インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 どうも、おはこんばんにちは

 リアルのごたごたで精魂尽き果てて執筆に手が付きませんでした(土下座)

 ノリに乗れてないから今話は頭に入りにくいかもしれません……ちょっとずつ書いたものなので

 なのでいつも通り、後書きでまとめております

 久しぶりで忘れてるかもなので、以下の点を踏まえてご覧ください


・アリスがキリト関係で把握できている事
 SAOでの立ち回り(アキト殺害以外)
 ALOでの立ち回り
 世間の評判・風評の移ろい(アキト殺害以外)
 キリトの生い立ち
 キリカの生い立ち(須郷関連、NPCとは何かという点を除く)
 ホロウとの血戦(同上)
 ヴァフスとの決戦(NPC関連)
 現実側の亡国との戦い(未来関連以外)

 知らないのはアキト関連、須郷の研究、NPC関連と定義、ヴァベルなどの未来関連です。それ以外は聞き齧っている認識でオケ


視点:アリス

字数:約一万二千

 ではどうぞ





第三十九章 ~巫女:破壊を祈る者(ティア〔オルタ〕)

 

 

 一時間の準備時間を経て《アインタウン》でリズベットが有するホームに再集結した時、私達の下に予想していなかった来訪者が現れた。それは森エルフの騎士リーフェ、黒エルフの騎士キズメルだった。

 彼女らも空の彼方に現れた浮遊城に行く事を望んだのである。

 

「まぁ、我々にも事情があるんだがな」

 

 嘆息しながらそう言うキズメル曰く、この状況をキリト達なら把握していると予想してこの場に来たらしい。彼女らは、浮遊城の出現にそれぞれのエルフ族が関与しているのではないかと疑った上層部の命を受け、情報を集めるために動いていたのだ。

 少し前にキリトとティアが森エルフ、キリカとプレミアが黒エルフの仲介人となり成立した三種族の和睦。それが浮遊城の出現により揺らいでいたのである。

 そして浮遊城創成の大まかな経緯――巫女に関しては適正を持つ者が他にいたとした――と世界滅亡について知り、それを阻止するべく動き出そうとしていると聞いて、同行を申し出ていた。

 その二人を加えた私達は、七色(セブン)の案内で遥か空の彼方へと転移した。

 

 ――最初に映った光景は、酷く寂れた印象を与えてきた。

 

 かつて一万もの民を虜囚とした浮遊城は、おおよその外観は似てはいるものの、ところどころに穴が空いている不完全な状態だった。草木は無く、荒れた地肌が露出している。そこかしこには光沢を放つ金属のような岩石も生えていた。

 およそ生命が生きる世界ではない。

 天空に再現された浮遊城には、生き物が有する”営み”というものを感じられなかった。

 

「ここが、かつて貴方達が生きたという浮遊城ですか……」

 

 囚われていた、という表現を控えた私の言葉は、それでも隠し切れない畏怖の念が滲んでいるように感じた。愛剣を握る手に自ずと力が籠る。

 警戒心を抱きながら更に周囲を見渡すと、ふと蠢く物体が視界を過ぎった。

 

『グルル……!』

 

 それはオオカミだった。だが、こんな場所に産み落とされた存在ゆえか、その見た目は尋常ではなかった。

 灰色の毛並みを持つ獣は、その五体の所々が不規則に変色する不快ななにかに侵されていたのだ。見て取れる色は紫、白、黒などで、それらが多層的に展開されている様は神器の記憶解放術に似ていたが、獣のそれからは本能的な不快感しか感じられない。

 

「アレって、バグに侵されてるの……?」

「能力値までバグでおかしくなられてると厄介だね」

 

 歴戦の勇士たるユウキが唖然としたように呟いた。半自動的に剣を抜いてはいるが、まだオオカミとの距離がある事もあってか驚きが勝っているようだ。

 その隣で細剣を抜いたアスナが気を引き締めるように言った。

 

「あ、あっちの敵も、姿がバグってますよ!」

「アレって……ウソ、フロアボスじゃない?!」

 

 そこで、悲鳴に近い声が上がる。声の主はシリカとリズベットだった。彼女らが指を指す方を見れば、紅い体毛を持つ二足歩行の大きな狗が、巨大な魔獣の骨を使ったと思しき手斧と円盾を手に走ってくる光景が目に入る。その狗も、やはり五体のどこかが不快な色の膜に侵されていた。

 呟きを漏らす味方の声に耳を傾ければ、アレはコボルドロードという名前らしい。ゴブリンのような種族の名か、あるいは個体名かは不明だ。

 

「――コボルドロードは俺がやろう」

 

 そのとき、この集団を率いる長たる少年が口を開いた。そして言うが早いか一陣の風となって寂れた大地を駆ける。

 

 ――その様は、正に”黒き風”だった。

 

