インフィニット・オンライン ~孤高の剣士~ 作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス
どうも、おはこんばんにちは。
長引いてもアレなんでサクッと終わらせた()
アリシゼーション編ラストの記者会見をイメージして書いてるゾ!
視点:キリカ、比嘉
字数:約一万五千
ではどうぞ。
あの
地球落下まで残り二、三分という極限の状況まで追い込まれこそしたが、太陽系第三惑星は現在も存続し、無限に広がる闇の海に浮かび続けている。
つまりセフィロト・プログラムは消滅し、滅亡は回避されたのだ。
それによりウィルスによって暴走、変異していた少年も自我を取り戻し、現在は精密検査と集中治療の他、【無銘】により無毒化された抗原・抗体から『K-Virusワクチン』を作り出す研究のため、IS学園とは異なる場所に隔離されている。
無論、世界はそれが隔離という名ばかりの保護であると知っている。
そんな彼を保護した組織は国際IS委員会ではない。
《Bioterrorism Interception Alliance》。略して《BIA》と呼ばれる、対バイオテロ組織だ。直訳すれば《バイオテロ迎撃同盟》になる。
BIAは以前から存在していた訳ではない。サクラメント・バイオハザードやセフィロト騒動を含め《亡国事変》と通称された事変から約一週間で新設された非政府組織である。
設立に携わったのは国際IS委員会会長である篠ノ之束、委員会に加盟している各国家の長、更に世界中の製薬会社などで、加盟国は200に迫る。
これが報じられたのは十八日、つまり昨日。
一日経って情報が色々と公開されたいま、あらゆるワイドショーやライブストリーミングがこぞって取り上げるほどの語り草になっていた。ISコアを保有する権限剥奪や武力などで脅された陰謀論、バイオハザードの恐ろしさを鑑みた合理的判断など、番組によって語られるのは様々である。
そんな賑わいを見せる今日――
港区の六本木ヒルズアリーナには、国内、海外問わず多数のメディアが詰めかけ、いまや遅しと”その時”を待ちわびていた。会場のざわめきはあらゆるメディアで中継されており、それをレポーターやコメンテーター達の声が上書きする。
識者達の発言は、おおむね否定的なトーンだった。
『……ですからね、私が言いたい事は、例の《BIA》という組織にISが必要であるかという事なんですよ』
一人の男性コメンテーターが言う。
『元々ISは宇宙進出用のものであり、現在主流となっているスポーツとしてのものは副次的なものとなりました。篠ノ之博士が国際IS委員会会長になってからは特にその動きが盛んになっています。そしてアラスカ条約に於いて、ISの軍事利用は禁じられている筈です。それなのに対バイオテロのためだからとIS投入を許すのは、それはどうかと思うんですよ』
『確かにそうかもしれませんね。しかし先生、ISのシールドバリアはクリーチャーに対する頼れる盾になります。特殊作戦部隊だとか、自衛隊だとかが出撃した時、二次被害を抑えられる。人命に勝るものは無いのではないでしょうか』
『それがどうなのかと言っているんです! 確かに人命は大切です、彼らの命を第一に考えるべきだと私も思います。しかしそこで例外を許せば、今後軍事活動に於いて事あるごとにISの投入が認められてしまう事になる! あの桐ヶ谷少年のように生身で対抗できる者など普通居ないんですよ! かつての女権団のように、司法・行政が碌に機能しなかった時代が到来したと考えてみて下さい! 断言しますけどね、絶対に条例などを曲解する輩が現れますよ! バリアが防備に優れているというのなら、全ての軍人や自衛隊員に、桐ヶ谷少年が持つバリア発生装置を所有させれば済む話なんです!』
「それが出来れば苦労しないのですがね……」
そう毒づいたのは、オレンジジュースのコップを持った銀髪の鍛冶妖精クロエだ。
《アルヴヘイム・オンライン》央都アルンにリズベット、エギルが共同で構える店内には、立ち見するのも厳しいほどの人数に埋め尽くされていた。扉に下がる貸し切りの札が無くとも、入ってこようという客はまずいない。
店主エギルのカウンターにはリーファ、シノン、アスナ、ユウキ、ラン、サチ、シリカ、クラインが並んで座る。複数あるテーブルにも、ユイ、ストレア、後からアバターで駆け付けたレイン、アルゴ、ディアベル、リンドなど元SAO組、シウネーやジュンなどスリーピング・ナイツ、スメラギやサクヤといったALO組などで埋め尽くされている。新規登録したクロエもここに来ていた。
みな、ビールやカクテル、ソフトドリンクを手に、壁に映し出されたホログラフィック・テレビジョンに見入っていた。
「いくら原子操作でモノを構築できるとはいえ、バリアを展開・維持するための燃料を考慮すれば乱用できるものでない事は分かる筈ですが……」
