「皆さん初めまして、夜月星詠といいます。ここにいる滝先生とは、昔フランスで知りあった友人みたいなものですよ。」
北宇治高校の音楽室にて、皆の前でそう挨拶をする少年は長い髪をポニーテールに纏め、その中性的な顔を隠すように眼鏡をかけている。けれど、彼の纏う雰囲気は、なぜか惹きつけられる。惹きつけさせられる雰囲気だった。
「それにしても、良い演奏でしたよ?さっきの『学園天国』は、演奏者の想いがひしひしと伝わってきましたよ。」
葉月ちゃんや夏紀先輩達が照れる。
「さて、君がどうしているのかを教えてもらっていいかな?」
「そんなの夏休み明けから僕がここの生徒になるからだよ。今日はその下見だよ。」
オォォーと歓声が上がる。
「フランスから戻って来てまで、ここに来た理由は?」
「ある演奏者を探しているんだ。一人はフルート、もう一人はオーボエだ。僕は彼らに会って感謝を伝えたいんだ。今の僕があるのは彼らのおかげだからね。」
「ちょ、ちょっと待ってください!お二人だけで話さないでください!」
晴香先輩が二人の間に入る。
「それもそうだね。それじゃ、何か質問がある人ーきょーしゅ!」
ここにいるほぼ全員が手をあげる。
「こんなに?!えーっと、それじゃぁ、トロンボーンを持ってる一年生の男の子!」
塚本が当てられ席を立つと
「さっきのフルートは夜月さんが吹いてたんですよね!」
「うん、そうだよ。僕の一番好きな楽器だからね。他には、クラリネット、オーボエなんかも得意だよ。」
夜月さんの返答に皆口々に「ヤバくない?!」「さっきの演奏綺麗だったよね」などとザワザワする。
「それじゃ、次は黒髪ロングのトランペットの子!」
麗奈が当てられ
「なぜ、フランスにいたんですか?」
「僕の場合は単純に音楽を学びたかったからかな?それだけだよ。」
そこから次々と質問に答えていく。
時の流れは早く楽しい時間はあっという間だった。気づけばもう18:00になっていた。
帰宅しなければいけない時間になり、私たちはそのまま解散となった。
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「お兄さんが本当に教師やってるよw」
吹奏楽部員が帰宅するのを見届けた星詠と滝先生、松本先生は職員室にいた。
「私は今、教師ですからね。生徒たちのためにこうして音楽を続けいるんですよ。」
星詠は笑いその顔を綻ばせるが
「それで、もう答えは見つかった??迷いはないのかい??」
鋭い一言を言うと夜の闇のように不気味な静けさを漂わせる
滝先生は一度は暗い顔を覗かせるが、
「ないとは言い切れません。けれど、あの時よりもはっきりとした理由が今の僕にはあります。」
数分間もしくは數十分だったかもしれない時間彼らは見つめ合った。
「そうか。ならもうここにいる意味はなくなったね。」
星詠は椅子から立ち上がった。
もう闇はそこにはなくキラキラと輝く星が一つあった。
「それじゃあね!滝先生っ☆」
彼はそう言って職員室を出て行った。
「夜月君とは以前に出会っていたのは正直驚きました。」
今までじっとしていた松本先生が口を開いた。
「彼との出会いがなければ、今の僕はなかったと言っても過言ではありません。」
一息つき、
「彼が入ったことで生徒たちに良い刺激が生まれれば嬉しいのですが、」
と言って滝先生はいつもは見せない悪人のような顔をした。
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ふーん、ふふふんー、ふーふーん
「ふふん、今日は楽しかったなー。」
どこに行くのか、どこに着くのか、知らない道、わからない道を歩きながらも心は踊っていた。
先ほどまでつけていた眼鏡も髪を縛っていた紐を解き髪がなびき、瞳の中に無数の輝きを秘めていた。手には白銀の指揮棒を持ちリズムよく振っていた。
その姿は夜そのものだった。
瞳には無数の星
髪は暗闇
白銀の月
なぞる線は流れ星
その姿は夜そのもの
「でも、一つ残念だったな。」
「心をうちに秘めたままの子があと数人いたな。」
彼はまた鼻唄を始める。
夜のマエストロは夜の闇に溶け込み姿を消していった。
プロフィール
名前:夜月星詠(よつき ほしよみ)
誕生日:10月10日 天秤座
血液型:AB型
趣味:読書、映画鑑賞
特技:5ヶ国語を喋れること(日本語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語)
好きな食べ物:バゲット、パニーニ
嫌いな食べ物:ゴーヤ
得意教科:体育、英語、世界史
苦手教科:現代社会、古典
好きな動物:ネコ、狐
好きな曲:月の光、??????
得意な楽器:フルート、クラリネット、オーボエ、ピアノ
尊敬する人物:母親
遅くなりました!気づいたら30人の方々がお気に入りにしてくれてハッピーです!
3話はビックリでしたねー
この作品はオリジナルストーリーはちょっと入れると思います。まだ未定ですけど、
今後ともよろしくお願いします !