 本来であれば白に近い銀髪を靡かせていたキリトは、緊急事態であると判断し、その姿を往年のもの――つまり、浮遊城を生き抜いた頃のものに変えていた。今の彼は黒髪黒目の姿である。キリカと異なる点を武装以外で挙げるとすれば、キリカが後ろ髪を一つに括っているのに対し、彼は括っていない点だろう。

 ちなみに、彼のように姿を変えられる事、また能力が変化するのは特殊な事例だという。

 この”オリジン”なる世界は、”アインクラッド”を下敷きに出来上がった世界。基盤を同じにしているからか浮遊城で得たものをある程度はこちらにも引っ張って来られるらしい。

 尚、同じく浮遊城で戦っていたユウキやシノンらは既にSAOアカウントを使って――彼女ら曰く『コンバート』というらしい――”オリジン”に降り立っていたので、往年の姿は取り戻せなかった。新アカウント(別の姿)を使っていたキリトだけに許された特権なのだという。

 そうして”転生(ふっかつ)”した【黒の剣士】の姿に、味方が頼もしげな表情を浮かべていたのも記憶している。

 その信頼に応えようと思ったからかは分からないが、大地を駆ける速さがグンと上がった。

 

 その瞬間、キリトが背から剣を抜いた。

 

 右手に黒。

 左手に翠。

 それらは絶望と希望のために振るわれた一対の剣だった。肉体と共に復活した装備の中で、最強ではないと聞いているが――それでもその二刀を選択したのは、戦いの地がかつての浮遊城であったからだろう。

 

「――俺達も負けてられねぇぜ!」

 

 その背を見て、対抗心を刺激されたのか反りのある刀剣を握るクラインが、好戦的な笑みを浮かべて駆け出した。向かう先は二桁に数が増えようとしている侵された魔獣の群れだ。

 彼に触発されてか、仲間達も思い思いの声を上げて走り出す。

 

(めぐ)れ、花達!」

 

 私は駆け出さなかった。その代わり、右手で強く握り締める金木犀の剣を鋭く振り下ろした。すると刀身が無数の金木犀の花弁へと(ほつ)れ、山吹色の風となって魔獣の群れを薙ぎ払う。

 幸運と言っていいのか、その一撃で命を散らす魔獣もいたが、大多数は勢いを失っただけで未だ戦う素振りを見せ続けている。

 命ある存在であれば、今の一撃で恐怖を抱くはずだ。

 しかし、迫りくる魔獣達の目からはそれを感じない。野生の獣が飛竜の姿を見た時や、若き修道士や下位の整合騎士が向けてきたあの感情が、一片たりとも感じられなかった。

 それは異常だ。

 その尋常ならざる姿となるまで侵され、心も喪ってしまったのか。

 

 ――ならば、これを引き起こしたという巫女達もまた、心を喪ったのだろうか。

 

 剣風を泳がせ、味方を援護する私の脳裏に、そんな疑問がふと浮かんだ。

 異常な魔獣達を生み出す世界を創造したという三人目の巫女。人々の悪意に従って祈りを捧げ、世界を滅ぼす一手を始めたその少女の心は、喪われてしまったのだろうか。

 いや――あるいは、壊されたのか。

 命を狙われ続ける極限状態にあり続けた結果、二人目の巫女ティアは極度の人間不信に陥り、キリト以外の接触を拒絶するまでになっていた。逆に言えば、ティアにとってキリトという存在があったからあの程度で済んでいる。

 最初期から保護されていたプレミア。

 直近まで極限状態に置かれていたティア。

 前例である二人と比較すれば、三人目の巫女ずっと悪意に晒されてきた事は想像に難くない。故に善悪の判断も付かず祈ったのだ。

 思考を放棄し、ただ願われるままに祈った。

 世界を破滅させる祈りを。

 

 それはつまり、世界の滅亡を人々が望んでいるという事を意味する。

 

 ――ならば、私達が臨んでいる戦いに、意義はあるのだろうか……?

 

「――ぐっ……!」

 

 そこまで考えた時、ズキリと右目に痛みが走った。思わず柄を振るう手を止める。

 覚えのある痛みだ。五個目の聖石を入手しに向かった時、この痛みが原因で気絶したから忘れる筈も無い。

 あの時の私は、私が生きる世界の理と、キリトが示すこの世界の理――善悪について思考し、葛藤を抱いた。僅かでも公理教会と、人界を統べる最高司祭への疑念を抱いたのだ。恐らくその疑念を抑え込むための激痛の術式なのだと私は分析している。

 何故その術式が埋め込まれているかは考えないようにしていた。

 また、キリトに関する事の是非も。

 しかし――どうやら今回の戦いに、この痛みは切っても切り離せないもののようだ。

 

「アリス、大丈夫?」

「ええ、目に塵が飛んできただけです」

 