「人の、ひいては星に生きる生命の命だからなあ……」
隣に座っていた俺が合の手を入れると、嘆息混じりにクロエが頷く。
クロエはその身に束製コアを移植し、治療用ナノマシンで耐え抜いた一人だ。【黒鍵】の事は世間に知られていない。
彼女はオリジナルの監視兼護衛の任務を帯びる一人だが、例の戦いで左腕を斬られ、その治療に専念するとして公的な場には暫く立たないようになっている。斬られた傷は原子操作で既に完治はしているが、コア移植を隠しているため出るに出られないのだ。
その彼女がやや呆れた視線をコメンテーターに向ける。
「救助活動で空を飛べた方が確実で、物資を運びやすいのに、ISを敢えて使わない理由は合理的観点から見ても無い筈です。あくまで軍事ではなく救助活動が目的なのですから」
「その辺はバイオを知ってる奴ほど陥りやすいんだろうよ。《BIA》は多分アレの《BSAA》みたいなものって認識だと、どうしても軍事的な作戦行動が頭にくるからよ」
「《BIA》ってのは一応自治組織って扱いなんだろ? 先入観ってのは怖いよなぁ」
エギルとクラインが纏めた、その時。
テレビから流れるキャスターの声が、緊張の色を帯びた。
『あ、どうやら会見が始まるようです! それでは画面を、メディアセンターから中継に戻します!』
思い思いに会話が飛び交っていた店内がしんと静まり返る。
数十人のVRMMOプレイヤーたちは、固唾をのんで、フラッシュの光が瞬く記者会見場の映像に見入った。かつて自分達が懸命に戦ったその意味が決定するその瞬間を。
広大な会場を埋め尽くすテレビカメラやスチルカメラの砲列の前にまず姿を現したのは、イメージから一転する落ち着いたパンツスーツ姿の上に白衣を纏った、二十代半ばと見える女性だった。赤みがかった長髪はストレートに流したまま。頭頂部から出たウサギ耳を模した機械が、異彩を放っている。
何十本ものマイクが並ぶ縁談の前で立ち止まった女性の前には、【《国際IS委員会》会長兼《株式会社ユーミル》CEO兼《バイオテロ迎撃連盟》会長篠ノ之束博士】というネームプレートが置かれている。フラッシュの洪水に目を細めたものの、博士は堂々たる態度で会釈し、口を開いた。
『お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日はアメリカ・サクラメント市で発生した事変、世界で危惧されるバイオテロの定義、概要の他、《亡国機業》の情報、また脅威となるウィルスなどについて、判明している限りの事を発表させて頂きます』
そう、切り出して、女性は言葉を紡いでいく。
『まず《BIA》こと《バイオテロ迎撃連盟》の目的、設立経緯についてです。本連盟はNGO団体の一つとして新たに名を連ねた組織で、国際連合憲章に基づき、国際連合と協力関係にあります。本連盟成立の経緯は……』
女性は至って事務的に、持参した資料を読み上げていった。
――この組織が作られたことから分かるように、バイオテロの脅威は依然存在している。
なぜなら《亡国機業》の完全壊滅には至らなかったからだ。
電脳ダイブした桐ヶ谷和人、織斑千冬がセフィロト・プログラムを削除し、メテオスォームも自我を取り戻した彼が消し去った後の事。
バリア展開に動いていた各国家代表候補達は”オズウェル”の捕縛に動き出した。元々彼女達が派遣されたのもサクラメント・バイオハザードを引き起こした黒幕の捕縛、また生存者の救出作業のためであり、メテオ関連は予想外の事だったのだ。
――問題はその後だった。
黒幕”オズウェル”の捕縛は失敗した。セフィロトが自身に従わず、最終的にコア・ネットワーク上のプログラムすら削除された時点で、彼は計画が頓挫した事を悟り、己にK-Virusを投与。己の意思でクリーチャーと化したため捕縛は断念し、討伐へと切り替えられたのだという。このときあらゆるデータは破棄され、地下研究所も映画よろしく爆破されたため、《亡国機業》に関するデータは殆ど入手できなかった。
あのウィルスが首領一人の手で作られたわけでない事は明白だ。計画を主導した研究員が存命していれば同じことが繰り返されるだろう。《製薬会社スペクトル》という世界を股に掛ける大企業が関与していた以上、世界中に支部が置かれた地域で同じ事が起きる可能性はある。
そして、創世記ウィルスから派生したモノが、全てサクラメントを地獄に変えたK-ウィルスと同じ筈がない。
これを世界は危険視した。未来を識るヴァベルとてそれは変わらない。基地の場所を知ってこそいるが、バイオハザードなどはこの世界が初めての出来事であったため計画の主導者も知らず、こればかりは世界の指導者達と立場は同じ。
《BIA》設立が急ピッチであったのにはこれらが複雑に絡み合い、世界全体が同じ危惧を抱いたからに他ならなかった。
――”絡み合った事情”には、桐ヶ谷和人個人も含まれている。
それは彼の立場だ。
