インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~ 作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス
どうも、おはこんばんにちは
今話は原作でも曖昧なフォールンエルフ主体のオリ展開だヨ
視点:キリト、フォールンエルフ
字数:約八千
ではどうぞ
爆砕音が背後から響いた。
溢れる光の欠片を背中に受け、確実にジェネシスを倒したのだと確信する。
ジェネシスは、俺がいままで戦ってきたプレイヤーの中でリーファ、アキトに並んでいたと思う。しかし彼の強さは電子ドラッグで上乗せされたものなので、純粋な強さで言えば、彼の代わりにユウキが台頭する。
素の強さは、実直に修練していれば果たしてどれほどだったのか――そう考えはするが、栓なき考えだと
強さへ執着する、ジェネシスの想いは本物だった。
なまじ同じ穴の狢の俺には解る。俺とて、追い詰められていれば、藁にも縋る思いで電子ドラッグなどというまがい物に手を出していた可能性はある。他のプレイヤーからすれば、STLを使っていた《クラウド・ブレイン事変》当時の俺がジェネシスのように見えたはずだ。そこで私利私欲に走り、普段のプレイでもSTLを使い、トッププレイヤーとして在る道を選んでいれば、ジェネシスとしている事に大差はなくなっていた。
もちろん、だからと言ってジェネシスに同情するつもりはない。
理由、経緯はどうであれ、アミュスフィアを改造する行為は電子ドラッグ使用を別としても重罪だ。法を犯した事は厳正に裁かれるべきである。
もう二度と、《SAO事件》を繰り返さないためにも……
その思いを強く抱きながら、俺はメニューを呼び出した。手早くメニューの中からGMコール――それも、俺のアカウント用に用意された特別な回線を選択し、『《ジェネシス》が電子ドラッグ使用、アミュスフィア改造の疑いあり』と送る。運営のトップに直通で送られたそれを見れば、博士達も動き出す筈だ。
ジェネシスのログを辿り、その周囲――つまり、この場にいる面々のログも精査し、不審な者達も一斉検挙できる。
警察が動き出せば、聴取から電子ドラッグの売人の情報も手に入れられるだろう。
――後の事は、運営に任せるか
メニューを閉じながら、ふぅ、と息を吐く。
電子ドラッグ関連の事で、現状俺に出来る事はおそらく無くなった。売人らしきメガネの優男プレイヤーは姿を消し、電子ドラッグ使用疑いのプレイヤーも全員がこの場に居ない。残っているのは報酬に飛びついた非トランスプレイヤーのオレンジ・ブルー約二十人と、同数のフォールンエルフ達。
オレンジ達から聞ける事も、おそらく警察が聴取できる売人の連絡アドレス程度の筈だ。最早用と言える用はない。調査員とは言え逮捕権などを持たない俺に、彼らをどうこうする権利は持っていないからだ。ジェネシスのような場合が例外なのである。
つまり――ここからは、純粋にエルフクエストを進める事になる。
気持ちを切り替えるように深い呼吸を挟んだ俺は、まず戦意を喪い、どこか恐れに近い眼を向けてくるプレイヤー達に顔を向けた。
「リーダーは倒した。運営にも報告したから、後の事は上がやってくれる。あんた達も関係者として聴取はされるだろう。仮に電子ドラッグを持っているなら、聴取だけでは済まないかもしれないが……」
半ば脅しのような言葉に、彼らは一斉に首を横に振る。演技をしている可能性は否めないが、アレの常習性、依存性を考慮するに、持っていれば先の戦いの最中で使っているだろう。だからこれは信じていいと判断する。
そうか、と一つ頷いた俺は、続けて意外なほど静かに事の経緯を見守っていたフォールン・エルフ達を見やった。
「それで、フォールン達はどうする? あんた達に
そう俺が促すと、
そのフォールンは、一団の最前に立つや否や、頭を覆っていたフードを払いのけた。アッシュグレーの髪がはらりと伸びると共に素顔が露わになる。