 弓に矢を番えながら心配げに声を掛けてきたシノンに、大事ない事を伝えた私は、脳裏を掠める疑念から意識を外し、無心に剣風を躍らせた。

 

 

 歪みに侵された魔獣が無秩序に湧く草原を(ひた)(はし)る。道中を阻むそれらを剣風で、あるいは少年少女らが虚空に召喚した武器群で撃退しつつ進む中、ふと疑問が浮かんだ。

 デスゲームであったのも意図したものでないからおかしな表現なのだろうが、本来であれば、この城を攻略するには各階層間を繋ぐ迷宮区を進み、最奥の扉を守る魔獣を討伐する工程を百度繰り返す必要があった。そうして辿り着いた果てが第百層の頂だ。

 故に進む先に迷宮区がなければならないのだが、そうと思しき白亜の塔からはややズレた方を向いている。

 それが気になった私は、恐らく現状を一番理解しているだろう少年――二刀と召喚武具で敵を鎧袖一触に蹴散らしているキリトに投げかける事にした。

 

「キリト、聞きたい事があるのですが」

「なんだ?」

「我々はどこに向かって進軍しているのですか? それに、戦う相手が何かもよく分からないのですが」

 

 そう問いかけると、彼はあぁ……とやや胡乱な眼で虚空を見た後、沈黙を挟んでから口を開いた。

 

「向かう場所はこの城を作ってる存在がいるところ。戦う相手は、その存在だな」

「と、いうと――――別の”さーばー”とやらに居たという巫女、ですか」

 

 アイングラウンドの創成に関与しているという研究者の少女・七色から受けた説明を思い出す。彼女の話が正しいなら、サーバーAにいた巫女が聖石に祈りを捧げた事で大地切断の伝説が再現された。

 つまり倒すべきはその巫女という事になるのだろう。

 考えてみればそれは自然な流れと言える。祈りを捧げる事が巫女の役割なのだ。

 問題は、そこに至るまでの経緯。

 自分やキリト達がいた”さーばー”よりも治安の悪い状況だったという話から察するに、件の巫女の境遇は想像するに難くない。

 だからこそ、その巫女を危険視し、取り除こうとするのもおかしな話ではない。

 

 ――それは私が元居た人界と同じ”摂理”だ。

 

 禁忌目録に背いた者を捕らえ、処断する事が整合騎士の務め。それと同じようにキリトもまた人々や世界を守るべく、危険因子といえる巫女を排除する。

 それだけの話。

 ……だと、いうのに。

 

 ――どうしてこうも、胸が苦しいのか……っ

 

 納得している筈だ。否、論議する余地もない事柄なのだ。

 しかし――何かが胸の奥底から湧き上がってくる。

 訴えかけてくるものがあった。

 それを上手く言語化出来ない私には、その感情や意志が何なのかまでは理解できなかった。

 

 

 

「――それは早とちりというものだな」

 

 

 

 凛としたその声が耳朶を打った瞬間、私の混乱は収まった。呆気に取られて少年を見る。

 気付けば彼は足を止めていた。仲間達も、倣うように歩を止める。

 

 ――眼前には黒色の岩窟があった

 

 雄大な自然に似つかわしくない無機質な岩肌が四方を覆うそれは、浮遊城の更に中枢へと続くように口を開けていた。

 離れた小山の頂に立つキリトが大穴から視線を切り、こちらに向き直る。

 

「俺達の目的は、巫女を介してこの世界を崩壊させようとしている《アインクラッド崩壊モジュール》の排除。巫女自体は保護するつもりだよ」

「まぁ、そうじゃなきゃプレミアの同行は許さないだろうな」

 

 そうキリカが続けて言った。つまり私の懸念ははじめからする必要のない杞憂だったらしい。ふぅ、と安堵の息を漏らす。

 あからさまに安堵した私を見て笑んだキリトは、それから、と話を続ける。

 

「向かう場所は上じゃなく、下だ。だから迷宮区塔は上らない」

 

 巫女を介し、この浮遊城を崩落させようとしているこの世界の神の意志。その中核の場所についての情報はあまり無かったはずだが、キリトは確信めいた強い声音でそう言った。

 

「下ですか。何か根拠でも?」

「経験則だな。デスゲーム時代のアインクラッドにも第一層に地下迷宮があったし、システムコンソールという浮遊城全体に干渉できる場所も存在した。だからそこを基点にして、この世界にアインクラッドという異物の存在証明を行っていると思う」

「その口ぶりからするにお前は行った事があるのですね」

「ああ。俺とキリカの他にはアスナとユウキ、フィリアとストレア、それとユイも行った事がある」

「ほう……?」

 