彼が保護されるべき理由としてはワクチンの作成や男性操縦者としての価値が主に挙げられる訳だが、彼の立場がそれを困難にしていた。男性操縦者としての公立・公平な立場――『無国籍』という点である。
宇宙を目指す事を第一目標にしている篠ノ之束博士は、国際IS委員会が彼を保護する事で、結果的にどの国にも属さない状態に彼を置いていた。それで彼を取り巻く国交問題を予防したのだ。この手が可能だったのも
それに照らせば、ワクチン開発に適した場所は製薬会社になる。
対バイオテロの第一の対策としてワクチンの研究・開発は急務。サクラメントを脅かしたKーVirusに対するものだけでなく、【
そのためにどこかの国家のどこかの製薬会社が携わらなければならないが、どこもこれに手を上げなかった。
《製薬会社スペクトル》は医療・製薬業界に於いて最大手。しかし、その裏の顔がテロ組織であり、今回のバイオハザードで事実上の瓦解を喫した今、スペクトルより規模の小さな製薬会社は二の足を踏んでしまったのだ。
また、製薬会社は本社を置く関係上、どこかの国家に帰属する事がほぼ確実。それを厭った国が裏で圧力をかけ、手を上げる事を抑え込んでいたとも言われている。
日本ですら手を上げなかったのは保身に走った国会議員が圧力を掛けたからと巷では噂になっている。具体的に名前まで挙げられるほどあくどい事をしてきた人は、決して少なくないようだ。
閑話休題。
他社とは言え、同じ業界の競合相手が冒した不祥事はあまりに大きく、また人命も多く喪われた事は事実。そして今後の犠牲者を抑えられるのは、ウィルスに起因している点からも医療・製薬業界である事は火を見るよりも明らかである。
ここで手を上げなければ、それはそれで非難殺到に違いなかった。
そんな不毛な争いに発展しそうだった問題は、しかし外部からの働きで解決する。
七月十二日日曜日の午後。篠ノ之束が《BIA》設立を宣言し、国家・企業の加盟を呼びかけたのだ。
国際IS委員会会長が動き出したという事は、扱いそのものも『無国籍』のまま流用出来得る訳で、そこに数多の製薬会社が飛びついた。保護責任諸々を他が負いつつ現状を打開できる手段が出てきたからだ。国際世論からの非難、不信、その後の凋落を恐れたのだろう数多の製薬会社は、共同で基金を拠出し、
《BIA》設立に協力。ワクチン開発なども積極的に行う事を宣言した。
そして昨日、《BIA》は正式に設立され、活動開始を宣言。本部は日本の国際IS委員会に別部署として設置。和人の身柄もそちらに移され、以降はそちらで生活する事を指示されているという。
同時に国連とも連携を取る組織として認められた。まだ成果も無いのに国連から認められ、連携組織のNGO団体になるとは予想外だとして、世間も驚きを示した。
『……部門は大別して3つ。実働部隊は《Special Operations Unit》こと《SOU》、各国の軍隊・警察・特殊部隊・諜報機関などの経験者達から成る実戦部隊であり、クリーチャーの駆除・民間人の救出活動が主流なります。バックアップ部隊は《Special Operations Agent》こと《SOA》、捜査・諜報活動などを主な任務とする少数部隊となります』
スラスラと言葉を続けていた女性が、そして、と敢えて言葉を区切った。
『残る一つは《Special Electronic Operations Soldier》こと《SEOS》、電脳ダイブ等を用いた電子戦を主とするホワイトハッカーチームになります』
そこで、静かに耳を傾けていた取材陣が再びざわめいた。
電脳ダイブは、実は《IS運用協定》ことアラスカ条約で規制されている機能の一つだ。持ち運び可能なスパコンを使い、いつどこでもハッキング可能な危険性を考慮し、規制を掛けられたと聞いている。
それの使用を主とした部門の存在に動揺したのだ。
博士は、それから、と涼しい顔で続ける。
『本連盟の活動は二次被害を防ぐ事も考慮してフルダイブによるアバター操作を主とした遠隔活動も含んでおり、そのため特別顧問官として数名の協力を取り付けています。その協力者の一部をこの機会に紹介させていただきます……では、来て下さい』
そう言って、女性がステージの
期待と疑念に満ちた視線が集まる中、銀色のステージパネルの陰から人の姿が三つ現れる。白のカッターシャツに白衣を着た男性と、紺色のブレザーに身を包んだ一組の少年少女。
茅場晶彦、枳殻七色、そして桐ヶ谷和人の三人だった。
その三人からやや遅れ気味に、銀髪の眼帯少女ラウラ・クロニクルも姿を見せる。ケガで療養中のクロエに代わり、和人に対する抑止力として出席していた。
四人がなめらかな足取りでステージを横切り、束博士の隣、演壇の後ろに置かれていた椅子の前で振り返る。それぞれが挨拶と一礼を済ませた後、揃って着席した。それぞれの前にもネームプレートが表示される。