俺から見て左側だけ前髪が長いが、よく見れば、彼女の右目は黒い眼帯が掛けられていた。前髪はそれを少しでも隠そうという意図なのかもしれない。
その人物は、腰のカタナに右手をやりながら口を開いた。
「それは聞き入れられない。元々、人族は露払いのために雇ったに過ぎん……これほど幼き子供に斃されるほど弱いとは思っていなかったが」
冷徹。
一言で言うならそう喩えるしかない鋭さのある声音で、フォールンの女騎士は言い捨てた。プレイヤーの浮浪雲達を受け入れたフォールン達は、そんな彼らを捨て駒としか見ておらず、仲間意識は微塵も持ち合わせていなかったのだ。
同胞への思いやりは強いが、他種族への排他性もまた強い。
「――他者を見下す口実に他人同士の勝負を利用するとは、フォールン・エルフというのは、随分詭弁を弄する事が得意らしい」
その態度がイラついた俺は、十中八九迎合もしないだろう相手を挑発した。
「自種族の事を誇らしく語るなら、まず道理に適う態度を取るべきだと思うがな」
「……なにが言いたい」
スゥ、とフォールンの目が眇められた。
その女騎士に、俺は片頬を吊り上げる。
――ジェネシスは、確かに法を犯した。
まやかしの力に手を出し、それで得た力に酔い、溺れた。強くはなったが、彼はその力に呑まれたのだ。
だが――それでも、戦ったのはジェネシスの意志だ。
互いに全力を出し尽くした。
その果ての結果を笑っていいのは、勝者と敗者の二人だけ。
アレは、
「種族差別に先の勝負を利用するなど言語道断。
――俺は、ジェネシスの事を何も知らない。
違法と知っている筈なのに、なぜ改造に手を出し、電子ドラッグまで求めたか。なぜ、あれほど力に固執していたのか。それらを知らない。
だが――刃を交え、どれだけ本気だったかは伝わった。
悲嘆。
絶望。
憎悪。
渇望。
それらが詰まった剣戟は、紛うことなきジェネシスの本心だった。
俺は、彼に安い同情はしない。
哀れみも抱かない。
されど、共感はする。
理解も示す。
――――だからこそ。
彼の行いを、馬鹿だと
「だが、全力で打ち込める人を、俺は
剣閃。
それは俺が女騎士に斬り掛かった軌跡。寸ででカタナを抜いた女騎士は、剣戟の衝撃にたじろぎ、僅かに後退した。
カーソルの色は赤黒い。
ほぼ確実に勝てない強さの相手だが――
どうしてか、今は
「貴様……!」
闇のように暗い刀身のカタナを構えながら、女騎士が呻いた。
二度、俺は口の端を吊り上げる。
「来いよ、フォールン共。俺を――殺してみろッ!!!」
そう告げて、俺はカタナ使いの騎士の追撃に掛かった。
我ら《フォールン・エルフ》の民は、本来存在しない種族である。
だがその二種族の中で、《聖大樹》が持つ特別な力に目を付けた集団が一定数存在した。
その者達は神聖な《聖大樹》を脅かす危険分子として追放された。その寄せ集めが名を持ったのが《フォールン・エルフ》という種族だ。血統を辿ればいずれも森エルフか黒エルフに行きつく。そういう点で言えば、ハーフエルフとも言えるのかもしれない。あまりに世代を重ねたせいで、血の濃さはどちらかに偏っているが。
それを表すように、自分の肌は黒エルフのように浅黒く、髪色も闇のような色をしている。
無論、フォールンではそれも珍しくない。逆に銀髪や黄緑のように、明るい髪色の者も珍しくなかった。
種族、髪色などの特徴に縛られない我らが目指すのはただ一つ――《聖大樹》の力を得て、エルフ本来の力を蘇らせる悲願の成就に他ならない
過去の二王は、自らエルフに伝わる秘伝の力の数々を《聖大樹》に奉じ、その代価として森で生きる力を身に着けた。決して迷う事は無く、森にまつわる”まじない”を使えるようになったのは確かに良い事だが、代わりに生木を傷つける事は出来ず、また森と水に恵まれない土地へ行く事が叶わなくなった。こればかりは血にまつわるもののため、森エルフと黒エルフがどちらも信奉をやめない限り、そこから分派となったフォールンも同じ制約を受ける定めにある。