 意外な事実に思わず声を上げる。

 これまで接してきた中でキリトが単独行動を取る事が多い事は聞き知っていた。それは危険度が高いほど、また万人に知らせるべきでない物事であるほど顕著である事も。

 浮遊城全体に干渉可能な場所の存在が万人の知るべきでない事なのは明白。

 だからてっきり件の地下迷宮には単独で赴いていたのだろうと考えたのだが、どうやらその予想は外れていたらしい。

 つまり、後に”解放の英雄”と謳われるキリトをして、当時は単独で臨むのを控えるほどの危険がその地下迷宮にあったという事。

 

「お前が仲間を連れて臨むほどという事は、それほど危険な場所なのですね」

「あー……まぁ、それもあるが……」

 

 私の言葉に彼は頷いたものの何故だか歯切れが悪かった。また、彼の視線も私から逸れている。その先を追えば、その先には並んで立つユイとストレアの二人がいた。

 その視線に対して反応したのはユイだった。

 彼女もまた歯切れ悪そうに「あぁ……」と声を発し、居心地悪そうに視線を彷徨わせる。キリトが仲間を伴った理由の一つにはユイが関係しているのだと理解できた。

 義姉を守るため――であれば、なぜストレアに意味ありげな視線を向けなかったのかは謎だが。

 

「ともあれ、ここから先の敵は数も強さも段違いになる。気を引き締めて行こう」

 

 しかし、その疑問を口にしようとしたのとほぼ同時にこの一団のリーダーであるキリカが指示を出したため、私は一先ず口を噤み、歩を進める事にした。

 洞穴かと思いきや、浮遊城の中心へ向かうにつれて壁や床が崩壊し、眼下に遠い大地を望める不安定な通路を進む間、やはり体のどこかが侵された魔獣達と幾度となく刃を交える。種類は狼や二足歩行の犬の類から、骸の剣士や巨大なカエルといった暗鬱としそうなものに変わっており、強さも手応えから確かに上がっている事が感じ取れた。

 

 そうして進む事、およそ数十分。

 

 私達の歩みを止める存在が現れた。

 

 

 ”それ”は広間と言える場所で一人、屹立していた。

 びゅぅと吹き抜ける風にその人物が纏う黒衣が揺れる。光に照らされ、煌めいて見える銀髪も揺れた。

 その人物を認めた私達は、誰からともなく歩みを止めた。

 銀髪黒衣の人物がこちらに向ける視線が剣呑なものだったからだ。また、こんな場所に一人でいる存在を怪しいと思ったからだ。

 しかし私達の歩みを止めた最大の理由は別にある。

 その最大の理由は、その人物が纏う衣装が”巫女”が纏う服の色違いだった事。

 つまりプレミアやティアではない第三の巫女の登場。

 その予想外な事態を目の当たりにしたから歩みを止めざるを得なかった。

 

「あんたは……」

 

 一団を率いるべく最前にいたキリカが表情を硬くしつつ、口を開く。

 

「邪魔だ」

 

 しかし、彼の言葉は第三の巫女の一言で遮られた。

 それだけではない。彼女の拒絶感を具現化したかのように、黒い巫女服のそこかしこから一瞬で形容しがたい黒いなにかが溢れ出した。

 どろりとした粘液のようで、しかし薄く漂う薄霧のような黒いそれ。

 それが足元の煉瓦(レンガ)に触れた途端、煉瓦が赤黒い染みに染め上げられ、周囲に波及し始める。

 

「――下がれッ!」

 

 それを見て驚いたのも束の間、声を張り上げてキリトが一団の最前へ躍り出た。彼は右手でキリカを後ろに引き下げると同時、左手に握る翡翠の剣(ダークリパルサー)を音高く床に突き立てる。キィン、と澄んだ響きの後、彼の眼前に青色の膜が出現した。

 直後、赤黒い染みや闇の靄の波及速度が一気に上がり、襲い掛かってきた。

 だがそれらは青い膜に阻まれる。それでも尚進もうとするが、青色の膜も負けじと立ちはだかり、闇と光の鬩ぎ合いが発生する。

 

「これは、いったい……」

 

 黒い巫女とキリトの間に生まれた赤黒い焦土、闇と光の鬩ぎ合いを見て、思わず茫然とする。

 炎で焼けた大地――そういう意味での焦土なら見た事がある。飛竜が吐く炎、あるいは炎の神聖術でそういうのは局所的に発生しやすいからだ。

 だが、目の前に広がる光景は、尋常なものではない。

 まるで、ここまでで襲ってきた魔獣を犯したモノのような……

 

 ――まさか……

 

 そこまで考え、ハッとする。

 もしやこれまで斬ってきたおかしな魔獣達は、あの黒い巫女から発生する闇に触れ、侵されてしまったが故の変異なのではにかと。

 そしていま、私達もそうされるところだったのではないか、と。

 もしもキリトが止めていなければ、私達もあの魔獣のように変異させられたかもしれない。”表世界”に真の肉体を持つキリト達はともかく、こちらに真の肉体を持つ私やプレミア、キリカ達が侵されれば、どうなったかは定かではない。