彼らが着席したのを見計らい、束博士が口を開く。
『茅場博士は仮想空間に関する技術指導を、枳殻博士はVRとISの双方の技術的知見と研究を、桐ヶ谷少年には仮想空間での実働、また対《亡国機業》作戦を主とした活動を主に依頼しています』
三度、動揺の声。
それが”誰”に対してかは明らかだった。だからこそ、”何故か”という部分が渦巻いている。
何故、彼をここに呼んだのか。
何故、彼を連盟に参加させるのか。
あまりにスピード発足を果たしたが故に事前情報が少ない連盟の実態を知り、取材陣は動揺を隠せていなかった。
『以上のように、本連盟の主な活動はバイオテロ対策の情報収集、予防の他、発生したバイオハザードに対する実働的制圧、対《亡国機業》を掲げた活動が主となっています』
そう締め括った後、博士も背後の椅子に着席した。用済みとなった演壇がステージ下段へ沈み、姿を消す。
『それでは、質疑応答を始めさせていただきたいと思います』
その段取りは事前に通達されていたようで、たちまち記者席から無数の手が上がる。
その中から最初に指名されたのは、大手新聞社から来た男性記者だった。
『えー、まず篠ノ之博士にお聞きします。《BIA》というこの連盟が、なぜこうも早く設立、発足出来たのでしょうか』
『バイオハザードが世界のどの国、どの地域でも起き得る可能性に対し、国際組織に於いてピンポイントで対策する機関が存在しなかったためです。それを危惧して呼びかけ始めた私に同調してくださった方が多かったのは、やはり過日の事変に於いて、世界が危機に陥っていた事を民衆も把握していたからでしょう』
『それはメテオに対してであって、バイオハザードと直接的な因果関係が薄いと思われますが……』
記者の反論に、女性は一度頷いた。
『確かに、直接的な関係は薄いです。しかし両者を引き起こしたのは《亡国機業》である事は事実。本連盟は《亡国機業》の壊滅の後も続くだろうバイオハザードへの対策として設立した組織です。今後の展望も活動目的に含んでいるからこそ、多数の賛同を得られ、こうして早くに発足出来たのだと思います』
『なるほど。ありがとうございます』
男性が一礼し、着席すると、間髪を入れず次の質問者が立ち上がった。
『篠ノ之博士に質問ですが、特別顧問として召喚した桐ヶ谷少年は、安全なのでしょうか? 過日の暴走をもう起こさないという保証はありますか? 曲がりなりにも世界を危機に追いやったメテオは、彼が行った事ですが……』
『その危惧は的外れなものです。厳密には、彼の肉体の支配権をセフィロト・プログラムがISコアを介して奪った訳であり、彼自身に危険があるとは言えません』
ばっさりと、表面上は穏やかに否定した博士のコメントに、女性記者は一瞬口籠ってから、いっそう意気込むように続けた。
『しかし、再度同じ事が起きないとは言えないのではないでしょうか。プログラムに支配され、ああも容易く暴走し、世界を危機に追いやってしまうようでは、《亡国機業》に対する戦力にはなり得ないのでは? 未だ《亡国機業》が健在であるなら、再びセフィロト・プログラムがコア・ネットワークに流れた場合、同じことが繰り返されてしまうのではないでしょうか』
『いえ、それは無いと断言できます』
『何故でしょう』
食い気味に、女性記者が質問する。
『それは、私が作成したコアのIS【黒椿】が形態移行を果たした時に《アンチ・ウィルス・システム》を組み上げ、あらゆるウィルスを防ぐファイアウォールを構築したからです』
『それに信頼性はあるのですか?』
『以前、IS学園襲撃事件の折、私のコアを使ったISは機能不全を来しました。しかしそれを免れた例が一つ……日本代表候補筆頭たる更識楯無嬢のISは、独自に《アンチ・ハッキング・システム》を構築し、それにより《亡国機業》によるハッキングを無効化していました。無限段階の進化を行うISは、プログラムに関しても同様です。同じ手を食らわないよう対策を講じるようになっているのです』
そして、と博士が続けた。
まるで、己の娘を誇る母のように、誇らしげな表情で。
『セフィロト・プログラムはコア・ネットワーク、つまり全てのコアに同時に入り込んでいました。それが消去された今、私が手がけた
『それでも、絶対はあり得ないですよね?』
『だからこその電脳ダイブです』
悪魔の証明にも似た記者の問いに、それでも毅然と言葉が返される。
『現在、国際IS委員会がISの機能の一つ一つに焦点を当て、コアに頼らず技術を再現するプロジェクトが進んでいる事は、桐ヶ谷少年が持つバリア発生装置などからもご存じの事だと思います。その一環として我々はコアに頼らない形でコア・ネットワークに電脳ダイブ可能な手法がないか探っているところです。通常IS一機につき一人が限度の電脳ダイブを、コア一つにアミュスフィアを複数という形にして、物量で電子戦を行えるという計画です。《亡国事変》では現実にアバターを作り、フルダイブを経て参戦した人達がいますが、その戦力を電脳ダイブにも費やせる……これが何を意味するか、分かりますか?』
