Fate プリズマ☆アンリ   作:雨の日の河童

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第13話

身体は剣で出来ている。

 

気が付けば俺は荒野に立っていた。

何処までも雲がかかった空。

辺りには担い手のいない無数の剣が墓標の様に刺さっている。

 

「あ」

 

そうして視線をあげて気が付いた。

浅黒い肌に色素の抜けきった髪に鷹のように鋭い目。

きっとあの目で捉えられた獲物は逃げる事は出来ないだろう。

限界まで鍛えた体は黒のボディーアーマーを纏い歴戦の猛者のようだ。

彼は誰もいない剣の丘で独り立っていた。

 

「さて、こんな殺風景な場所に誰かと思えば貴様か衛宮士郎。何、だいたいのことは察している」

 

男は。いつかどこかの俺の成れの果てが話しかけてくる。

そうして俺の側に来て目の前の荒野に手をかざす。

すると、俺の前に四つの剣が現れた。

 

「好きな剣を抜け。それが今のお前に必要な『モノ』なのだろう」

 

錬鉄の英雄は皮肉に笑いながらこちらを見る。

 

青の柄に黄色の鍔のロングソード。その剣には誰にも破ることは出来ない誓いが施されている。

交差した白と黒の夫婦剣。その持ち手には紅い宝石が巻いてある。

黒の刀身に紫色の鞘。その鞘には桜の意匠が凝らされている。

雪のように白い大剣。その大剣は無骨だが誰かを守る意思を持っている。

 

「ああ、それともお前にはあっちの方がいいか?」

 

錬鉄の英霊の視線を追う。

無限に広がる荒野のその奥先に『ソレ』はあった。

 

禍々しい奇怪な短剣。その剣はこの世全ての負を濃縮した悪魔の牙。

 

全身が震える。

今までに感じた事のない恐怖が全身を駆ける。

あの先は地獄だ。もし超えてしまえば二度と帰れない奈落。

 

「ふ。冗談だ。お前も其処まで愚かではあるまい」

 

怯えた俺を見て満足でもしたのか。

何事も無かったかのように錬鉄の英霊は此方を見る。

・・・・・・何だかその態度が癪に障った。

 

「あまり迷っている時間はないぞ?そら、もうそろそろ雲が明ける」

 

むっとしている俺を急かす弓兵。

その言葉に慌てて剣を握る。

俺が無意識で握った剣。

それは・・・・・・。

 

 

ぱちりと目が覚める。

 

『よう、どうだった?収穫はあったか?』

「・・・アンリ」

 

アンリの声で元の世界に帰ってきたことに気づく。

 

『ま、いろいろ言いたいことはあるがひとまず・・・・・・』

「お兄ちゃん、起きてる?」

 

アンリの言葉を遮るようにイリヤが入ってきた。

勿論、偶然だ。

 

「イリヤ?」

「?どうしたの、お兄ちゃん?もしかしてまだ熱がある?」

 

此方を気遣うように手を伸ばし額に触れてくる。それをきっかけに追体験した記憶を思い出し。

 

「イリヤ」

「・・・・・・ふぇ?」

 

気が付けば抱きしめていた。

 

「お、お、お兄ちゃん!?」

 

慌てた声が聞こえるがそのまま無視する。

ドクンドクンとイリヤの心臓の音が心地良い。

温かいというより熱い体温。当たり前のことなのに涙が零れそうになる。

 

「あ、なるほど!これは夢なんだね!?うん、そうだ夢だよ、夢!!ああ、早く起きろ私!あ、でもやっぱりもう少しこのままでも・・・・・・」

「イリヤ」

 

あわあわと目を回したイリヤの名前を呼び視線を合わせる。

 

「必ず守るから」

「え?」

 

驚いた顔が視界に広がる。

 

「悪いな、起こしてもらって。俺もすぐ行くから。先に行ってくれ」

「あ、うん。わかった」

 

不安そうな顔のイリヤに笑いかけながら見送る。

 

『・・・・・・どうやら上手くいったみたいだな』

 

アンリが確認する。

 

「ああ」

 

それに対する返答は短い。

それでもアンリには十分だ。

 

『なら、一丁気張るとしますかぁ!』

 

勿論だ。

さぁ、最後のカード回収を始めよう。




感想誤字脱字お待ちしています。

いや、それにしてもPS4/VRでマシュとイチャイチャできるゲームを開発中だとは・・・。
買わなければ(使命感

あと今度はエドモンが来ますように。

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