 つまり――あの黒い巫女は、明確にこちらを脅かす”敵”になっている。

 

「……触れてはならない相手とは、随分とやりにくい」

 

 そう嘆息しながら私は愛剣を花弁へ変える準備に入る。

 人界が神話の時代だった頃から存在していた金木犀の樹。その威容と、美麗な花びらが敵を切り裂く光景を強く想起する。すると柄と刀身からキン、と聞きなれた甲高い音が立ち、徐々に金木犀の花弁を象った無数の小刃へと分離する。

 ――本来であれば、小刃への分離は術式の詠唱を必要とする工程だ。

 名称を《完全武装支配術》。剣の記憶を読み取り、そこから生成された式句を唱える事で、神器の天命/耐久値を消費して強力な力を引き出す。

 しかし私は完全詠唱を必要としなくなって久しい。神器の全てとは言えないが、一部を引き出す程度であれば強い意志を以て行使する事が可能になっていた。

 これを極め、神器の全てを引き出す事が出来れば、私は整合騎士として不可欠な力――”心意(しんい)”を真に会得したと言える。

 つまり今、私は”心意”の会得に近付きつつあった。

 

 

 

 ――だからこそ、分かってしまった。

 

 

 

 全身を貫くような鋭い殺意を感じてしまえた。

 

「な――――……っ」

 

 ぞくりと全身を悪寒が走った。

 思わず、呼吸を乱してしまう。瞠目のまま黒い巫女に驚愕する。

 これまで暗黒界のゴブリンなどと刃を交えた事はある。命の奪い合いを経て、こちらに向けられる殺意も感じた事があった。

 

 だが――これは、なんだ。

 

 この身を貫かんばかりの彼女の殺意は、これまで感じたあらゆる殺意、殺気よりも鋭かった。

 そして、底が知れなかった。

 底知れなさで言えば、カセドラル八十階で刃を交えた咎人の修剣士《キリト》も同じだが、彼からは戦意や闘志こそ感じられたものの殺意は感じられなかった。そういう意味では整合騎士団の騎士長らとの稽古で感じたものも同じ。

 しかし今感じているものは、騎士長らの闘志をそのまま殺意に置き換えたかのようだ。

 それ故に理解できる。

 あの巫女が発している”闇”は心意によるもの。それに触れれば危険で、少なくとも今の私では抵抗も出来ないほど強力。

 少なくともあの巫女と戦うだけの力を今の私には無い事を痛感してしまった。

 手を出そうものなら逆にこちらまで”闇”に侵食されてしまう事は明らかだ。そうならないのは、おそらくあの”闇”に抗する”光”を発生させているキリトだけだろう。

 

「――やはり、キリトには効かないか」

 

 ”闇”への対抗手段を持たないせいで身動きを封じられていると、黒い巫女が話しかけてきた。赤黒く染まった瞳が黒尽くめの少年をまっすぐ見つめる。

 

「……まさか、ティアか?」

 

 巫女と視線を交わした事で何かを感じ取ったのか、光の膜を保ちつつ、キリトが訝しげに問いを投げた。

 その問いに対し、それまで無感情だった黒い巫女の顔に微笑が浮かぶ。どうやら黒い巫女は三人目の巫女ではなく、ティアだったらしい。

 

「しかし、ティアは黒髪に青い瞳だった筈です。なぜそのような容姿に……」

「……(シン)()だ」

 

 私が呈した疑問に答えを出したのは、最初にティアだと見抜いた少年だった。

 どういう事かと視線を向けると、それを感じたかは分からないが、彼は肩越しに軽く振り返った。

 

「昔、キリカの双子のような存在がもう一人いた。ホロウと言うその人物も今の俺やキリカと同じ容姿だったが白髪赤眼に変わった事があった。その原因が瞋恚だ」

 

 より正確に言えば負の瞋恚の影響だ、と彼は言って前を向く。

 

「ホロウの瞋恚は世界に対する己の憎悪、人々の恐怖や怒り、恐れが原因だった。ティアも似たり寄ったりなんだろう? 恐らくティア自身の冒険者への怒り、そして冒険者に殺されたNPC達(ひとびと)の怨みで構成されたものだと推測するが」

 

 その推測を聞き、私は高速で思考する。

 キリカには複雑な事情があり、その辺については教えてもらえていないが、分かっている事はある時期までの記憶、経験、意識をキリトと同一にしている点だ。それが話にだけ聞くホロウとやらも同じだとすれば、負の瞋恚に侵食されたホロウは己の憎しみに忠実であったのだろう。