『え、と……ど、どういう事、なのでしょう』
『これまで感染しているかどうかはコアを直接見なければならなかったところを、遠隔でも確認できる。つまり外部からウィルス感染の有無を確認できるという事です』
理解が追い付いていないのか、質問者の女性が百面相するのを涼しい顔で眺めながら、博士は言葉を続けた。
『例えば、一日前とのデータの比較。何に対してのコードか。誰が、いつ、どこから入力したものか。それを特定できれば、ウィルス感染に気付く第一歩となり得るのです。マンパワーに頼るところが大きいので、基本的に比較と抽出はAIに頼る事が多くなりますが』
『そ、そのAIとは……?』
『それは、彼が作成したモノですよ』
記者の問いに、博士が視線を隣に向ける。目を向けられた男性――茅場晶彦が、超然とした面持ちのまま口を開いた。
『【カーディナル・システム】。それが、いま篠ノ之博士が話した内容で上がったAIの名前だ』
『――それは、確かかの《ソードアート・オンライン》を運営していたという、あのシステムですか?』
やや唖然としたまま着席した女性記者に代わって、三人目の質問者が起立しながら問いを投げた。薄い色のサングラスを掛け、洒脱なジャケットを着たその男性は、おそらくフリー・ジャーナリストだ。
男性の問いに茅場が頷く。
『【カーディナル・システム】は元々人の手を必要とせず、自律した思考プログラムを組んだAIだ。定期的にメイン・プロセッサとサブ・プロセッサのすり合わせが行われ、エラーなどは自動で吐き出されるようになっている。そして吐き出されたエラーや修復用のアップデートを適応させるのは人の手で行われる事になっていた』
『なるほど。一時期七十五層以下に戻れなくなっていた状況があったという話ですが、それが修正されたというのは、たしか桐ヶ谷少年がアップデートを行ったからでしたか』
ジャーナリストは事件に関するあらゆる情報を集めていたのか、中々マイナーな事まで把握しているようだった。須郷信之捕縛後に適用したアップデートで、浮遊城全体に影響した事だからネットに挙がっていてもおかしくないが、それでも黒幕が須郷であった事の話題性にはやや劣る。
よく集めたものだと感心していると、ジャーナリストのサングラスが光をキラリと反射させた。
『しかし、仮にそのシステムが正常に動かなくなった場合、どうするのですか? 甚大なエラーを吐き出して機能不全に陥った間に付け込まれかねないのではないでしょうか』
中々いやらしい質問をする、と思った。
男が言っているのは尤もではある。エラーが起きてからアップデートを適用するまでの期間内はシステムのファイアウォールもガバガバになるが、そうなった場合の対応はどう考えているのか、という話だ。ここで詰まれば当然信憑性も信頼性もダダ下がりである。
なにしろコアで暴走からメテオ発生まで一分以内で起きた事。
迅速な対応が出来なければ話にならない。
そこで、茅場が目配せした。
目配せされたのは七色だった。男が座り、代わりに少女が立ち上がる。
『貴方の質問は、つまりコア・ネットワークと【カーディナル・システム】のファイアウォール、その両方がエラーで機能不全に陥った場合の事で合ってるかしら』
『ええ、そうですが……枳殻博士が、担当されているのですか?』
『コア・ネットワークはISの、【カーディナル・システム】はVR側の技術で、それの擦り合わせを私が担当するからよ』
ふふん、と胸を張った七色は、そのまま続けた。
『先に明らかにしておくけど、対応策には大別して二種類あるわ。コア・ネットワークに築かれた《アンチ・ウィルス・システム》と《アンチ・ハッキング・システム》、それから【カーディナル・システム】による予防策が一つ目。貴方が問うているのはもう一つの、予防を抜かれた時の対応策ね。そして私達はさっき、電脳ダイブと人の手によるアップデートだと答えたわ。電脳ダイブの限界数を増やすという方策も明かしている。それでもまだ不安かしら』
七色の言葉に、険の色はない。しかし他者を圧倒する威圧感は混在していた。
これほど対策を講じ、今後の見通しも立てているが、まだなにか問題があるのか。よく考えてから問いなさい――と、変に不安を煽ろうとする者への牽制だ。
やや気圧された男性は、しかしぐっと堪え、息を呑んだ。
『え、ええ……あのメテオが空を覆ったのは、桐ヶ谷少年が暴走してから一分足らずの事でした。それだけの短時間で講じる手があるのか、世間は不安に感じている筈です。そこに対してお聞きしたい』
気圧されながらも、しかしハッキリと男性は核心を問うた。
近年稀に見るまっすぐな記者に、そこかしこからほぉ、と感嘆の息が上がる。
『なるほど。確かにあまりの短時間に、本当に対応策が意味を為すのか疑問視されるのは仕方ないわ』