フォールンが何百、何千年もの時をこの地で生きるのも、《聖大樹の加護》の制約によるもののため。
他の大陸にその加護が届かないという事は、血に流れる力が喪われ、生きていけない事を意味する。我らがこの地より解き放たれるには《聖大樹》を葬らなければならなかった。
そうする事で、我らはフォールン――――いや、エルフ族は木と水の呪縛より解き放たれ、人族と対等に渡り合う事が出来る。現地で木を伐り、砦を作り、この大陸を征服した後、別の大陸にある人族や他種族への侵攻も可能となるのだ。
その足掛かりとして、まず大前提となる《聖大樹》の破壊を企てた我らは、まだフォールンが存在しなかった太古に封じられた伝説の妖魔王を蘇らせる事にした。伝説によれば、妖魔王は《聖大樹》の対になり得る邪悪な存在。妖魔王を蘇らせた我らフォールンは、その見返りと協力に必要なものとして、力を与えられた。
これを機と見て、我らは軍を二つに分け、森エルフと黒エルフそれぞれの王都に向けて出発した。
――しかし、そこで予想外の事態が起きる。
《聖大樹の巫女》が森エルフの地にいたという情報が入ったのだ。
人族の街にいるとは聞いていたが、まさか進軍先にいると思わなかった我らは、僥倖としてそれを捕らえる事にした。あの巫女が妖魔王の力を封じる鍵になると聞かされていたためだ。
始末した方が面倒でなくていいのだが、聖大樹の力を奪った後に妖魔王を奉じる巫女に据えるつもりらしい。
いいように使われるようで癪だが、仕方ないとして一時、軍を巫女捕縛に向けたのだが――
――よもや、こんな邪魔が入るとはな。
年の頃は十かそこら。華奢な体躯だが、刃を交えた時の力は目を瞠る者があった。時折体格にそぐわぬ膂力を発揮する者がいるが、そういう類なのだろう。その身の丈に迫る剣を二本振るえる事もそれなら納得だ。
髪色は白銀。私と真逆それは長くたなびいており、人族の中ではかなり珍しいように感じる。眉目秀麗な顔つきと合わせ、耳が丸くなければ森エルフと間違っていただろう。
だが、その身を覆う黒衣が、その誤りを起こさせない。黒エルフと敵対している森エルフならば決して纏わない色だからだ。無論、その逆もあり得る。
その嫌煙の隙を突き、色味で内部に忍び込む
「惜しいな」
二合目を交えた後、最初に口火を切ったのは意外な事に私の方だった。
「貴様がいずれかのエルフ族であれば、間諜として引き入れたかもしれぬ」
言い切ると共に、三度目の応酬が交わされる。
膂力も間合いもこちらが優位。
しかし、速力はあちらが優位。
一進一退の攻防を交わしながら、私達は会話していた。
「間諜、ね。確かに俺はその手の事が出来るが、それをアンタは知らない筈だ。なぜわざわざ間諜を?」
「固執するものが無い事は、それだけで適性足り得る」
「なるほど。だが人族だから、引き入れないと」
「そうだ」
ガァンッ! と一際強烈な
また距離が開いた。
「まったく、心外だな。俺には譲れないものがある。それを固執と言わずして何と言う?」
「そうか。だが、相当同族に疎まれているように見えたが?」
言いながら、周囲で気概を喪っている男達に視線だけ向ける。
戦いが始まったからか武器だけは拾ったようだが、こちらに与する様子は見えない。
内心で舌を打つ。
人族側の法を犯した鼻つまみ者達だからこそ声を掛けた。あの時は、人族に捕まってなるかと二つ返事だったというのに、今は自らの善意に苦しみ、迷ってしまっている。この男達の拠り所であったモノを折られたのだ、もうこの時点で使い物になるとは考えられない。
そう見切りをつけた私は、視線を戻した。
何十人という人族の荒くれを相手取り、生き残りを戦意喪失させたこの男――キリトという人族は、対峙したジェネシスを筆頭に、我先にと駆け出した者達の戦意に交じった怒り、妬みはかなりのものだった。