 ホロウがそうなったのは、かつて己を虐げてきた者達への鬱憤が爆発したからだ。

 つまり今のティアは、件のホロウと同じ状態にあるという事なのだろう。

 それでなぜ髪、瞳、服の色が変わるかは理解できないが……

 

「流石だ。やはりキリトは、他の冒険者(にんげん)とは違う」

 

 そう素早く予想を立てた時、黒の巫女ティアが微笑を湛えたまま口を開いた。その声音からは先ほどまでの拒絶感は感じられない。

 己の命を救った相手だからか、負に呑まれようとキリトにだけは物腰が柔らかい。

 そこで彼女は闇を差し向けるのを止め、代わりに右手を差し出した。あまりに距離が離れているが、それはまるで、己の手を取るよう催促しているような素振りだ。

 

「キリト、私はこれから使命を果たす。あなたには傍でそれを見届けて欲しい」

「使命?」

 

 突き立てた剣からは手を離さず、キリトが訝しげに疑問を投げる。

 その言葉に、然もありなんと頷きながらティアが言葉を続けた。

 

「聖石の女神としての使命だ。祈りを捧げ、この世界に不要な存在――冒険者(にんげん)を排除する。つまり世界を浄化する」

 

 そこでティアはハッキリと敵意を露わに宣言した。元から人間不信の印象は受けたし、キリト以外には攻撃的だったが、それが行きつくところまで行った印象を受けた。

 

「――俺が会うカミサマとやらは、どうしてこういう手合いが多いのか」

 

 ティアの宣言に私達が身構えていると、翡翠の剣を抜きながら、キリトが嘆息交じりにそう言った。そして右手に出現させた漆黒の剣(エリュシデータ)をティアに対して突き付ける。

 

「……どうして」

 

 その行動を見たティアが、信じられないと言いたげな愕然とした表情で呟いた。自身の誘いが断られるとは微塵も考えていなかったらしい。

 

「なぜ……あなたなら、キリトならこの憎しみを、理解してくれると思ったのに……」

「……まさかとは思ったが。その口ぶりからするに、ティアと共鳴した負は()()()()()()()()()()()()()()()()()()。状態としては本当にホロウと同じだな」

「そんなことはいい! なぜ……なぜ、この手を取ってくれない!」

 

 キリトの独語に、ティアが我慢ならないとばかりに激昂する。収まっていた”闇”が無秩序に噴き出すほどの感情の昂ぶり。

 そんなティアに対し、キリトが一歩踏み込んだ。

 当然彼の黒い革靴は闇に侵された煉瓦に下ろされる。しかし、彼が踏みしめた地点から放射状に、僅かに光が放出された。

 それはまるで、ティアの憎しみを否定しているかのようで。

 表情を歪めた彼女が一歩、後ろに下がった。

 

「なぜ……自身を傷付ける者への憎しみを、拒絶する者達への怒りをあなたも持っているのに……!」

 

 三度、絞り出すような声でティアが問いかける。

 二歩目を踏み出したキリトはそこで歩を止めた。

 

「……確かに、その感情がある事は否定しない。ティアと共鳴した残骸の中にはその道に生きようとした人格(モノ)もある」

 

 静かにそう言った彼は、だがな、と言葉を続ける。

 

 

 

「復讐を誰かに理解してもらえるなんて考えるのは間違いだ」

 

 

 

「な……っ」

 

 ガン、と。まるで横殴りにされたかのような衝撃を受けた表情で、ティアが唖然とする。そんな彼女にキリトは更に畳み掛けた。

 

「復讐に理解者も味方もいない。復讐に生きる人がいてもその人のと自分のは別物だ。よしんば協力関係にあってもその相手は仲間でも味方でもなくただ『敵じゃない』というだけの間柄。相手の復讐の妨げになれば、当然敵対する。周り全部が敵で、その上で全てを……命を擲ってでも敵を討つ事が、復讐だ」

 

 語気は強い。闘志――強いシンイも、未だ感じる。”光”の感触の中に、深く、強く、そして禍々しい”闇”の感触も感じた。

 それでも声音は静かだった。

 佇まいは泰然としていた。

 ――その様は、正に威容と言うにふさわしくて。

 だからか、真っ向からそれを受けているティアは圧倒され続けていた。

 

「ティア。俺は確かに、憎しみを抱いている。今も尚その感情はある」

「なら、なら何故守ろうと……!」

「だからこそ、だ」

 

 困惑の極みに至ろうとしているティアの問いを遮る形で、キリトが言った。憎しみがあるからこそ、守ろうとしているのだと。

 その答えに、私もまた困惑してしまう。

 まるで矛盾した答えではないか、と。

 そんな事もお構いなしに、ティアを見据えたままキリトが言葉を続ける。

 