男の、ひいては取材陣の圧力を前に、しかし天才少女はふわりと微笑みながら頷いた。
『けれど、そこも対策済みよ』
『それは、どういう風に?』
『そうね……電脳空間は、この現実の何十、何百倍も加速して動かせる。一種のシミュレーションのように人間の反応速度を度外視すれば、定めた条件を元に数百日分を一気に動かす事も出来てしまうわ。それと同じ事をウィルス排除にも出来ると言ったら?』
『は、はぁ……えー、それはつまり、現実の何倍もの速度で電脳空間で動いている、という事ですよね。しかし加速したからと言って問題が解決する訳では……』
『人間の反応速度では不可能ね。けど、AIならどうかしら? 人と同等の思考を持ち、同等の技術を持つAIが、外部から【カーディナル・システム】を動かせるとすれば?』
『む……いや、それでもそのAIが我々人類に牙を剥く可能性、は……』
難しい顔で尚も反駁するジャーナリストが、眼を見開き、一点を見詰める。その先には、そこに入場してから沈黙を保ち続ける人物が一人。
視線に気づいた七色は、にっと、不敵な笑みを浮かべた。
『その可能性は、たった一つを除いてあり得ないわ。何故ならその可能性とは、彼――桐ヶ谷和人君を殺そうと世界が動き出した時だけなのだから』
――なぜ、そうも断言できるのか。
その理由を、俺は身を以て知っている。何故なら、少なくとも既存のトップダウン型AIは、上位権限者には決して逆らえない存在だからだ。認識を改竄されていた俺は、だからこそ矛盾にぶち当たり、一度は精神崩壊を来した。
後に復元され、二度立ちはだかった訳だが、屁理屈を捏ねる事で矛盾を回避した。そこまでしたのも偏に誓いのため。守るため。
あの時の苦しみと違和感、恐怖が蘇り、二の腕を摩る。
マイナーな情報も集めていたジャーナリストが言葉を失ったのは、そこまで把握していたからに違いない。
『彼は複数のAIの所有権を《ユーミル》から買い取っているわ。ユイ、ストレア、キリカ、ヴァフス、ヴァフス〔オルタ〕……けれど、以前から所有していたAIもいる。彼に埋め込まれていた【無銘】の人格よ』
まぁ、嘘ではない。
何時から所有していたかを言ってないだけで、自分達の所有権を買い取った時には【無銘】のコアにヴァベルが入り込んでいたのは事実だ。そのヴァベルが、本来の【無銘】の人格ではない事は横に置くとしても、真実を告げていないだけで嘘ではない。
詭弁ではあるがなぁ、と俺は何となく微妙な気持ちになった。
そこで、ジャーナリストの男性の隣が立ち上がった。やや憮然とした面持ちでジャーナリストが着席する。
『【無銘】となると、亡国製のコアですよね? 信用出来るのですか?』
『ええ、出来るわ。何故ならそのAIは、SAO時代に彼を助けていた存在だからよ』
『AIで、助ける……?』
『須郷捕縛前後くらいしか映ってないからあまり知られてないかもね。けれどそのAIは、確かに彼を助けていたわ。そしてあの《亡国事変》に於いて、彼と織斑千冬氏がコア・ネットワークに電脳ダイブしている間、【無銘】の人格AIは亡国製のコア・ネットワーク側でセフィロトを抑え込んで、そのまま削除までしてみせた』
『なっ?! そ、そんな話、初耳ですよ?! なぜ今まで話されなかったのですか!』
『物事には順序があるからよ。いきなり話しても、ちょっと信じられないでしょう?』
動揺した女性記者の問いに、七色が淡々と応じた。
『ともあれ、彼が所有権を持つAI達と【無銘】の人格AIは彼に対して協力的よ。それが彼の生存か、あるいは彼の行動目的かはともかくね』
『枳殻博士、桐ヶ谷少年の行動目標とは?』
『あら。そんな事、今更聞く必要があるかしら?』
悠然と笑みを浮かべたのを見た記者は、顔を赤くし、着席した。
あれだけ全力で世界に垂れ流されたのにそれを知らないというのは通らない話だ。
『とにかく、AIの演算速度は電脳空間の時間加速に追い付ける。現実で一分が過ぎる間にあっちでは十数時間経つと考えれば、予防策を抜かれたとしても十分対応できる。【無銘】のコア人格も、ユイちゃん達も協力的。彼女達の力を借りる事が《BIA》の対応策の一つよ』
そう七色が締め括ると、女性記者が着席した。それに合わせて七色も着席する。
会場はやや困惑の空気に包まれている。従来の常識などが適用できない事ばかりで、どう質問したらいいか分からないようだ。事前に資料を配られ、それで用意した質問もあった筈だが、概ね答弁で返されたか困惑でそれが出来ないでいるのか。
そこで、ふと思う。
「……オリジナルも大変だな」
知らぬ間に世界に赤裸々にされていたのだ。最早何度目か分からないが、色々と晒されていい気はしないだろう。
それでも抗議の声を中々挙げないのは結果的に事態が好転しているからの筈だ。
それは好転するよう博士らが誘導しているからでもあるだろう。実際過去のログや中継などが物証となり、言葉に信憑性を持たせているのだ。