もし彼らと迎合する信念ならばああも嫌われてはいないだろう。ならばその逆――なにか、守りたいものがあるのかもしれない。
それなら、なぜ同族から疎まれているのだろうか。
栓なき思考が浮かんだ。
「色々複雑なんだよ。英雄と呼ぶ人もいれば、偽善者や殺人鬼、化け物と呼ぶ人もいる」
そう言い、少年は肩を竦めて笑った。
私は、正直納得した。偽善者や殺人鬼――それは分かる。英雄と呼ばれるのは、敵を殺める事で多くを救った事を意味している。それをどう見るかで讃えるか蔑むかが変わる。後者の呼び方は、蔑む呼び方だ。
化け物というのも、まあ頷けなくもない。
先のジェネシスの暴れぶりは、近衛の身からしてもかなりのもので、騎士団でも上位に食い込む力量があった。それを他の者達を相手取った疲労を負った上でひとり、無傷で勝ってみせた。
その戦いぶりを畏怖と共に呼んだのだろう。そう思える程度には、似た感想を私も持っていた。
……だからこそ。
「――
それは、純粋な問いだった。普段から喋らない私がこうも続けて口を開く事に、団員から驚きの気配を感じるが、それを無視する。
――距離を詰め、刃を合わせる。
間近からその金の瞳と見つめ合う。
「――見捨てるために、理由は要る。でも助けるための理由は要らない」
「……そうか」
鮮やかな答えだった。
小さな声音は、しかししっかりと意志の強さを伝えてきていた。命を奪う事への覚悟も済ませた者の声だ。
――騎士団には、ひとつの登竜門と言える試験が存在する。
重傷を負った自身を人族が見つけ、介抱してくれた。それから戻った後、自身を助けた人族が住まう街に攻め込む事を知った時、自身はどうするか、という問いだ。
我らフォールンに血の繋がりは無く、情の共有もない。あるのは目的意識のみ。
それを揺らがされればフォールンが崩壊する。それを防ぐため――芽を摘み取るための試験で、入団させるか否かを振り分ける。
この問いで人族に肩入れした者達は、例外なく処刑されたという。
私が入団する頃には処刑は無かった。選んだ末路を知っているが故に、だれも選ばない。
故に、フォールンの結束は固い。
他種族は敵。たとえ恩を受けようと殺すしかない。
裏切りは死。それを常に感じ、生きているからだ。
――それに、この剣士は真っ向から抗うつもりだ。
フォールンの法に。
我らの全てに。
――ならば。
「ならば、これ以上の問答は埒も無し――――我が同胞達よ!」
刃を弾き、距離を取ると共に声を上げる。はっ! と整然とした唱和が響いた。
「そして、同盟者たる妖魔達よ!」
『『『『『オオォォ……ッ!』』』』』
呼び掛けに対し、空間に生まれた闇――マ素――から樹木型の妖物達が突如形を成して現れる。それらがおどろおどろしい雄叫びを上げ、森の枝葉を震わせた。
マ素は《聖大樹》が生み出す神聖な霊力・マナに反する力。ここで解放した事で森エルフ達も気付くだろうが、キリトと共に女騎士がいた時点で、最早隠す意味もない。そう判断して伏せていた兵を出現させた私は、真上に翳したカタナを振り下ろし、切っ先を人族達に突きつけ、叫ぶ。
「人族は生け捕りにしろ、殺しても《蘇生の術》で何度でも蘇る! 人族の街を占領するまでは全て生け捕りだ!」
指示を出した途端、キリトを始め、武器を持ち直していた男達の表情にも緊迫感が浮かんだ。どうやらただのエルフ同士の争いではないとようやく気付いたらしい。
「お、おい、今のって街襲撃イベントの予告って事か……?」
「そういう事だろうな……」
「フォールン共が勝ったら、俺達どうなるんだ……?」
「最悪街の使用不可といったところじゃないか」
不安げに顔を見合わせる男達。そんな彼らに、キリトが冷静に言った。
私は、ゆるりと首を振る。
「甘いな。我らは相手の反旗を許さないよう殺し尽くす。人族に掛けられている《蘇生の術》も、別の大陸にあるという