「出来損ないと言われた。人殺しと蔑まれた。謂れのない悪罵を投げられ続けた。そんな俺が並大抵では困難な成果を上げ、守るために不可欠と認められ、賛辞を受ける。そのうえ幸せに生きられれば万々歳。俺を虐げてきた人達への平和的な復讐の成立だろう?」

「――――」

 

 彼の答えは、確かに平和的だった。例えるなら、他人に馬鹿にされた事を必死に努力し、熟達させ、見返すというような――そんな、当たり前と言える程度の事象。

 とても復讐などと大層な事ではない。

 

 ――狂っている

 

 私は素直にそう思った。

 この世界のキリトの来歴は大方教えてもらっている。だからこそ、『見返す』程度で済ませられる精神が理解できない。命を狙われて尚、その程度で済ませようとするなどと……

 

「――理解、出来ない」

 

 それはティアも同意見だったようで、同じ結論が彼女の口から紡がれた。

 瞬間、キリトの肩が揺れる。くっ、と小さく噛み殺した笑声が聞こえた。

 

「そりゃあそうだろう。こうしてティアに剣を向けた事もまた、俺の復讐の一つ。それを誰かに理解されるだなんて思っちゃいない」

「な、なぜ……私はキリトに危害を加えては……!」

「ティアは、な。俺が真に剣を向けるのは、今回の諸々を引き起こした黒幕――なにより、ティアが瞋恚に共鳴するよう仕組んだ奴だ」

 

 そう言った後、キリトが肩越しに振り返った。

 

「ティアは俺が相手をする。みんなは奥へ」

「一人で大丈夫ですか」

「むしろモジュールから出てくるボスの方を警戒した方が良い。デスゲームのラスボスは《攻略組》が全滅したんだ、アリスとプレミア、リーフェとキズメルは特に注意だぞ」

「――っ! 行かせるか!」

 

 直後、私達を阻止しようとティアが”闇”を大量に出現させ、そこかしこの足場や壁、空間までも侵蝕させ始めた。

 

「キリカ、コレを持って行け!」

 

 同時、キリトがキリカにある物を投げ渡す。

 それを受け取ったキリカが僅かに目を瞠った。彼の両手に収まっているのは、先ほどまでキリトが振るっていた黒と翠の二刀だったからだ。

 

「この二刀は……って、メイン武器を渡してどうする!」

 

 驚きの混じったその問いに対し、キリトは赤黒い剣と黄金に輝く剣を手に背を向けた。

 

「その剣を介して俺の瞋恚を反映させる、デスゲームの残骸に対して多少抵抗力は付く筈だ――――それに……」

 

 そこで一度言葉を区切った彼は横目にこちらを見やり、微笑を浮かべた。

 

「俺達にとって、アインクラッドを終わらせるのにその二刀ほど相応しい剣は無いだろう?」

「「「「「――――ッ!」」」」」

 

 その言葉に、キリカだけでなく他の仲間達も息を呑んだ。

 キリトは託したのだ。あの二刀と共に、再臨した浮遊城に終止符を打つ役割を、キリカに。

 

「――分かった。みんな、行くぞ!」

 

 その意志を受け止めたキリカが号令を発する。

 同時、キリトが光り輝く剣を振るい、一直線に光が走る。闇を断ち切るように走った光はティアから放出される闇を遮断し、安全地帯を形成する。その安全地帯を私達は走り抜けた。

 広間を抜け、奥へ続く通路に入ってから背後を見る。

 私が見たのは、溢れる闇を受け止める二刀の剣士の背中だった。

 

 






Q:メタ的に、リーフェ、キズメルを同行させたのはなぜ?
A:コミックスの影響()


Q:なんでキリトだけSAO時代の状態に戻れてるの?
A:SAOデータが丸々残っていて、且つキリトのみ完全新規だったから
 ユウキ達はSAOデータをALOで適用し、更にSA:Oに引っ張ってきたので、内部IDがSAOのものと同じになっている(随分前に書いたアバターの耳と同じ)
 しかしキリトは新規アカウント組なので、仮にALOから引っ張ってきたとしてもIDが違う。つまりSAOキリトのアカウントデータが上書きされず残っている。今回はそれを引っ張ってきた
 状態としてはALO事変の時に近い
 要するに”禁じ手”である


Q:残骸って言ってたけど、つまりまたクラウド・ブレイン事変が起きてる?
A:Yes
 開発期間を考えるとALO事変が起きる前からデータをコピーしているのは明らかなのでバッチリ残骸データが残っています


Q:ティアの状態って結局なに?
A;本作ホロウ・キリトの状態(復讐鬼という意味で)
 ただし『女神として祈りを捧げる』と決めたのはティアの意志というより負の瞋恚に侵蝕されたからなので、ヴァフス〔オルタ〕の状態に近い(意志を捻じ曲げられているという点で)
 キリトを求めている点は暴走セブン、ヴァフス〔オルタ〕と同じ
 表記するなら『アヴェンジャー・ティア〔オルタ〕』
 自分の意志で動けてないのでキリトの言葉で揺らぎまくっている