思ったよりは今回の《バイオテロ迎撃連盟》設立の会見は混沌としなさそうである。
比嘉タケルは、記者会見の様子を会場からほど近い六本木のビルの中から見ていた。そこはかつては《SAO事件対策チーム》が缶詰めにされていた場所である。様々な場所を転々とした末にここに戻ってきたのは、一瞬の運命すら感じてしまいそうだ。
だが、それでも自身を取り巻く状況は、あの頃とは大きく違う。
いや、それは世界全体がそうだろう。世界滅亡の危機に晒され、設立された新NGO団体の要は、危機を齎す鍵にもなった幼い子供。そしてその子供は、かつては《出来損ない》と貶められていた少年だ。
なんともはや、皮肉なものだと思った。
「しっかし……こんな、AIを兵士に登用するみたいなコト、ホントにゴーサインを出してよかったんスか、菊さん。時間加速の事といいかなりスレッスレな内容もあるッスけど」
「いいんだよ、比嘉くん」
中継を見ながら言葉を押し出すと、すぐ傍に立つ人物は相槌を打った。
「確かにちょっとした綱渡りだがね、ユイちゃん達を始めとした現在主流のトップダウン型AIには致命的な欠陥がある。それは君も理解しているだろう?」
「まぁ、そうッスけど……」
陸自の二等陸佐が言わんとすることは分からないでもなかった。
彼女らは確かに極めて優秀なAIを積んでいる。彼女らの自然な応対を見て、人かAIか分からない人が殆どを占める筈だ。
それほど高い知能を誇るAIを戦時転用するとなれば日本より好戦的な各国が挙ってAIの研究に勤しむに違いない。手始めに彼女らを生み出す大本になった【カーディナル・システム】を欲し、動き出すのは目に見えている。
だがそれでも、どうしても避け得ない致命的欠陥があるとして、この男は彼女らの確保を取りやめた。
それはAIにつきものな、上位権限者に対する絶対服従の原則だ。強靭な精神を有する少年のコピーAI・キリカですら一度は崩壊し、二度目もどうにか矛盾を切り抜けるほど強固なそれは、とても国防に転用出来るほど安定したものではない。
ヴァフスらのように自身が認めた存在のみに従うAIが典型例だ。
ユイ達も、表面上は大人しく従順だが、よくよく考えれば彼女ら自身が認めた存在にしか従っていない。そこはキリカも同じで、彼が須郷に従わなかったのは、仲間達の優先順位が須郷を上回ったから。
《BIA》が要に和人を据えたのは、暗に世界に対して『和人を傷つけるな』という意思表示に他ならない。彼を敵に回せば《BIA》は機能不全に陥りかねず、結果世界の滅びも免れない事になると突きつけている。
ここは考え方による。
直葉達を守るために、彼を《BIA》に縛り付けるのか。
世界を守るために、彼を《BIA》に縛り付けるのか。
どちらにせよ、かの天才達は彼を存命させる一手としてユイ達の存在をカードにした。彼女らにとって既存AIの欠陥は関係ないからだ。
そしてその欠陥を問題視するこちら側も、彼女らがどう動こうとそこまで動揺しない。
仮に世界が研究・開発に乗り出しても、数年前から先んじて動いている菊岡主導のプロジェクトの先を行くとは到底思えない。何しろAI関係のスペシャリスト・桐ヶ谷和人少年の協力が得られるのは世界広しと言えど日本だけだからだ。
世界が研究を始めても、まず間違いなく既存AIの欠陥にぶち当たる。
『人を傷つけてはならない』という原則と『敵対する人を殺せ』という命令の矛盾を処理する程の適応をトップダウン型で得るには、思った以上に至難の業だからだ。
だからこそボトムアップ型に注目し、《ソウル・トランスレーター》の研究が進んでいる。人の生体脳を電子的に再現し、知性までも再現する試みは、図らずしも織斑秋十のフラクトライト・コピーで成功した。それを今後どのように量産していくかが問題だ。
その前に秋十・コピーに代わる素体が必要なのだが……
「比嘉くん、僕は《クラウド・ブレイン事変》でのホロウの件から考えている事があるんだ。キリカ君は本当にトップダウン型なのか、とね」
「あー……まぁ、言わんとする事は分かるッスよ。彼だけはユイちゃん達と生成過程が違いますもんね」
ユイ達は茅場晶彦を始めとした技術者の手によって一からプログラムを組まれたAIだ。だがキリカに関しては、キリトという少年の記憶、精神など全てを一年以上もの間読み取り続けた末にカーディナル・システムが生み出したコピー。
やや過程は異なるが、人工フラクトライトにかなり近似した生成過程とも言える。
だとすればキリカはボトムアップ型と言えなくもない存在なのだ。事実、須郷捕縛シーンに於いては自ら上位権限者に抗い、矛盾崩壊を回避した実績がある。トップダウン型にはおよそ不可能だろうそれを為したなら、逆説的にトップダウン型でなく、ボトムアップ型であるという反証も成り立つのではないだろうか。