森、黒エルフと戦っていれば必ずと言っていいほど乱入してくる人族達を疎ましく思っていない筈も無い。故に、街に時たま間諜を送り、情報を集める事は欠かさないでいた。《蘇生の術》を使える人族が現れたのはつい最近の出来事だが、あちらはこちらを珍しがったので情報収集は容易かった。
故に、彼らがリスポーン地点と言う場所の特定は出来た。
問題は大陸を越えなければならない事。そのためにも、聖大樹の破壊は最優先事項だった。
「はっ。一難去ってまた一難とは、まるでALO事変の再来のようだな」
人族が黙り込む中、その沈黙を破ったのは少年の笑声だった。どこか皮肉げなそれに男達が顔を顰める。
「笑ってる場合かよ。つーか、まさかまたお前が原因で……」
「流石に違う。俺はここ二週間近くログインすらしてなかったんだ、原因になり得る訳ないだろう」
「ならなんで……」
言い合いを始めた人族に、隙ありとばかりに私は号令を発した。
「森エルフ王都に向け、進軍せよ! 人族諸共ひき潰せ! この世界は力ある者――フォールン・エルフが支配する事こそ相応しい!!! 栄えある勝利を我らが《王》に捧げるのだ!!!」
「「「「「然り! 然り! 然り!」」」」」
私の号令に応じ、兵士たちが隊列を組み、呼応する。士気の上がりようを如実に感じた。これほどの大声を実戦で発した事はいままで一度もない。
それは、この場が正念場である事を理解している故だろう。
――その雄叫びを、もう一つの雄叫びが掻き消した。
声は北東側から聞こえた。そちらにあるのは森エルフの王都や砦だ。
それを表すように、夜闇の木陰からキラキラと月光を反射して輝く黄緑や金の輝きが見て取れた。その数、五十は下るまい。
その先頭で馬を引くのは、巫女を受け取り即時撤退した女騎士。
「キリト、待たせたわね! イスノキ騎士団員を可能な限り率いて来たわ!」
そう言って人族の剣士の隣に並ぶ森エルフの騎士。
事態は、更に動く。
「どうにか間に合ったカ!」
「キー、やっと見つけました!」
「見つけたはいいけど、なんか場が混沌とし過ぎてない? なんなのこの状況っ?」
更に、南東側から三人の人族が現れる。金髪小柄の少女、黒髪長躯の女性、あられもない衣服に紫髪長躯の女性たちは、人族の剣士キリトと顔見知りであるらしい。
「あ、アルゴにユイ姉達?! なんでこの場に……」
いつ救援を呼んだのかと思ったが、どうやらそうではない事がキリトの発言で分かった。
これはつまり、相手の思惑を読んでも救援という手札があるのかどうかは不明という事になる。
「あなた達は……キリトの知り合い?」
「え、リーファ……じゃなくて、リーフェ? 森エルフ? いったいどうなって……」
「――ともあれ今はフォールン・エルフとその味方の妖魔達を倒すのが先決だ! 戦うぞ!」
「ま、待ってくれ、俺達はどうすれば……?!」
「戦う気があるなら妖魔を相手にしてくれ! 人族には効かないが、妖魔の攻撃でエルフ族は石化してしまうからな!」
「わ、分かった!」
――不思議な光景だった。
一度は敵として刃を交えたというのに、こちらに対抗するために手を取り合っている。フォールンではあり得ない光景に、私は得も言われぬ感覚に陥った。
眼前に、人族の英雄と、人族で鼻つまみにされていた男達と、森エルフの精鋭たるイスノキ近衛騎士団が並んでいる。一気に倒せる人数差は、こちらに倍する軍勢となって立ちはだかった。
――負けるな、これは。
頭の隅で、理性が悟る。
見るからに高い士気。”英雄”を核に集いを見せた者達には、”英雄”に対する確固たる信頼が敵である私にも見て取れた。
おそらく……これが、あの剣士が固執するものなのだろう。
悟りを抱きながら、私は三度、カタナを振るった。
「――全軍、突撃せよ!」
同時、最前に立つ剣士が咆えた。
「連合軍、応戦だ!」
種族を問わぬ鬨が夜の森に轟き、戦争の火ぶたは切って落とされた。
Q:なんか人族へのあたり強くね?