Q:なんでキリトが一人残ったの?
A:負の瞋恚への完全耐性をキリトしか持たないため
 セブン、ホロウ、ヴァフス〔オルタ〕のように瞋恚に呑まれた相手には慣れているから
 そして、ティアがオルタ化した原因の瞋恚に関して、かなり責任を感じているため


Q:二刀を介した瞋恚で抵抗力が付くのは何故?
A:ティアの瞋恚=ホロウ・キリトの瞋恚
 つまりホロウを真っ向から否定したキリトの存在、瞋恚そのものが盾になるから
 ちなみにSAO時代の装備《ⅩⅢ》のシステム的なラインを介している


Q:原作(アリス)側の心意(しんい)本作(キリト)側の瞋恚(シンイ)の違いって何かあるの?
A:一応あります
 心意は正も負の区別なく指す心より出ずる意志の力。まっすぐな意志に疑念などの陰りが生まれると力が減衰しやすいので不安定だが、正道はこちら。原作世界の整合騎士も正の心意を会得するため修練を重ねる。原作キリト、アスナなどが該当
 瞋恚は怒り、憎しみなど『負』の側面から生まれる意志の力。つまりこちらはより細かな区分。経験に根付いた悪感情が強いほど発現する瞋恚も強大になる。当然ながら邪道。原作で暗黒神ベクタ=ガブリエルに一矢報いようとした暗黒騎士将軍ビスクル・ウル・シャスターの最期の一撃がこちらに該当する
 尚、原作ガブリエル・ミラーはかなりの例外

 原則負の力の方が容易く強力になりやすいが、その力に呑まれてしまうため非常に危険(アクセル・ワールド談)
 アクセル・ワールドで言えば心意は主人公勢、瞋恚は災禍の鎧《クロム・ディザスター》など
 つまり今のティアは完全に呑まれてしまっている


・キリト
 神を名乗る相手と矢鱈縁がある少年
 『見返す』という形で復讐を為そうとしているが、それは二の次。そうする過程で仲間達の幸せを得る事が第一の目的である
 同じ境地に至った者、同じ未来を目指している者にしかその思想は理解できない
 SAO時代の残骸が関与している事をティアの物言いから察したため、やや責任を感じている
 今回の騒動すべてが仕組まれた事だと知っているのでティアへの敵意は皆無
 それで何で使ってる力が”瞋恚”なんですかね……()

「俺達にとって、アインクラッドを終わらせるのにその二刀ほど相応しい剣は無いだろう?」
 『俺達』とはキリトとキリカの事か、あるいはSAO生還者達にとっての事か


・ティア〔オルタ〕
 負に呑まれ、破壊神になろうとしている少女
 散っていった数多の同胞(NPC)達の怨念データがSAO時代のクラウド・ブレインと共鳴、結合し、更にティアも同じような感情データを構築していた事で依り代に選ばれてしまった。その要因の一つとしてモジュールが動かしている”グラウンドクエスト”の巫女・女神キャラという要素も挙げられる
 つまりプレミアが仮に冒険者へ悪感情を強く抱いていればプレミアもオルタ化していた可能性が高い

 理解者(なかま)が欲しくてキリトを誘ったけど断られて困惑中
 そういうトコも先達(セブン)と同じだぞ


・アリス
 異世界の騎士
 カセドラル戦闘時点で詠唱なしに小刃を飛ばしていたので、剣の記憶を読み取るなど、神器に対して心意を使えていた事は確定。しかし神器以外への心意技((かいな)、小太刀など)は使えない
 なのでティア〔オルタ〕の瞋恚に対する抵抗力は持たず、戦力外
 とは言え今のアリスが対峙した場合ティアを斬るしか方法がないので却ってよかったとも言える

 徐々に『悪』とは何か、斬って済む話かと、個人と世界の天秤について考え始めている


・キリカ
 託された英雄
 キリトがプレイヤーにとっての英雄であるなら、キリカはNPCにとっての英雄になる存在
 そのNPCとは死ねば終わりのプレミアであり、ティアであり、リーフェであり、キズメルであり、アリスであり――
 このアイングラウンドに生きる全てである

 運命の悪戯か。
 一度は喪った心の剣が、いま再び小さな両の手に収まった


 では、次話にてお会いしましょう


 ……気長に待って下されば幸いです<m(__)m>

今話の内容は理解出来ましたか? ※今後の参考にします

  • 本文だけでもよく分かった
  • 後書き補足でなんとか分かった
  • 後書き補足でも分からないところがある
  • 理解できなかった(詰め込み過ぎで)
  • 理解できなかった(独自設定多すぎで)
  • 理解できなかった(ノリがキツくて)

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