると努力すんのが馬鹿らしくなるよ」

「でもやるんだろ?」

「当たり前でしょ。卒業までに一泡吹かせてやるんだから覚悟しなよ?」

「はは、お手柔らかに頼むぞ?あ、そうだ。桜」

「は、はい!」

 

ごそごそとカバンの中をあさる。

 

「よっこいしょと。弁当作ってきたんだけど後で食べないか?」

「い、いいんですか!?」

「もちろん。美綴の分もあるぞ」

「お、さっすが衛宮」

 

今朝はばたばたしていたが前日の夜におかずは作っておいたのでご飯を詰めるだけで出来た。

 

今日は土曜日。

それに加え朝課外ないため普通はこない。

が、日曜日を除き桜や美綴は毎日練習を欠かさずに来ている。

そんな二人をねぎらいたくて時々お弁当を作って食べて貰っているのだ。

もちろん、無理矢理じゃないぞ?

それに自慢じゃないがそれなりに料理が出来ると自負している。

 

 

そのまま少し雑談しながら昼間で練習を行い。

三人で昼食を取った。

 

弁当はそれなり好評で安心。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いいなぁ』

 

学校帰り、アンリがそんなことを言い出した。

 

『弁当、すげぇ旨そうだったんだけど』

「?なら今度作ってやるぞ?」

『マジで!?』

 

ヤッター!!と喜びはしゃぐアンリ。

・・・・なんだかうれしいな。

 

『おっと、そういえば忘れてた』

 

いきなり真面目モードに。

 

 

『本当に後悔はねぇか?』

下手すりゃ死ぬぞ、シロウ。

 

 

 

最弱の英霊。

それが自分だと。

ある程度はズルできるがそれでも弱いのは変わりない。

切り札もはっきり言って三流。

それでも、家族の、イリヤの為に、自身の願いの為にその身を犠牲に出来るのかと。

アンリは問いかける。

 

 

俺は

「・・・・ああ、後悔は、無い。それにな?」

イリヤの

「死ぬつもりはさらさらない」

兄貴だから。

『はっ。ならお互い死ぬ気で頑張るとしようか』

「ああ」

 

 

戦いは何時か分からない。

今日か、明日か。はたまた一週間後か。

死ぬかもしれないと恐怖におびえながらその日を待つことになるのだろうとも。

それでも俺は後悔しない。だって・・・・

 

 

俺はイリヤの兄貴だからな。妹を守るのは当たり前だろ?

 




亀更新と言ったな?
・・・あれは嘘だ。
てなわけでストックがきれそうです。
投稿スピードがいきなり落ちることがあります。
読んでくれる皆さま。完結はさせますので気長に待ってもらえると幸いです
誤字脱字感想お待ちしております

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