A:力を求める者はこぞって排他的なのです
あと四つのサーバーを統括してるのが《カーディナル》なので仕方ないネ
・フォールンエルフ騎士(敵総大将)
キリトから見てもカーソル真っ黒な近衛騎士
フォールン達が矢鱈強いのは妖魔王から力を得ているから。その上で一合で怯ませたキリトを評価しているが、他種族故に見下してもいる(人間のクセに~など)
実際は他種族であればなんでも見下す
キリトに敗北したジェネシスを嗤ったが、それでキリトから怒りを買った
やり取りの中でキリト固執しているものを”他者からの信頼を得る事”と見た。当たらずとも遠からず
敵総大将の首を狙う
・キリト(味方総大将)
中立中庸の人間
法を犯した点は許すべきではないが、力への渇望とその努力を剣から知ったキリトは、本気のジェネシスを嗤う者を許せなかった。そこにあるのは道場ではなく、本気で打ち込んでいた意志、向上心への称賛である
オレンジ・ブループレイヤー、アルゴ達、リーフェ率いるイスノキ騎士団からなる連合軍を急遽編成し、フォールン・妖魔連合と戦う事になった
敵総大将の首を狙う
・アルゴ達
キリカの要請で駆け付けた少数精鋭の援軍
ずっと走り続けて辿り着いたら顔馴染みと同じ顔のNPCがいるし、ブルー達じゃなくフォールンエルフと妖魔と対峙してるし、訳が分からないまま戦う事になった
今話の一番の被害者
主にキリトの傍に控える
・リーフェ
イスノキ騎士団の近衛兵士
無名の巫女を救出し、砦に置いた後、騎士団員を率いて戻ってきた。当初は対オレンジ・ブルー・フォールン連合への対抗手段だった
頼んだ時点ではフォールンと連携してるか不明だったので妖魔対策を怠っている
主にフォールン騎士を相手にする
・オレンジ・ブループレイヤー達
ジェネシスが倒され、心が折れた者達
まだ電子ドラッグは持っていないが、そのためにオレンジ・ブルーになったのに……といじけている。一応《SA:O》をプレイしたいとは思っているため、その根幹を壊しかねないフォールンの言い分に焦り、キリトに迎合する形で連合に参戦した
主に妖魔を相手する
これで森、黒、フォールンエルフそれぞれの視点を書けたぜ……!
では、次話にてお会いしましょう
【参考】SA:O編ラスボスの難易度あんけーと 気軽に答えてネ! 難易度上昇でボスが増えるよ! 1.さくさく敵が倒れます。原典仕様のいーじーもーど 2.仲間と一緒に協力プレイ。コミックス仕様ののーまるもーど 3.形態変化にボス追加。改変仕様のはーどもーど 4.思い出補整で狂化します。極悪仕様のかおすもーど 5.ぷれいやー・ますと・だい(がち)
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1.かんたん
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2.ふつう
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3.むずかしい
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4.ごくあく
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5.ですげーむ