更に言えば、キリカとほぼ同一存在であるホロウは、自ら誓いを捨て、世界への復讐を決断した存在だ。己の誓いを捨てる事はすなわち自己の否定にして義姉達の否定に他ならない。それでも自我を保っていたの点は、やはりトップダウン型には見られないだろう。
「とは言え、だ。ひょっとすると空恐ろしい量の経験を積んだトップダウン型は、理論上のようにボトムアップ型と同じく我々人間と同等の知性を持つ可能性も否定できない。《クラウド・ブレイン》で変質したヴァフス君の事もある訳だしね」
「いやぁ……そんな事言い出したらキリないでしょ、菊さん……」
あるかもしれない。
ないかもしれない。
試したとしても結論は出ない。
そんな悪魔の証明に足を突っ込もうとしている主任に諫めの言葉を送る。
内心では諫めたところで無理だろうなぁ、という諦観を抱いていた。こういう前振りをしてきた時の男は良からぬ事を言い出す前触れだと経験上知っているのだ。
そして予想違わず、男は宣った。
「実は《クラウド・ブレイン事変》後くらいから来てた案件があってね」
それを聞いて、はぁ、とこれ見よがしにため息を吐く。
「……話の流れからするにどーせトップダウン型AIの研究もしろとかそーいうのでしょ。契約社員としてはお
まさかSTLを使うんじゃないだろーな、とそうなった場合の膨大な仕事量を考えて荒んだ視線を送ると、二等陸佐はにやっと笑った。
「なに、政府主導で既に用意されているさ。茅場先生と枳殻博士が裏で交わした見返りってやつだよ」
飄々とした風情で言ってのけた男に、やはり底が知れない、と幾度目か知れない思いを抱いた。
・《BIA》とは
直訳で『バイオテロ迎撃連盟』
実働部隊《SOU》
バックアップ部隊《SOA》
ホワイトハッカー部隊《SEOS》
上記三つからなる国連に史上最速で認められたNGO団体。和人を無国籍(=現状維持)のまま保護する事を可能にした、新たな揺り籠
『バイオハザード』作品で結成されるバイオテロ対策部隊《BSAA》のオマージュ。原典の二部隊に、本作独自のホワイトハッカー部隊も加えた三部隊で展開される
和人はこの中で三部隊全てで活動するが、主に《SOU》と《SEOS》が主になる
また《SOA》には各国IS操縦者が名を連ねている
描写されていないが《グロージェンDS》のガブリエル、ヴァサゴもここに名を連ねている
・国連承認の早さについて
国連にここまで早く認められたのも、やはり世界中継で脅威が報じられたから。バイオハザードによる知識・耐性があったからでもある。
このため場所や国を問わず迅速に活動できるようになっており、バイオテロや関連する事件が起きた際は当事国がBIAに対して無制限の活動権限を与えることを大半の国連加盟国(一部の国は条件付きではあるものの)が承認し、世界規模で迅速かつ大規模な活動が可能になった
=助けてもらえるように早く認めた(ぶっちゃけ)
・セフィロト・プログラムなどのウィルス予防案
《アンチ・ハッキング・システム》
《アンチ・ウィルス・システム》
【カーディナル・システム】による自動排除
・セフィロト・プログラムなどのウィルス対策案
【カーディナル・システム】による修正アプデ
時間加速によるAI電脳ダイブ(単独なら和人も可能)
電脳ダイブ物量作戦(予定)
【黒椿】=【白騎士】による《王理絶征》(未公表)
・前話で和人を強化した《王理絶征》って何ぞ?
『すべてのコアを従える王の力』
『すべてのコアの能力を扱う力』
サラッと流されているが、【黒椿】=【白式】も二次形態になっている。この時に発現した四つ目の単一仕様能力。つまりこれ一つで全てのISの単一仕様能力を振るえる
形態移行したのはISの意思達が和人に力を貸したあの瞬間
あの時点で全てのコアが蓄積していたデータを読み取り、装甲、武装、単一仕様能力のすべてを再現するかつて【無銘】で楯無にした事の超極悪化バージョン
従える場合は相手コアの同意が必要。そうして相手コアのデータを読み取り、更新し、すべての武装と能力を使える
『王の力』はデータを読み取る際の申請書であり、それに判を押すかは相手が決められる
既に読み取った力は操縦者=和人の意思で扱うか否かを決める
『服従』や『隷属』ではなく、相手の意思を前提にした『従える王』であることが大前提
騎士王も、従えていた騎士の忠義は相手に委ねてたしね?
尚、試合に於いて和人が相手の武装を使う事はない
・元ネタ
原作ISで明かされた【白式】=【白騎士】の第三形態移行【王理】が発現した単一仕様能力《夕凪燈夜》
原作に於いては『すべてのISのプログラムを初期化する能力』
自分だけレベル据え置きで相手をレベル1にする(酷い)
本作《王理絶征》は初期化できるか不明
・菊岡誠二郎の企み
実際は日本政府の丸投げ案件
大規模なAI実験場+茅場、七色が絡んだ仮想空間から導き出される答えとは……?
では、次章にてお会いしましょう